IT導入補助金2026は名称変更|デジタル化・AI導入補助金の対象と申請手順
結論を3行で。
- 「IT導入補助金」は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」に名前が変わりました。検索で出てこないのは、無くなったからではありません。
- AIを積んだソフトも対象になります。ただし支援事業者が事務局にあらかじめ登録したツールだけ。自分で好きなAIを契約しても対象外です。
- いま動ける締切は2026年9月29日(火)17:00。GビズIDの取得など先にやることがあります。
この記事で分かること
- 制度の新しい名前と受付スケジュール
- 通常枠でいくら戻るのか(補助額と補助率)
- AIツールが対象になる条件と、なりにくいケース
- 申請の手順とつまずきどころ
IT導入補助金2026を探しても見つからない理由|名称が変わりました
新しい名前は「デジタル化・AI導入補助金2026」
「IT導入補助金 2026」で調べても出てこないのは、2026年度から呼び名が変わったからです。新しい名前は「デジタル化・AI導入補助金2026」、正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」。事務局はTOPPAN株式会社、公式ポータルは中小機構のドメインにあります。変更の理由は「より踏み込んだデジタル化推進とAI活用の重要性を周知するため」です。
名前にAIが入ったので誤解されがちですが、AI専用の申請枠は新設されていません。AI搭載ツールも既存の枠で申請します。「複数者連携デジタル化・AI導入枠」も、複数の中小企業が連携する枠であってAI専用ではありません。
2026年はいつから始まっている?受付開始と直近の締切
支援事業者の登録、ツールの登録、交付申請は、いずれも2026年3月30日(月)10:00から始まっています。すでに走っている制度です。直近で狙えるのは次の回。
- 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の5次締切:2026年9月29日(火)17:00(交付決定11月9日予定、実績報告期限2027年4月30日17:00予定)
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠の3次締切:2026年10月30日(金)17:00(交付決定12月10日予定)
締切時間を過ぎると、いかなる理由でも受け付けないと明記されています。直前はアクセスが集中するとの注意もあり、前日までに出し終える前提で動くのが安全です。
2026年の申請枠と補助額|確定していること・まだ決まっていないこと
先に「まだ決まっていないこと」から。通常枠などには6次締切分の回が用意されていますが、締切日は執筆時点で未公表です。公式にも「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」と注記があります。次があると当て込まず、9月29日を基準に考えるのが安全です。
通常枠:5万円〜450万円、補助率は原則2分の1
いちばん使われるのが通常枠。補助額は5万円〜150万円未満(1プロセス以上)と150万円〜450万円以下(4プロセス以上)の2段階です。「プロセス」は会計や人事といった業務のかたまりで、後ほど説明します。
補助率は2分の1以内。費用の半分までが戻る、という意味です。ただし、令和6年10月〜令和7年9月の間に、その期間の地域別最低賃金以上・令和7年度改定の最低賃金未満で雇う従業員が全体の30%以上だった月が3か月以上ある場合は、3分の2以内になります。
対象費用は、ソフトウェア購入費と導入関連費(機能拡張・データ連携などのオプション、導入コンサル・設定・研修・保守サポートといった役務)。クラウド利用料は最大2年分まで対象です。申請額が150万円以上なら賃上げ計画が必須、150万円未満は加点項目ですが、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は必須になります。
通常枠以外の4つの枠のおおよその上限も挙げておきます。細かい要件は必ず公式サイトで最新をご確認ください。
- インボイス枠(インボイス対応類型):ITツール〜350万円、PC〜10万円、レジ〜20万円。補助率は50万円以下が4分の3、超過分が3分の2
- インボイス枠(電子取引類型):〜350万円、補助率3分の2以内
- セキュリティ対策推進枠:5〜150万円、補助率2分の1以内(小規模事業者は3分の2)
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠:上限3,000万円、補助率3分の2以内
AIツールは補助の対象になるのか|結論と3つの条件
結論から言うと対象になり得ます。補助対象の「ITツール」は「労働生産性の向上に資するソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェアの総称」と定義され、AI搭載ソフトは排除されていません。ただし条件が付きます。
対象になるのは「登録されたITツール」だけ
補助を受けられるのはIT導入支援事業者が事務局に事前登録したツールから選んだものだけです。自社で良さそうなAIサービスを直接契約しても対象になりません。「まずツールを決める」のではなく「登録済みツールから選ぶ」という順番です。
汎用のチャットAIだけでは申請できない理由
登録されたツールには「プロセス」という業務の区分が紐づきます。共P-01の顧客対応・販売支援、共P-02の決済・債権債務・資金回収、共P-03の供給・在庫・物流、共P-04の会計・財務・経営、共P-05の総務・人事・給与・労務ほか、各業種固有のP-06。これとは別に汎P-07「汎用・自動化・分析ツール」があります。
ここが最重要です。汎P-07だけを持つツールは単独で交付申請できません。共P-01〜P-06と組み合わせて初めて1プロセスと数えられます。公式が汎P-07の例に挙げるのは、文書作成ソフト、表計算ソフト、メールソフト、OCR、グループウェア、社内チャットツール、WEB会議システムなど。文書作成やチャットに近い汎用ツールはここに入りやすく、単体では申請できません。
