会計×AI

貸倒引当金の仕訳を実例で|洗替法・差額補充法と繰入限度額【2026年版】

貸倒引当金の仕訳は、覚えるべき場面が3つしかありません。「決算で繰り入れる」「翌期首(または翌期末)に前期分を戻す」「実際に貸し倒れたときに取り崩す」の3つです。難しいのは仕訳そのものではなく、いくら繰り入れてよいか(繰入限度額)と、会計と税務のズレをどう申告書で調整するかの2点に集約されます。

この記事では、会計事務所のスタッフや顧問先の経理担当者がそのまま自社の決算に使えるように、金額入りの仕訳例と判定の順番を並べました。

  • 決算・戻入・貸倒れの3場面の仕訳(借方・貸方・金額入り)
  • 洗替法と差額補充法の違いを、同じ数字で並べた比較
  • 個別評価と一括評価の分け方と、それぞれの繰入限度額
  • 法定繰入率と貸倒実績率、どちらを使えば有利か
  • 会計と税務のズレを別表四で調整する手順
  • 判定と仕訳ドラフトをAIに作らせるプロンプト4本

数値・率・要件は国税庁タックスアンサーと法人税法・同施行令・租税特別措置法の条文で裏を取っています(本記事は執筆時点で国税庁が公表している最新版のタックスアンサー〈令和7年4月1日現在法令等〉と、e-Gov法令検索の現行条文を参照しています。適用にあたっては必ず最新の条文をご確認ください)。

まず結論:貸倒引当金の仕訳テンプレート3つ

設例を1つ固定します。A社/3月決算/卸売業/資本金3,000万円の中小法人。前期末の貸倒引当金残高は350,000円、当期末の繰入限度額は480,000円とします(この480,000円の出し方は後半で計算します)。

1. 決算時:繰り入れる

借方

金額

貸方

金額

貸倒引当金繰入額

480,000

貸倒引当金

480,000

貸倒引当金は法人税法上、損金経理(=決算で費用として計上すること)が要件です。申告書だけで引当てることはできません(法人税法第52条第1項・第2項)。

2. 翌期:前期繰入分を戻す

借方

金額

貸方

金額

貸倒引当金

350,000

貸倒引当金戻入額

350,000

前期に損金算入した貸倒引当金は、翌事業年度に全額が益金の額に算入されます(法人税法第52条第10項)。これが「洗替(あらいがえ)」の正体です。

この戻入をいつ切るかは2通りあります。期首に切る方法と、決算時に上の繰入仕訳とセットで切る方法です。期首に切ると期中は引当金残高がゼロになるため、次の3番目の仕訳が変わります。以下は実務で多い「決算時にまとめて切る(期中は前期末残高350,000円が残っている)」前提で書きます。

3. 実際に貸し倒れたとき:取り崩す

得意先B社が破産し、前期末に計上していた売掛金300,000円が回収不能になった場合。

借方

金額

貸方

金額

貸倒引当金

300,000

売掛金

300,000

引当金残高を超える貸倒れが出たときは、超えた分を貸倒損失に落とします。貸倒額が500,000円で、期中の引当金残高が前期末の350,000円なら次のとおりです。

借方

金額

貸方

金額

貸倒引当金

350,000

売掛金

500,000

貸倒損失

150,000

なお、期首に全額戻入する方式を採っている場合は、期中の引当金残高がゼロなので、この貸倒れは全額が貸倒損失になります。どちらの方式かで仕訳が変わるので、自社の処理方法を先に確認してください。

現場でいちばん多い間違いが、この3番目です。当期に発生した売掛金が当期中に貸し倒れた場合、その債権は前期末の引当対象に入っていません。引当金を取り崩さず、全額を貸倒損失として処理するのが筋です。「引当金残高があるからとりあえず取り崩す」という処理をしていると、翌期の別表と残高が合わなくなります。

士業AI の会計AIは、こうした「どちらの処理が正しいか」の分岐を、根拠となる条文とセットで確認しながら進められます。経理担当者の方はバックオフィス向けの機能紹介もあわせてご覧ください。

