会計×AI

経理のChatGPTプロンプト集|仕訳を時短する実例10選【2026年】

経理の仕訳にChatGPTを使うとは、取引内容や請求書の文面をAIに渡し、勘定科目の候補・摘要の整形・消費税区分の判定・仕訳の起票案を素早く作らせる使い方を指します。結論から言えば、ChatGPTは「仕訳のたたき台づくり」には十分実用的ですが、最終的な仕訳の確定は人が行う前提を崩してはいけません。AIの提案には誤りが混ざり、会計データの入力には情報漏洩リスクが伴うためです。

この記事では、経理担当者がそのままコピペで使える仕訳支援プロンプトを場面別に紹介し、AIに任せてよい範囲と人が必ず確認すべき範囲を判断するためのフレームを示します。読み終える頃には、自社の仕訳業務のどこをChatGPTで時短し、どこを人の目で守るかを自分で線引きできるようになります。

この記事で分かること

  • 経理の仕訳でChatGPTにできること・できないことの切り分け
  • 精度の高い回答を引き出す仕訳プロンプトの基本構造
  • 勘定科目推定・摘要整形・消費税区分判定・取引からの仕訳起票のコピペ用プロンプト
  • 消費税区分やインボイスをAIに任せる際の判断フレーム
  • 会計データを入力する際の情報漏洩・誤仕訳リスクと最終確認の進め方

経理の仕訳にChatGPTは使えるのか

ChatGPTは、自然言語で書かれた取引内容から勘定科目や仕訳の候補を提示することが得意です。一方で、自社の会計方針や継続性の原則、最新の税務上の取扱いまでは把握していません。実務では「考える時間を短縮する道具」として使い、判断そのものは経理担当者が握るのが安全な使い方です。

ChatGPTが得意な仕訳まわりの作業

現場で効果が出やすいのは、ゼロから書くより「整える・候補を出す」場面です。たとえば領収書の但し書きから摘要を整形する、見慣れない取引にどの勘定科目があり得るか候補を列挙する、といった作業はAIが速く正確に近い精度でこなします。判断の入口を広げ、調べ物の時間を圧縮できるのが最大の利点です。

  • 取引の説明文から勘定科目の候補を複数提示する
  • 領収書・明細の文面から仕訳の摘要を整形・統一する
  • 取引内容から借方・貸方の仕訳案(たたき台)を起票する
  • 消費税区分(課税仕入・非課税・対象外など)の検討材料を出す
  • 仕訳ルールや科目一覧をExcelに貼れる表形式で出力する

ChatGPTに任せてはいけない仕訳の領域

逆に、AIの出力をそのまま確定仕訳にしてはいけない領域があります。継続適用してきた自社固有の科目運用、金額の正確性、消費税区分の最終判断、決算に影響する経過勘定の計上などです。これらは誤ると修正申告や決算の誤りにつながるため、人が一次ソースに当たって確定する必要があります。

作業

ChatGPTの向き不向き

人の関与

勘定科目の候補出し

得意(候補列挙)

自社方針との整合を確認

摘要の整形・統一

得意

固有名詞・金額を目視

消費税区分の判定

補助(検討材料)

最終判断は必須

金額の計算・転記

不向き(誤りやすい)

原本と突合

決算整理仕訳の確定

不向き

会計士・税理士が確定

仕訳プロンプトの基本構造とコツ

同じ取引でも、指示の出し方次第で回答の精度は大きく変わります。実務で使えるプロンプトには共通の型があり、これを押さえるだけで再現性が一気に上がります。場当たり的に質問するのではなく、テンプレートとして保存して使い回すのが効率的です。

精度を上げる5つの要素

仕訳プロンプトには、役割・前提・入力・出力形式・制約の5要素を盛り込みます。とくに「出力形式を表で指定する」「分からない場合は推測せず質問させる」の2点は、誤った仕訳を防ぐうえで効果が大きい要素です。

  1. 役割:「あなたは日本の会計実務に詳しい経理担当です」と立場を与える
  2. 前提:会計期間・事業内容・税込/税抜経理などの条件を明示する
  3. 入力:取引日・相手先・内容・金額・支払方法を具体的に渡す
  4. 出力形式:借方/貸方/金額/税区分/摘要を表で返すよう指定する
  5. 制約:「不明点は確定せず質問」「最終判断は人が行う前提」と添える

コピペで使える基本テンプレート

まずは下記を土台にし、自社の前提に書き換えて使ってください。括弧内を埋めるだけで、最低限の精度が担保された仕訳のたたき台が得られます。

あなたは日本の会計実務に詳しい経理担当です。
以下の前提と取引から、仕訳のたたき台を作成してください。

# 前提
- 法人 / 税抜経理 / 当期は2026年4月〜2027年3月
- 事業内容:(例:ソフトウェア受託開発)

# 取引
- 取引日:(例)2026/06/10
- 相手先:(例)〇〇商事
- 内容:(例)来客用のお茶・コーヒーを購入
- 金額:(例)3,300円(税込)
- 支払方法:(例)法人クレジットカード

# 出力形式(この表のみ返す)
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 消費税区分 | 摘要 |

# 制約
- 勘定科目が複数あり得る場合は候補と理由も併記
- 不明点は確定せず、何を確認すべきか質問してください
- これは確定仕訳ではなくたたき台です

仕訳に限らず月次決算まわりのプロンプトをまとめて知りたい場合は、ChatGPTで月次決算を効率化する具体プロンプト集もあわせて参照すると、仕訳から締めまでの流れを通しで設計できます。

