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取締役会議事録のひな形・記載例|会社法の作成要件とAI作成術【2026年】

取締役会議事録は、取締役会での決定を会社法上の正式な記録として残す文書です。会社法369条3項で作成と出席役員の署名・記名押印が義務づけられ、371条1項で取締役会の日から10年間の本店備置きが求められます。代表取締役の変更や本店移転などでは、この議事録が商業登記の添付書面になるため、様式のわずかな不備が補正の原因になります。

本記事では、会社法と会社法施行規則101条の要件を押さえた取締役会議事録のひな形・議案別の記載例を示したうえで、AIでドラフトを作り、司法書士・弁護士・法務担当が要件をチェックして仕上げる実務手順を解説します。株主総会議事録とは別機関・別要件である点にも触れ、混同を防ぎます。

この記事で分かること

  • 取締役会議事録の作成・保存義務と、株主総会議事録との違い
  • 会社法施行規則101条が定める記載事項(必須項目と場合により必要な項目)
  • そのまま使える取締役会議事録のひな形(基本テンプレート)
  • 代表取締役の選定・重要財産の処分など議案別の記載例
  • 代表取締役の交代・取締役の辞任に伴う後任選定など場面別の記載例
  • 特別の利害関係を有する取締役がいる場合の議決と議事録の書き方(会社法369条2項)
  • 書面決議(みなし決議)の議事録の作り方(会社法370条・施行規則101条4項)
  • 誰が署名・記名押印するのか、登記添付時の実印・印鑑証明書の考え方
  • AIでドラフトを作り、人が会社法要件をチェックする実務手順とプロンプト
  • 取締役会の招集手続・定足数と、議事録に書くべき招集の経緯(会社法366条・368条)
  • 会社法施行規則101条3項の全8号と記載例の対応表
  • 場面別のテンプレート選び(登記に使うか・押印はどうするかの判断表)
  • 取締役会議事録の押印 ─ 実印・認印・登記所届出印の使い分けと印鑑証明書が不要になる例外
  • 電子署名で作成する場合の会社法上の要件と、商業登記で使える電子証明書の範囲
  • 議事録を訂正・修正するときの作法(訂正印か作り直しかの判断軸)
  • 10年間の備置きと、株主・債権者からの閲覧謄写請求への対応(会社法371条)

取締役会議事録とは — 会社法上の位置づけと作成義務

取締役会は、業務執行の決定や代表取締役の選定・解職を行う会社の機関です(会社法362条)。その議事について作成が義務づけられるのが取締役会議事録で、単なる社内メモではなく、会社法が記載事項・署名・保存を定める法定文書です。

作成・署名・保存の3つの義務

取締役会議事録には、大きく3つの法的義務があります。

  • 作成義務:取締役会の議事について、法務省令の定めるところにより議事録を作成する(会社法369条3項前段)。書面または電磁的記録で作成します(会社法施行規則101条2項)。
  • 署名・記名押印義務:書面で作成した場合、出席した取締役および監査役は、これに署名し、または記名押印しなければならない(会社法369条3項後段)。電磁的記録の場合は電子署名によります(会社法369条4項)。
  • 備置義務:株式会社は、取締役会の日から10年間、議事録を本店に備え置かなければならない(会社法371条1項)。

また、取締役会の決議に参加した取締役で議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されます(会社法369条5項)。反対したのであれば、その旨を議事録に記録しておくことが自衛になります。条文の実在と最新版はe-Gov法令検索の会社法で確認できます。

株主総会議事録との違い(混同に注意)

実務で最も多い誤りが、株主総会議事録と取締役会議事録の混同です。両者は別の機関の記録で、要件も異なります。定時総会・臨時総会・書面決議の株主総会議事録のひな形は「株主総会議事録テンプレート」にまとめています。

比較項目

取締役会議事録

株主総会議事録

機関・決定者

取締役会(取締役)

株主総会(株主)

署名・押印

出席取締役・監査役の署名または記名押印(369条3項)

署名義務の定めなし(会社法上は不要。議長・出席取締役の記載は規則で必要)

記載事項の根拠

会社法施行規則101条

会社法施行規則72条

備置期間

本店に10年間(371条)

本店に10年間・支店に写しを5年間(318条)

役員変更登記などで議事録を添付するとき、どちらの機関の決議事項かを取り違えると登記が通りません。株主総会議事録側の作り方やAI活用は司法書士の登記業務にAIを組み込む方法(株主総会議事録・登記申請書のドラフト)で扱っています。

取締役会議事録の要件早見表(先に結論)

条文の細部に入る前に、取締役会議事録の要件を1枚にまとめます。「取締役会議事録で何を確認すればよいか」で迷ったときは、この表に戻ってください。根拠条文はすべてe-Gov法令検索の会社法と会社法施行規則の現行条文で確認しています。

論点

結論

根拠

作成義務

書面または電磁的記録で必ず作成する。開催のたびに1通

会社法369条3項/施行規則101条2項

記載事項

施行規則101条3項の8号。会議を開かない書面決議は同条4項1号の4項目

施行規則101条3項・4項

決議要件

議決に加われる取締役の過半数が出席し、その過半数で決する(定款で加重のみ可)

会社法369条1項

特別利害関係

議決に加われない。定足数の母数からも除き、氏名を議事録に記載する

会社法369条2項/施行規則101条3項5号

署名・押印

出席した取締役および監査役が「署名」または「記名押印」。どちらでもよい

会社法369条3項

印鑑の種類

会社法に定めなし。登記添付時のみ実印と印鑑証明書が要る場面がある

商業登記規則61条6項3号

電子署名

会社法上の要件は「本人が作成したことを示す」「改変の有無を確認できる」の2つだけ

会社法369条4項/施行規則225条2項

備置き

取締役会の日から10年間、本店に備え置く。支店への備置きは不要

会社法371条1項

閲覧・謄写

株主も債権者も請求できる。ただし監査役設置会社では株主でも裁判所の許可が必要

会社法371条2項〜4項

訂正

会社法に訂正方法の定めはない。押印前は差し替え、押印後は訂正印か作り直しで対応

商業登記規則48条2項(登記添付書面の場合)

この表のうち、実務で判断を誤りやすいのは「印鑑の種類」「閲覧に裁判所の許可が要るか」「訂正の作法」の3つです。以下の各章で、それぞれ条文と登記実務の両面から掘り下げます。

取締役会の招集手続と定足数 ─ 議事録の前提になるルール

議事録は「適法に開催された取締役会」の記録です。招集手続に瑕疵があれば、いくら議事録の様式が整っていても決議の効力を争われます。議事録を書く前に、次の3点を確認してください。

招集通知は1週間前まで。全員の同意があれば手続を省略できる

取締役会を招集する者は、取締役会の日の1週間前までに各取締役(監査役設置会社では各取締役および各監査役)に通知を発しなければなりません(会社法368条1項)。この1週間は定款で短縮できます(「3日前」等)。逆に伸ばす場合は定款の定めがなくても運用上は可能ですが、条文が想定するのは短縮です。

そして実務で多用されるのが368条2項です。取締役(監査役設置会社では取締役および監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催できます。急ぎの決議はこれで対応し、議事録には「本取締役会は、取締役および監査役の全員の同意があったので、招集手続を経ずに開催した」と1行入れておきます。定款の定めをどう置くかは定款をAIで作成する方法(記載事項とテンプレート)で整理しています。

招集権者以外が招集したときは、その旨を議事録に書く

取締役会は原則として各取締役が招集しますが、定款または取締役会で招集権者を定めたときはその取締役が招集します(会社法366条1項)。招集権者以外の取締役は招集を請求でき、請求から5日以内に、請求日から2週間以内の日を会日とする招集通知が発せられないときは、自ら招集できます(同条2項・3項)。