洗替法と差額補充法:同じ残高でも仕訳が違う

ここまでの仕訳は「洗替法」で書きました。実務ではもう1つ「差額補充法」があり、期末残高は同じでも、期中に切る仕訳の本数と金額が変わります

同じ数字で並べてみる

前期末残高350,000円 → 当期末に必要な残高480,000円のケース。

方法

仕訳

P/Lへの影響

期末残高

洗替法

(戻入)貸倒引当金 350,000 / 貸倒引当金戻入額 350,000
(繰入)貸倒引当金繰入額 480,000 / 貸倒引当金 480,000

収益 +350,000
費用 -480,000
純額 -130,000

480,000

差額補充法

貸倒引当金繰入額 130,000 / 貸倒引当金 130,000

純額 -130,000

480,000

逆に、当期末の必要額が300,000円と前期より小さくなった場合、差額補充法では戻し入れる仕訳になります。

借方

金額

貸方

金額

貸倒引当金

50,000

貸倒引当金戻入額

50,000

どちらを選ぶべきか

会計基準側と税務側で、原則の置き方が逆になっているのが混乱の原因です。ここを整理しておくと迷わなくなります。

  • 会計(中小企業の会計に関する指針):貸倒引当金の計上は差額補充法によることを原則とする。ただし法人税法上の洗替法による繰入額を明らかにした場合は、洗替法による処理として取り扱うことができる
  • 税務(法人税法):前期の繰入額は翌期に全額益金算入。つまり洗替法が原則

この2つを橋渡ししているのが法人税基本通達11-1-1(貸倒引当金の差額繰入れ等の特例)です。差額補充法で処理していても、確定申告書に添付する明細書(別表十一)に相殺前の金額に基づく繰入れ・取崩しであることを明らかにしていれば、相殺前の金額で繰入れ・取崩しがあったものとして取り扱われます

したがって実務的な結論はこうなります。会計処理は差額補充法でよい。ただし別表十一には「繰入額480,000/取崩額350,000」という総額で書く。会計ソフト上は130,000円しか動いていないので、別表を作る担当者が総額を思い出せるよう、決算調書にメモを残しておくのが安全です。

損益計算書のどこに出すか

中小企業の会計に関する指針では、貸倒引当金繰入額の表示区分を債権の性格で分けています。

  • 営業上の取引に基づいて発生した債権に対するもの → 販売費
  • それ以外のもの → 営業外費用
  • 臨時かつ巨額のもの → 特別損失
  • 取崩額のほうが多い場合の取崩差額 → 特別利益

勘定科目の置き場所で迷ったときの考え方は、勘定科目に迷う9つのペアの判定基準でも整理しています。

個別評価と一括評価:まず債権を2つに仕分ける

繰入限度額の計算は、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権に区分して別々に行います(法人税法第52条第1項・第2項)。この区分を先に済ませないと、金額が出せません。

個別評価に回るのは「事実が起きている」債権だけ

個別評価金銭債権とは、特定の債務者に法定の事実が生じ、その一部について貸倒れが見込まれる債権です。法人税法施行令第96条第1項が挙げる事実は次の4類型に整理できます。

事実

繰入限度額

1号(長期棚上げ)

更生計画認可の決定、再生計画認可の決定、特別清算に係る協定の認可の決定など

債権額のうち、その事由が生じた日の属する事業年度終了の日の翌日から5年を経過する日までに弁済されることとなっている金額以外の金額(担保権の実行その他により取立て等の見込みがある部分を除く)

2号(実質基準)

債務超過の状態が相当期間継続し、事業に好転の見通しがない等により、一部の取立て等の見込みがない

その取立て等の見込みがない金額

3号(形式基準)

更生手続開始・再生手続開始・破産手続開始・特別清算開始の申立てなど

債権額から「実質的に債権とみられない部分」と「担保・保証等で取立て等の見込みがある部分」を除いた金額の50%

4号(外国政府等)

