税務×AI

小規模事業者持続化補助金の申請ガイド【第20回】|締切・様式4とAI下書き術

結論から書きます。第20回の小規模事業者持続化補助金で最初に押さえるべき日付は、2026年12月15日(火)17:00の申請締切ではなく、その11日前の「2026年12月4日(金)=事業支援計画書(様式4)発行の受付締切」です。様式4は商工会・商工会議所に発行してもらう書類で、これが間に合わないと計画がどれだけ良くても申請を完了できません。公募要領には、受付締切以降の発行依頼は「いかなる理由があってもできない」と明記されています。

もう一つ。第20回は電子申請システムのみの受付で、郵送は一切受け付けません。電子申請にはGビズIDプライム(またはメンバー)のアカウントが必要で、取得には数週間程度かかります。実務上のスタートラインは「今日GビズIDの取得に着手できているか」です。

この記事で分かること

  • 第20回の確定スケジュール(受付開始・締切・様式4の締切・採択発表・実施期間)
  • 補助上限50万円が2つの特例で最大250万円まで伸びる仕組みと、特例が外れたときの怖い扱い
  • 第17〜19回の採択率の実データ推移(約51.0%→47.5%→47.2%)
  • 審査の観点に紐づけた、AIへの指示文サンプル4本(コピーして使えます)
  • 期限・上限額・要件をAIに答えさせてはいけない理由と、その代わりのやり方
  • 税理士・会計事務所が「代筆」にならずに顧問先を支援するための一線

第20回小規模事業者持続化補助金の確定スケジュール

第20回は一般型の通常枠です。公募要領は2026年5月27日に公開され、改訂を重ねて2026年7月21日公開の第8版が最新です。改訂が入る制度なので、申請時点の版を必ず自分の目で確認してください。

受付開始から採択発表まで

項目

期日

公募要領公開

2026年5月27日(水)/最新は第8版(2026年7月21日公開)

申請受付開始

2026年11月5日(木)

事業支援計画書(様式4)発行の受付締切

2026年12月4日(金)

申請受付締切

2026年12月15日(火)17:00

採択発表

2027年3月頃予定

見積書等の提出期限

2028年2月29日(火)

補助事業実施期間

交付決定日〜2028年3月31日(金)

実績報告書の提出期限

2028年4月10日(月)

現場で多いのは「12月15日から逆算して11月末に書き始めればいい」という読み違いです。様式4の発行には商工会・商工会議所との面談が挟まるため、窓口の混み具合次第では11月上旬に相談を始めていないと間に合いません。

様式4が申請の律速になる理由

事業支援計画書(様式4)は、事業者が自分で書く書類ではありません。地域の商工会または商工会議所が、事業者と面談したうえで発行します。手続きの流れは地区によって違います。

  • 商工会地区:電子申請システム内で発行依頼を出し、窓口で面談を受ける。発行されるとシステムに反映され、それまで申請を完了できない(商工会地区 事務局
  • 商工会議所地区:発行を受けた様式4のPDFを電子申請システムにアップロードするまで申請を完了できない(商工会議所地区 事務局

どちらも「自分の努力だけでは完了できない工程」が申請の途中に埋まっています。だから12月4日が実質的な締切です。

採択されても、通知書だけでは事業を始められない

後工程の事故も先に書いておきます。交付決定日より前の発注・契約・支出は補助対象外です。採択通知書が届いても、その後に届く交付決定通知書の日付を待たないと動けません。採択後に提出する見積書等の期限(2028年2月29日)を過ぎると採択そのものが取り消されます。

ここまでが制度の骨格です。ここから先は金額・審査・書き方の話に入りますが、申請準備で実際に時間を食うのは「頭の中にあることを審査員に伝わる文章にする」工程です。士業AIでは税理士向けの税務AIをはじめ、用途別のAIを無料で試せます。事務所として顧問先の申請支援に時間を割く前に、下書きの手数をどこまで減らせるかを一度確かめてみてください。

いくらもらえるのか——補助上限・補助率と、誰が使えるか

金額の設計は「基本+2つの特例の上乗せ」という構造です。ここの理解で事業計画の規模感が決まります。

補助上限と補助率の早見表

区分

補助上限

補助率

通常

50万円

2/3

インボイス特例を適用

+50万円(計100万円)

2/3

賃金引上げ特例を適用

+150万円(計200万円)

2/3(赤字事業者は3/4)

両方の特例を適用

+200万円(計250万円)

2/3(赤字事業者は3/4)

ここが最大の落とし穴です。特例は補助事業終了時点で要件を満たしていないと、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。「達成できなくても基本の50万円は残る」ではないので、特例を希望するかどうかは慎重に決めてください。

