会計×AI

経理のChatGPTプロンプト集|仕訳を時短する実例10選【2026年】

経理の仕訳にChatGPTを使うとは、取引内容や請求書の文面をAIに渡し、勘定科目の候補・摘要の整形・消費税区分の判定・仕訳の起票案・月次チェックを素早く作らせる使い方を指します。結論から言えば、ChatGPTは「仕訳のたたき台づくり」には十分実用的ですが、最終的な仕訳の確定は人が行う前提を崩してはいけません。AIの提案には誤りが混ざり、会計データの入力には情報漏洩リスクが伴うためです。

この記事では、経理担当者がそのままコピペで使えるプロンプトを「仕訳」「勘定科目」「月次チェック」の3軸で12本、さらに請求書発行・入金消込・経費精算など仕訳以外の経理業務で8本の、合計20本を掲載します。あわせて、AIに任せてよい範囲と人が必ず確認すべき範囲を判断するためのフレームも示します。読み終える頃には、自社の仕訳業務のどこをChatGPTで時短し、どこを人の目で守るかを自分で線引きできるようになります。

この記事で分かること

  • 経理の仕訳でChatGPTにできること・できないことの切り分け
  • 精度の高い回答を引き出す仕訳プロンプトの基本構造(5要素)
  • 仕訳を起票する4本のプロンプト(起票・摘要整形・明細一括・期ズレ)
  • 勘定科目を判定する4本のプロンプト(候補出し・会議費と交際費の線引き・科目定義表・ブレ照合)
  • 月次チェックの4本のプロンプト(試算表の異常値・消費税区分・源泉徴収の検算・締めのチェックリスト)
  • 経理業務のどこでChatGPTを活用できるかの業務マップ(日次・月中・月末・月初・年次)
  • ChatGPTが勘定科目を間違える7つの典型パターンと、前提の書き方による直し方
  • 請求書発行・入金消込・経費精算・固定資産・棚卸など、仕訳以外の8本のプロンプト
  • 会計データを入力する際の情報漏洩・誤仕訳リスクと最終確認の進め方

先に一言だけ。以下のプロンプトはそのままコピーして貼れば動きます。ただ実務で効いてくるのは、プロンプトの出来よりも「毎回どこかに保存したプロンプトを探し、前提条件を書き直し、取引先名を伏せてから貼る」という往復の手数です。この貼り直しの工程ごと省きたい経理担当の方は、会計の前提を最初から持ったAIに直接聞く形に切り替える選択肢もあります(経理スタッフ向けの士業AI)。まずは下のプロンプト集から、自分の業務に近いものを持ち帰ってください。

経理の仕訳にChatGPTは使えるのか

ChatGPTは、自然言語で書かれた取引内容から勘定科目や仕訳の候補を提示することが得意です。一方で、自社の会計方針や継続性の原則、最新の税務上の取扱いまでは把握していません。実務では「考える時間を短縮する道具」として使い、判断そのものは経理担当者が握るのが安全な使い方です。

仕訳のプロンプト活用は、記帳代行業務の人手不足を和らげる打ち手の一つにすぎません。証憑のOCRから月次確定までのどの工程をAIや自動化で置き換えられるかという全体像は、記帳代行の人手不足をAIで解消する方法で整理しています。

ChatGPTが得意な仕訳まわりの作業

現場で効果が出やすいのは、ゼロから書くより「整える・候補を出す」場面です。たとえば領収書の但し書きから摘要を整形する、見慣れない取引にどの勘定科目があり得るか候補を列挙する、といった作業はAIが速く正確に近い精度でこなします。判断の入口を広げ、調べ物の時間を圧縮できるのが最大の利点です。

  • 取引の説明文から勘定科目の候補を複数提示する
  • 領収書・明細の文面から仕訳の摘要を整形・統一する
  • 取引内容から借方・貸方の仕訳案(たたき台)を起票する
  • 消費税区分(課税仕入・非課税・対象外など)の検討材料を出す
  • 試算表の増減について、確認すべき論点を先に洗い出す
  • 仕訳ルールや科目一覧をExcelに貼れる表形式で出力する

ChatGPTに任せてはいけない仕訳の領域

逆に、AIの出力をそのまま確定仕訳にしてはいけない領域があります。継続適用してきた自社固有の科目運用、金額の正確性、消費税区分の最終判断、決算に影響する経過勘定の計上などです。これらは誤ると修正申告や決算の誤りにつながるため、人が一次ソースに当たって確定する必要があります。

作業

ChatGPTの向き不向き

人の関与

勘定科目の候補出し

得意(候補列挙)

自社方針との整合を確認

摘要の整形・統一

得意

固有名詞・金額を目視

月次の異常値の洗い出し

得意(論点出し)

原因の特定は人

消費税区分の判定

補助(検討材料)

最終判断は必須

金額の計算・転記

不向き(誤りやすい)

原本と突合

決算整理仕訳の確定

不向き

会計士・税理士が確定

この切り分けが済んだ時点で、実は次の悩みが出てきます。使えると分かったプロンプトを、毎月どこから呼び出すかです。プロンプト集をファイルに保存しても、前提条件の書き換えと取引先名の伏せ字で毎回2〜3分は溶けます。この往復ごと省きたい場合は、会計の前提をあらかじめ持ったAIに直接聞く形に切り替えると、プロンプトを保管・管理する手間自体がなくなります。

経理業務のどこでChatGPTを活用できるか(月次・年次の業務マップ)

「経理でChatGPTを使う」と一口に言っても、月初から月末まで業務の性質はまったく違います。証憑を受け取って入力する工程と、締めた数字を説明する工程では、AIに任せてよい範囲も、人が握るべき判断も別物です。使いどころを業務のカレンダー順に決めておくと、「とりあえず聞いてみたけれど微妙だった」で終わらずに済みます。

下の表は、一般的な月次サイクルの業務を並べ、AIに任せてよい範囲と、この記事のどのプロンプトが対応するかを対応づけたものです。自社の業務フローに重ねて、上から2〜3行だけ選んで始めるのが現実的です。