外国の政府・中央銀行・地方公共団体の長期の履行遅滞

債権額から「実質的に債権とみられない部分」と「保証債務の履行その他により取立て等の見込みがある部分」を除いた金額の50%

実務上の要注意点が1つあります。これらの事実が生じていても、その事実を証する書類を保存していないときは、事実は生じていないものとみなされます(法人税法施行令第96条第2項)。破産手続開始の申立書の写しや官報の該当ページなど、証憑を決算資料に綴じ込んでおいてください。

個別評価の仕訳例

得意先C社に対する売掛金4,000,000円。C社について破産手続開始の申立てがあった(3号・形式基準)。C社から受け入れている保証金が500,000円ある。

繰入限度額 =(4,000,000円 − 500,000円)× 50% = 1,750,000円

借方

金額

貸方

金額

貸倒引当金繰入額

1,750,000

貸倒引当金

1,750,000

そしてこの売掛金4,000,000円は、一括評価金銭債権からは除きます。個別評価に回した債権を一括評価にも入れると二重計上になります。なお、個別評価の繰入限度超過額を一括評価の繰入額に振り替えることはできません(法人税基本通達11-2-1の2)。

一括評価に入るもの・入らないもの

一括評価金銭債権は、売掛金・貸付金その他これらに準ずる金銭債権です。国税庁タックスアンサーNo.5500では、含まれるものと含まれないものが具体的に列挙されています。

含まれる

含まれない

売掛金、貸付金

預貯金・公社債の未収利子

未収の譲渡代金・加工料・請負金・手数料・保管料・地代家賃・貸付金の未収利子で益金の額に算入されたもの

保証金、敷金、預け金その他これらに類する債権

他人のために立替払をした立替金(前払給料・概算払旅費等に当たるものを除く)

手付金、前渡金等のように資産の取得の代価・費用の支出に充てるもの

未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの

前払給料、概算払旅費、前渡交際費等(将来精算される費用の前払)

保証債務を履行した場合の求償権

仕入割戻しの未収金

裏書譲渡・割引をした受取手形(その金額が財務諸表の注記等で確認できる場合に限る)

雇用保険法等の規定により交付を受ける給付金等の未収金

法人税法上のリース取引のリース料のうち、期末に支払期日が到来していないもの

未決済デリバティブ取引に係る差金勘定等の金額

もう1つ落とし穴があります。完全支配関係がある他の法人に対する金銭債権は、個別評価・一括評価とも対象から除かれます(法人税法第52条第9項第2号)。100%子会社への売掛金を一括評価に入れたまま申告してしまう誤りは、グループ会社を持つ顧問先で実際に起きます。

一括評価の繰入限度額:法定繰入率と貸倒実績率のどちらを使うか

ここが金額を決める本丸です。中小法人等には2つの計算方法があり、有利なほうを選べます

原則:貸倒実績率による計算

繰入限度額 = 期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額 × 貸倒実績率

貸倒実績率は、法人税法施行令第96条第6項に沿って次のように計算し、小数点以下4位未満を切り上げます

  • 分子:前3年内事業年度の(売掛債権等の貸倒損失額 + 個別評価分の損金算入額 − 個別評価分の益金算入額)× 12 ÷ 前3年内事業年度の月数合計
  • 分母:前3年内事業年度末の一括評価金銭債権の帳簿価額合計 ÷ 前3年内事業年度の事業年度数

「前3年内事業年度」は当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度を指します。月数は暦に従って計算し、1か月未満の端数は1か月とします。

特例:法定繰入率による計算(中小法人等)

中小法人・公益法人等・協同組合等・人格のない社団等(相互会社および外国相互会社を除く)は、貸倒実績率に代えて業種別の法定繰入率を使えます(租税特別措置法第57条の9、同施行令第33条の7)。

主たる事業

法定繰入率

卸売業および小売業(飲食店業・料理店業を含み、割賦販売小売業を除く)

1,000分の10

製造業(電気業・ガス業・熱供給業・水道業・修理業を含む)

