ChatGPT・Claude・Gemini料金比較|士業事務所の総額と選び方
結論:士業事務所は「個人の有料プラン」ではなく法人プランから比べる
ChatGPT・Claude・Geminiの料金を事務所として比較すると、答えは料金表の安さでは決まりません。所員5人・年払いなら、ChatGPTは個人のPlusを5人分買っても、管理機能付きの法人プラン(ChatGPT Business)を5席買っても月額の合計はほぼ同じ。それでいて「入力内容がAIの学習に使われるかどうか」の既定値だけが違います。つまり士業事務所にとって、個人プランを人数分そろえる選択はコスト面の得がほとんどありません。
この記事で分かることは次の4点です。
- 3社の料金体系と、2026年8月15日時点で公式ページに掲載されていた金額
- 所員5人の事務所で契約したときの月額総額(個人プラン×5と法人プランの比較)
- 守秘義務の観点でプランを選ぶ基準。料金差の正体は「学習に使われるか」と管理機能
- 無料版で足りる業務と有料版が要る業務の線引き、勘定科目・インボイスなど経費処理の実務
本記事の金額はすべて2026年8月15日に各社公式ページで確認したものです。生成AIの料金とプラン名は数か月単位で改定されます。契約前には必ず各社の公式料金ページで最新の金額をご確認ください。
2026年8月15日時点の料金と、所員5人での総額
まず金額を並べます。通貨が社ごとに違う点が最初の落とし穴です。
ChatGPT(OpenAI)— 米ドル建て
個人向けは無料・Go・Plus・Proの4段階、法人向けはBusinessとEnterpriseという構成です。米国表示でGoが月額8ドル、Plusが月額20ドル、Proは利用枠に応じて月額100ドルと200ドルの2段階。法人のChatGPT Businessは標準シートが月払い1ユーザー25ドル・年払い20ドル、利用枠の広いプレミアムシートが月払い125ドル・年払い100ドルで、2ユーザーから契約できます。Enterpriseは個別見積です。OpenAIは決済時の現地通貨表示に対応しているため、日本からの実際の請求額は公式ページを開いて円表示で確認するのが確実です。
Claude(Anthropic)— 米ドル建て・税別表記
個人向けは無料・Pro・Maxの3段階。Proは年払いなら月額換算17ドル(200ドルを一括前払い)、月払いなら20ドルです。MaxはProの5倍か20倍の利用枠を選ぶ形で月額100ドルから。法人向けのTeamは標準シートが年払い1席20ドル・月払い25ドル(2〜150ユーザーが対象)、プレミアムシートが年払い100ドル・月払い125ドルです。Enterpriseは1席20ドルに、使った分のAPI相当額が上乗せされます。公式ページには「表示価格に適用される税は含まれない」と明記されているため、請求額は消費税相当が加わる前提で見積もってください。
Gemini(Google)— 円建てで表示される
3社で唯一、日本語ページに円建て価格が出ています。Geminiアプリ自体は無料。個人向け有料プランはGoogle Oneに統合されており、Google AI Plus(ストレージ2TB)が月額1,450円・年額14,500円、Google AI Pro(同5TB)が月額2,900円・年額29,000円です。さらに上位のプランもありますが、掲載ページが分かれているため本記事では金額を記載しません。
事務所として契約するなら、個人向けプランではなくGoogle Workspaceを見ます。Geminiのアシスタント機能は各プランに含まれており、年間プランの1ユーザー月額はBusiness Starterが800円、Business Standardが1,600円、Business Plusが2,500円です(円建て、Businessの各プランは最大300ユーザーまで)。2026年11月28日までの新規申込には3か月30%オフが適用され、それぞれ560円・1,120円・1,750円と表示されます。
所員5人の事務所ではいくらになるか
料金表を事務所の総額に置き換えます。所員5人全員に配る前提、年払い(Googleは年間プラン)で計算します。
契約の仕方 | 5人分の月額 | 入力内容の学習の既定 | 管理者による統制 |
|---|---|---|---|
ChatGPT Plus(個人)×5 | 100ドル | 各自が設定で無効化する必要あり | なし |
ChatGPT Business 標準シート×5 | 100ドル | 既定で学習に使われない | あり |
Claude Pro(個人)×5 | 85ドル | 各自がオプトアウトする必要あり | なし |
Claude Team 標準シート×5 | 100ドル | 既定で学習に使われない | あり |