2つの特例の要件

賃金引上げ特例は、2027年4月1日〜2028年3月31日の12か月と前年同月の12か月を比べ、従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増やすことが条件です(加点審査で使う「賃金引上げ加点」は2.0%以上と基準が別なので混同しないでください)。直近1期または直近1年間の課税所得がゼロ以下の赤字事業者は、補助率が2/3から3/4に上がります。

インボイス特例は、補助事業終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けていることに加えて、次のいずれかに当てはまることが条件です。

  1. 2021年9月30日〜2023年9月30日の属する課税期間で、一度でも免税事業者だった
  2. 2023年10月1日以降に創業した

登録手続きは国税庁の適格請求書発行事業者の登録申請で確認できます。顧問先の課税期間ごとの免税・課税の履歴を追えるのは税理士側なので、ここは事務所が確認したい要件です。

補助対象者の範囲——士業法人も対象になりうる

「小規模事業者」の定義は業種で分かれます。

業種

常時使用する従業員数

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)

5人以下

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下

製造業その他

20人以下

加えて法人は、資本金5億円以上の法人に直接・間接に100%株式を保有されていないこと、申告済みの直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことが必要です。

意外と知られていないのが、弁護士法人・税理士法人などの士業法人も補助対象となりうる点です。一方、一般社団法人・医療法人・社会福祉法人・学校法人、申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。自事務所での活用も検討できます。

補助対象経費の8費目と、支払いのルール

対象経費は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の8費目です。支払方法にも厳格なルールがあり、実務の事故はたいていここで起きます。

  • 支払いは銀行振込が大原則。1取引10万円超(税抜)の現金支払は不可
  • 小切手・手形・相殺による支払いは不可
  • 発注総額(1件あたり)50万円超(税込)は2者以上の相見積が必要
  • 中古品の購入は金額にかかわらず相見積が必須

会計事務所として顧問先を見るなら、この4点は交付決定前に必ず伝えておきたい内容です。なお、ITツールやAIの導入が主眼なら別制度のほうが適していることがあります。持続化補助金と混同されやすいので、IT導入補助金2026の名称変更とデジタル化・AI導入補助金の対象もあわせて確認してください。

採択率の推移と、審査で見られている観点

「出せば通る補助金」と説明されることがありますが、実データはそう言っていません。独立行政法人 中小企業基盤整備機構が公表した直近3回の結果は次のとおりです。

公募回

締切

申請数

採択数

採択率

第17回

2025年6月13日

23,365件

11,928件

約51.0%

第18回

2025年11月28日

17,318件

8,229件

約47.5%

第19回

2026年4月30日

16,576件

7,819件

約47.2%

直近2回は50%を割り込み、おおむね2件に1件は不採択という水準です。申請数が減っても採択率が上がっていない点は、準備の質で差がつく制度だと読むべきでしょう。

基礎審査——ここを落とすと内容を読まれない

審査は基礎審査と計画審査の2段構えです。基礎審査は「満たさないと失格」の足切りで、①必要書類がすべて提出されている ②補助対象者・対象事業・補助率上限・対象経費の要件に合致している ③補助事業を遂行する能力がある ④小規模事業者が主体的に活動する取組である、の4項目です。④は後半で重要になります。

計画審査の4つの観点

基礎審査を通ると計画審査に進み、総合評価の高い順に採択されます。観点は4つです。

  1. 自社の経営状況分析の妥当性:強み・弱みを適切に把握しているか
  2. 経営方針・目標と今後のプランの適切性:市場や顧客のニーズを捉え、売上高・売上総利益の増加を目指すものか
  3. 補助事業計画の有効性:客観的事実に基づく目標設定か、実現可能性が高いか、新たな価値を生む商品・サービスか、デジタル技術を有効活用する取組が見られるか、取得資産を事業終了後も継続使用するか
  4. 積算の透明・適切性:事業に必要なものか、計上・積算が正確・明確か

③に「デジタル技術を有効活用する取組」が明示されている点は見逃せません。予約システムの導入や受注のオンライン化など、販路開拓と結びついたデジタル化は書きどころです。

加点は「合計2種類まで」——上限を超えると対象外

加点審査には【重点政策加点】と【政策加点】があり、それぞれ1種類ずつ、合計2種類まで選択できます。公募要領には、この選択上限を超えて選んだ場合は加点審査の対象にならないと明記されています。欲張って全部にチェックを入れると、加点がゼロになります。