タイミング

主な業務

AIに任せてよい範囲

人が必ず握る判断

対応プロンプト

日次

証憑の受領・仕訳入力

摘要の整形・仕訳のたたき台

金額・相手先の原本突合

1・2・3

月中

請求書発行・経費精算・支払

記載事項チェック・差戻し文面

支払可否と金額の承認

13・15・18

月末

締め・残高照合・経過勘定

期ズレ候補の抽出・チェックリスト

計上の確定

4・12・14・17

月初

試算表レビュー・月次報告

異常値の論点出し・報告文の下書き

原因の特定と説明責任

9・19

随時

科目判断・消費税区分

候補出しと根拠の整理

最終判定

5〜8・10

年次

決算・年末調整・法定調書

論点の洗い出し・案内文の下書き

税務判断・申告内容の確定

11・16・20

日次・月中の業務は「作業」なのでAIが効く

日次と月中の業務は、判断より手数が重い工程です。摘要の表記ゆれを直す、明細を仕訳の形に並べ替える、経費精算の不備を指摘する文面を書く——どれも正解が決まっていて、時間だけを食う作業です。ここはAIに下書きを任せ、人は目視で通すだけにすると、月内に体感できる差が出ます。逆に言えば、この層で効果が出ないうちに決算業務へAIを持ち込んでも、確認の手間が増えるだけで終わります。

月末・年次は「論点出し」までに留める

締めと決算は、AIに答えを出させるのではなく、確認すべき論点を先に並べさせる使い方が安全です。締め作業の抜け漏れそのものを潰したい場合は月次決算チェックリスト(締め作業の確認項目一覧)を、年1回しか触らない決算整理の論点は決算整理仕訳の一覧と期末チェック表を土台にし、AIには「このリストに照らして漏れがないか」を確認させる順序にすると、AIの思いつきに振り回されません。

仕訳プロンプトの基本構造とコツ

同じ取引でも、指示の出し方次第で回答の精度は大きく変わります。実務で使えるプロンプトには共通の型があり、これを押さえるだけで再現性が一気に上がります。場当たり的に質問するのではなく、テンプレートとして保存して使い回すのが効率的です。

精度を上げる5つの要素

仕訳プロンプトには、役割・前提・入力・出力形式・制約の5要素を盛り込みます。とくに「出力形式を表で指定する」「分からない場合は推測せず質問させる」の2点は、誤った仕訳を防ぐうえで効果が大きい要素です。

  1. 役割:「あなたは日本の会計実務に詳しい経理担当です」と立場を与える
  2. 前提:会計期間・事業内容・税込/税抜経理などの条件を明示する
  3. 入力:取引日・相手先・内容・金額・支払方法を具体的に渡す
  4. 出力形式:借方/貸方/金額/税区分/摘要を表で返すよう指定する
  5. 制約:「不明点は確定せず質問」「最終判断は人が行う前提」と添える

コピペで使える基本テンプレート

まずは下記を土台にし、自社の前提に書き換えて使ってください。括弧内を埋めるだけで、最低限の精度が担保された仕訳のたたき台が得られます。

あなたは日本の会計実務に詳しい経理担当です。
以下の前提と取引から、仕訳のたたき台を作成してください。

# 前提
- 法人 / 税抜経理 / 当期は2026年4月〜2027年3月
- 事業内容:(例:ソフトウェア受託開発)

# 取引
- 取引日:(例)2026/06/10
- 相手先:(例)〇〇商事
- 内容:(例)来客用のお茶・コーヒーを購入
- 金額:(例)3,300円(税込)
- 支払方法:(例)法人クレジットカード

# 出力形式(この表のみ返す)
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 消費税区分 | 摘要 |

# 制約
- 勘定科目が複数あり得る場合は候補と理由も併記
- 不明点は確定せず、何を確認すべきか質問してください
- これは確定仕訳ではなくたたき台です

うまくいかない例と直し方:「この経費の仕訳を教えて」とだけ聞くと、税込経理を前提にした答えが返り、税抜経理の自社と噛み合いません。前提ブロックに経理方式と事業内容の2行を足すだけで、税区分の提案精度が目に見えて上がります。

仕訳に限らず月次決算まわりのプロンプトをまとめて知りたい場合は、ChatGPTで月次決算を効率化する具体プロンプト集もあわせて参照すると、仕訳から締めまでの流れを通しで設計できます。締めたあとの資金の動きを見通したい場合は、資金繰り表の作り方とAIによる資金繰り予測もあわせて確認しておくと安心です。

ChatGPTで仕訳を起票するプロンプト4選

ここからが本題です。まずは「chatgpt 仕訳」で最も需要が大きい、起票そのものを助ける4本を示します。いずれも前提を自社用に書き換えて使ってください。出力はあくまで候補・たたき台であり、確定前に必ず人が確認する点は共通です。

士業AIの会計AIは、こうした仕訳支援を会計実務向けにチューニングした日本語特化のサービスです。実際の挙動は次のデモで確認できます。

ASBJ等の公的情報を参照する会計特化AI のデモです。

1. 取引内容から仕訳を起票させるプロンプト

取引の説明文をそのまま貼り、仕訳案を一括で起票させる使い方です。複数行をまとめて処理させると、入力作業の下書きとして時短効果が高くなります。

以下の取引リストから仕訳のたたき台を作成してください。
当社は税抜経理、法人です。借方・貸方・金額・税区分・摘要を
表で返し、判断に迷う行には「※要確認」を付けてください。

- 6/1 サーバー利用料 22,000円(税込)を口座振替で支払
- 6/3 売上 110,000円(税込)が掛けで発生
- 6/5 切手を1,000円分 現金で購入

出力:| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 税区分 | 摘要 |

うまくいかない例と直し方:金額欄をAIに再計算させると、税抜への割戻しで端数がずれることがあります。「金額は入力どおり転記し、計算はしないでください」と制約に足すと、金額事故が消えます。

2. 摘要を整形・統一させるプロンプト

領収書の但し書きや明細の表記はバラバラになりがちです。摘要の書式を社内ルールに揃えると、後の検索性や監査対応が格段に楽になります。実務では、この整形作業を一括で任せると効果が大きい場面の一つです。

以下の領収書の但し書きを、経理の摘要として統一してください。
書式は「相手先/内容/用途」の順、全角40文字以内、固有名詞は残す。

1. 「お品代として」(〇〇文具店・コピー用紙)
2. 「飲食代 4名様」(△△レストラン・取引先接待)
3. 「タクシー」(××交通・来客送迎)

出力:| 元の但し書き | 整形後の摘要 |

うまくいかない例と直し方:文字数の指定がないと、AIは説明的な長い摘要を返します。会計ソフトの摘要欄の上限文字数を明記すると、そのまま貼れる長さで返ってきます。

3. 銀行明細・カード明細をまとめて仕訳一覧にするプロンプト

ネットバンキングやカードのCSVを貼り付け、まとめて仕訳の下書きにする使い方です。定期的に発生する取引は科目が固定できるため、AIとの相性が良い領域です。取引先名は伏せ字にしてから貼るのが前提です。

