会計×AI

公認会計士のAI活用ガイド|監査・基準調査・決算分析の使い方と注意点【2026年】

公認会計士の業務で AI に任せられるのは、調べる・下書きする・突き合わせる・数字の動きを拾うといった「作業」です。一方で、監査意見の形成、重要性やリスクの評価、会計処理が妥当かどうかの結論といった「判断」は、AI を使っても会計士の責任のまま残ります。日本公認会計士協会(JICPA)の研究文書も、AI を利用しても監査人の責任は軽くならないと整理しています。

この記事は、公認会計士・監査法人のスタッフ・会計事務所の方が「自分の業務のどこで AI を使えるか」を一通り見渡すためのガイドです。業務ごとに要点だけを押さえ、詳しい手順やプロンプト集は個別の記事へご案内します。

この記事で分かること

  • 公認会計士の業務で AI に任せられる作業と、人が担う判断の境目
  • 会計基準の調べもの・監査調書・分析的手続・月次決算と連結・内部統制の文書化・質問対応・英文開示の 7 業務での使い方
  • 守秘義務・倫理規則・品質管理の観点で、AI を使う前に決めておくこと
  • 監査法人・会計事務所で AI を段階的に導入する進め方と、所内ルールに書く項目
  • 汎用 AI と会計特化 AI の違いと、ツールの選び方

結論:公認会計士の業務で AI に任せられる作業・任せられない判断

最初に全体像を表にまとめます。左の列の作業は AI に下書きや一次チェックを任せやすく、右の列は人が必ず持つ部分です。

業務

AI に任せやすい作業

人が担う判断

会計基準・適用指針の調べもの

関連する基準・項番の当たりを付ける、論点の整理、改正前後の比較表の下書き

原文での確認、自社・被監査会社の事実への当てはめ、結論

監査調書

手続の記録・議事録の要約、調書の文章の下書き、体裁の統一

手続の選択、入手した証拠の十分性・適切性の評価、結論の記載

分析的手続・決算書の分析

増減の算出、変動の大きい科目の抽出、説明コメントの下書き

期待値と許容範囲の設定、会社の説明が合理的かどうかの評価

月次決算・連結

試算表の前月比チェック、内部取引の照合リスト作成、コメントの下書き

修正仕訳の要否、連結範囲・会計方針の判断

内部統制の文書化

ヒアリングメモから業務記述書・RCM(リスクと統制の対応表)の下書き

リスクの識別、キーコントロールの選定、評価結果

質問対応

質問リストや回答文の下書き、根拠資料の目次づくり

回答内容の正確性、会計処理を決めるのは会社であるという立場の線引き

英文の開示・レター

和文の下訳、用語の統一、英文の読みやすさの点検

数値・固有名詞の照合、原文との意味のずれの確認

「手続」と「判断」を分けて考える

JICPA のテクノロジー委員会研究文書第11号「監査におけるAIの利用に関する研究文書」(2024年8月公表)は、単純作業や補助的な役割は AI を使いやすく、監査上の判断を伴う領域や AI では説明が難しい領域は使いにくい、と整理しています。あわせて、AI を利用した場合でも監査人の責任は軽減されないことを明記しています。出典: 日本公認会計士協会「監査におけるAIの利用に関する研究文書」。

実務では、AI に「結論」を出させるのではなく、「結論を出すための材料をそろえる係」として使うと失敗しにくくなります。たとえば「この取引は収益認識基準のどの論点に当たりそうか、候補を 3 つ挙げて」とは頼んでも、「この会計処理で問題ないか」とは聞かない、という使い分けです。

監査法人ではどこまで入っているか

公認会計士・監査審査会(CPAAOB)の「令和8年版モニタリングレポート」(2026年7月公表)によると、大手監査法人では、生成 AI に規程や監査マニュアルなど法人内の情報を照会させる仕組みが導入済みで、生成 AI による監査調書のドラフト作成支援(AI エージェント)が導入の途中にあります。同レポートは、監査サンプルの抽出、帳票の突合せ、議事録や監査調書の下書きといった、若手が担ってきた定型業務で AI による代替が進んでいるとも述べています。

中小監査法人については、報告徴収の対象となった 44 法人のうち 20 法人が監査調書の電子化を実施済み、10 法人が仕訳分析ツールを導入済みと回答しています。出典: 公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」。大手と中小で差はありますが、規模を問わず「作業の一部を IT と AI に移す」流れは同じです。法人ごとの公表事例と、自法人へ移すときに詰まる点は監査法人の AI 活用事例と導入状況のまとめで詳しく扱っています。

