税務×AI

税理士のChatGPTプロンプト集|業務別に使える例文15選【2026年】

税理士がChatGPTを業務で使う前に押さえる3原則

結論から言えば、税理士業務でChatGPTを活かすコツは「良いプロンプト(指示文)をコピペして使い回す」ことに尽きます。本記事では、月次・決算から申告書チェック、顧問先対応、税務調査、相続までの主要業務別に、そのままコピペして使える完成プロンプトを15個用意しました。各業務の深掘りは専用記事へ内部リンクで案内する、税理士のためのプロンプト集ハブです。

この記事で分かること

  • 効くプロンプトの共通テンプレート(役割設定・前提・出力形式の型)
  • 税理士の業務別にコピペで使えるChatGPTプロンプト15選
  • 「うまくいかない例→直し方」で精度を上げるコツ
  • 守秘義務・ハルシネーションを踏まえた安全な使い方
  • 汎用ChatGPTの限界と、税務特化AIへのステップアップ

原則1:AIは下書き・初期整理の支援、最終確認と責任は必ず人が負う

ChatGPTが得意なのは、文章の下書き、情報の整理、観点の洗い出しです。実務では、ゼロから考える時間を短縮する「たたき台生成器」として使うのが最も費用対効果が高い使い方です。生成された内容の正確性・妥当性を確認し、顧問先に対して責任を負うのは、あくまで税理士本人です。この前提はすべてのプロンプトで崩さないでください。

原則2:守秘義務(税理士法第38条)を守り、機密情報をそのまま貼らない

税理士には法律上の守秘義務があります(税理士法 第38条・e-Gov法令検索)。顧問先の氏名・法人名・マイナンバー・具体的な金額など、個人や法人を特定できる情報を汎用ChatGPTにそのまま入力するのは避けてください。現場では、固有名詞を【顧問先名】【対象年度】のようなプレースホルダに置き換え、数字も丸めて入力するのが安全です。個人情報保護委員会も生成AI利用時の注意を公表しています(生成AIサービスの利用に関する注意喚起・個人情報保護委員会)。

原則3:制度の数値は必ず一次情報で裏取りする

税率・控除額・提出期限などの制度の数値は、AIが古い情報や誤った内容(ハルシネーション)を返すことがあります。ChatGPTの回答は「あたり」をつけるための下書きと考え、最終的な数値は必ず国税庁の公式サイトなど一次情報で確認してください。本記事でも、具体的な税率や控除額は断定しません。

効くプロンプトの基本形(役割設定・前提・出力形式の型)

プロンプトが安定して効くかどうかは、「誰として・何を前提に・どんな形式で」を明示できているかで決まります。実務で使い回せる共通テンプレートは次の通りです。この型に業務内容を差し替えるだけで、どの業務にも応用できます。

あなたは経験15年の税理士事務所の担当者です。
以下の【前提】を踏まえ、【依頼】を実行してください。

【前提】
- 対象:【顧問先の業種・規模。固有名詞は書かない】
- 状況:【何を、いつまでに、誰向けに】
- 制約:制度の数値(税率・控除額・期限)は断定せず、確認が必要な箇所を明記する

【依頼】
【やってほしいこと】

【出力形式】
- 形式:【箇条書き / 表 / メール文面 など】
- 文体:【丁寧・簡潔 など】
- 分量:【400字程度 など】

うまくいかない例→直し方

うまくいかない例:「試算表を分かりやすく説明して」だけ入力する。→ 抽象的な一般論しか返らず、誰に向けた何字の文章かも定まりません。直し方:「社長向けに、専門用語を避けて、300字で、前月比の増減理由を3点に絞って」のように、読み手・分量・観点を指定します。指示の具体度が、そのまま出力の実用度になります。

【業務別①】日常業務のプロンプト(月次・決算/申告書チェック/記帳)

月次・決算対応:試算表の説明コメントを作る

月次監査や決算報告で、試算表の増減理由を社長向けにかみ砕く作業は毎月発生します。数値を丸めて貼れば、説明コメントのたたき台が数秒で得られます。

あなたは税理士事務所の担当者です。以下の試算表の要点を、
社長向けに専門用語を避けて300字で説明してください。
前月比で大きく動いた勘定科目を3点に絞り、増減の考えられる
理由を「〜の可能性があります」と仮説の形で示してください。
断定はせず、確認すべき点があれば最後に箇条書きにしてください。

【対象月】【対象年度・月】
【主な数値(丸めた金額でよい)】
売上高:前月◯◯→当月◯◯
売上原価:前月◯◯→当月◯◯
販管費:前月◯◯→当月◯◯

うまくいかない例→直し方:数値だけ貼ると「増収増益です」と表面的な感想で終わりがちです。「増減の“理由の仮説”を業種特性から挙げて」と観点を指定すると、面談で使える説明に近づきます。