この経路で開催した取締役会は、施行規則101条3項3号により「その旨」を議事録に記載する義務があります。監査役の請求による招集(会社法383条2項)、株主の請求による招集(会社法367条1項)も同じです。通常開催の議事録テンプレートには存在しない記載なので、書き落としが起きやすい項目です。

定足数と決議要件は「定款で加重」だけができる

項目

原則

定款で変更できるか

定足数

議決に加わることができる取締役の過半数の出席

これを上回る割合のみ定められる(軽減は不可)

決議要件

出席した取締役の過半数の賛成

これを上回る割合のみ定められる(軽減は不可)

議決権の代理行使

認められない(取締役は自ら議決権を行使する)

定款でも認められない

書面投票・電子投票

取締役会には制度がない

決議の省略(370条)で代替する

株主総会と違い、取締役会には委任状による代理出席がありません。取締役の職務は一身専属的だからです。「都合が悪いので他の取締役に委任する」という運用は無効なので、議事録に代理出席者を書いてしまうと、その場で不備が確定します。欠席させるか、決議の省略(会社法370条)に切り替えるかの二択です。

取締役会議事録の記載事項(会社法施行規則101条)

取締役会議事録の記載事項は、会社法369条3項が「法務省令で定めるところにより」と委任し、受けた会社法施行規則101条3項が具体的に列挙しています。条文にあたる場合は次のリンクから確認できます。

記載事項は会社法施行規則101条3項が定めます。「議事の経過の要領及びその結果」とあるとおり、発言を一言一句記録する必要はなく、要点で足ります。ただし要点を落とすと、後日その決議の有効性を疑われるリスクが残ります。

必ず記載する項目

  • 開催の日時および場所(会場にいない取締役・監査役等が出席した場合は、その出席方法=Web会議等も含む)
  • 議事の経過の要領およびその結果(議案ごとの説明・審議・採決結果)
  • 出席した取締役・監査役、および出席した会計参与・会計監査人・株主がいればその氏名または名称
  • 議長の氏名(議長が存する場合)

場合により記載する項目

  • 特別の利害関係を有する取締役がいるときは、その取締役の氏名。特別利害関係人は議決に加われないため(会社法369条2項)、氏名と「議決に加わらなかった」旨を残します。利益相反取引の承認や代表取締役の解職の対象者などが典型です。
  • 招集手続きの特例(招集権者以外の取締役・監査役の請求による招集など)に該当するときは、その旨。
  • 会社法が定める一定の意見・発言(監査役の意見など)があったときは、その概要。
  • 決議の省略(みなし決議)による場合は、その旨等(会社法370条・施行規則101条4項)。定款に定めがあり、議案について取締役全員が書面等で同意し、監査役が異議を述べないときは、取締役会決議があったものとみなされますが、この場合も議事録の作成は必要です。

施行規則101条3項の全8号 ─ 条文と記載例の対応表

上の2つのリストは実務での使いやすさを優先した整理です。監査の場面や紛争になったときは号ごとの逐一対応が求められるため、条文の並びそのままの対応表も用意しました。「取締役会議事録 記載事項」を正確に潰したいときは、こちらでチェックしてください。

号

条文が求める事項

議事録での書き方

1号

開催された日時および場所(その場に存しない取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人・株主が出席した場合はその出席方法を含む)

「開催日時/開催場所」。Web会議・電話会議なら出席方法を明記する

2号

会社法373条2項の特別取締役による取締役会であるときは、その旨

「本取締役会は会社法373条2項の特別取締役による取締役会である」

3号

招集権者以外の取締役の請求・招集、株主の請求・招集、監査役の請求・招集、監査等委員や指名委員会等の委員による招集など、イからヌまでのいずれかに該当するときはその旨

「本取締役会は、取締役【氏名】の請求により招集されたものである」等

4号

議事の経過の要領およびその結果

議案ごとに「議長の説明→審議→採決結果」。逐語録は不要

5号

決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、その取締役の氏名

「特別の利害関係を有する取締役 【氏名】」

6号

会社法365条2項・367条4項・376条1項・382条・383条1項・399条の4・406条・430条の2第4項により述べられた意見・発言があるときは、その概要

「監査役【氏名】は、本議案につき【意見の概要】と述べた」

7号

取締役会に出席した執行役・会計参与・会計監査人・株主の氏名または名称

取締役・監査役以外の出席者も列挙する(出席していれば必須)

8号

取締役会の議長が存するときは、議長の氏名

「議長 代表取締役 【氏名】」

実務で最も落ちやすいのは3号(招集の経緯)と6号(意見・発言の概要)です。とくに6号は、監査役が取締役の不正行為等について述べた意見(会社法382条)や、利益相反取引を行った取締役の事後報告(会社法365条2項)があった回に必要になります。「特に発言はなかった」ケースが多いため、あった回だけ書式から抜け落ちるのです。議事録を作る前に、この8号を上から順に読み上げる運用にすると漏れが止まります。

取締役会議事録に書かなくてよいこと・書いてはいけないこと

記載事項の裏返しとして、書きすぎによるリスクも押さえておきます。

  • 発言の逐語録は不要。条文は「議事の経過の要領」(4号)を求めており、要点で足ります。むしろ不用意な発言をそのまま残すと、後に善管注意義務違反の証拠として引用される余地を作ります。
  • 株主総会の用語を混ぜない。「議決権の過半数」「議決権を行使できる株主」は株主総会の概念です。取締役会は頭数(1人1議決権)で数えます。
  • 取締役会の権限外の事項を決議したように書かない。取締役の選任、監査役の選任、定款変更、剰余金の配当(原則)などは株主総会の権限です。取締役会議事録に書いても効力は生じません。
  • 報告事項と決議事項を混ぜない。3か月に1回以上の職務執行状況の報告(会社法363条2項)は報告事項です。決議事項として書くと、報告の省略ができない事項(会社法372条2項)であることと整合しなくなります。

署名・押印と電子署名の実務

押印する印鑑は、法律上「実印でなければならない」と一律に決まっているわけではありません。ただし、代表取締役の選定を議題とする取締役会議事録を登記に使う場合など、出席取締役の個人実印での押印と印鑑証明書の添付が求められる場面があります(商業登記規則61条関連)。どの場面で実印が要るかは登記の種類で変わるため、登記添付用かどうかを最初に確認してから押印方法を決めるのが安全です。電子化する場合は、出席取締役・監査役全員のクラウド型電子署名等(会社法369条4項)で対応します。

取締役会議事録のテンプレート無料ダウンロード(5種類)

本記事で解説している会社法施行規則101条3項の記載事項に沿って、議案の型ごとに5種類のひな形を用意しました。Word・PDFで登録不要、そのまま議案部分を差し替えて使えます。定例(計算書類の承認・定時株主総会の招集)、代表取締役の選定、重要な財産の処分・多額の借財、利益相反取引(特別の利害関係あり)、書面決議(会社法370条のみなし決議)の5型です。

登記の添付書面にするかどうかで押印の扱いが変わるため、まず次章の場面別の選び方で当たりを付けてから、該当する様式をダウンロードしてください。

取締役会議事録のテンプレート・雛形はどれを使う?場面別の選び方

「取締役会議事録 テンプレート」で探すと汎用のひな形が大量に出てきますが、実務で失敗するのは様式選びの前段階です。その決議が本当に取締役会の権限か、議事録が登記の添付書面になるか、押印はどこまで必要か。この3つが決まらないと、どのひな形を選んでも直しが発生します。次の表で当たりを付けてから、以降のひな形に進んでください。

場面

取締役会議事録は必要か

登記の添付書面になるか

押印・印鑑証明書の目安

代表取締役の選定(就任)

必要(会社法362条2項3号・3項)

なる

出席取締役・監査役の個人実印と印鑑証明書。変更前の代表取締役が登記所届出印を押していれば不要(商業登記規則61条6項3号ただし書)