  • 重点政策加点の例:赤字賃上げ加点、事業環境変化加点、東日本大震災加点、くるみん・えるぼし加点、健康経営優良法人加点
  • 政策加点の例:賃金引上げ加点、地方創生型加点、経営力向上計画加点、事業承継加点、過疎地域加点、一般事業主行動計画策定加点

また審査では提案内容のヒアリングが実施されず、提出資料だけで非公開に審査されます。口頭で補足する機会はないので、書面で伝わりきるかがすべてです。

AIに任せてよい作業と、絶対に任せてはいけない作業

任せてよい:頭の中の言語化と、文章の構造化

AIが得意なのは、事業者が話した断片的な情報を、審査の観点に沿った順序と粒度の文章に組み直すことです。

  • ヒアリングで出てきた「強み」の羅列を、経営状況分析の文章にまとめる
  • 専門用語だらけの説明を、業界を知らない審査員にも分かる言葉に直す
  • 書き上げた計画を観点①〜④に照らし、抜けている論点を洗い出す
  • 顧問先へのヒアリング項目を、観点から逆算して作る

任せてはいけない:期限・金額・要件などの制度事実

締切日、補助上限額、補助率、対象要件、加点の選択可能数。これらをAIに答えさせてはいけません。持続化補助金は回を重ねるごとに条件が変わってきた制度で、第1〜16回にあった枠の構成と現在の「通常枠+2つの特例」は別物です。AIが学習した情報が何回目の公募のものかは、答えの見た目からは判別できません。公募要領そのものも第20回だけで第8版まで改訂されています。

制度事実は自分で確認し、AIには文章づくりだけを任せる

使い方はシンプルです。公募要領のPDFから該当箇所を自分で読み取り、その数値をAIへの指示文の中に書き込んでしまう。AIには「与えた前提の範囲で文章を作る」役だけを担わせ、前提そのものは人間が一次情報で押さえます。補助金の事業計画書をAIで下書きする手順は制度をまたいで使える型なので、他の補助金も扱う事務所はあわせて読んでおくと応用が効きます。

審査の観点に紐づく、AIへの指示文サンプル4本

コピーして使える指示文です。【】の中は自社・自事務所の情報に置き換えてください。すべて「事業者本人から引き出した材料を渡す」ことが前提です。

観点①:自社の経営状況分析を言語化する

あなたは中小企業の経営計画づくりを手伝う相談員です。
以下は【事業者名】へのヒアリングメモです。これをもとに、
小規模事業者持続化補助金の「経営状況分析」の文章を600字で書いてください。

【ヒアリングメモ】
・業種:【例:住宅街の個人経営ベーカリー】
・従業員:【例:本人+パート2名】
・強みとして本人が挙げたこと:【例:地元産小麦、朝6時から焼く、常連との会話】
・弱みとして本人が挙げたこと:【例:平日午後の来店が少ない、SNSをやっていない】
・直近3期の売上:【例:1,850万円 → 1,720万円 → 1,690万円】

条件:
- ヒアリングメモに書かれていないことは書かないでください。
- 強みは「なぜそれが強みなのか」を、顧客から見た価値として説明してください。
- 弱みは言い訳せず、事実として書いてください。
- 数字は必ずメモの数字だけを使ってください。

うまくいかない例と直し方:メモを渡さず「ベーカリーの経営状況分析を書いて」とだけ頼むと、「地域密着で高品質なパンを提供」といった、どの店にも当てはまる文章が返ってきます。審査で評価されるのは自社固有の事実なので、材料を渡さない聞き方はしないでください。

観点②:経営方針と目標を、売上の増加につなげて書く

以下の経営状況分析を読んで、小規模事業者持続化補助金の
「経営方針・目標と今後のプラン」を500字で書いてください。

【経営状況分析】
(観点①で作った文章を貼り付け)

【本人が考えている打ち手】
【例:平日午後にカフェ席を作り、近隣の在宅ワーカーを取り込みたい】

条件:
- 誰に何を売るのかを最初の2文で明確にしてください。
- 対象とする市場や顧客のニーズを、経営状況分析の事実と結びつけてください。
- 売上高・売上総利益がどう増えるのかの道筋を必ず含めてください。
- 根拠のない数値目標は書かないでください。

観点③:補助事業の効果を、客観的事実に基づいて書く

小規模事業者持続化補助金の「補助事業計画」のうち、
取組の内容と期待される効果を700字で書いてください。

【今回の補助事業】【例:店舗の一部を改装してカフェ席を6席設置し、
モバイルオーダーの予約システムを導入する】
【経費の内訳】【例:改装工事 60万円、予約システム初期費用 18万円】
【根拠になる事実】【例:近隣に在宅勤務者向けのコワーキング施設が2件、
平日午後の来店は1日平均4組で朝の3分の1】