以下は当社の法人口座の入出金明細です(相手先は伏せ字)。
各行について仕訳のたたき台を作り、同じ摘要パターンが複数ある場合は
「定型」列に◯を付けて、次回以降の自動化候補として示してください。

当社:法人/税抜経理/サービス業
明細:
6/25 出金 ▲▲電力 18,700 電気料金
6/25 出金 ■■通信 6,600 携帯電話料金
6/26 出金 ●●不動産 220,000 事務所家賃 7月分
6/28 入金 ★★商事 330,000 5月分請求

出力:| 日付 | 借方 | 貸方 | 金額 | 税区分 | 摘要 | 定型 | 要確認 |

うまくいかない例と直し方:家賃の前払いのように支払日と役務提供月がずれる行をAIは見落としがちです。「翌月分の前払いが含まれる場合は前払費用として別行で示すこと」と一文足すと拾ってくれます。

4. 前払費用・未払費用の期ズレを洗い出させるプロンプト

月次でも決算でも事故が起きやすいのが経過勘定です。AIに確定させるのではなく、「期ズレが疑われる行だけを拾わせる」使い方にすると安全に時短できます。

以下の6月の費用計上リストから、期ズレ(前払費用・未払費用・
前受収益・未収収益)の計上を検討すべき行を抽出してください。
確定はせず、「なぜ疑わしいか」と「確認すべき資料」を示してください。

- 6/26 事務所家賃 220,000円(契約上は翌月分を当月末払い)
- 6/30 年間保守契約 660,000円(契約期間 7/1〜翌6/30)
- 6/30 6月分の外注費(請求書は7/10着予定・未入手)

出力:| 取引 | 想定される経過勘定 | 疑わしい理由 | 確認すべき資料 |

うまくいかない例と直し方:「決算整理仕訳を作って」と頼むと、AIは金額まで断定した仕訳を返してきます。抽出と理由付けまでで止めさせるのが、経過勘定でAIを使う際の安全な線引きです。

決算でしか出てこない仕訳は、前提条件の作り込みがさらに重要になります。年1回の処理でつまずきやすい論点は、貸倒引当金の仕訳(洗替法・差額補充法と繰入限度額)で金額入りの実例と判定手順を整理しています。

ChatGPTで勘定科目を判定するプロンプト4選

「chatgpt 勘定科目」で調べる人の多くは、目の前の1件をどう処理するかで止まっています。ただ実務でより効くのは、1件の判定に加えて「自社の基準そのものをAIに文書化させる」使い方です。ここでは単発の判定から社内基準づくりまでの4本を示します。

5. 勘定科目の候補を挙げさせるプロンプト

「この支出はどの科目か」を迷ったときに使います。候補を複数出させ、それぞれの理由を併記させることで、自社方針と照らして選びやすくなります。

科目そのものの判断に迷う場合は、勘定科目に迷う9つのペアの判定基準を先に確認すると、プロンプトに与える前提条件が固まります。

次の取引について、考えられる勘定科目を3つまで候補として挙げ、
それぞれを選ぶ理由と、迷う場合の判断ポイントを表にしてください。

取引:取引先との打ち合わせで利用したカフェ代 1,200円
(参加者:自社2名・取引先1名)

出力:| 候補科目 | 理由 | 注意点 |

うまくいかない例と直し方:参加者の構成を書かないと、AIは会議費・交際費・福利厚生費を並べただけで終わります。「誰と・何人で・何のために」の3点を書くと、候補が2つに絞られます。

6. 会議費と交際費など迷いやすい科目を線引きさせるプロンプト

飲食費の科目判定は、税務上の基準を前提にしないと意味がありません。法人の交際費等では、飲食等の費用のうち参加者1人あたり10,000円以下のものは交際費等から除かれます(令和6年3月31日以前の支出は5,000円以下が基準)。ただしこの取扱いは、飲食等の年月日・参加者の氏名や名称と関係・参加人数・費用の額と店舗の名称および所在地などを記載した書類を保存している場合に限られます(国税庁 タックスアンサー No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算)。この基準ごとAIに渡すのがコツです。

あなたは日本の法人税実務に詳しい経理担当です。
当社は税抜経理の中小法人です。以下の飲食費について、
「会議費/交際費/福利厚生費」のいずれで処理すべきかを
判定し、判断の分かれ目と、必要な保存書類も示してください。

前提となる基準:
- 社外の関係者を含む飲食等で、1人あたり10,000円以下のものは
  交際費等から除ける(書類の保存が要件)
- 社内の者だけの飲食は原則この除外の対象外

対象:
1. 取引先2名・自社2名/飲食代 32,000円(税抜)
2. 取引先1名・自社1名/打合せ時のコーヒー 1,000円
3. 自社の部署メンバー5名のみ/懇親会 40,000円

出力:| 取引 | 科目 | 1人あたり金額 | 判断の分かれ目 | 保存すべき書類 |

うまくいかない例と直し方:金額基準を書かずに聞くと、AIは古い5,000円基準で答えることがあります。基準額と根拠を前提ブロックに明記するのが、制度変更のある領域で誤答を防ぐ唯一の確実な方法です。

なお、顧問先が法人ではなく個人事業主の場合、同じ飲食費でも1人あたり10,000円の基準ではなく、家事按分や「業務の遂行上直接必要か」という別の線引きになります。制度ごとの上限額と否認リスクは個人事業主の節税策と経費の線引きで一覧にまとめています。

7. 自社の勘定科目マニュアル(科目定義表)を作らせるプロンプト

科目のブレは、担当者ごとの判断が言語化されていないことから生まれます。AIに科目定義表のドラフトを作らせ、人が加筆する形にすると、ゼロから書くより短時間で社内基準が整います。

当社の勘定科目マニュアルのドラフトを作成してください。
業種:ソフトウェア受託開発/法人/税抜経理/従業員15名

以下の科目について、「この科目を使う取引」「使わない取引
(よくある誤用)」「迷ったときの判断基準」を表で書いてください。
金額基準など税務上の基準が絡む科目は、確認すべき一次情報も
併記してください。