AI搭載かどうかは登録時に申告される
AI機能を積んだソフトは登録申請時に申告が求められ、公式のITツール検索画面などに「AI搭載」と表示されます。探すときの目印です。区分は(ア)生成AI(文章・画像・プログラム等を生成)と(イ)生成AI以外のAI技術(分類・分析・判断・予測)の2つ。
対象になりやすい例 | 対象になりにくい例 | 理由 |
|---|---|---|
会計や人事など特定業務を担う登録済みAI搭載ソフト | 登録されていないAIサービスの直接契約 | 登録済みツールからの選択が前提 |
共P-01〜P-06に紐づき汎用機能と組み合わせるツール | 汎用のチャット・文書作成機能しかないツール単体 | 汎P-07だけでは単独申請できない |
交付決定後に契約・発注した有料ツール | 無償提供のもの、金額が定まらないもの、リース・レンタル、中古品 | 共通の補助対象外に該当 |
申請の手順とつまずきやすい落とし穴
事前準備:GビズIDプライムとSECURITY ACTION
申請にはGビズIDプライムの取得が必須です。発行に時間がかかるので真っ先に着手を。あわせてIPAの「SECURITY ACTION」★一つ星または★★二つ星の宣言も必要です(交付申請情報の一部をIPAと共有することへの同意も求められます)。ほかに、本人が管理する携帯電話番号の登録、直近月の事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であること、他の補助金と重複しないこと、国内に本社と実施場所があることも要件です。
IT導入支援事業者を選び、導入するツールを決める
この制度はIT導入支援事業者とペアで進めるのが特徴です。まず相談し、登録済みツールから課題に合うものを選んで商談・見積依頼へ。事業計画の数字づくりは補助金の事業計画書をAIで下書きする手順を参照してください。
交付申請から実績報告までの流れ
- 支援事業者に相談し、GビズIDプライムを取得
- ITツールを選び、商談・見積依頼
- 支援事業者から招待を受け、申請マイページを開設
- 支援事業者と一緒に交付申請を作成
- 交付申請を事務局へ提出
- 交付決定を受ける(ここまでは発注しない)
- 交付決定後に契約・発注し、納品・導入、代金を支払う
- 事業実績報告を提出して補助金の交付を受け、事業実施効果報告を行う
通常枠の事業実施・実績報告の期間は「交付決定日から6ヶ月程度」とされています。
落とし穴1:交付決定より前に契約・発注すると対象外
いちばん多い事故がこれです。交付決定の前に購入・契約したツールは対象になりません。ほかに、申請代行費、交通費・宿泊費、消費税、申請時に金額が定まらないもの、無償提供のもの、リース・レンタル、中古品も対象外です。
落とし穴2:労働生産性と賃上げの「3年計画」が付いてくる
補助金は「もらって終わり」ではありません。交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を作り、実行する義務があります。目標は1年後に労働生産性3%以上の向上と、計画期間の年平均成長率3%以上(IT導入補助金2023の通常枠A・B類型/デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)、2024・2025の通常枠/複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は4%以上)です。
労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の事業者当たり総労働時間」で計算し、1人当たり給与支給総額や事業場内最低賃金とあわせて支援事業者と確認のうえ報告します。未達なら補助金の全部または一部を返還します。
落とし穴3:過去に採択された事業者は不利になることがある
加点には、中小機構「デジwith」の「IT戦略ナビwith」を交付申請前に実施して結果を添付する、「省力化ナビ」で解決策のPDFを確認する、健康経営優良法人2026やえるぼし・くるみんの認定などがあります。
減点は、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者、2026年のインボイス枠で申請中・交付決定済みの事業者、2024・2025で交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと今回が重なる事業者。完全に一致する場合は不採択です。加点を受けて採択されたのに要件を達成できなかった場合も、未達の報告から18か月間、中小企業庁所管の他の補助金で大幅に減点されます。
今からできること|9月29日の締切から逆算する
9月29日17:00に間に合わせるなら順番はひとつ。まずGビズIDプライムの申請とSECURITY ACTIONの宣言。並行して支援事業者に相談し、登録済みツールから候補を絞ります。数字を詰めるのはそのあとで構いません。
そしてもうひとつ、補助金を待たずに始められることがあります。AIが自社の業務に効くかは触らないと分かりません。無料で試せる範囲で、請求書のチェックや議事録の整理、問い合わせ文面の下書きに当ててみる。効いた業務が見えていれば、事業計画に書く効果の見込みも空論ではなくなります。
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よくある質問
Q. 好きなAIサービスを契約したら補助されますか?
A. されません。事前登録されたITツールから選ぶ必要があり、交付決定より前に契約・発注したものも対象外です。
Q. 通常枠はいくらもらえますか?
A. 5万円〜150万円未満(1プロセス以上)、または150万円〜450万円以下(4プロセス以上)。補助率は原則2分の1以内で、一定の賃金要件を満たす場合は3分の2以内です。
Q. 9月29日に間に合わない場合、次の回はありますか?
A. 6次締切分の回は用意されていますが、締切日は執筆時点で未公表です。公式サイトで最新をご確認ください。