1,000分の8

金融業および保険業

1,000分の3

割賦販売小売業、包括信用購入あっせん業、個別信用購入あっせん業

1,000分の7

その他の事業

1,000分の6

この率は「主たる事業」で判定します。複数事業を営む顧問先では、どの事業が主たる事業かの整理が先に必要です。

法定繰入率を使うときだけ必要な「実質的に債権とみられないものの額」の控除

ここを飛ばすと限度額を過大に計算してしまいます。法定繰入率で計算する場合は、一括評価金銭債権の帳簿価額から「その債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない金額」を控除します(租税特別措置法施行令第33条の7第2項)。同一の相手に売掛金と買掛金の両方がある、といったケースが典型です。

なお、平成27年4月1日に存する法人には簡便法があり、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度の実績から控除割合を求め(小数点以下3位未満切捨て)、それを当期の一括評価金銭債権の額に乗じて控除額とすることができます(同条第3項)。この簡便法は原則として「平成27年4月1日に存する法人」に限られるため、それ以降に設立された会社では使えません(同日後の適格合併で、合併法人・被合併法人のすべてが同日に存していた場合の救済はあります)。原則法で個別に拾う必要があります。

設例で有利判定してみる

冒頭のA社(卸売業・中小法人)の数字で並べます。

  • 期末一括評価金銭債権:売掛金45,000,000円 + 受取手形5,000,000円 = 50,000,000円
  • 実質的に債権とみられない金額:2,000,000円
  • 貸倒実績率:0.008

方法

計算

繰入限度額

貸倒実績率

50,000,000 × 0.008

400,000円

法定繰入率

(50,000,000 − 2,000,000) × 10/1000

480,000円

法定繰入率のほうが80,000円多いので、こちらを採用します。冒頭の仕訳で使った480,000円はこの数字です。両方を計算して比べるのが正解で、片方だけ計算して終わりにしている決算は珍しくありません。別表十一(一の二)には実績率による計算の欄と中小企業者等の特例(法定繰入率)の欄が用意されているので、様式どおりに埋めていけば自然と有利判定ができます。

そもそも繰り入れられる法人か(適用要件のチェック)

平成23年度税制改正(平成23年12月改正)で、貸倒引当金を繰り入れられる法人は限定されました(適用は平成24年4月1日以後に開始する事業年度から、経過措置あり)。国税庁タックスアンサーNo.5501が挙げるのは次の5区分です。

  1. 期末資本金(出資金)1億円以下の普通法人(投資法人・特定目的会社を除く)、または資本・出資を有しない法人。ただし次は除かれる
    • 大法人(①資本金・出資金5億円以上の法人、②相互会社・外国相互会社、③受託法人)による完全支配関係がある普通法人
    • 複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている普通法人
    • 大通算法人
  2. 公益法人等または協同組合等
  3. 人格のない社団等
  4. 銀行、保険会社その他これらに準ずる法人
  5. 金融に関する取引に係る金銭債権を有する一定の法人(リース債権を有する法人、貸金業者、質屋、信用保証業を行う法人など)

さらに法定繰入率の特例だけは、適用除外事業者が除かれます。適用除外事業者とは、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円超の法人等です。資本金1億円以下でも所得が大きい会社は、法定繰入率が使えず貸倒実績率のみになります。

会計と税務のズレを別表で調整する

会計上の取立不能見込額と、税務上の繰入限度額は一致しません。中小企業の会計に関する指針は、金融商品会計の考え方に沿って債権を3区分し、区分ごとに取立不能見込額を算定するよう求めています。

区分

定義

算定方法

一般債権

経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権

債権全体または同種・同類の債権ごとに、過去の貸倒実績率等の合理的な基準により算定

貸倒懸念債権

経営破綻には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか生じる可能性が高い債務者に対する債権

原則として債権金額から担保の処分見込額・保証による回収見込額を減額し、残額について財政状態と経営成績を考慮して算定

破産更生債権等

経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権

債権金額から担保の処分見込額・保証による回収見込額を減額し、その残額を取立不能額とする

同指針は、法人税法の繰入限度額相当額が取立不能見込額を明らかに下回っている場合を除き、繰入限度額相当額を貸倒引当金に計上することができるとしています。多くの中小企業で税務上の限度額をそのまま使っているのは、この定めによります。