申告書チェック・セルフレビュー:見落としやすい観点を洗い出す

申告書の最終チェックは人の目が主役ですが、AIは「確認観点リスト」の作成が得意です。レビュー前に観点を洗い出しておくと、確認漏れを減らせます。

あなたは法人税申告のレビュー担当です。
【業種・規模】の法人税申告書をセルフチェックする際に、
見落としやすい確認観点をチェックリスト形式で20項目挙げてください。
別表の整合、交際費・寄附金の損金算入、税額控除の適用漏れなど
論点別に分類し、各項目に「確認すべき理由」を一言添えてください。
※具体的な限度額の数値は書かず、確認すべき制度名のみ示すこと。

チェック観点の作り込みや別表の突合手順は、申告書チェックをAIでセルフレビューするプロンプトで詳しく解説しています。

記帳・仕訳:判断に迷う科目の相談

記帳・仕訳の効率化は独立したテーマなので、本記事では深追いしません。日々の仕訳や勘定科目の判断、証憑からの起票を効率化するプロンプトは、記帳・経理業務に特化したChatGPTプロンプト集にまとめています。仕訳を任せきりにせず、あくまで判断の補助として使うのが原則です。

【業務別②】顧問先コミュニケーションのプロンプト

顧問先対応メール:資料の督促を角を立てずに書く

資料の催促や報酬改定の案内など、気を使う文面ほどAIの下書きが効きます。トーンと要件を指定すれば、丁寧で角の立たない文面が得られます。

あなたは税理士事務所の担当者です。顧問先へ、決算に必要な
資料の提出をお願いするメールを作成してください。
・丁寧だが催促がましくない、やわらかいトーン
・提出期限と、未提出だと申告に影響する旨をさりげなく伝える
・箇条書きで必要資料を示す
・200〜250字、署名は不要

【顧問先の状況】【対象年度・提出期限・必要資料】

うまくいかない例→直し方:「督促メールを書いて」だけだと事務的で冷たい文面になりがちです。「日頃の感謝を一文入れて」「相手が忙しい前提で」と関係性を伝えると、実際に送れる温度感になります。顧問契約や値上げ交渉など難度の高い文面は、顧問先メールをAIで作成するテンプレート集を参照してください。

税務相談の回答ドラフト:論点を整理して回答骨子を作る

顧問先からの相談メールに、いきなり結論を書くのは危険です。まずは論点を構造化し、確認すべき事実と一次情報を洗い出す使い方が安全です。

あなたは税理士です。以下の顧問先からの相談について、
回答するために整理すべき論点と、追加で確認すべき事実を
洗い出してください。回答文そのものは作らず、
・論点(税目・適用要件ごと)
・確認すべき事実
・根拠として当たるべき条文や国税庁の資料名
の3つに分けて出力してください。数値や結論は断定しないこと。

【相談内容(固有名詞・金額は伏せる)】

うまくいかない例→直し方:「この相談に回答して」と丸投げすると、それらしいが裏取り不能な回答が返ります。「回答は作らず論点整理だけ」と役割を絞ることで、税理士の判断を助ける道具になります。回答書そのものの作り込みは税務相談の回答書をAIで作成するプロンプトで扱っています。

節税提案:提案の切り口を洗い出す

あなたは税理士です。【業種・規模・利益水準】の法人に対し、
検討に値する節税・課税繰延の「切り口」を一覧で挙げてください。
各項目に「一般的な考え方」と「適用時に確認すべき要件・リスク」
を添えてください。具体的な限度額や税率は書かず、
国税庁で確認すべき点として明示してください。

提案書の形にまで仕上げる手順は、節税提案書をAIで作成するプロンプトで解説しています。

【業務別③】専門・応用業務のプロンプト(税務調査/相続/改正リサーチ)

税務調査の準備:想定問答を作る

あなたは税務調査の立会い経験が豊富な税理士です。
【業種・規模】の法人税・消費税の調査で、調査官から
質問されやすい論点を想定問答形式で10組作成してください。
各組は「想定質問」「準備しておくべき資料」「回答の方向性」
の3点で構成してください。断定的な税額の話はしないこと。

論点別の深い想定問答は、税務調査の想定問答をAIでシミュレーションするプロンプトにまとめています。

相続税・資産税:初回面談のヒアリング項目を整理する

あなたは相続税申告に詳しい税理士です。相続税申告の
初回面談で確認すべきヒアリング項目を、財産の種類別
(不動産・金融資産・生命保険・債務など)に整理して
チェックリスト化してください。各項目に「なぜ必要か」を
一言添え、評価や税額の具体値は書かないでください。