代表取締役の解職

必要。対象者は特別利害関係取締役

なる

後任選定を同時に行う場合は上と同じ扱い

取締役の辞任(辞任後も員数を満たす)

不要。辞任届で登記できる

ならない(辞任届が添付書面)

代表取締役の辞任は辞任届に届出印か実印(商業登記規則61条8項)

取締役の辞任(員数を欠く)

必要(臨時株主総会の招集を決定)

ならない(株主総会議事録が添付書面)

認印で足りる

本店移転(同一管轄内・定款変更不要)

必要(具体的な所在場所の決定)

なる

認印で足りる

支店の設置・移転・廃止

必要(会社法362条4項4号)

なる

認印で足りる

重要な財産の処分・多額の借財

必要(会社法362条4項1号・2号)

ならない

認印で足りる

利益相反取引・競業取引の承認

必要(会社法356条1項・365条1項)

ならない

認印で足りる

会議を開かない書面決議

必要(施行規則101条4項1号の様式)

なる(定款・同意書とセット)

作成者たる取締役の押印。登記添付時は法務局に事前確認

募集株式の発行(取締役会に委任された場合)

必要

なる

認印で足りる

「必要かどうか」を先に確定させると、そもそも作らなくてよい議事録が見つかります。とくに取締役の辞任は、辞任後も法令・定款上の員数を満たすなら取締役会議事録は不要で、辞任届だけで登記できます。「取締役 辞任 議事録 後任なし ひな形」を探している場合、多くはひな形ではなく辞任届の書式が必要な場面です。役員変更の添付書面全体は役員変更登記の必要書類と書き方(重任・辞任の記載例)に一覧があります。

法務局の様式・記載例はどこにあるか

登記申請用の様式と記載例は、法務局の商業・法人登記の申請書様式(法務局)に掲載されています。ここで配布されているのは登記申請書と一部の添付書面の様式で、取締役会議事録そのものの記載例が独立した様式として並んでいるわけではありません。取締役会議事録は会社が自ら作成する書面であり、法定の書式が定められていないためです。

したがって「法務局の取締役会議事録の雛形」を探しても、公式の決定版が見つからないのが正解です。実務では、施行規則101条3項の8号を満たす自社様式を1本作り、議案部分だけ差し替える運用にします。設立時の添付書面まで含めた全体像は設立登記申請書の書き方と添付書類一覧を参照してください。

取締役会議事録のひな形(基本テンプレート)

まずは骨格となるひな形です。【 】がプレースホルダで、会社の実情に合わせて置き換えます。議案部分は次章の記載例と差し替えて使ってください。

取締役会議事録

開催日時 令和【 】年【 】月【 】日( )午前【 】時【 】分〜午前【 】時【 】分
開催場所 当会社本店会議室(【所在地】)
取締役の総数 【 】名  出席取締役数 【 】名
監査役の総数 【 】名  出席監査役数 【 】名
議長 代表取締役 【氏名】

上記のとおり出席があり、本取締役会は適法に成立した。
定刻、代表取締役【氏名】は議長となり、開会を宣した。

議事の経過の要領及びその結果

第1号議案 【議案名】の件
 議長は、【提案の理由・内容】について説明し、その承認を求めた。
 審議の結果、出席取締役全員の一致(または 賛成【 】名・反対【 】名)をもって、
 本議案を原案どおり承認可決した。

第2号議案 【議案名】の件
 (同様に記載)

以上をもって本日の議事を終了し、議長は午前【 】時【 】分閉会を宣した。
上記の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、本議事録を作成し、
出席した取締役及び監査役の全員が次に記名押印する。

令和【 】年【 】月【 】日
【会社名】 取締役会
 議長・代表取締役 【氏名】     印
 出席取締役    【氏名】     印
 出席監査役    【氏名】     印

Web会議で開催した場合は、開催場所の下に「【氏名】取締役はWeb会議システムにより出席し、映像・音声が即時に他の出席者へ伝わる状態であることを確認した」等の一文を加えます。施行規則101条3項が求める「出席の方法」を満たすためです。

取締役会議事録の作成方法 ─ 開催前から確定までの7ステップ

ひな形が手元にあっても、作成手順が固まっていないと毎回同じところで止まります。ここでは「取締役会議事録 作成方法」を、開催前・開催中・開催後の3局面に分けた7ステップで示します。各ステップの右列が、実際に補正・やり直しの原因になっている落とし穴です。

ステップ

やること

落とし穴

1 開催前

その決議が取締役会の権限か確認し、議題を確定する

取締役の選任など株主総会事項を議題にしてしまう

2 開催前

招集通知を1週間前までに発する。急ぐなら全員同意で手続省略(会社法368条2項)

監査役設置会社で監査役への通知を忘れる

3 開催前

特別利害関係取締役の有無を洗い出し、定足数の母数を計算する

母数から除かずに定足数を数え、決議が不成立になる

4 開催中

出席者・出席方法・議長・議案ごとの審議と採決結果を記録する

Web出席者の出席方法を控え忘れる(施行規則101条3項1号)

5 開催後

施行規則101条3項の8号を1つずつ照合する

3号(招集の経緯)と6号(意見・発言の概要)が抜ける

6 開催後

登記に使うかを確定し、押印方法(実印か認印か、紙か電子か)を決める

認印で回収した後に登記添付が判明し、押し直しになる

7 開催後

出席取締役・監査役の署名または記名押印を回収し、本店で10年保存する

欠席者の署名欄を空欄のまま残す/原本を登記所に出したまま還付を受け忘れる

この7ステップのうち、3と6は開催前・押印前に決めておかないと後戻りが発生するポイントです。とくにステップ6は、印鑑証明書の取得(発行から3か月以内という運用がある)まで含めると数日のリードタイムが生じます。「代表取締役を交代する」と聞いた時点で、押印方法を先に確定させておくのが定石です。

議事録は誰が作成するのか

会社法は議事録の作成者を特定していません。実際には代表取締役や総務・法務の担当者が作成し、出席役員が署名・記名押印することで内容を確認します。例外は会議を開かない書面決議で、この場合だけ「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」が法定の記載事項になります(施行規則101条4項1号ニ)。つまり書面決議では作成担当を取締役の中から決めなければならない、ということです。

作成期限はいつまでか

会社法・施行規則に「何日以内に作成」という期限の定めはありません。ただし備置義務は取締役会の日から起算されるため(会社法371条1項)、開催日から相当期間を空けると、その間は備え置くべき書面が存在しない状態になります。また代表取締役の変更登記には就任から2週間の期限(会社法915条1項)があるため、登記に使う議事録は開催後すぐに確定させる必要があります。実務では「開催当日中に草案、翌営業日に押印回収」を目安にしておくと破綻しません。

議案別の記載例

議事の経過は「議長の説明 → 審議 → 採決結果」の順で簡潔にまとめます。よく使う議案の記載例を挙げます。

代表取締役の選定

第1号議案 代表取締役選定の件
議長は、代表取締役【氏名】の任期満了に伴い、代表取締役を選定する必要がある旨を述べ、その候補として取締役【氏名】を提案した。審議の結果、出席取締役全員の一致をもって、取締役【氏名】を代表取締役に選定することを承認可決した。なお、被選定者は席上その就任を承諾した。

代表取締役の変更登記に添付する場合、出席取締役の押印・印鑑証明書の要否を登記の種類ごとに確認してから作成します。

代表取締役の交代(辞任・解職に伴う後任の選定)

代表取締役の交代は、前任者が退く原因(辞任・解職・任期満了・死亡)と、後任者の選定をひとつの議事録の中で分けて書くのがポイントです。代表取締役の選定・解職はいずれも取締役会の権限で(会社法362条2項3号)、取締役の中から選定します(同条3項)。