対象科目:会議費/交際費/旅費交通費/消耗品費/
支払手数料/外注費/通信費/福利厚生費

出力:| 科目 | 使う取引 | 使わない取引 | 判断基準 | 確認先 |

うまくいかない例と直し方:業種と人数を書かないと、一般論の教科書的な定義が返ってきます。自社で実際に起きた誤用を2〜3個添えると、そのまま社内で配れる粒度になります。

8. 過去の仕訳と科目の付け方のブレを照合させるプロンプト

継続性の原則から見て問題になりやすいのは、同じ取引に別の科目を当ててしまうケースです。AIには断定させず、ブレの候補を挙げさせて人が確認する形にします。

以下は当社の過去6か月の仕訳のうち、同じ取引先・同じ内容の行です。
勘定科目の付け方にブレがある組み合わせを抽出し、
どちらに寄せるべきかの推奨と、その理由を示してください。
確定はせず「要確認」として提示してください。

1月 ○○ツール月額利用料 → 通信費
3月 ○○ツール月額利用料 → 支払手数料
5月 ○○ツール月額利用料 → 消耗品費

出力:| 取引 | 使われた科目 | 推奨科目 | 理由 | 影響(比較可能性など) |

うまくいかない例と直し方:件数が多い一覧をそのまま貼ると、AIは途中で要約に逃げます。「全行を省略せず出力」と指定し、50行程度ずつに分けて渡すと取りこぼしが減ります。

ChatGPTが勘定科目を間違える7つの典型パターンと直し方

勘定科目の判定をChatGPTに任せてみて「それっぽいけれど自社では使えない答え」が返ってきた経験は、経理担当者ならほぼ全員が持っています。厄介なのは、AIが間違えるときほど断定的に答えることです。ただし誤答には型があり、型が分かれば前提の書き方で潰せます。

誤答パターン

なぜ起きるか

プロンプトでの直し方

古い金額基準で答える

学習データに改正前の情報が残っている

基準額と出典を前提ブロックに書いて渡す

税込経理を勝手に前提にする

経理方式を書かないと多数派を仮定する

「税抜経理」と1行で明示する

法人と個人事業主の基準が混ざる

質問文から事業形態を読み取れない

法人/個人と、中小企業者等かどうかを書く

自社に存在しない科目を作る

一般的な科目名から生成してしまう

自社の科目一覧を貼り「この中から選ぶ」と制約

迷っていても断定する

「分からない」と答えにくい仕様

確信度(高/中/低)と根拠を必ず出させる

過去の処理と違う科目を提案する

自社の継続適用を知らない

同じ取引の過去実績を3件添えて渡す

科目と消費税区分をまとめて誤る

非課税・対象外の切り分けが苦手

科目と税区分を別プロンプトに分ける

この7つは、科目判定のプロンプト(5〜8番)に次の制約ブロックを足すだけでまとめて減らせます。自社の科目一覧を一度貼り付けて保存しておけば、以後は使い回せます。

# 追加制約(勘定科目を判定させるときは毎回付ける)
- 当社の勘定科目は次の一覧のとおり。一覧にない科目は使わないこと
  (ここに自社の科目一覧を貼る)
- 当社は法人・中小企業者等・税抜経理(個人事業主の基準は使わないこと)
- 金額基準のある論点は、基準額と参照した根拠の名称を必ず併記すること
- 判定ごとに「確信度:高/中/低」を付け、中・低のものは確定せず
  「確認すべきこと」を箇条書きで示すこと
- 同じ取引を過去に別科目で処理していた可能性があるため、
  継続性の観点で注意すべき点を1行添えること
- 消費税区分はこのプロンプトでは判定しないこと

うまくいかない例と直し方:制約を足しても断定が止まらない場合は、「確信度が中・低のものは科目欄を空欄にして返す」と指示します。空欄が返ってくるほうが、もっともらしい誤答より確認が速く済みます。費目そのものの判定基準を先に固めたいときは、印紙代・延滞税・講演料などの費目別の判定一覧を開きながらプロンプトの前提を書くと精度が安定します。

月次チェックに使うChatGPTプロンプト4選

仕訳を起票して終わりではありません。経理でChatGPTの効果が一番大きいのは、実は月次の「見落としを潰す」工程です。人がゼロから思い出す代わりに、AIに確認論点を先に並べさせると、締め作業の心理的な負荷が大きく下がります。

9. 試算表の異常値と増減理由を洗い出させるプロンプト

前月比・前年同月比の増減を貼り、「確認すべき行」だけを挙げさせる使い方です。AIに原因を断定させないのがポイントです。

以下は当社の6月度試算表(前月比)の抜粋です。
金額の異常や計上漏れが疑われる行を抽出し、
考えられる原因の仮説と、確認すべき資料を示してください。
原因は断定せず、必ず複数の仮説を挙げてください。

| 科目 | 5月 | 6月 |
| 売上高 | 8,200,000 | 5,100,000 |
| 外注費 | 1,900,000 | 1,880,000 |
| 水道光熱費 | 42,000 | 0 |
| 支払手数料 | 33,000 | 231,000 |

出力:| 科目 | 異常の内容 | 原因の仮説(複数) | 確認すべき資料 |

うまくいかない例と直し方:科目名だけ渡すと、AIは一般論の説明を返します。自社の事業内容と、その月に起きた特殊事情(大型案件・決算賞与など)を1行添えると、仮説の的中率が上がります。

10. 消費税区分を判定させるプロンプト

消費税の区分はAIが間違えやすい領域なので、判定の根拠まで答えさせて人が検証できる形にします。とくに非課税・対象外・課税仕入の切り分けは、最終的に経理担当者が確定する前提で使ってください。

次の各取引について、消費税区分の候補(課税仕入10%/軽減8%/
非課税/対象外)と、その根拠を簡潔に示してください。
確信が持てないものは「要確認」と明記してください。

1. 国内のクラウド会計ソフト月額利用料
2. 海外SaaSのサブスクリプション利用料
3. 従業員への慶弔見舞金
4. 印紙の購入

出力:| 取引 | 区分の候補 | 根拠 | 確認要否 |

うまくいかない例と直し方:区分だけを聞くと、帳簿に何を書けば仕入税額控除の要件を満たすかが抜けます。仕入税額控除の要件となる帳簿の記載事項は、相手方の氏名または名称・取引年月日・資産または役務の内容(軽減対象ならその旨)・支払対価の額です(国税庁 タックスアンサー No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項)。この4項目を摘要に含める形で出力させると、そのまま記帳に使えます。