条件:
- 効果は「根拠になる事実」から導ける範囲だけを書いてください。
- 事実にない数値目標を作らないでください。
- 導入する設備を補助事業の終了後も継続して使う想定を明記してください。
- デジタル技術をどう活かすかに1段落を割いてください。

うまくいかない例と直し方:「効果を魅力的に書いて」と頼むと「売上30%増を見込む」のような根拠のない数字が返ります。計画審査は客観的事実に基づく目標設定かを見るため、根拠を渡し、そこから導ける範囲に限る条件を付けるのが要点です。

書いた計画を、審査の観点で点検させる

以下は小規模事業者持続化補助金の申請書の下書きです。
公募要領の計画審査の観点に照らして、弱い箇所を指摘してください。

【観点】
①自社の経営状況分析の妥当性(強み・弱みを適切に把握しているか)
②経営方針・目標と今後のプランの適切性(市場や顧客のニーズを捉え、
 売上高・売上総利益の増加を目指すものか)
③補助事業計画の有効性(客観的事実に基づくか、実現可能性、
 新たな価値、デジタル技術の活用、取得資産の継続使用)
④積算の透明・適切性

【下書き】
(申請書の本文を貼り付け)

条件:
- 観点ごとに「満たしている点」と「弱い点」を分けて指摘してください。
- 弱い点には、どんな情報を追加すれば強くなるかを併記してください。
- 文章の書き直しはせず、指摘だけしてください。

より汎用的な聞き方の型は税理士のChatGPTプロンプト集にまとめています。

税理士・会計事務所が顧問先を支援するときの一線

「事務所が代わりに書く」は制度が想定していない

公募要領には、社外の代理人のみで商工会・商工会議所へ相談したり様式4の発行依頼をすることはできない、と明記されています。さらに「事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、自らが検討していなかったことが発覚した場合、評価に関わらず不採択・交付決定取消」とあります。基礎審査の「小規模事業者が主体的に活動する取組であること」と表裏一体で、事務所が良い文章を書けば書くほど危険になりうる構造です。

第三者の支援を受けたら、様式2に書かないと虚偽報告になる

もう一段、重い規定があります。第三者の支援(有償・無償を問わず)を受けている場合、様式2の「商工会・商工会議所を除く第三者からのアドバイスの有無」に、相手方と金額(着手金・成功報酬その他名目を問わず)を記載しなければなりません。記載がなければ虚偽の報告として不採択・交付決定取消です。公募要領には「高額なアドバイス料金」を請求する業者への注意喚起も明記され、不正受給は5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金と定められています。支援した事実は、隠すのではなく正しく書く。それだけです。

だからAIは「代筆装置」ではなく「言語化の道具」として使う

ここまで読むと、AIの正しい位置づけが見えてきます。AIは事業者本人の頭の中にあるものを言語化する道具であって、本人の代わりに考える装置ではありません。実務ではこの順序になります。

  1. 事務所は聞き役に徹する。強み・弱み・やりたいこと・その根拠を本人の言葉で引き出し、メモにする
  2. そのメモを材料としてAIに渡し、審査の観点に沿った文章に組み直す
  3. 出てきた文章を事業者本人に読ませ、「自分の考えと違う」箇所を本人に直させる
  4. 数値と制度要件を事務所が検算し、商工会・商工会議所の面談へ本人と臨む

この進め方なら、事務所がやっているのは「引き出す」と「整える」であって「代わりに考える」ではありません。基礎審査④とも矛盾しません。

事務所側の負担をどこで減らすか

この進め方は、事務所にとってヒアリングの時間が増えることを意味します。増えた分は文章づくりの側で減らすしかありません。士業AIは、税務AI・会計AI・法務AI・業務効率化AIを用途で使い分けられるサービスです。税務AIは国税庁等の公的情報を参照して答えるため、根拠がどこから来ているかを確かめながら使えます。クレジットカード不要、メール登録のみで数分から始められます。

最初にやるべき3つのこと

第20回を狙うなら、今日から動くべきことは3つです。

  1. GビズIDプライムの取得に着手する。数週間程度かかり、これがないと電子申請システムに入れません
  2. 地域の商工会・商工会議所に、様式4の相談枠がいつ埋まるかを確認する。12月4日が実質の締切です
  3. 第8版の公募要領で、自社が使える特例と加点を2種類まで選び直す

そのうえで、経営計画と補助事業計画の文章づくりにAIを使ってください。期限・金額・要件は自分の目で公募要領を確認し、その前提をAIに渡す。この順序さえ守れば、AIは申請準備の強い味方になります。

参考文献

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