第1号議案 代表取締役の辞任および後任者選定の件
議長は、代表取締役【氏名】から本日付で代表取締役を辞任したい旨の申出があったことを報告し、その後任の選定を諮った。なお、【氏名】は代表取締役を辞任するが、取締役としては引き続き在任する。議長は、後任の代表取締役として取締役【氏名】を提案し、その理由を説明した。審議の結果、出席取締役全員の一致をもって、取締役【氏名】を代表取締役に選定することを承認可決した。被選定者【氏名】は、席上その就任を承諾した。

代表取締役を解職する場合は、対象となる代表取締役が特別の利害関係を有する取締役にあたると解されており(最判昭和44年3月28日)、その者は議決に加われません。この場合は次章の書き方に従い、氏名と「議決に加わらなかった」旨を必ず記載します。辞任の場合は本人の辞任届が別途必要になり、登記の添付書面としても求められます。交代に伴う変更登記の添付書面は役員変更登記の必要書類と書き方(重任・辞任の記載例)で整理しています。

取締役の辞任に伴う後任の選定

取締役そのものの選任は株主総会の権限であり、取締役会では決議できません。取締役会議事録に書けるのは「辞任の報告」と、法令・定款上の員数を欠く場合の臨時株主総会の招集の決定です。ここを取り違えて「取締役【氏名】を選任した」と書いてしまう例が実務で散見されるため、注意してください。

第1号議案 取締役の辞任報告および臨時株主総会招集の件
議長は、取締役【氏名】から令和【 】年【 】月【 】日付で取締役を辞任する旨の辞任届が提出された旨を報告した。これにより当会社の取締役は【 】名となり、定款第【 】条に定める取締役の員数【 】名を欠くこととなるため、後任取締役の選任を目的として下記のとおり臨時株主総会を招集したい旨を述べ、その承認を求めた。
 1 開催日時 令和【 】年【 】月【 】日 午前【 】時
 2 開催場所 当会社本店会議室
 3 会議の目的事項 第1号議案 取締役1名選任の件
審議の結果、出席取締役全員の一致をもって、原案どおり承認可決した。

辞任により員数を欠く場合、辞任した取締役は後任者が就任するまで役員としての権利義務を有します(会社法346条1項)。この場合は辞任の登記が単独ではできないため、後任者の就任登記とあわせて申請します。

重要な財産の処分・多額の借財

第2号議案 多額の借財の件
議長は、運転資金として【金融機関名】から金【 】円を、期間【 】年、利率年【 】%で借り入れたい旨を説明し、その承認を求めた。審議の結果、出席取締役全員の一致をもって、本借財を承認可決した。

「重要な財産の処分・譲受け」「多額の借財」は取締役会の専決事項です(会社法362条4項)。金額基準を社内規程で定めている場合は、その基準に照らして取締役会決議が必要かを判断します。

利益相反取引の承認(特別利害関係に注意)

第3号議案 利益相反取引の承認の件
取締役【氏名】は本議案につき特別の利害関係を有するため、議決に加わらなかった。議長は、当会社と取締役【氏名】との間の【取引内容】について説明し、その承認を求めた。審議の結果、当該取締役を除く出席取締役全員の一致をもって、本取引を承認可決した。

特別利害関係取締役の氏名と「議決に加わらなかった」旨を明記するのがポイントです。これを落とすと決議の有効性を争われる余地が生まれます。

代表取締役の解職

解職は、対象となる代表取締役本人が特別の利害関係を有する取締役にあたると解されており(最判昭和44年3月28日)、本人は議決に加われません。定足数の母数からも外します。議長が解職対象者本人である場合は、議長を交代させたうえで審議するのが実務です。

第1号議案 代表取締役解職の件
議長は、本議案につき代表取締役【氏名】が特別の利害関係を有し、会社法369条2項により議決に加わることができない旨を述べ、定款第【 】条により出席取締役【氏名】を議長に選出した。
議長【氏名】は、代表取締役【氏名】を解職する必要がある理由として【理由】を説明し、その承認を求めた。当該取締役は審議および議決に加わらなかった。
審議の結果、議決に加わることができる取締役【 】名のうち出席取締役【 】名の全員一致をもって、【氏名】を代表取締役から解職することを承認可決した。
(特別の利害関係を有する取締役 【氏名】)

解職されても取締役の地位は失わないため、取締役としての登記は残ります。登記されるのは代表取締役の退任です。後任を同じ回で選定するときは、後任選定を第2号議案として分け、被選定者の就任承諾の記載も忘れずに入れます。

本店移転・支店の設置

定款で本店所在地を最小行政区画まで定めている会社が、その区画内で移転する場合は、定款変更が不要で取締役会が具体的な所在場所と移転時期を決定します。区画をまたぐ移転は定款変更が必要になるため、株主総会(定款変更)と取締役会(具体的所在場所)の2本立てになります。

第1号議案 本店移転の件
議長は、業務の効率化のため当会社の本店を下記のとおり移転したい旨を述べ、その承認を求めた。
 1 新本店所在場所 【新本店の所在場所】
 2 移転の時期 令和【 】年【 】月【 】日
審議の結果、出席取締役全員の一致をもって、原案どおり承認可決した。

支店の設置・移転・廃止は会社法362条4項4号の「支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止」にあたり、取締役に委任できない専決事項です。設置日と所在場所を特定して決議します。

取締役の辞任で後任を選任しない場合

「後任を置かない」ケースは、員数を満たすかどうかで扱いが正反対になります。ここを取り違えると、不要な議事録を作ったり、必要な招集決定を落としたりします。

状況

取締役会の対応

登記

辞任後も法令・定款の員数を満たす

取締役会の決議は不要。辞任の事実を報告事項として記録すれば足りる

辞任届を添付して辞任の登記をする

辞任により員数を欠く

後任選任のため臨時株主総会の招集を決議する

後任者の就任登記とあわせて申請する

員数を欠き、後任も選任しない

辞任者は権利義務取締役として残る(会社法346条1項)。必要なら一時取締役の選任を裁判所に申し立てる(同条2項)

辞任の登記は単独ではできない

取締役会設置会社の取締役は3名以上が必要です(会社法331条5項)。したがって取締役3名の会社で1名が辞任すれば、定款に別段の定めがなくても必ず員数を欠きます。「後任なし」で処理できるのは、定款の員数を上回る人数を置いている会社に限られる、と覚えておくと判断が速くなります。

競業取引の承認と取引後の報告

取締役が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をするには、取締役会の承認が必要です(会社法356条1項1号・365条1項)。承認だけで終わらないのがこの類型の特徴で、取引をした取締役は、取引後遅滞なく重要な事実を取締役会に報告する義務を負います(会社法365条2項)。

第2号議案 競業取引承認の件
取締役【氏名】は本議案につき特別の利害関係を有するため、審議および議決に加わらなかった。
議長は、取締役【氏名】が【取引の相手方】との間で【取引の内容】を行うことについて、取引の種類・数量・期間・条件を説明し、その承認を求めた。
審議の結果、当該取締役を除く出席取締役【 】名の全員一致をもって、本取引を承認可決した。
(特別の利害関係を有する取締役 【氏名】)

報告事項 競業取引の結果報告の件
取締役【氏名】は、令和【 】年【 】月【 】日の取締役会の承認に基づき行った【取引の内容】について、取引金額【 】円、取引先【 】、履行状況【 】である旨を報告した。

この事後報告を怠ると、会社法976条23号により過料の対象になり得ます。承認の議事録だけ作って報告の議事録を作らない例が多いため、承認時に「次回の取締役会で結果報告」と予定を残しておくのが安全です。

特別の利害関係を有する取締役がいる場合の議決と記載(会社法369条2項)

会社法369条2項は「前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない」と定めます。該当する取締役がいる場合、議決から外すだけでなく、会社法施行規則101条3項5号によりその取締役の氏名を議事録に記載することが求められます。記載を落とすと、議事録上は決議の適法性を確認できない状態になり、登記の補正や決議の効力を争われる原因になります。