11. 報酬支払時の源泉徴収を検算させるプロンプト

経理の月次で毎回止まるのが、外部の専門家やフリーランスへの支払時の源泉徴収です。弁護士・公認会計士・司法書士など特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金は源泉徴収の対象となり、報酬の額に消費税等が含まれている場合は原則として消費税等を含めた金額が対象ですが、請求書等で報酬の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、報酬の額のみを対象として差し支えないとされています(国税庁 タックスアンサー No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは)。

税率の適用や司法書士報酬の1万円控除など、支払のたびに迷う計算の型は源泉徴収 報酬の計算方法(10.21%と1万円控除・消費税込みか税抜きかの判定)で計算例つきに整理しています。まず自分で計算の型を押さえたうえで、下のプロンプトを検算に使う順序が安全です。

以下の請求書について、源泉徴収の要否と、対象となる金額の
考え方を整理してください。税額は自分で計算し、その計算過程
(かけ算・引き算の式)も必ず示してください。
判断が分かれる点は「要確認」と明記してください。

前提:当社は法人(源泉徴収義務者)/支払先はいずれも個人

1. 税理士報酬 55,000円(本体50,000円・消費税5,000円と請求書に区分記載)
2. 司法書士への登記報酬 33,000円(本体30,000円・消費税3,000円と区分記載)
3. デザイナーへの制作費 88,000円(消費税の内訳記載なし)

出力:| 支払先 | 源泉徴収の要否 | 対象金額 | 計算式 | 税額 | 手取額 | 要確認事項 |

うまくいかない例と直し方:AIに税額だけ聞くと、桁を1つ間違えても気づけません。「計算過程の式を必ず示す」と指定し、人は式だけを目で追う運用にすると、検算の速度と安全性が両立します。

なお、この源泉徴収の記録は年明けの法定調書作成にそのまま使います。年間の支払先別合計から報酬・料金等の支払調書の書き方(提出範囲と令和8年分の記入例)に沿って提出対象を絞り込めるよう、月次の段階で支払先の氏名・住所・個人法人の別まで摘要に残しておくと、1月の作業が一気に軽くなります。

12. 月次締めのチェックリストを作らせるプロンプト

締め作業の抜け漏れは、担当者の記憶に依存していることが原因です。自社の条件を渡してチェックリストを作らせ、毎月同じものを使い回します。

当社の月次決算チェックリストを作成してください。
業種:ソフトウェア受託開発/法人/税抜経理/従業員15名
月次の締め目標:翌月10営業日以内

以下の観点で、実施順・担当・確認方法まで含めて表にしてください。
観点:現預金/売掛金・買掛金/経過勘定/棚卸/給与・社会保険/
源泉所得税の納付/消費税区分/固定資産・減価償却/異常値チェック

出力:| No | 手順 | 観点 | 確認方法 | 完了条件 |

うまくいかない例と直し方:観点を指定しないと、教科書的な30項目が返ってきて誰も使いません。自社で過去に発生したミスを観点として足すと、実際に回るチェックリストになります。

同じ「確認済みの数値を渡してAIに検算させる」考え方は、経理担当が毎月抱える給与データのチェックにも応用できます。総支給・控除の突合や社会保険料・源泉所得税の確認をそのまま使えるプロンプトで進めたい場合は、給与計算のチェックをAIで行うプロンプト集もあわせて活用してください。

仕訳以外の経理業務で使えるChatGPTプロンプト8選

ここまでの12本は「仕訳・勘定科目・月次チェック」の3軸でした。ただ経理の1か月は、仕訳入力だけで終わりません。請求書を出し、入金を消し込み、経費精算を差し戻し、棚卸の差異を追い、月次報告のコメントを書く——この周辺業務にこそ細切れの時間が溜まっています。ここでは業務マップの月中・月末・年次に対応する8本(13〜20番)を足して、合計20本にします。

13. 発行する請求書の記載事項をセルフチェックさせるプロンプト

自社が発行する請求書が適格請求書の記載事項を満たしているかは、送信前に機械的に確認できます。取引先から差し戻される前に潰しておくと、月末の手戻りが減ります。

次の請求書ドラフトが、適格請求書として必要な記載事項を
満たしているかチェックしてください。不足があれば
「不足項目」と「どう書き足すか」を具体的に示してください。
判断が分かれる点は「要確認」と明記してください。

チェック観点:発行者の氏名または名称と登録番号/取引年月日/
取引内容(軽減税率対象ならその旨)/税率ごとに区分した
対価の額の合計と適用税率/税率ごとに区分した消費税額等/
交付を受ける事業者の氏名または名称

請求書ドラフト:
(ここに請求書の項目をそのまま貼る)

出力:| 記載事項 | 記載の有無 | 修正案 |

うまくいかない例と直し方:画像のまま貼ると読み取り誤りが混ざります。項目名と値をテキストで並べて貼ると、チェックの精度が安定します。

14. 入金消込の差異理由を切り分けさせるプロンプト

請求額と入金額が一致しない行は、振込手数料・相殺・一部入金・複数請求のまとめ払いなど、原因の型が決まっています。AIに型を当てさせ、人は当たりを付けた行だけ確認します。

以下は当社の売掛金残高と入金明細です(相手先は伏せ字)。
請求額と入金額が一致しない行について、考えられる差異の理由を
複数挙げ、確認すべき資料を示してください。断定はしないでください。

想定される差異の型:振込手数料の当方負担/相殺/一部入金/
複数請求のまとめ払い/翌月繰越/値引き・返品

請求:A社 330,000/B社 176,000/C社 88,000
入金:A社 329,340/B社 176,000/C社 50,000

出力:| 相手先 | 差額 | 考えられる理由 | 確認すべき資料 |

うまくいかない例と直し方:差異の型を示さないと、AIは「入力ミスの可能性」とだけ返します。自社で実際に起きた差異の型を列挙して渡すと、当たりの精度が上がります。

15. 経費精算の差戻し連絡文を作らせるプロンプト

経理が最も気を遣うのが、社内への差戻し連絡です。角が立たない文面をゼロから考えるのは時間もストレスもかかるため、型を作って使い回します。

経費精算の申請に不備があったため、申請者へ差し戻す
社内連絡文を作成してください。責める書き方は避け、
何をどう直せばよいかが一読で分かる形にしてください。

宛先:営業部の申請者(面識あり・敬語はやわらかめ)
不備の内容:
- 領収書の但し書きが「お品代」のみで用途が不明
- 飲食費の参加者名と人数の記載がない
- 金額が申請額と領収書で110円ずれている