Google AI Pro(個人)×5 | 14,500円 | 人間のレビュー対象になりうる | なし |
Google Workspace Business Standard×5 | 8,000円 | 既定で学習にも人間のレビューにも使われない | あり |
個人プランを人数分買う合理性がほとんどないことが分かります。ChatGPTは個人プラン5人分と法人プラン5席が同額。Googleに至っては、個人のGoogle AI Proを5人分そろえるより、Gemini込みのGoogle Workspace Business Standardを5ユーザー契約するほうが月額で6,500円安くなります。
なお、すでにGoogle Workspaceで事務所のメールを運用しているなら、追加契約なしでGeminiが使える状態になっている可能性があります。まずは現在の契約プランをご確認ください。導入の順序そのものについては士業事務所のDX・AI導入の進め方で整理しています。
守秘義務で選ぶ:料金差の正体は「学習に使われるか」
士業にとって、プラン選定は費用対効果と同時に守秘義務の話です。3社とも、個人向けと法人向けで入力データの扱いの既定値が違います。
個人向けプランの既定
Claudeの料金ページでは、無料・Pro・Maxのいずれもモデル学習の欄が「オプトアウト」と記載されています。利用者が自分で設定を切らない限り、入力内容が学習に使われうるという建て付けです。Geminiアプリについても、GoogleはGeminiアプリとプライバシーの説明で「人間のレビュアーが収集したデータの一部をレビューすることがあります」と述べ、「レビュアーに見られたくない機密情報や、Googleのサービスの改良のために使用されたくない機密情報は入力しないでください」と明記しています。ChatGPTも個人プランは設定画面から学習利用を無効化する方式です。
問題は、この設定が各人のアカウントに紐づくことです。所長が正しく設定していても、入所したばかりの職員が既定のまま顧問先の決算資料を貼り付ければ、事務所としての管理は成立していません。
法人向けプランの既定
一方、法人向けは既定値が逆になります。ClaudeのTeam・Enterpriseは公式ページに「お客様のコンテンツをモデルの学習に既定で使用しない」と記載されています。ChatGPT BusinessもOpenAIのビジネス向け規約のもとで、既定でワークスペースのデータを学習に使わない扱いです。Google Workspaceはさらに踏み込んでおり、Google Workspaceにおける生成AIのプライバシーハブで「チャットとアップロードされたファイルは、人間のレビュアーが確認することも、お客様の許可なくドメイン外で生成AIモデルのトレーニングに使用されることもありません」と明示しています。
この差が、事務所として法人プランを選ぶ最大の理由です。同じ月額を払うなら、設定の徹底を職員個人の注意力に委ねるより、契約の既定値と管理コンソールで担保するほうが守秘義務の説明責任を果たしやすい。個人情報保護委員会も生成AIサービスの利用に関する注意喚起で、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合は個人情報保護法違反となる可能性があると指摘しています。
税理士であれば税理士法38条の守秘義務との関係も避けて通れません。どこまでを入力してよいかの線引きは顧問先データはAIに貼ってよいかの判断基準で、事務所全体の運用ルールづくりは士業事務所がChatGPTで顧問先情報を守る7手順で詳しく扱っています。会計事務所のセキュリティ要件から逆算する場合は会計事務所のセキュリティとAIを両立させる選び方もあわせてご覧ください。
無料版で足りる業務/有料版が要る業務
3社とも無料プランがあり、無料で回せる業務まで課金する必要はありません。線引きの基準は「機密性」と「量」の2軸です。
無料版で足りる業務
- 公開情報の下調べ(制度の概要把握、用語の整理)
- 顧問先が特定されない一般的な文章のたたき台づくり
- 使い勝手を確かめる試用期間、職員向けの操作研修
有料版が要る業務
- 顧問先を特定できる情報を入力する工程(学習の既定値と管理機能が必要)
- 決算資料・契約書など長い文書をまとめて読ませる業務(無料枠では利用制限に当たりやすい)
- 繁忙期に毎日使う業務。無料枠の上限で止まると時短効果が消える
- 複数人で同じ手順を共有したい業務(プロジェクト機能・管理者統制が要る)
ChatGPT単体で無料版と有料版のどちらを選ぶかは、ChatGPT有料版と無料版の違いを士業の業務利用で選ぶ基準に判断表をまとめています。本記事は3ツール横断の選定に絞っているため、単体の深掘りはそちらが早いはずです。