特別の利害関係にあたる主な場面

  • 利益相反取引・競業取引の承認(会社法356条1項・365条1項)の当事者となる取締役
  • 代表取締役の解職決議における、解職の対象となる代表取締役本人(最判昭和44年3月28日)
  • 取締役個人への会社からの貸付け・債務保証を承認する決議における当該取締役
  • 取締役の責任の一部免除に関する決議における当該取締役

一方、代表取締役の選定決議では、候補者本人は特別の利害関係を有しないと解するのが通説・実務です。「解職は外れる/選定は加われる」の違いは間違えやすいので、議事録を書く前に必ず確認します。

定足数と議決権の数え方

369条1項の定足数は「議決に加わることができる取締役の過半数」です。特別利害関係取締役は、この母数からも除いて計算します。例えば取締役5名のうち1名が特別利害関係にある場合、母数は4名となり、出席3名・賛成2名で決議は成立します。議事録には、この母数の考え方が読み取れるように「当該取締役を除く出席取締役【 】名の全員一致」のように書くと安全です。

議事録での記載例

第【 】号議案 当会社と取締役【氏名】との金銭消費貸借契約承認の件
議長は、本議案につき取締役【氏名】が特別の利害関係を有する旨を告げ、会社法369条2項により同取締役は議決に加わることができないことを確認した。同取締役は本議案の審議および議決に加わらず、その間退席した。
議長は、当会社が取締役【氏名】に対し金【 】円を、期間【 】年、利率年【 】%で貸し付ける旨の【取引内容】について説明し、その承認を求めた。
審議の結果、議決に加わることができる取締役【 】名のうち出席取締役【 】名の全員一致をもって、本議案を原案どおり承認可決した。
(特別の利害関係を有する取締役 【氏名】)

退席させたかどうかは法律上の要件ではありませんが、審議への関与がなかったことを明確にするため、「退席した」「審議に参加しなかった」のいずれかを事実に即して記載しておくと、後日の説明がしやすくなります。また、当該取引を実行した後は、遅滞なくその重要な事実を取締役会に報告する必要があります(会社法365条2項)。この報告も議事録に残しておきます。

書面決議・みなし決議の議事録(会社法370条)

取締役全員が書面または電磁的記録で提案に同意した場合、実際に会議を開かなくても決議があったものとみなせます(会社法370条)。緊急の決議や遠方の取締役がいる場合に有効ですが、使うには条件があります。

使える条件 — 定款の定めが前提

  • 定款に「決議の省略」の定めがあること。定めがなければ、全員が同意しても使えません(まず定款変更が必要です)。
  • 議決に加わることができる取締役の全員が、書面または電磁的記録で同意の意思表示をしていること。特別の利害関係を有する取締役は「議決に加わることができる取締役」に含まれないため、その者の同意は不要です。
  • 監査役設置会社では、監査役が当該提案に異議を述べていないこと。
  • 取締役会への報告事項は決議ではないため、370条では省略できません(省略には会社法372条の要件を満たす必要があります)。とくに3か月に1回以上の職務執行状況の報告(会社法363条2項)は省略できず、現実の開催が必要です。

みなし決議の議事録に書く4項目

みなし決議の議事録は、通常の議事録とは記載事項が異なります。会社法施行規則101条4項1号が定めるのは次の4点です。「開催日時・場所」「議事の経過の要領」は、そもそも会議を開いていないため記載しません。

  1. 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
  2. その事項の提案をした取締役の氏名
  3. 取締役会の決議があったものとみなされた日(=全員の同意が揃った日)
  4. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

みなし決議の議事録の記載例

取締役会議事録(会社法370条に基づく決議の省略)

1 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
  第1号議案 本店移転の件
  当会社の本店を令和【 】年【 】月【 】日をもって
  【新本店所在地】に移転する。

2 当該事項の提案をした取締役の氏名
  取締役 【氏名】

3 当該事項の提案に同意をした取締役
  取締役 【氏名】、取締役 【氏名】、取締役 【氏名】
  (議決に加わることができる取締役全員が令和【 】年【 】月【 】日までに
   書面により同意の意思表示をした。)

4 監査役の異議の有無
  監査役【氏名】は、本提案について異議を述べなかった。

5 取締役会の決議があったものとみなされた日
  令和【 】年【 】月【 】日

6 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
  取締役 【氏名】

上記のとおり、会社法370条および当会社定款第【 】条の規定により、
本議案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなされたので、
本議事録を作成する。

令和【 】年【 】月【 】日
【会社名】 議事録作成者 取締役 【氏名】     印

みなし決議の議事録には、出席という概念がないため出席取締役全員の署名・記名押印は不要です(369条3項は現に開催された取締役会の議事録に関する規定であるため)。ただし登記の添付書面にする場合、法務局の運用として作成者たる取締役の押印と、各取締役の同意書(書面)の添付を求められるのが通例です。同意の書面・電磁的記録は、決議とみなされた日から10年間、議事録とあわせて本店に備え置きます(会社法371条1項)。

署名・記名押印の実務(会社法369条3項〜5項)

会社法369条3項は、議事録が書面で作成されているとき「出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない」と定めます。主語は「出席した」役員です。ここを正しく理解しておくと、実務の判断はほぼ迷いません。

署名するのは誰か

  • 出席した取締役全員。特別の利害関係により議決に加わらなかった取締役も、出席していれば署名・記名押印の対象です。
  • 出席した監査役全員。監査役設置会社では監査役も署名義務を負います(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社でも、出席した監査等委員・監査委員である取締役が対象)。
  • 欠席した取締役・監査役は署名しません。欠席者の署名欄を用意して空欄のままにすると不備を疑われるため、欄自体を設けないのが実務です。
  • 「署名」は自署、「記名押印」は氏名を印字して押印する方式で、どちらでも構いません。実務では記名押印が一般的です。

署名しない取締役がいるとどうなるか(369条5項の推定)

署名を欠いても議事録や決議そのものが直ちに無効になるわけではありません。なお、会社法976条7号が過料の対象としているのは、条文上「議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたとき」であり、捉えているのは記載事項の欠落・虚偽記載です。署名・記名押印の欠落そのものを名指しした過料規定は、同条の各号には見当たりません(備置義務違反は同条8号が371条1項を明示的に挙げています)。したがってここは「必ず過料になる」と断定せず、369条3項が明文で義務づけている以上は履行すべきもの、と理解しておくのが正確です。より実務的に重いのは369条5項の推定規定で、決議に参加した取締役のうち議事録に異議をとどめない者は、その決議に賛成したものと推定されます。反対したのに議事録に何も書かなければ、後に責任追及を受けたとき賛成者として扱われるリスクがあるということです。反対した取締役がいる場合は、「取締役【氏名】は本議案に反対した」「取締役【氏名】は【理由】により異議を述べた」と、氏名と異議の内容を議事録に明記します。

登記に添付するときの実印・印鑑証明書

会社法上は印鑑の種類を限定していませんが、商業登記の添付書面にする場合は商業登記規則61条により扱いが変わります。代表取締役の選定を証する取締役会議事録では、原則として出席した取締役および監査役全員が個人の実印で押印し、印鑑証明書を添付する必要があります(同条6項3号)。ただし、変更前の代表取締役が登記所届出印で押印している場合は、他の出席役員の印鑑証明書は不要です(同条6項ただし書)。本店移転や多額の借財など、登記に使わない議事録であれば認印で足ります。「登記添付用か否か」を最初に確認してから押印方法を決めるのが、二度手間を防ぐ最短ルートです。

電磁的記録・クラウド型電子署名で作る場合

議事録を電磁的記録で作成する場合は、署名または記名押印に代わる措置として電子署名を行います(会社法369条4項、会社法施行規則225条1項6号)。商業登記でも、法務省が定める要件を満たす電子証明書(クラウド型を含む)による電子署名が認められています。紙と電子を混在させることはできないため、出席役員のうち1人でも電子署名ができない場合は、全員を紙の押印に揃えます。