会計が税務を上回った場合の申告調整

A社が、C社への債権の回収可能性を厳しく見て、会計上は800,000円の繰入れをしたとします。税務上の限度額は480,000円です。

年度

別表四での処理

金額

区分

当期

貸倒引当金繰入限度超過額を加算

320,000

留保

翌期

貸倒引当金繰入限度超過額認容を減算

320,000

留保

翌期に減算できるのは、洗替により前期繰入額が全額戻し入れられるためです。この超過額は別表五(一)で翌期に繰り越す一時差異になります。決算書と申告書の残高が合わないという相談の多くは、この繰越しの記録漏れです。

申告書に明細を書かないと原則として損金にならない

貸倒引当金の損金算入は、確定申告書に繰入額の損金算入に関する明細の記載があることが適用要件です(法人税法第52条第3項)。記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認めるときの宥恕規定はありますが(同条第4項)、当てにする前提で運用するものではありません。使う別表は次の2つです。

  • 別表十一(一):個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
  • 別表十一(一の二):一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書

決算前後にやることの全体像は、決算対策チェックリスト(期末3ヶ月前から打てる手)と、決算書チェックリストの作り方で整理しています。

AIに判定と仕訳ドラフトを作らせるプロンプト4本

貸倒引当金は「毎年やるが年1回しかやらない」典型的な業務です。手順を覚えきる前に1年経ってしまうので、手順そのものをプロンプトとして保存しておくと再現性が上がります。以下はそのまま貼って使える形にしてあります。【】の部分を自社の数字に差し替えてください。

大前提として、率・限度額・適用要件をAIの記憶に答えさせないでください。AIに任せるのは「与えた数字と与えた率で計算し、仕訳の形に整える」ところまでです。率や要件は国税庁の該当ページで人が確認し、プロンプトの中に書いて渡します。

プロンプト1:個別評価か一括評価かを仕分ける

あなたは法人税実務に詳しい会計事務所のスタッフです。
以下の債権一覧を、法人税法施行令96条1項の4類型(1号 長期棚上げ/2号 実質基準/
3号 形式基準/4号 外国政府等)に該当する「個別評価金銭債権」と、
それ以外の「一括評価金銭債権」に仕分けてください。

出力は表形式で、列は「取引先/債権額/区分(個別1号〜4号 or 一括 or 対象外)/
判定理由/確認すべき証憑」としてください。

判定に必要な情報が足りない場合は、勝手に仮定せず「要確認」と書き、
何を確認すべきかを具体的に指示してください。

【債権一覧】
・株式会社◯◯ 売掛金 4,000,000円 2026年6月に破産手続開始の申立てあり 保証金500,000円を受入中
・△△商事株式会社 売掛金 1,200,000円 通常取引
・当社100%子会社 株式会社□□ 貸付金 8,000,000円
(以下、自社の一覧を貼る)

うまくいかない例と直し方:単に「貸倒引当金の対象を教えて」と聞くと、一般論の説明が返ってきて手元の一覧が処理されません。号数を明示し、出力の列を指定し、「勝手に仮定しない」と書くことで、判定表として使えるものが返ってきます。完全支配関係のある法人への債権が対象外である点も、上の例のように一覧に含めておくと検算になります。

プロンプト2:法定繰入率と貸倒実績率の有利判定

次の前提で、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を
「法定繰入率による方法」と「貸倒実績率による方法」の両方で計算し、
有利なほうを結論として示してください。計算過程を必ず式で示してください。

【前提】
・主たる事業:【卸売業】/適用する法定繰入率:【10/1000】
・期末一括評価金銭債権:売掛金【45,000,000】円+受取手形【5,000,000】円
・実質的に債権とみられない金額:【2,000,000】円
・貸倒実績率:【0.008】(小数点以下4位未満切上げ後)
・個別評価に回した債権:【4,000,000】円(一括評価から除外済み)

【注意】
・実質的に債権とみられない金額の控除は、法定繰入率による方法にのみ適用してください
・私が与えた率以外の率を使わないでください
・端数処理の根拠も1行で書いてください