業務別:公認会計士の AI 活用 7 つの場面

ここからは業務ごとに「AI にさせること」「人が確認すること」「短いプロンプト例」を並べます。プロンプト内の【 】は自分の案件に置き換える箇所です。会社名・個人名は入れず、仮名(A社など)で試してください。

1. 会計基準・適用指針の調べもの

AI にさせること:関係しそうな基準・適用指針・項番の当たりを付けること、論点を一覧にすること、改正前後の違いを表にすることです。基準書を最初から読む前の「地図づくり」に向いています。

人が確認すること:AI が挙げた基準名や項番が実在するか、最新の版かを、企業会計基準委員会(ASBJ)の原文で必ず確かめます。汎用の AI は、もっともらしい項番を作ってしまうことがあります。

【論点】について、日本の会計基準で関係する基準・適用指針を挙げてください。
・基準名と項番を必ず書く
・確信がないものは「要確認」と書く
・最後に、原文で確認すべき箇所を箇条書きにする

直近で問い合わせが増えているのが新リース会計基準です。企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されます。出典: 企業会計基準委員会「リースに関する会計基準」。契約書の洗い出しや影響額の試算で AI が役立つ場面は、新リース会計基準 2027 の実務対応(使用権資産・簡便法・経過措置)にまとめています。

2. 監査調書の下書き

AI にさせること:往査でのヒアリングメモや議事録の要約、実施した手続の記録の文章化、調書の書式や用語の統一です。メモを箇条書きのまま渡し、「調書の文体に整えて」と頼むだけでも作業時間は変わります。

人が確認すること:どの手続を選んだか、入手した証拠で十分か、どんな結論に至ったかは、監査人が書く部分です。JICPA の監査基準報告書230「監査調書」などの要求事項を満たしているかも、人がレビューします(監査基準報告書の一覧は日本公認会計士協会「監査実務指針等」から確認できます)。

以下のヒアリングメモを、監査調書の「実施した手続」欄の文章に整えてください。
・事実だけを書き、評価や結論は書かない
・誰に・いつ・何を聞いたかを残す
【ヒアリングメモ】

監査計画やリスク評価まで含めた使い方と、AI 出力のレビューの観点は監査調書作成を AI で効率化する手順とレビューポイントで解説しています。

3. 分析的手続・決算書の分析コメント

AI にさせること:前期比・予算比の増減計算、変動の大きい科目の抽出、増減理由の仮説出し、決算書の分析コメントの下書きです。比率の計算や表の整形は、AI と表計算ソフトの組み合わせが得意な領域です。

人が確認すること:分析的手続(財務データ同士や非財務データとの関係から、数値の妥当性を確かめる手続)では、期待値と「どこまでの差なら許容するか」を決めるのは監査人です。AI が出した増減理由はあくまで仮説で、会社への質問や証憑で裏付けます。AI は桁や符号を読み違えることもあるため、数値は元データと照合します。

以下の前期比較表から、増減率が【10】%以上かつ金額が【500万円】以上の科目を抽出し、
考えられる増減理由の仮説を各科目 2 つずつ挙げてください。
仮説ごとに、確かめるために会社に依頼する資料も書いてください。
【前期比較表】

分析コメントの観点の決め方とコピペ用プロンプトは決算書の分析コメントを AI で作成する会計士向けプロンプト、決算書の整合や注記の漏れを点検する様式は決算書チェックリストの作り方(無料テンプレート付き)にあります。

4. 月次決算・連結

AI にさせること:試算表の前月比チェック、異常な残高(マイナス残高や長期間動かない仮勘定)の洗い出し、連結での内部取引・債権債務の照合リストづくり、経営者向けの月次コメントの下書きです。

人が確認すること:修正仕訳を入れるかどうか、連結の範囲や会計方針の統一といった判断は人が行います。AI に仕訳案を出させた場合も、起票の前に根拠を確かめます。

以下の月次試算表を前月と比べ、確認が必要な科目を一覧にしてください。
観点:前月比の大きな増減/マイナス残高/3か月以上動いていない仮払金・仮受金
【当月・前月の試算表】