3社を無理に1社へ絞る必要はありません。実務で多いのは「事務所の標準を1つ決め、必要に応じて個人の裁量で別の1つを試す」形です。標準を決めるときは、すでに使っているグループウェアとの相性が効きます。職種別の選定軸は税理士向けAIツール比較の選定チェックリスト、会計事務所のAIツール比較、弁護士のAIツールを守秘義務・利益相反で選ぶ7基準、司法書士のAIツール比較、社労士のAIツール比較にそれぞれ整理しています。
経費処理でつまずかないための3つの確認
士業事務所ならではの論点が、自事務所の帳簿です。顧問先に説明する立場だからこそ、自分の処理で悩みたくないところでしょう。
勘定科目をどう決めるか
生成AIのサブスクリプションに専用の勘定科目はありません。実務では通信費、支払手数料、消耗品費、あるいは新設した「システム利用料」などで処理されています。唯一の正解はなく、事務所として1つに決めて継続適用することが重要です。会計ソフト側の科目設定とあわせて決めておくと、月次の入力で迷いません。連携そのものを見直す場合は経費精算・会計ソフト連携の比較ガイドが参考になります。
消費税とインボイスの扱い
OpenAI・Anthropic・Googleはいずれも国外事業者であり、生成AIの利用は消費税法上の「電気通信利用役務の提供」に当たります。国税庁のタックスアンサーNo.6118のとおり、従来の登録国外事業者制度は令和5年9月30日をもって廃止されインボイス制度に移行しました。現在は適格請求書の保存が仕入税額控除の要件です。
確認手順はシンプルです。発行される請求書に登録番号の記載があるかを確認し、なければ仕入税額控除の対象にならない前提で処理します。加えて令和7年4月以降はプラットフォーム課税の対象となるものがあり、アプリストア経由と Web 直接契約とで請求元が変わることがあります。アプリ内課金ではなくWebから事務所名義で契約するほうが、請求書の管理は一貫します。
米ドル建て契約の為替リスク
ChatGPTとClaudeは米ドル建てのため、円での支払額が毎月変動します。年間予算は「1ドル○円」と仮定して幅を持たせておくのが無難です。円建てで固定したい事務所には、その一点だけでもGoogle Workspaceが選びやすくなります。また年払いは単価が下がる一方、途中解約時の扱いが月払いと異なるため、試用期間中は月払い、定着後に年払いへ切り替えるのが安全です。
事務所として決めるための3ステップ
- 入力する情報の機密度で線を引く。顧問先を特定できる情報を入れる工程があるなら、その時点で法人プランが前提です。ここを曖昧にしたまま個人プランで走り出すのが最も多い失敗です。
- 既存の業務環境から標準を決める。事務所のメール・ファイル共有がGoogleとMicrosoftのどちらに寄っているかで、定着のしやすさが変わります。
- 2〜3席で始めて、実績を見て増席する。全員分をいきなり契約せず、文章作成の量が多い担当者から配ります。法人プランは席の増減を管理コンソールで行える設計なので、この進め方が取りやすくなっています。
そのうえで、汎用AIだけでは埋めにくい部分も正直に押さえておく価値があります。ChatGPT・Claude・Geminiはいずれも汎用のアシスタントであり、税法・会計基準・法令に基づく回答かどうかの検証は利用者側の責任です。専門的な判断を含む業務ほど、この検証コストが積み上がります。
士業AIは、この検証コストを下げることを目的に、税務AI・会計AI・法務AI・業務効率化AIを職種別に用意した日本語特化のサービスです。国税庁やe-Gov法令検索などの公的情報を参照する設計で、クレジットカード不要・メール登録のみで汎用AIと使い勝手を比べられます。効率化の全体像は業務効率化のためのAI活用完全ガイドにまとめています。
最後にもう一度。本記事の金額は2026年8月15日時点で各社公式ページに掲載されていたものです。契約手続きに進む前に、必ず公式の料金ページで金額とプラン名をご確認ください。
参考文献
- Anthropic「Claude Pricing」(2026年8月15日確認)
- Google One「プランと料金」(2026年8月15日確認)
- Google Workspace「料金プラン」(2026年8月15日確認)
- Google Workspace「生成AIのプライバシーハブ」
- Google「Geminiアプリとプライバシー」
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」
- 国税庁 No.6118「国外事業者から受ける電気通信利用役務の提供」
※ChatGPT(OpenAI)の料金は openai.com の料金ページの掲載内容を2026年8月15日に確認したものです。同サイトは自動取得が制限されているため本記事ではリンクを掲載していません。ブラウザで openai.com/chatgpt/pricing を開いてご確認ください。

