税務×AI

顧問料値上げの案内文テンプレート|税理士が顧問先に切り出す文例+AIプロンプト【2026年】

顧問料の値上げは、税理士にとって最も切り出しにくい話のひとつです。品質を保つために改定は避けられないのに、「顧問先の反応が怖い」「解約されたらどうしよう」という不安から、何年も据え置いてきた事務所は少なくありません。本記事では、既存の顧問先に顧問料の改定(値上げ)を角が立たないように伝える案内文を、メール版・書面版・据え置き交渉版まで、そのままコピペして使える完成テンプレートとして用意しました。値上げ理由の書き方やAIで文面を数分で仕上げるプロンプトも合わせて解説します。

この記事で分かること:

  • 顧問料値上げの案内文で外してはいけない3つの原則
  • 物価・人件費・業務量増を「角が立たない言葉」に変える理由の書き方
  • メール版・書面版・段階的改定・据え置き交渉のコピペ用テンプレート
  • 案内文をAIで下書きし、トーンまで調整するプロンプト集

顧問料値上げの案内文で外さない3つの原則

テンプレートに入る前に、どんな文面でも共通して押さえるべき考え方を整理します。ここを外すと、いくら丁寧な文章でも顧問先の心証を損ねてしまいます。値上げの案内は「文章のうまさ」より「伝える順番と準備」で決まります。

「予告 → 理由 → 選択肢」の順で伝える

値上げの話は、いきなり金額から入ると相手は身構えます。順番として効果的なのは、まずいつから改定するかを予告し、次になぜ改定が必要かの理由を説明し、最後に相手が取れる選択肢(現状維持で範囲を絞る/段階的に上げるなど)を示す流れです。「一方的な通告」ではなく「相談の余地を残した案内」に見せることが、関係を壊さない最大のコツです。

タイミングは改定日の2〜3か月前・区切りに合わせる

現場で多いのは、契約更新月・年度替わり・決算期の切り替わりなど、顧問先にとっても料金を見直しやすい「区切り」に合わせて案内するパターンです。改定日の直前ではなく、少なくとも2〜3か月前には通知しておくと、顧問先も社内の予算調整がしやすくなり、「急に言われた」という不満を避けられます。年度替わりのタイミングでは、年末調整の案内文テンプレートと依頼文例のように、他の定例連絡とまとめて案内すると自然です。

口頭だけで済ませず、書面かメールで残す

「次回から少し上げますね」という口頭の合意は、後で「言った・聞いていない」のトラブルの火種になります。金額・改定日・対象業務を明記した案内文を、メールか書面で必ず記録として残すのが実務の鉄則です。あわせて、既存の顧問契約書に料金改定の条項や通知期間の定めがないかを確認しておきましょう。契約書側の見直しについては顧問契約書のひな形と必須条項を参考に、改定条項の有無をチェックしておくと安心です。

値上げ理由の書き方|物価・人件費・業務量増を角の立たない言葉に

案内文の成否を分けるのは「理由の書き方」です。同じ値上げでも、書き方次第で「納得できる」か「一方的だ」に受け取られ方が変わります。

使ってよい理由・避けたい理由

顧問先が納得しやすいのは、事務所側の都合ではなく、サービスを維持するために必要だと伝わる理由です。具体的には次のように整理できます。

伝わりやすい理由

避けたい・補足が要る理由

人件費・システム費など運営コストの上昇

「事務所の売上を伸ばしたい」など自社都合の表現

電子帳簿保存法・インボイスなど制度対応で増えた業務量

「他の顧問先と比べて安いから」という相対比較

これまで無償対応していた範囲を正式なサービスに含める

理由を書かず金額だけ通知する

ポイントは、値上げを「値上げ」ではなく「品質を維持するための改定」として位置づけることです。「これまで通りの対応を続けるために、料金を見直させていただきたい」という誠実なスタンスが、結果的に解約を防ぎます。

社会全体で価格転嫁が進む文脈を味方につける

近年は、コスト上昇分を適正に価格へ反映する「価格転嫁」が社会全体で後押しされています。内閣官房と公正取引委員会は「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を示し、発注者に対して、取引先から人件費上昇を理由とした価格改定を求められたら協議に応じるよう促しています(公正取引委員会「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に係る取組)。人件費など労務費の転嫁は原材料費やエネルギーコストに比べて進みにくいことが公的にも問題視されており、この指針は2026年1月1日に改正が施行されています。