場面別・そのままコピペで使える仕訳プロンプト集

ここからは経理の現場で頻出する4場面について、コピペして使えるプロンプトを具体的に示します。いずれも前提を自社用に書き換えて使ってください。出力はあくまで候補・たたき台であり、確定前に必ず人が確認する点は共通です。

士業AIの会計AIは、こうした仕訳支援を会計実務向けにチューニングした日本語特化のサービスです。実際の挙動は次のデモで確認できます。

ASBJ等の公的情報を参照する会計特化AI のデモです。

1. 勘定科目を推定させるプロンプト

「この支出はどの科目か」を迷ったときに使います。候補を複数出させ、それぞれの理由を併記させることで、自社方針と照らして選びやすくなります。

次の取引について、考えられる勘定科目を3つまで候補として挙げ、
それぞれを選ぶ理由と、迷う場合の判断ポイントを表にしてください。

取引:取引先との打ち合わせで利用したカフェ代 1,200円
(参加者:自社2名・取引先1名)

出力:| 候補科目 | 理由 | 注意点 |

2. 摘要を整形・統一させるプロンプト

領収書の但し書きや明細の表記はバラバラになりがちです。摘要の書式を社内ルールに揃えると、後の検索性や監査対応が格段に楽になります。実務では、この整形作業を一括で任せると効果が大きい場面の一つです。

以下の領収書の但し書きを、経理の摘要として統一してください。
書式は「相手先/内容/用途」の順、全角40文字以内、固有名詞は残す。

1. 「お品代として」(〇〇文具店・コピー用紙)
2. 「飲食代 4名様」(△△レストラン・取引先接待)
3. 「タクシー」(××交通・来客送迎)

出力:| 元の但し書き | 整形後の摘要 |

3. 消費税区分を判定させるプロンプト

消費税の区分はAIが間違えやすい領域なので、判定の根拠まで答えさせて人が検証できる形にします。とくに非課税・対象外・課税仕入の切り分けは、最終的に経理担当者が確定する前提で使ってください。

次の各取引について、消費税区分の候補(課税仕入10%/軽減8%/
非課税/対象外)と、その根拠を簡潔に示してください。
確信が持てないものは「要確認」と明記してください。

1. 国内のクラウド会計ソフト月額利用料
2. 海外SaaSのサブスクリプション利用料
3. 従業員への慶弔見舞金
4. 印紙の購入

出力:| 取引 | 区分の候補 | 根拠 | 確認要否 |

4. 取引内容から仕訳を起票させるプロンプト

取引の説明文をそのまま貼り、仕訳案を一括で起票させる使い方です。複数行をまとめて処理させると、入力作業の下書きとして時短効果が高くなります。

以下の取引リストから仕訳のたたき台を作成してください。
当社は税抜経理、法人です。借方・貸方・金額・税区分・摘要を
表で返し、判断に迷う行には「※要確認」を付けてください。

- 6/1 サーバー利用料 22,000円(税込)を口座振替で支払
- 6/3 売上 110,000円(税込)が掛けで発生
- 6/5 切手を1,000円分 現金で購入

出力:| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 税区分 | 摘要 |

消費税区分・インボイスをAIに任せる際の判断フレーム

仕訳のなかでも消費税区分とインボイス対応は、AIの提案を鵜呑みにすると仕入税額控除を誤るリスクが高い領域です。AIは一般論を答えますが、個別の取引が適格請求書発行事業者からの仕入かどうかまでは判断できません。ここは制度の最新情報と原本の確認が欠かせません。

AIの答えを検証する3ステップ

消費税区分についてAIの回答を得たら、必ず次の順で検証します。AIは判断材料を出す役、確定は人という役割分担を徹底するのが安全です。

  1. 区分の妥当性:課税仕入・非課税・対象外などの区分が取引実態に合うか
  2. インボイス要件:相手先が適格請求書発行事業者か、登録番号が請求書に記載されているか
  3. 最新制度:経過措置や特例の適用時期が現行制度と合っているか

海外SaaSの利用料などは、相手先が日本のインボイス登録をしているかで取扱いが変わります。たとえばOpenAIは日本の適格請求書発行事業者として登録番号を取得しており、登録の有無や番号は国税庁 適格請求書発行事業者公表サイトで確認できます。AIの回答ではなく、こうした一次情報で裏取りするのが原則です。