出力:件名+本文(150〜250文字)+修正チェックリスト

うまくいかない例と直し方:宛先の関係性を書かないと、社外向けのような硬い文面が返ります。「同僚宛て・やわらかめ」と関係性を1行書くだけで、そのまま送れる温度になります。

16. 固定資産か費用かを振り分けさせるプロンプト

期末前に必ず論点になるのが、少額の資産をその期の費用にできるかどうかです。法人が取得した減価償却資産のうち取得価額が10万円未満のものは、事業の用に供した事業年度に損金経理すれば損金算入でき、20万円未満のものは一括償却資産として3年間で償却する方法も選べます(国税庁 タックスアンサー No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)。また中小企業者等には、取得価額30万円未満の少額減価償却資産について、年間合計300万円を限度に損金算入できる特例があります(国税庁 タックスアンサー No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)。

ただしこの30万円の特例には適用期限があり、延長されてきた経緯があります。期限はAIに聞かず、上記の国税庁ページで必ず確認してください。

以下の購入品について、資産計上と費用処理のどちらが
考えられるかを整理してください。前提の金額基準は下記のとおりです。
税額や期限は自分で判断せず、確認すべき点として挙げてください。

前提:当社は法人・中小企業者等・税抜経理
- 取得価額10万円未満:損金経理により損金算入が可能
- 取得価額20万円未満:一括償却資産として3年償却も選択可
- 取得価額30万円未満:中小企業者等の特例(年300万円が限度・適用期限あり)
- 判定は「通常1単位として取引される単位ごと」に行う

購入品:
1. ノートPC 1台 148,000円
2. 応接テーブルと椅子4脚のセット 210,000円
3. 会議室のカーテン(同じ部屋で3枚)1枚 38,000円
4. 業務用ソフトのライセンス 275,000円

出力:| 購入品 | 判定単位 | 想定される取扱い | 理由 | 確認すべき点 |

うまくいかない例と直し方:単位の指定がないと、AIはセット物を1点ずつ判定して10万円未満に収めてしまいます。「通常1単位として取引される単位ごとに判定」と前提に書くのが必須です。

17. 棚卸差異の原因を切り分けさせるプロンプト

帳簿在庫と実地棚卸の差異は、原因の候補を並べてから現物を追うほうが速く終わります。AIには原因を決めさせず、確認の順番を作らせます。

帳簿在庫と実地棚卸の差異について、考えられる原因を
可能性の高い順に挙げ、それぞれ「確認方法」と
「確認にかかる手間(大/中/小)」を示してください。
原因の断定はしないでください。

差異:
- 商品A 帳簿120個 / 実地114個
- 商品B 帳簿 30個 / 実地 33個
- 商品C 帳簿  8個 / 実地  0個(保管場所を変更した記憶あり)

出力:| 商品 | 差異 | 原因の仮説 | 確認方法 | 手間 |

うまくいかない例と直し方:手間の見積もりを求めないと、AIは全件に同じ精度の調査を提案します。手間の欄を足すだけで、着手順を決められる表になります。

18. 受け取った請求書のインボイス対応をチェックさせるプロンプト

受領側のチェックは、登録番号の有無だけでは足りません。記載事項が揃っているか、税率ごとの区分があるかまで見る必要があります。登録番号そのものの実在確認は、AIではなく国税庁のサイトで行います。

以下は取引先から受領した請求書の記載内容です。
仕入税額控除の観点で、記載事項に不足がないかを確認し、
取引先へ再発行を依頼すべき項目があれば文面案も作ってください。
登録番号が実在するかどうかは判定せず、「要確認」としてください。

請求書の記載内容:
(ここに請求書の項目をテキストで貼る)

出力:| 記載事項 | 有無 | 不足時の対応 |
+ 再発行依頼の文面案(100文字程度)

うまくいかない例と直し方:AIに登録番号の有効性を聞くと、もっともらしく「有効です」と答えることがあります。番号の実在確認は必ず国税庁の公表サイトで行い、AIには判定させないのが鉄則です。

19. 月次報告のコメント案を作らせるプロンプト

試算表の数字を上司や経営層に説明する一文は、毎月書き方に悩む割に評価されにくい仕事です。数字と事実は人が渡し、文章化だけAIに任せます。

以下の月次実績について、経営会議向けの報告コメントを
作成してください。数字は与えたものだけを使い、
推測での原因説明は書かないでください。
原因が不明な項目は「要確認」として列挙してください。

前提:ソフトウェア受託開発/法人/読み手は役員(会計は非専門)
実績:売上 5,100千円(前月8,200千円・大型案件の検収が翌月へ)
   外注費 1,880千円(前月比横ばい)
   支払手数料 231千円(前月33千円・年間ライセンスの一括払い)

出力:報告コメント(300文字以内)+補足すべき論点3つ

うまくいかない例と直し方:原因を書かずに渡すと、AIは景気や季節要因といった根拠のない説明を創作します。「与えた事実以外の原因は書かない」と制約するのが、報告文でAIを使う際の最重要ルールです。

20. 経理業務の手順書(マニュアル)を作らせるプロンプト

経理の属人化は、手順が頭の中にしかないことから生まれます。自分の作業を口述で書き出し、AIに手順書の形へ整えさせると、引き継ぎ資料が半日で形になります。

以下は私が毎月行っている支払処理の手順を口述で書き出したものです。
第三者が読んで同じ作業ができる手順書に整えてください。
記載が不足している箇所は補わず、「確認が必要な箇所」として
質問の形で列挙してください。

(ここに自分の作業手順を思いつくまま箇条書きで貼る)

出力:| No | 手順 | 使うシステム | 完了条件 | 注意点 |
+ 確認が必要な箇所の質問リスト

うまくいかない例と直し方:AIに不足を埋めさせると、自社と違う架空の手順が混ざります。「補わずに質問として返す」と指定すると、手順書が事実だけで構成されます。

消費税区分・インボイスをAIに任せる際の判断フレーム

仕訳のなかでも消費税区分とインボイス対応は、AIの提案を鵜呑みにすると仕入税額控除を誤るリスクが高い領域です。AIは一般論を答えますが、個別の取引が適格請求書発行事業者からの仕入かどうかまでは判断できません。ここは制度の最新情報と原本の確認が欠かせません。