工程ごとのプロンプトはChatGPT で月次決算を効率化するプロンプト集、締めの日程そのものを短くする設計は月次決算を 5 営業日に早期化する AI 活用ワークフロー、仕訳や勘定科目の判定に使う例文は経理の ChatGPT プロンプト 50 選(仕訳・勘定科目・月次チェック)で紹介しています。

5. 内部統制の文書化

AI にさせること:担当者へのヒアリングメモから、業務記述書・業務の流れ図・RCM のいわゆる「3 点セット」の下書きを作ることです。金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準・実施基準」には、業務の流れ図と業務記述書の例(参考2)、リスクと統制の対応の例(参考3)が載っているので、この形式に沿って書かせると手戻りが減ります。出典: 企業会計審議会「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準・実施基準」。

人が確認すること:どのリスクを識別するか、どの統制をキーコントロールにするか、整備・運用の評価結果は人の判断です。AI はヒアリングメモに書かれていない統制を「ありそうなもの」として補ってしまうことがあるため、記載内容が実際の業務と一致しているかを担当者に確かめます。

以下のヒアリングメモから、【販売】プロセスの業務記述書を作成してください。
メモに書かれていない手順や統制は補わず、「不明」と書いてください。
【ヒアリングメモ】

3 点セットのサンプルと記載例は内部統制 3 点セット(業務記述書・フロー図・RCM)の作り方と記載例で詳しく紹介しています。

6. 被監査会社・顧問先とのやりとり(質問と回答)

AI にさせること:監査人側なら、往査前の質問リストや資料依頼リストの下書きです。経理部門に勤める会計士や、会社側で監査対応を支援する会計事務所なら、監査人からの質問への回答文の下書きと、根拠資料の目次づくりに使えます。

人が確認すること:回答に書いた事実が正しいか、根拠資料と一致しているかです。また監査人の立場では、会社から会計処理の相談を受けても、処理を決めるのは会社です。倫理規則は、監査業務の依頼人が果たすべき経営者の責任を監査事務所が担うことを禁じています(R400.20)。AI で回答案を作ったとしても、監査人が会社の判断を肩代わりする形にならないよう注意します。

監査人から次の質問を受けました。回答の骨子を作ってください。
・事実と見解を分けて書く
・添付すべき根拠資料の候補を挙げる
【質問文】

往査でよく聞かれる質問の類型と場面別の回答例は、監査の質問への回答を AI で下書きする例文・プロンプト集にまとめています。

7. 英文の開示・レター

AI にさせること:決算短信や開示資料、マネジメントレター、海外子会社や構成単位の監査人とのやりとりの下訳と、訳語の統一です。和文と英文を並べて渡し、「意味のずれがある箇所を指摘して」と頼む使い方も有効です。

人が確認すること:数値・日付・社名などの固有名詞は、原文と 1 つずつ照合します。会計用語の訳は、東京証券取引所が公開している英文開示の様式例や日英用語集にそろえると、社内外で表記がぶれません。出典: 日本取引所グループ「英文開示」。

以下の和文を英訳してください。
・会計用語は【用語集】の訳語を使う
・数値と固有名詞は原文のまま変えない
・訳しにくかった箇所を最後に一覧で示す
【和文】【用語集】

なお、複数の作業を AI が自分で順番に進める「AI エージェント」も、大手監査法人の監査ツールに組み込まれ始めています(前述の CPAAOB モニタリングレポート)。チャット型 AI との違いと、権限や承認の決め方は経理 AI エージェントの仕組みと会計事務所での使いどころで解説しています。

監査の品質と職業倫理:AI を使う前に押さえる線

AI を業務に入れるときに会計士が確認すべき決まりは、新しく作られたものではありません。守秘義務、職業的懐疑心、品質管理という、もともとある決まりを AI にも当てはめる、という考え方です。

守秘義務:入力した時点で「取り扱い」が始まる

公認会計士法第27条は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしたり盗用したりすることを禁じ、公認会計士でなくなった後も同じ義務を課しています。出典: e-Gov法令検索「公認会計士法」。

JICPA の倫理規則も秘密保持を基本原則の 1 つとし、秘密を守ることには情報の取得・利用・移動・保存・共有・廃棄の各段階で適切に対応することが含まれる、と定めています(114.1 A1)。また、秘密情報を製品やテクノロジーの開発などに使う場合は、提供者の了解を求める状況に当たる例として挙げています(114.3 A3)。出典: 日本公認会計士協会「倫理規則」(2026年7月定期総会承認)。