取締役会議事録の押印 ─ 誰が・どの印鑑で押すか(場面別早見表)

「取締役会議事録 押印」で調べる人がつまずくのは、会社法と商業登記規則という別々の法令が別々の理由で押印を要求している点です。会社法は「出席役員の意思確認」のために署名または記名押印を求め、商業登記規則は「登記の真正担保」のために特定の印鑑と印鑑証明書を求めます。この2つを分けて考えると、迷いはほぼ消えます。

会社法が求めるのは「署名または記名押印」で、押印は必須ではない

会社法369条3項の文言は「これに署名し、又は記名押印しなければならない」です。つまり出席役員が自署すれば、押印はしなくても会社法上の義務を果たしています。脱ハンコを進める会社が、紙の議事録のまま押印だけをやめるという選択は、会社法だけを見れば可能です。

ただしこれには実務上の留保があります。代表取締役の就任による変更登記に添付する議事録では、商業登記規則61条6項3号が「出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑」についての市町村長作成の証明書(印鑑証明書)を要求しています。押印が存在しなければ、この添付書面を用意できません。登記に使う議事録では、条文の構造上、押印を前提とした運用になると理解しておくのが安全です(個別の取扱いは管轄の法務局に確認してください)。

実印・認印・登記所届出印の使い分け

印鑑の種類

何を証明するか

取締役会議事録で使う場面

個人の実印(市区町村登録印)

印鑑証明書で本人の押印であることを証明できる

代表取締役の就任による変更登記に議事録を添付するとき、出席取締役・監査役が押す

登記所届出印(会社実印)

登記所に提出済みの印鑑と照合できる

変更前の代表取締役が押すことで、他の出席役員の印鑑証明書を不要にできる

個人の認印

証明力はないが、会社法369条3項の記名押印としては足りる

登記に使わない議事録(多額の借財・利益相反の承認・支店設置など)

電子署名

本人性と非改変性を電磁的に担保する

議事録を電磁的記録で作成する場合(会社法369条4項)

代表取締役の就任登記に添付するときの例外(商業登記規則61条6項3号ただし書)

商業登記規則61条6項3号は、取締役会の決議によって代表取締役または代表執行役を選定した場合、出席した取締役および監査役が議事録に押印した印鑑についての印鑑証明書の添付を求めます。ただし同項ただし書により、その印鑑と、変更前の代表取締役(代表執行役については取締役を兼ねる者に限る)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、添付が不要になります。

実務での意味はこうです。前任の代表取締役が引き続き取締役として在任し、議事録に登記所届出印を押してくれるなら、他の出席取締役・監査役は認印でよく、誰の印鑑証明書も要りません。逆に前任者が同じ回で取締役も辞任する、あるいは出席していない場合は、出席役員全員の実印と印鑑証明書が必要になります。「前任者が届出印を押せるか」を最初に確認するだけで、印鑑証明書を人数分集める手間が消えるということです。

なお、代表取締役の就任承諾書についても、取締役会設置会社では代表取締役の押印につき印鑑証明書が必要です(商業登記規則61条4項・5項)。議事録だけ整えても添付書面が揃わないので、就任承諾書とセットで準備します。押印の要否は法務省の申請書、各添付書面等の押印の要否について(商業・法人登記)に書面別の一覧があり、取締役会議事録も「会社法369条3項により押印を要する書面」として掲げられています。

捨印・契印・割印はどう扱うか

捨印・契印・割印について、会社法にも施行規則にも定めはありません。実務上の運用として、複数枚にわたる議事録には出席者の契印を求める法務局があります。捨印は、押印者が知らないうちに内容を訂正できる余地を残すため、決議内容そのものに及ぶ訂正には用いないのが安全です。取締役会議事録は役員の責任判断の証拠になる書面なので、事後に自由に手を入れられる状態を作らないほうがよい、という発想です。

取締役会議事録の電子署名 ─ 会社法の要件と商業登記での取扱い

議事録を電磁的記録で作成した場合、署名または記名押印に代わる措置として電子署名を行います(会社法369条4項)。ここも、会社法が求める要件と、商業登記のオンライン申請で使える電子証明書の範囲は別物です。

会社法上の要件は2つだけ

会社法369条4項の委任を受けた会社法施行規則225条は、電子署名を次のように定義しています(同条2項)。

  1. 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること
  2. 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること

注目すべきは、条文が電子証明書の種類も認証事業者の認定も要求していないことです。本人性と非改変性さえ担保できれば、いわゆるクラウド型(立会人型)の電子契約サービスによる電子署名でも、会社法上の要件は満たし得ます。ただし個々のサービスがこの2要件を満たす設計かどうかは、提供事業者の技術仕様で確認する必要があります。

商業登記のオンライン申請では、使える電子証明書が限定される

一方、その議事録を登記の添付書面情報として送信する場合は、商業登記規則102条5項・36条3項および4項により、法務大臣が定める電子証明書でなければなりません。法務省の商業・法人登記の申請書の添付書面を電磁的記録で作成している場合についてとそのご利用の手引き(法務省民事局)に、使用できる電子証明書が列挙されています。

区分

内容

取締役会議事録での使いどころ

商業登記電子証明書

登記所が発行する法人代表者向けの電子証明書

変更前の代表取締役の電子署名に使える

公的個人認証サービス電子証明書

マイナンバーカードの署名用電子証明書

個人としての取締役・監査役の電子署名

特定認証業務電子証明書

認定認証事業者が発行するもの

同上

指定公証人電子証明書ほか

定款認証などで用いる

電子定款とあわせて使う場面

その他(法務省が個別に掲げるもの)

クラウド型電子契約サービスの発行する電子証明書が事業者名つきで一覧化されている

変更前の代表取締役以外の出席役員の電子署名

この一覧で実務上いちばん効くのが、法務省の手引きに置かれた注記です。代表取締役の選任(重任を含む)を証する情報が取締役会議事録である場合、変更前の代表取締役が商業登記電子証明書・公的個人認証・特定認証業務のいずれかで電子署名すれば、他の取締役は「その他」に掲げられたクラウド型の電子証明書で足りるとされています。紙の押印における「前任者が登記所届出印を押せば他は認印でよい」という構造が、電子の世界でもそのまま対応しているわけです。使用できる電子証明書の一覧は追加・変更されるため、申請前に必ず法務省の当該ページで最新の掲載を確認してください。

紙と電子は1通の議事録の中で混在できない

施行規則101条2項は「取締役会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない」と定めています。1通の議事録はどちらか一方であり、同じ議事録に紙の押印と電子署名を混在させることはできません。出席役員のうち1人でも電子署名の準備が整わない場合は、全員を紙の押印に揃えるのが確実です。

電子帳簿保存法の保存要件とは別系統

電磁的記録で作成した議事録の保存について、会社法371条1項は「10年間本店に備え置く」としか定めておらず、検索機能やタイムスタンプといった電子帳簿保存法のスキャナ保存要件がそのまま及ぶわけではありません。取締役会議事録は国税関係帳簿書類ではないためです。もっとも、役員報酬や資産の処分など税務上の判断根拠になる決議は税務調査で提示を求められることがあり、実務上は改ざん防止と検索性を確保した保存にしておくほうが安全です。この線引きは会社ごとの書類体系にもよるため、断定せず自社の顧問税理士とすり合わせることをおすすめします。

取締役会議事録の訂正・修正 ─ 作り直しか、訂正印か

会社法にも会社法施行規則にも、議事録の訂正方法を定めた規定はありません。したがって「こうしなければ無効」という法定の作法は存在せず、判断軸は(1)署名・押印が済んでいるか (2)登記の添付書面に使うか (3)誤りが表記のミスか決議内容そのものかの3つです。