AIの答えを検証する3ステップ

消費税区分についてAIの回答を得たら、必ず次の順で検証します。AIは判断材料を出す役、確定は人という役割分担を徹底するのが安全です。

  1. 区分の妥当性:課税仕入・非課税・対象外などの区分が取引実態に合うか
  2. インボイス要件:相手先が適格請求書発行事業者か、登録番号が請求書に記載されているか
  3. 最新制度:経過措置や特例の適用時期が現行制度と合っているか

海外SaaSの利用料などは、相手先が日本のインボイス登録をしているかで取扱いが変わります。登録の有無や番号は国税庁 適格請求書発行事業者公表サイトで確認できます。AIの回答ではなく、こうした一次情報で裏取りするのが原則です。

割合と期限が動く論点は、AIではなく国税庁で確かめる

消費税まわりでChatGPTがとくに誤りやすいのが、経過措置の割合と適用期限です。学習時点の古い内容を断定的に返してくるため、経理担当者が最も使いたい場面で最も信用できない、という厄介な性質があります。実務で押さえておきたい前提は次のとおりです。

  • 適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについては、一定の要件を満たす場合、令和5年10月1日から令和13年9月30日までの期間、仕入税額相当額の一定割合(80パーセント、7・5・3割)を仕入税額として控除できる経過措置があります。ただし令和6年10月1日以後に開始する課税期間からは、一の免税事業者等からの経過措置対象の課税仕入れの税込金額の合計額が年または事業年度で10億円を超える場合、その超えた部分には適用できません。この金額は令和8年10月1日以後に開始する課税期間については1億円とされています(国税庁 タックスアンサー No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度))。
  • 基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行った課税仕入れのうち税込1万円未満のものは、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(少額特例)。
  • 税込価額3万円未満の公共交通機関による旅客の運送や、従業員に支給する通常必要と認められる出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当なども、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(国税庁 タックスアンサー No.6496 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等)。

ここで大事なのは、割合や上限額を覚えることではありません。自社の課税期間にどの割合・どの上限が当たるのかは、国税庁のページで都度確認し、その内容をプロンプトの前提ブロックに貼ってからAIに聞くという手順にすることです。AIに期限を答えさせた時点で、その回答は検算できない数字になります。

制度は変わる前提で運用する

消費税やインボイスの取扱いは改正が続く分野です。ChatGPTの学習データには時点のずれがあり得るため、制度の要点は国税庁のインボイス制度・消費税の特集ページで確認する習慣を持つと安全です。会計ソフト側の税区分設定とAIの提案が食い違ったときは、ソフトと制度を優先します。

経理でChatGPTを活用するときの手順と定着のコツ

プロンプトを配っただけでは業務は変わりません。経理でのChatGPT活用が続く現場には、着手する業務の選び方と、共有の仕組みに共通点があります。

まず着手すべき3業務の選び方

最初の1か月は、「毎月発生する・判断より作業が重い・間違えても取り返しがつく」の3条件を満たす業務から入るのが定石です。この記事のプロンプトで言えば、摘要の整形(2番)・明細の一括仕訳(3番)・チェックリスト作成(12番)が該当します。逆に、決算整理や税務判断から始めると、確認コストが時短分を上回って続きません。

プロンプトを社内・事務所で共有する

属人化を防ぐには、プロンプトを個人のメモではなく共有ドキュメントで1本に統合し、前提ブロックだけ自社版に固定しておきます。誰が使っても同じ品質になり、改善もそこに集約されます。

定着しない原因は精度ではなく手数

プロンプト集を配ったチームでよく起きるのが「最初の1週間は使うが、そのうちプロンプトを探すのが面倒になって元のやり方に戻る」現象です。定着するかどうかを分けるのは、プロンプトの精度よりも呼び出すまでの手数でした。前提を毎回書き直す作業がなくなるだけで、利用頻度は大きく変わります。

会計データをAIに入力する際のリスクと最終確認

仕訳プロンプトを使う最大の注意点は、入力する会計データに機密情報が含まれることです。取引先名・金額・口座情報などをそのまま外部AIに渡すと、情報管理上の問題になり得ます。便利さと安全性は両立できますが、そのためにはルールと最終確認の仕組みが必要です。

情報漏洩を防ぐ入力ルール

実務で多いのは、何気なく実データを貼ってしまうケースです。AIに渡す前に、識別情報を伏せるか、サービスのデータ取扱い設定を確認しておきます。利用するプランごとに、入力データを学習に使うかどうか・ログの保持期間の扱いが異なるため、社内で使うプランの規約と管理画面の設定を必ず確認したうえで運用してください。

  • 取引先名・個人名・口座番号などは記号や仮名に置き換えて入力する
  • 学習利用やデータ保持の設定を事前に確認する
  • 無料・個人向けプランと業務向けプランのデータ取扱いの違いを理解する
  • 社内で「AIに入力してよい情報・ダメな情報」のルールを定める

誤仕訳を防ぐ最終確認の進め方

AIの仕訳案には、もっともらしく見えて誤っている提案(ハルシネーション)が混ざることがあります。金額の桁、税区分、科目の継続性は人が必ず確認します。とくに国税庁は税務行政のデジタル化を進めており、データに基づく分析が高度化しています(国税庁 税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)。仕訳の正確性は従来以上に重要になっています。確定した仕訳を帳簿として電子保存する際は、電子帳簿保存法2026の保存要件チェックもあわせて確認しておくと、記帳から保存までを一貫して整えられます。

会計事務所として守秘義務とAI活用を両立させる観点は、会計事務所のセキュリティとAIの選び方でより詳しく整理しています。

ChatGPT以外の選択肢と士業AIの仕訳支援

仕訳のたたき台づくりには汎用のChatGPTも使えますが、会計用語や日本の実務フォーマットに最適化されたツールを選ぶと、確認の手間がさらに減ります。汎用AIと業務特化AI、会計ソフトのAI機能を組み合わせて、それぞれの得意分野で使い分けるのが現実的です。どのツールをどんな基準で選ぶか迷う場合は、会計事務所のAIツール比較と失敗しない選び方で判断軸を整理しています。

汎用AI・特化AI・会計ソフトの使い分け

会計ソフト各社も自動仕訳・AI連携を強化しています。freeeやマネーフォワード、弥生といったクラウド会計は、明細データから仕訳を推測する機能を備えており、定型取引の自動化に向いています。一方、文面の整形や非定型の判断補助は生成AIが得意です。各ソフトの特徴は会計ソフト比較ガイドで整理しています。