実務に置き換えると、AI ツールを選ぶ前に「入力したデータが学習に使われるか」「どこに、どのくらいの期間保存されるか」「誰がアクセスできるか」を契約や規約で確かめる、ということです。JICPA の研究文書第11号も、機密情報をそのまま入力してしまうこと、入力データが学習に使われること、回答に他社の機密情報が混ざっていても気づかないことを、情報セキュリティ上のリスクとして挙げています。

職業的懐疑心:AI の答えを「選びたくなる」癖に注意

倫理規則は、職業的専門家としての判断に影響するバイアスの例として「オートメーションバイアス」を挙げています。自動システムの出力に、人の考えや矛盾する情報から疑問が出ていても、その出力のほうを選んでしまう傾向のことです(120.12 A2)。

CPAAOB のモニタリングレポートも、AI 活用の課題としてハルシネーション(AI がもっともらしい誤りを出力すること)や判断過程のブラックボックス化を挙げ、所属する会計士には AI の出力をうのみにしない知識が要ると述べています。AI の答えがきれいに整っているほど、根拠の原文を開いて確かめる習慣が大切になります。

品質管理:AI は「テクノロジー資源」として管理する

企業会計審議会の「監査に関する品質管理基準」は、監査事務所が人的資源・テクノロジー資源・知的資源などに関する品質目標を設定することを求めています。テクノロジー資源については、IT の統制を含む IT への対応を考慮するとしています。出典: 企業会計審議会「監査に関する品質管理基準」。

監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)が2026年4月に公表した報告書「監査におけるテクノロジーの活用 ― イノベーションと監査品質」でも、ツールの検証・承認の手続、使い方のガイダンスと研修、利用状況のモニタリングを整えること、AI による重要な判断の場面に監査責任者が関与することが求められています。出典: 金融庁「監査におけるテクノロジーの活用 ― イノベーションと監査品質」の公表について。個人事務所や小さな法人でも、「どのツールを、どの業務に、誰の承認で使ってよいか」を決めておくことが品質管理の出発点です。

被監査会社が AI を使っている場合

見落としやすいのが、会社側の AI 利用です。同じ IFIAR の報告書は、AI で作られた文書やデータが監査証拠として使われる場合には、従来の監査アプローチを見直す必要があると指摘しています。JICPA も、財務報告のプロセスで生成 AI が使われる場合のリスクと監査人の考慮事項をまとめた米国 CAQ の資料「生成AIの時代の監査」の翻訳を公表しています。出典: 日本公認会計士協会「生成AIの時代の監査」の翻訳公表について。

ツール選定の基準や事務所内ガイドラインのひな形、クライアントへの説明の仕方は会計事務所の AI セキュリティと守秘義務を両立させる選び方で詳しく解説しています。

監査法人・会計事務所での AI 導入の進め方

いきなり全員で使い始めると、入力してよい情報の線引きが人によってばらつきます。次の 4 段階で進めると、ルールと実績を両方積み上げられます。

段階

やること

扱うデータ

① 試す

2〜3 名で、会計基準の調べもの・社内文書の下書き・関数の作成などに使ってみる

公開情報のみ。依頼人の情報は入れない

② 決める

効果があった使い方を整理し、所内ルール(下記)を文書にする。使うツールを決める

仮名化したサンプルデータまで

③ 広げる

契約・規約を確かめたツールで、調書の下書き・分析・3 点セットなどに展開する。プロンプトを共有する

ルールで認めた範囲の依頼人情報

④ 見直す

利用状況とレビューで見つかった誤りを定期的に振り返り、ルールと研修を更新する

—

所内ルールに書いておく項目

  • 使ってよいツール:契約形態(個人向けか法人向けか)と、入力データの扱いを確認したもの
  • 入力してよい情報・いけない情報:会社名・個人名・未公表の決算数値などの扱い、仮名化のやり方
  • 使ってよい業務:調べもの・下書き・突合せなど。結論や意見の判断には使わない
  • レビューの方法:AI の出力を誰がどう確かめるか。基準・条文は原文で確認する
  • 記録の残し方:調書に AI を使ったことをどう残すか、プロンプトや出力を保存するか
  • 依頼人への説明:必要に応じて、契約書や業務の説明で AI 利用に触れるか