状況

推奨する対応

理由

署名・押印前に誤記に気づいた

差し替えて作り直す

訂正の痕跡を残す必要がなく、最も安全

押印後・登記には使わない

訂正箇所に二重線を引き正しい記載を加え、出席者全員の訂正印を押す。または全文を作り直して押印し直す

押印者の意思に基づく訂正であることを示すため

押印後・登記に使う(申請前)

作り直しを推奨

実印で押印している場合、訂正印も全員分必要になり、印鑑証明書との整合確認も生じる

登記申請後に補正を求められた

管轄法務局の指示に従って補正するか、取下げて出し直す

補正の可否と方法は登記官の判断による

決議内容そのものが事実と違う

訂正では直せない。改めて取締役会を開催し、決議し直す

議事録は決議の記録であり、記録を書き換えても決議は生まれない

登記の添付書面として訂正するときの根拠

登記に関する書面の文字を訂正・加入・削除したときの作法は、商業登記規則48条が定めています。現行条文の2項は、訂正の旨と字数を欄外に記載するか、訂正した文字に記号を付して範囲を明らかにし、その部分に押印すること、そして訂正・削除した文字はなお読めるようにしておくことを求めています。修正液や塗りつぶしで元の文字が読めなくなる直し方は、この規定に反します。

なお、法務省の押印要否のページはこの規定を「商業登記規則第48条第3項」として引用していますが、e-Gov法令検索で確認できる現行の商業登記規則48条は2項までで、訂正印の規定は2項に置かれています。項の繰り上げがあったものとみられます。公式の解説ページと現行条文で項番号が食い違うことは実際に起きるため、条文番号を引用する場面では必ずe-Govの現行条文に当たってください。これは、AIに条文番号を答えさせてはいけない理由そのものでもあります。

そもそも訂正を減らす作り方

訂正の大半は、日付・氏名・金額の3点に集中します。押印を回す前に、この3点を原資料(招集通知、辞任届、契約書、稟議書)と機械的に突き合わせる工程を入れるだけで、訂正はほとんど起きなくなります。人が読み合わせるより、原資料とドラフトの両方をAIに与えて相違点だけを列挙させるほうが確実です。

取締役会議事録の備置きと閲覧・謄写請求(会社法371条)

作成した議事録は、取締役会の日から10年間、本店に備え置く義務があります(会社法371条1項)。会議を開かない書面決議の場合は、決議があったものとみなされた日から10年間で、取締役の同意の意思表示を記載・記録した書面や電磁的記録も同じく備置きの対象です。

支店への備置きは不要 ─ 株主総会議事録との違い

株主総会議事録は本店に10年、支店に写しを5年備え置く必要があります(会社法318条2項・3項)。これに対し取締役会議事録は本店のみで、支店備置きの規定がありません。支店にコピーを置いても違法ではありませんが、閲覧請求の対応窓口が増えるだけなので、実務では本店に集約します。備置きを怠ると、会社法976条8号(371条1項が明示的に列挙されています)により100万円以下の過料の対象になり得ます。

なお、同じ976条8号は会社法125条1項の株主名簿の備置きも対象にしています。議事録と一緒に本店で管理する帳簿として、会社法121条の記載事項に沿った株主名簿のテンプレートと名義書換の実務も合わせて整えておくと、役員変更登記で添付する株主リストの作成まで一続きで回ります。

誰が閲覧・謄写を請求できるか

ここが取締役会議事録の最大の特徴です。株主であっても、監査役設置会社では裁判所の許可がなければ閲覧できません。株主総会議事録が営業時間内いつでも閲覧できるのと対照的で、取締役会の議論が経営の中枢に触れることへの配慮です。

請求できる人

要件

裁判所の許可

根拠

株主(監査役・監査等委員会・指名委員会等のいずれも置かない会社)

その権利を行使するため必要があるとき

不要(営業時間内はいつでも)

371条2項

株主(監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社)

その権利を行使するため必要があるとき

必要

371条3項

債権者

役員または執行役の責任を追及するため必要があるとき

必要

371条4項

親会社社員

その権利を行使するため必要があるとき

必要

371条5項

さらに裁判所は、閲覧・謄写により当該会社またはその親会社・子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、許可をすることができません(371条6項)。つまり取締役会議事録は、請求されれば必ず見せなければならない書面ではありません。

この構造を裏返すと、議事録の書きぶりが将来の紛争でそのまま証拠になるということでもあります。取締役会の日から10年、責任追及の場面で読み返される前提で、決議に反対した取締役の氏名と異議の内容、審議で示された判断材料(数値・前提・代替案)を要領よく残しておくことが、結果として役員自身を守ります。

AIで取締役会議事録をドラフトする実務手順

取締役会議事録は様式が定まっているため、AIによるドラフト作成と相性が良い文書です。安全に使う原則は、AIには構成と下書きを任せ、会社法上の要件チェックは人が行うことです。契約書などと同じく、条文の当てはめや固有名詞の正確性は最後に人が確認します。この考え方は弁護士の条文リサーチAIとハルシネーション対策でも詳しく整理しています。

ドラフト作成プロンプトの例

あなたは商業登記に詳しい司法書士の補助者です。
次の条件で取締役会議事録のドラフトを作成してください。
会社法施行規則101条3項の記載事項(開催日時・場所、議事の経過の
要領及びその結果、出席者、議長、特別利害関係取締役があればその氏名)
を必ず満たすこと。

・会社名:【会社名】(仮名で可)
・開催日時/場所:【日時】/本店会議室
・出席:取締役【出席数/総数】、監査役【出席数/総数】
・議長:代表取締役【氏名】
・議案:①代表取締役の選定(【氏名】を選定)
    ②【議案2】
・各議案は「議長の説明→審議→採決結果」の順に要点で記載
・特別の利害関係を有する取締役の有無を確認し、いれば氏名と
 「議決に加わらなかった」旨を明記
・末尾に出席取締役・監査役の記名押印欄を付す

うまくいかない例 → 直し方

失敗例:AIは審議内容をすべて「全員一致で可決」と均一に書きがちで、利益相反取引でも特別利害関係取締役の除外を書き落とすことがあります。また、実在しない条文番号や、株主総会の用語(「議決権の過半数」など)を取締役会の記載に混ぜてしまうことがあります。

直し方:プロンプトで「特別利害関係取締役の有無を確認し、該当者は氏名と議決不参加を明記」と指示し、出力後に施行規則101条3項の項目を1つずつ突き合わせます。条文を引用させた場合は、必ずe-Gov法令検索で実在と最新版を確認します。

投稿前の要件チェックリスト

  • 開催日時・場所(Web出席なら出席方法)が書かれているか
  • 取締役・監査役の総数と出席数、定足数(過半数出席)を満たすか(会社法369条1項)
  • 各議案に議事の経過の要領と採決結果があるか
  • 特別利害関係取締役の氏名と議決不参加の記載漏れがないか
  • 議長・出席取締役・監査役の記名押印欄があるか、登記添付なら押印方法は適切か
  • 会社名・氏名・金額・日付など固有名詞が原資料と一致するか

押印・電子署名の要否を判定させるプロンプト

ドラフト作成より効果が大きいのが、押印方法の判定です。ここを最初に間違えると押し直しになり、印鑑証明書の取り直しまで発生します。次のプロンプトは、判定そのものをAIに任せるのではなく、判定に必要な事実をAIに整理させ、根拠条文を並べさせるためのものです。

次の取締役会について、議事録の押印方法を検討するための材料を整理してください。
結論を断定せず、根拠となる条文と、確認が必要な事項を分けて出力すること。

・決議事項:【例:代表取締役の選定(前任者は取締役として在任)】
・登記に使うか:【使う/使わない】
・出席者:取締役【 】名(総数【 】名)、監査役【 】名(総数【 】名)
・前任の代表取締役は出席するか:【する/しない】
・議事録の形式:【書面/電磁的記録】