ツール

得意な仕訳作業

向く場面

汎用生成AI(ChatGPT等)

非定型の候補出し・摘要整形

判断の入口を広げたい

会計ソフトのAI機能

明細からの定型自動仕訳

反復取引を自動化

業務特化AI(士業AI等)

会計用語に沿った仕訳補助

確認の手間を減らしたい

士業AIの会計AIでできること

士業AIは、日本の業務文書に強い日本語特化のAIチャットサービスです。会計AIは仕訳支援・月次決算・財務分析の補助に対応し、専門用語や実務フォーマットを前提に回答するため、汎用AIより確認の負担を抑えやすいのが特徴です。クレジットカード不要・メール登録のみで無料で始められ、自社の取引でどこまで使えるかをすぐ試せます。会計AI全体の活用像は会計AI活用入門にまとめています。個々のプロンプトを試した次のステップとして事務所全体へ広げたい場合は、税理士事務所のChatGPT導入事例で業務別のビフォーアフターと定着の5ステップを確認できます。

よくある質問(FAQ)

ChatGPTが出した仕訳をそのまま会計ソフトに入力してよいですか

おすすめしません。ChatGPTの仕訳はあくまでたたき台です。勘定科目の継続性、金額、消費税区分は人が確認し、確定したうえで入力してください。とくに決算に影響する仕訳は会計士・税理士の確認を経るのが安全です。

ChatGPTに勘定科目を判定させるとき、精度を上げるコツはありますか

判断の分かれ目になる情報を前提として渡すことです。飲食費なら「参加者の構成と人数」、ツール利用料なら「利用目的と契約形態」を書き添えます。金額基準がある論点は、基準額そのものをプロンプトに書いて渡すと誤答が激減します。

取引先名や金額を入力しても大丈夫ですか

機密情報はそのまま入力しないのが原則です。固有名詞や口座情報は仮名・記号に置き換え、利用するプランのデータ学習・保持の設定を事前に確認してください。社内で入力可否のルールを定めておくと安全です。

消費税区分の判定はAIに任せられますか

判定の材料を出させる用途には使えますが、最終判断は人が行ってください。相手先が適格請求書発行事業者かどうかは、国税庁の公表サイトや会計ソフトの設定で裏取りする必要があります。

月次チェックをAIに任せると、どのくらい時短できますか

効果が出るのは「確認論点を思い出す時間」です。試算表の異常値抽出やチェックリスト作成をAIに任せると、締め初日の段取りにかけていた時間を圧縮できます。一方で、原因の特定と修正仕訳の確定は人の作業として残る前提で見積もってください。

ChatGPTを経理業務に使うのと、経理特化のAIツールを使うのはどちらがいいですか

どちらが優れているかではなく、かかる手間の位置が違います。ChatGPTは汎用なので、会計の前提(法人か個人か・税抜か税込か・自社の科目一覧)を毎回自分で書く必要があり、その分だけ自由度があります。経理特化のAIは前提を初めから持っているため、短い質問で同水準の答えに届きますが、業務外の用途には向きません。月に数回なら汎用AIで十分で、毎日触るなら前提を書く手数が効いてきます。まず汎用AIで2〜3業務を試し、前提の書き直しが負担になってきた時点で特化型を検討する順序が無駄になりません。

ChatGPT以外の生成AI(Gemini・Claudeなど)でも同じプロンプトは使えますか

この記事のプロンプトは特定のサービスに依存した書き方をしていないため、他の生成AIでもそのまま使えます。役割・前提・入力・出力形式・制約の5要素は、どのAIでも精度を左右する共通の要素です。ただし表の出力形式の再現度や、長い明細を省略せずに扱えるかはサービスやプランによって差があります。乗り換えた直後は、同じプロンプトで同じ結果になるかを過去に答えが分かっている取引で1度検算してから本番の業務に使ってください。入力データの学習利用やログ保持の扱いもサービスごとに異なるため、社内で使うサービスの設定は必ず確認します。

経理でChatGPTを使うとき、会社の承認やルールは必要ですか

実データを扱う以上、使い始める前に社内の合意を取っておくほうが安全です。最低限、「入力してよい情報と、してはいけない情報」「使ってよいサービスとプラン」「AIの出力を誰が確認して確定するか」の3点を決めておけば動き出せます。完璧な規程を作ってから始めようとすると着手が半年遅れるため、まずは仮名化した明細で試す範囲から合意を取り、運用しながら具体化していくのが現実的です。

無料のChatGPTと会計ソフトのAI、どちらを使うべきですか

用途で使い分けます。非定型の候補出しや文面整形は生成AI、反復する定型取引は会計ソフトの自動仕訳が向いています。会計用語に沿った確認の手間を減らしたい場合は、業務特化のAIを併用すると効率的です。なお年末調整の時期に発生する定型の連絡業務は、年末調整の案内文・依頼文テンプレートを使えば同じ考え方で時短できます。

顧問先の補助金申請を支援するなら、補助金の事業計画書をAIで下書きする手順(税理士・会計事務所向け)もあわせてご覧ください。顧問先への案内文づくりまで効率化したい場合は、顧問料値上げの案内文テンプレートと角の立たない切り出し方の文例も参考になります。

記帳・仕訳以外の税理士業務でもChatGPTを活用したい場合は、税理士業務を横断して使えるChatGPTプロンプト集(業務別の例文15選)で申告書チェックや顧問先対応、税務調査などの例文をまとめて確認できます。顧問先が簡易課税へ切り替える場面では、消費税簡易課税制度選択届出書の書き方と提出期限で欄ごとの記入方法と期限の特例を確認しておくと安全です。

20本のプロンプトを毎月使い続けるために

ここまでの20本は、コピーすればそのまま使えます。ただ、実際に毎月使い続けている現場を見ると、勝敗を分けているのはプロンプトの質ではありません。前提条件を書き直し、取引先名を伏せ、保存先を探すという往復が、仕訳の入力より時間を食っているケースが珍しくないのです。

士業AIは会計・税務の前提を最初から持っているため、この記事のような長い前置きを書かずに「この領収書はどの勘定科目か」「この請求書の源泉徴収はいくらか」と聞くだけで同水準の答えが返ってきます。経理スタッフ向けの機能と料金は経理・バックオフィス向けの士業AIにまとめています。クレジットカード不要・メール登録のみで試せるので、まずは手元の1件の仕訳で手数の差を比べてみてください。

参考文献

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