「AI に仕事を取られるのでは」という不安について

導入の話をすると、若手から必ず出る質問です。財務書類の監査・証明は、公認会計士・監査法人でない者が報酬を得て業として行うことが公認会計士法第47条の2で制限されており、監査意見を AI が代わりに表明することはできません。変わるのは、若手が担ってきた作業の中身と、身につけるべきスキルのほうです。不安の出どころを原典で確かめた解説は、公認会計士の仕事は AI に取られるのか(監査で残る仕事となくなる作業)をご覧ください。

公認会計士向け AI ツールの選び方:汎用 AI と会計特化 AI

公認会計士が使う AI は、大きく「何でも答える汎用 AI」と「会計の業務に絞った特化型 AI」に分かれます。どちらが上ということではなく、得意な場面が違います。

比べる点

汎用 AI(ChatGPT・Claude・Gemini など)

会計特化 AI

得意なこと

文章の下書き・要約・翻訳・表の整形など、幅広い作業

会計基準の調べもの・論点整理など、会計の質問への回答

回答の根拠

設定や使い方によって、根拠の示し方がまちまち

参照した基準名を示す設計のものがあり、原文に戻りやすい

使いこなしの手間

プロンプトを工夫する必要がある

会計の質問をそのまま入れても使いやすい

向いている人

文書作成全般を効率化したい人

基準の確認に時間を取られている人

選ぶときに確かめること

  • 入力データが学習に使われない契約・設定にできるか
  • 回答に、参照した基準・条文の名前が示されるか(原文で確かめられるか)
  • 所内で共有・管理できるか(アカウント管理、利用状況の把握)
  • 無料で試せる期間や範囲があるか

会計基準の調べもので「根拠を確かめる手間」を減らしたい方には、会計の質問に特化した会計士AI(士業AI【会計】)という選択肢があります。汎用 AI で文章の下書きを作り、基準の確認は会計特化 AI で行う、という組み合わせも考えられます。

ASBJ等の公的情報を参照する会計特化AI のデモです。

OCR 自動仕訳や会計ソフト内蔵の AI まで含めて、選定の基準を並べて比べたい場合は会計事務所の AI ツール比較と選定基準が参考になります。

公認会計士の AI 活用でよくある質問

Q. 被監査会社の情報を AI に入力してもよいですか?

契約や規約で入力データの扱い(学習への利用、保存場所と期間、アクセスできる人)を確かめ、所内ルールで認めた範囲であれば使えます。公認会計士法の守秘義務と倫理規則の秘密保持は、AI を使う場合も変わりません。迷う情報は仮名化するか、入力しないのが安全です。

Q. AI が作った調書の下書きをそのまま使ってもよいですか?

そのままは使いません。手続の選択や証拠の評価、結論は監査人が記載し、AI が書いた文章は事実と一致しているかをレビューしてから使います。AI を使っても監査人の責任は軽くなりません。

Q. 会計基準について AI の答えを根拠にしてよいですか?

AI の答えは「どこを読めばよいか」の手がかりとして使い、根拠には ASBJ の基準や適用指針の原文を使います。基準名や項番は、実在するか、最新の版かを必ず確かめてください。

Q. 個人事務所や小さな監査法人でも AI を導入できますか?

できます。まずは公開情報だけを扱う調べものや社内文書の下書きから始め、所内ルールを決めてから依頼人の情報を扱う業務に広げるのが現実的です。CPAAOB のモニタリングレポートでも、中小監査法人で調書の電子化や仕訳分析ツールの導入が進んでいることが示されています。

Q. 汎用 AI と会計特化 AI は、どちらから始めればよいですか?

文書の下書きや要約が中心なら汎用 AI、会計基準の確認に時間がかかっているなら会計特化 AI から試すと効果を感じやすいです。無料で試せるプランがあるかを確かめ、自分の業務で 1 つずつ比べてみてください。

まとめ:作業は AI に、判断と責任は会計士に

公認会計士の AI 活用は、「調べる・下書きする・突き合わせる」作業を AI に任せ、監査上の判断と結論は会計士が持つ、という分担が基本です。守秘義務・職業的懐疑心・品質管理という既存の決まりを AI にも当てはめ、所内ルールを決めてから少しずつ広げていけば、品質を落とさずに作業時間を減らせます。

まずは公開情報だけで、自分の業務に近い場面を 1 つ選んで試してみてください。業務ごとの詳しいやり方は、本文中の各記事で紹介しています。

参考文献

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