うまくいかない例と直し方:率を書かずに「うちは卸売なので」とだけ伝えると、AIが記憶から率を持ち出し、古い率(割賦販売小売業の1,000分の13など、令和3年4月1日前に開始する事業年度に適用されたもの)を使ってしまうことがあります。率は人が国税庁で確認して数字で渡すのが鉄則です。また「控除は法定繰入率にのみ適用」と明記しないと、貸倒実績率のほうにも控除を効かせた誤答が出ます。

プロンプト3:決算仕訳を洗替法・差額補充法の両方で書かせる

以下の前提で、貸倒引当金の決算仕訳を「洗替法」と「差額補充法」の両方で作成してください。
出力は借方科目/借方金額/貸方科目/貸方金額の表とし、それぞれの期末残高も示してください。
最後に、両者でP/Lの純額が一致していることを検算として1行で示してください。

【前提】
・前期末 貸倒引当金残高:【350,000】円
・当期末 繰入限度額(採用額):【480,000】円
・当期中の貸倒れ:得意先B社の売掛金【300,000】円(前期末時点で計上済みの債権)
・貸倒れの仕訳を含めた時系列で並べてください

うまくいかない例と直し方:「当期中の貸倒れ」がいつ発生した債権かを書かないと、AIは一律に引当金を取り崩す仕訳を作ります。「前期末時点で計上済みの債権」なのか「当期に発生した債権」なのかを明記してください。ここを区別できるかどうかが、貸倒引当金の実務で最も差が出るところです。仕訳の型を増やしたい方は、経理のChatGPTプロンプト集(仕訳を時短する実例10選)も参考にしてください。

プロンプト4:申告調整メモを作らせる

会計上の貸倒引当金繰入額と、税務上の繰入限度額に差がある場合の
別表四・別表五(一)の調整内容を、翌期の認容までセットでメモにしてください。

【前提】
・会計上の繰入額:【800,000】円
・税務上の繰入限度額:【480,000】円
・処理方法:会計は差額補充法、別表は洗替法の総額で記載

【出力】
1. 当期の別表四の加算・減算(金額と留保/社外流出の別)
2. 当期末の別表五(一)に残る金額
3. 翌期の別表四の処理
4. 決算調書に残しておくべきメモ(次年度の担当者が読んで再現できる粒度で)

うまくいかない例と直し方:「差額補充法で会計処理し、別表は総額で記載する」という前提を書かないと、会計処理と別表の金額がずれた説明が返ってきます。会計の方法と別表の記載方法を両方書くのがコツです。また「次年度の担当者が読んで再現できる粒度で」と指定すると、引き継ぎに耐えるメモになります。

汎用AIの限界と、業務特化AIの使いどころ

汎用のAIチャットは、上のように前提を作り込めば計算と文書化を十分こなします。一方で、率や適用要件そのものを尋ねると、改正前の内容を自信ありげに答えることがあります。「与えた条件で計算させる」のは得意、「制度そのものを思い出させる」のは不得意と割り切るのが安全です。

士業AI の会計AIは、この弱点を埋めるために、公的機関が公表している情報を参照しながら回答を組み立てる設計になっています。仕訳の下書き、月次の異常値チェック、決算整理の抜け漏れ確認までを1つの画面で扱えます。クレジットカード不要・メール登録のみで、数分で試せます。

まとめ:この順番で処理すれば迷わない

  1. 債権を個別評価一括評価に仕分ける(完全支配関係のある法人への債権は除外)
  2. 個別評価は4類型のどれかを判定し、証憑を確保したうえで限度額を計算する
  3. 一括評価は法定繰入率と貸倒実績率の両方で計算し、有利なほうを採る
  4. 法定繰入率を使うときだけ「実質的に債権とみられないものの額」を控除する
  5. 会計は差額補充法で仕訳し、別表十一には洗替法の総額で記載する
  6. 会計と税務の差額は別表四で加算し、翌期に減算して洗い替える
  7. 貸倒れが起きたら、前期末の引当対象だったかを確認してから取り崩す

この7ステップをそのままプロンプトの見出しにして、毎期の決算前に走らせるのが実務的です。判定の根拠と計算過程が文章で残るので、翌年の担当者が変わっても再現できます。

参考文献

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