制度は変わる前提で運用する

消費税やインボイスの取扱いは改正が続く分野です。ChatGPTの学習データには時点のずれがあり得るため、制度の要点は国税庁のインボイス制度・消費税の特集ページで確認する習慣を持つと安全です。会計ソフト側の税区分設定とAIの提案が食い違ったときは、ソフトと制度を優先します。

仕訳の入口をAIで時短しつつ、ソフトとの連携や税区分の設定まで含めて環境を整えたい経理スタッフの方は、業務効率化の進め方を体系的に整理しておくと迷いが減ります。

会計データをAIに入力する際のリスクと最終確認

仕訳プロンプトを使う最大の注意点は、入力する会計データに機密情報が含まれることです。取引先名・金額・口座情報などをそのまま外部AIに渡すと、情報管理上の問題になり得ます。便利さと安全性は両立できますが、そのためにはルールと最終確認の仕組みが必要です。

情報漏洩を防ぐ入力ルール

実務で多いのは、何気なく実データを貼ってしまうケースです。AIに渡す前に、識別情報を伏せるか、サービスのデータ取扱い設定を確認しておきます。OpenAIは、API・ChatGPT Team・Enterprise経由で送信されたデータをモデルの学習に使わないと公式に説明しており、API入出力の保持期間は不正利用監視のため既定で最大30日とされています。利用するプランの設定を正しく理解したうえで使うことが前提です(OpenAI公式の企業向けプライバシー説明)。

  • 取引先名・個人名・口座番号などは記号や仮名に置き換えて入力する
  • 学習利用やデータ保持の設定を事前に確認する
  • 無料・個人向けプランと業務向けプランのデータ取扱いの違いを理解する
  • 社内で「AIに入力してよい情報・ダメな情報」のルールを定める

誤仕訳を防ぐ最終確認の進め方

AIの仕訳案には、もっともらしく見えて誤っている提案(ハルシネーション)が混ざることがあります。金額の桁、税区分、科目の継続性は人が必ず確認します。とくに国税庁は税務行政のデジタル化を進めており、データに基づく分析が高度化しています(国税庁 税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)。仕訳の正確性は従来以上に重要になっています。

会計事務所として守秘義務とAI活用を両立させる観点は、会計事務所のセキュリティとAIの選び方でより詳しく整理しています。

ChatGPT以外の選択肢と士業AIの仕訳支援

仕訳のたたき台づくりには汎用のChatGPTも使えますが、会計用語や日本の実務フォーマットに最適化されたツールを選ぶと、確認の手間がさらに減ります。汎用AIと業務特化AI、会計ソフトのAI機能を組み合わせて、それぞれの得意分野で使い分けるのが現実的です。

汎用AI・特化AI・会計ソフトの使い分け

会計ソフト各社も自動仕訳・AI連携を強化しています。freeeやマネーフォワード、弥生といったクラウド会計は、明細データから仕訳を推測する機能を備えており、定型取引の自動化に向いています。一方、文面の整形や非定型の判断補助は生成AIが得意です。各ソフトの特徴は会計ソフト比較ガイドで整理しています。

ツール

得意な仕訳作業

向く場面

汎用生成AI(ChatGPT等)

非定型の候補出し・摘要整形

判断の入口を広げたい

会計ソフトのAI機能

明細からの定型自動仕訳

反復取引を自動化

業務特化AI(士業AI等)

会計用語に沿った仕訳補助

確認の手間を減らしたい

士業AIの会計AIでできること

士業AIは、日本の業務文書に強い日本語特化のAIチャットサービスです。会計AIは仕訳支援・月次決算・財務分析の補助に対応し、専門用語や実務フォーマットを前提に回答するため、汎用AIより確認の負担を抑えやすいのが特徴です。クレジットカード不要・メール登録のみで無料で始められ、自社の取引でどこまで使えるかをすぐ試せます。会計AI全体の活用像は会計AI活用入門にまとめています。

よくある質問(FAQ)

ChatGPTが出した仕訳をそのまま会計ソフトに入力してよいですか

おすすめしません。ChatGPTの仕訳はあくまでたたき台です。勘定科目の継続性、金額、消費税区分は人が確認し、確定したうえで入力してください。とくに決算に影響する仕訳は会計士・税理士の確認を経るのが安全です。

取引先名や金額を入力しても大丈夫ですか

機密情報はそのまま入力しないのが原則です。固有名詞や口座情報は仮名・記号に置き換え、利用するプランのデータ学習・保持の設定を事前に確認してください。社内で入力可否のルールを定めておくと安全です。

消費税区分の判定はAIに任せられますか

判定の材料を出させる用途には使えますが、最終判断は人が行ってください。相手先が適格請求書発行事業者かどうかは、国税庁の公表サイトや会計ソフトの設定で裏取りする必要があります。

無料のChatGPTと会計ソフトのAI、どちらを使うべきですか

用途で使い分けます。非定型の候補出しや文面整形は生成AI、反復する定型取引は会計ソフトの自動仕訳が向いています。会計用語に沿った確認の手間を減らしたい場合は、業務特化のAIを併用すると効率的です。

参考文献

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