相続税申告の進め方や評価の論点は、相続税申告をAIで進めるプロンプトで詳しく解説しています。

税法改正・調べ物:論点整理に使い、必ず一次情報で裏取りする

改正リサーチはAIが最も間違えやすい領域です。ChatGPTの回答は「調べる方向性のあたり付け」に留め、内容は必ず国税庁など一次情報で確認してください。

あなたは税務のリサーチ担当です。【調べたいテーマ】について、
確認すべき論点と、当たるべき一次情報(国税庁の資料名・
法令名)の一覧を作成してください。
※AIの知識は古い可能性があるため、具体的な数値・要件・
適用時期は断定せず、「一次情報で要確認」と明記すること。

うまくいかない例→直し方:「◯◯の改正内容を教えて」と聞くと、古い制度や存在しない条文を自信満々に返すことがあります。「内容は答えず、確認すべき一次情報の一覧だけ作って」と指示すれば、ハルシネーションのリスクを大きく減らせます。改正の調べ方は税法改正をAIで調べる際の裏取りプロンプトを参照してください。

そのほか:議事録・文章校正・Excel

【議事録】以下の面談メモを、決定事項・宿題(担当と期限)・
次回確認事項に分けて議事録に整理してください。曖昧な点は
「要確認」と明記してください。
【メモ】…

【文章校正】以下の事務所通信の文章を、意味を変えずに
読みやすく校正してください。専門用語には短い補足を添え、
硬すぎる表現をやわらげてください。
【原文】…

【Excel】次の集計をしたいです。使うべき関数と数式の例を、
数式の意味の説明つきで教えてください。【やりたい集計】…

各業務と代表プロンプト、深掘り記事の対応は次の一覧の通りです。

業務

代表プロンプトの用途

深掘り記事

記帳・仕訳

科目判断・起票の補助

記帳プロンプト集

申告書チェック

セルフレビュー観点出し

申告書チェック

顧問先メール

督促・案内文の下書き

顧問先メール

税務相談

論点整理・回答骨子

税務相談の回答

税務調査

想定問答の作成

調査シミュレーション

相続税

ヒアリング項目整理

相続税申告

汎用ChatGPTの限界と、税務特化AIへのステップアップ

ここまでのプロンプトで、汎用ChatGPTでも下書きや整理は十分に効率化できます。一方で実務では、守秘義務への配慮、最新制度への追随、事務所ナレッジとの連携といった点で汎用ツールの限界も見えてきます。両者の違いを整理すると次の通りです。

観点

汎用ChatGPT

税務特化AI

文章の下書き・整理

得意

得意

守秘義務・情報の扱い

入力内容に自己管理が必要

士業利用を前提に設計しやすい

制度の最新性・裏取り

古い情報や誤りのリスク

一次情報への導線を組み込みやすい

事務所業務への最適化

毎回プロンプトを工夫

業務向けに調整済み

「プロンプトを毎回工夫するのが大変」「顧問先情報の入力に不安がある」と感じ始めたら、税務業務に特化したAIへのステップアップを検討する段階です。私たちが提供する士業AIは、税理士の実務を前提に、下書き支援と一次情報確認を両立できるよう設計しています。汎用ツールで土台を作り、特化AIで精度と安全性を高める——この二段構えが現実的です。より体系的にAI活用を学びたい方は、税理士のAI活用 総合ガイドもあわせてご覧ください。

国税庁等の公的情報を参照する税務特化AI のデモです。

よくある質問(FAQ)

ChatGPTに税務相談をして、そのまま顧問先に回答してよいですか?

おすすめしません。ChatGPTの回答は下書き・論点整理として使い、内容の正確性の確認と最終判断は税理士本人が行ってください。制度の数値は国税庁など一次情報での裏取りが必須です。

顧問先の決算書や個人情報をChatGPTに入力しても問題ないですか?

固有名詞や具体的な金額など、個人・法人を特定できる情報の入力は避けてください。守秘義務(税理士法第38条)の観点から、プレースホルダへの置き換えや数値の丸めが安全です。

回答が間違っている(ハルシネーション)のを防ぐには?

「内容は答えず、確認すべき一次情報の一覧だけ作って」のように、AIに断定させず論点整理に徹させるのが有効です。特に税法改正の調べ物では、必ず一次情報で裏取りしてください。

無料版と有料版、どちらを使うべきですか?

業務での常用なら、情報の取り扱いや機能面から有料プランや業務向けプランの検討をおすすめします。いずれの場合も、入力する情報の範囲には注意が必要です。

参考文献

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