出力形式
1. 会社法上必要な署名・記名押印の範囲(根拠条文つき)
2. 登記添付書面としての要求(商業登記規則の該当条項を明示)
3. 印鑑証明書が不要になる例外に該当しうるか、その前提条件
4. 法務局に事前確認すべき事項のリスト

「断定させない」「確認事項を分けて出させる」の2点が肝です。押印の要否は登記の種類と当事者の在任状況の組合せで変わるため、AIに断定させると自信のある誤答が返ってきます。条文の該当箇所を出させたうえで、e-Gov法令検索の商業登記規則で人が読み合わせるのが正しい使い方です。

訂正を防ぐ「原資料突合」プロンプト

取締役会議事録のドラフトと、その根拠になった原資料を貼ります。
両者の記載が一致しない箇所だけを、表形式で列挙してください。
一致している項目は出力しないでください。

【突合する項目】
・日付(開催日、辞任日、就任日、移転日、決議があったとみなされた日)
・氏名(漢字表記、旧字体、役職名)
・数値(金額、利率、期間、員数、出席数)
・所在地(本店・支店の表記、丁目番地の記載方法)

【ドラフト】
(ここに議事録案を貼付)

【原資料】
(ここに招集通知・辞任届・稟議書・契約書等を貼付)

訂正の大半は日付・氏名・金額の3点に集中するため、この突合を押印前に1回挟むだけで、訂正印や作り直しの発生率が目に見えて下がります。登記業務全般で使える司法書士向けのプロンプトは司法書士のChatGPTプロンプト集(登記・相続業務の実例10選)にまとめています。

情報管理の注意

議事録には未公表の経営情報や個人情報が含まれます。AIに投入する際は、会社名・氏名を仮名化する、または業務情報を学習に使わない設計の法務特化AIを使うなど、守秘義務と両立する運用が前提です。士業AIの法務AIは、e-Gov法令データなどの公的情報を参照しつつ、契約書レビューや登記書類・議事録ドラフトの作成を支援する設計です。汎用AIより導入工数が低く、条文確認と下書き作成を一貫して行えます。

e-Gov法令データ等の公的情報を参照する法務特化AI のデモです。

よくある質問

Q. 押印は必ず実印ですか?

一律に実印と決まっているわけではありません。ただし代表取締役の選定を決議した議事録を登記に添付する場合など、出席取締役の個人実印と印鑑証明書が必要になる場面があります。登記添付用かどうかで要否が変わるため、用途を先に確認してください。

Q. 電子データでの保存・電子署名は認められますか?

認められます。議事録は電磁的記録で作成でき(会社法施行規則101条2項)、その場合は出席取締役・監査役全員の電子署名で対応します(会社法369条4項)。10年間の備置き(371条)も電磁的記録で満たせます。

Q. 議事録に署名しない取締役がいるとどうなりますか?

署名・記名押印は出席した取締役・監査役の義務です(369条3項)。欠席者の署名は不要ですが、決議に参加して議事録に異議をとどめない取締役は賛成と推定されます(369条5項)。反対した場合はその旨を議事録に残しておくことが重要です。

Q. AIが作った議事録をそのまま使ってよいですか?

ドラフトとして使い、会社法・施行規則の要件チェックと固有名詞の確認を人が行ってから確定させてください。特に条文引用の正確性、特別利害関係の記載、登記添付時の押印方法は人による最終確認が欠かせません。

Q. 取締役会議事録のテンプレートはどこで手に入りますか?

取締役会議事録には法定の書式がなく、法務局が「取締役会議事録の雛形」として配布しているものもありません。商業・法人登記の申請書様式(法務局)で配布されているのは登記申請書とその関連様式です。実務では、会社法施行規則101条3項の8号を満たす自社様式を1本作り、議案部分だけ差し替える運用が最も確実です。

Q. 取締役会議事録を訂正したいときは、訂正印と作り直しのどちらですか?

署名・押印前なら差し替えて作り直します。押印後で登記に使わないなら訂正印でも足りますが、登記に使う議事録は作り直しを推奨します。実印で押印している場合、訂正印も出席者全員分が必要になるうえ、印鑑証明書との整合確認が生じるためです。決議内容そのものが事実と異なる場合は、訂正では直せないので取締役会を開き直します。

Q. 押印をやめて署名だけにできますか?

会社法369条3項は「署名し、又は記名押印」としているので、会社法だけを見れば自署のみで足ります。ただし代表取締役の就任による変更登記に添付する議事録は、商業登記規則61条6項3号が「議事録に押印した印鑑」の証明書を求める構造になっているため、押印を前提とした運用になります。登記に使わない議事録から先に脱ハンコを進めるのが現実的です。

Q. Web会議や電話会議で取締役会を開けますか?

開けます。会社法施行規則101条3項1号が「その場所に存しない取締役等が出席した場合における当該出席の方法」を記載事項としており、遠隔出席が前提とされているためです。議事録には「取締役【氏名】はWeb会議システムにより出席し、映像および音声が即時に他の出席者に伝わる状態であることを確認した」等と記載します。なお、メールのやり取りだけで済ませたい場合は会議の開催ではなく、会社法370条の決議の省略を使います(定款の定めが必要です)。

Q. 監査役がいない会社でも取締役会議事録は必要ですか?

必要です。議事録の作成義務は取締役会設置会社である以上、監査役の有無にかかわらず生じます。なお取締役会設置会社は原則として監査役を置かなければならず、例外は公開会社でない会計参与設置会社と、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社です(会社法327条2項・4項)。監査役がいない会社では、369条3項の署名義務を負うのは出席した取締役だけになります。

Q. 株主から取締役会議事録を見せてほしいと言われたら応じる義務がありますか?

会社の機関設計によります。監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では、株主であっても裁判所の許可を得なければ閲覧・謄写を請求できません(会社法371条3項)。それ以外の会社では、権利行使に必要であれば営業時間内はいつでも請求できます(同条2項)。株主総会議事録が株主・債権者ともいつでも閲覧できる(会社法318条4項)のとは扱いが異なります。

Q. 取締役会議事録を紛失したらどうなりますか?

会社法371条1項の備置義務を果たせない状態になり、会社法976条8号により100万円以下の過料の対象になり得ます。決議自体が無効になるわけではありませんが、後日その決議の存在を証明する手段を失います。実務では、押印済み原本をPDF化して別系統に保管し、原本は本店で管理する二重化が現実的です。登記に原本を提出する場合は、原本還付の手続で手元に戻します。

まとめ:ひな形で骨格を固め、AIで下書き・人で要件確認

取締役会議事録は、会社法369条の作成・署名、371条の10年保存という法定要件を満たす必要があり、記載事項は会社法施行規則101条が定めます。株主総会議事録との違いを押さえ、議案ごとに議事の経過の要領と採決結果を残すことが基本です。代表取締役の交代、取締役の辞任に伴う臨時株主総会の招集、特別の利害関係を有する取締役がいる場合の氏名記載(369条2項・施行規則101条3項5号)、書面決議(370条)の4項目記載など、場面ごとに書き分けが必要な点も押さえておきましょう。

様式が定型的なため、ひな形で骨格を固め、AIで下書きを作り、要件チェックリストで人が確認する流れにすれば、品質を保ちながら作成時間を大きく短縮できます。司法書士・弁護士の登記・法務業務全体でのAI活用は司法書士・弁護士のためのAI活用ガイドも参考にしてください。弁護士・司法書士向けの機能や料金は法務AI(弁護士・司法書士向け)のサービスページで確認できます。まずは仮名データでの下書き作成から試してみてください。

関連記事:稟議書テンプレート8種(Excel・Word・PDF)では、記載事項の解説といっしょに、登録不要で使えるひな形を無料で配布しています。

参考文献

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