案内文で「昨今の物価・人件費の上昇を踏まえ」と書くことは、社会的にも認知された流れに沿った説明であり、決して事務所のわがままではありません。この背景を頭に入れておくと、値上げを切り出す心理的なハードルも下がります。

値上げ幅と改定日の示し方

金額は、現行と改定後を並べて差額と改定日をはっきり示すのが親切です。「現行 月額◯◯円 → 改定後 月額◯◯円(◯年◯月分より)」のように書きます。値上げ幅が大きい場合は、後述する段階的改定(1年目・2年目で分けて上げる)を選択肢として添えると、相手の抵抗感を和らげられます。

【コピペ可】顧問料値上げの案内文テンプレート(メール版)

ここからは、そのまま使える案内文です。【 】の部分を自事務所の情報に置き換えるだけで使えます。まずは最も使用頻度の高いメール版から。

基本形(全顧問先へ一律で改定)

件名:顧問報酬改定のご案内(【◯年◯月分】より)

【顧問先名】
【ご担当者名】様

いつも大変お世話になっております。
【事務所名】の【担当者名】でございます。

このたび、より安定したサービスをご提供し続けるため、
顧問報酬を下記のとおり改定させていただきたく、ご案内申し上げます。

■ 改定内容
 現行 月額 ◯◯,◯◯◯円(税抜)
 改定後 月額 ◯◯,◯◯◯円(税抜)
 適用開始 【◯年◯月分】のご請求より

■ 改定の理由
 昨今の人件費・システム費用の上昇に加え、
 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応などで
 日々の業務範囲が広がっております。
 これまでと変わらない品質でご支援を続けるため、
 やむを得ず見直しをお願いする次第です。

ご不明な点やご相談がございましたら、
遠慮なくお申し付けください。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

【事務所名】
【担当者名】
【連絡先】

長期・低価格でお付き合いのある顧問先向け(丁寧版)

長年据え置いてきた相手には、これまでの感謝と「本来はもっと早く見直すべきだった」という一言を添えると、値上げが唐突に映りません。

件名:顧問報酬改定のお願い(【◯年◯月分】より)

【顧問先名】
【ご担当者名】様

平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

【顧問先名】様には長年にわたりお付き合いをいただき、
その間、顧問報酬を据え置いたままとしてまいりました。
一方で、業務量の増加や運営コストの上昇が続いており、
これまでと同じ体制を維持することが難しくなってまいりました。

つきましては、誠に心苦しいお願いではございますが、
【◯年◯月分】より顧問報酬を月額 ◯◯,◯◯◯円(税抜)へ
改定させていただきたく存じます。

もし現在のご予算内での調整をご希望の場合は、
対応範囲の見直しなど、代替のご提案もございます。
一度お打ち合わせのお時間をいただけますと幸いです。

今後とも変わらぬご支援を賜れますよう、
何卒よろしくお願い申し上げます。

【コピペ可】顧問料改定のご案内(書面版)

正式な通知として郵送する場合は、日付・宛名・差出人を整えた書面が向いています。取締役会や経理部門で回覧される前提なら、書面のほうが社内で通りやすいこともあります。

郵送・PDF用の書面テンプレート

【◯年◯月◯日】

【顧問先名】
代表取締役 【氏名】様

【事務所名】
代表 【氏名】

顧問報酬改定のご案内

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、かねてより据え置いてまいりました顧問報酬につきまして、
昨今の人件費および運営コストの上昇、ならびに
関連制度への対応に伴う業務量の増加を踏まえ、
下記のとおり改定させていただきたく、ご案内申し上げます。

貴社にはこれまで通り、変わらぬ品質でご支援を
続けてまいる所存でございます。何卒ご理解を賜りますよう
お願い申し上げます。

敬具

記
一、改定内容 月額 ◯◯,◯◯◯円(税抜)→ 月額 ◯◯,◯◯◯円(税抜)
一、適用開始 【◯年◯月分】のご請求より
一、対象業務 【月次顧問・記帳指導・税務相談 ほか】
以上

段階的改定(2段階)を伝える文例

値上げ幅が大きいときは、一度に上げず段階的に改定する旨を示すと、相手の負担感が下がります。書面・メールどちらの本文にも差し込めます。

なお、ご負担に配慮し、下記のとおり段階的に改定させていただきます。
 第1段階 【◯年◯月分】より 月額 ◯◯,◯◯◯円(税抜)
 第2段階 【◯年◯月分】より 月額 ◯◯,◯◯◯円(税抜)
急な変更とならないよう配慮いたしましたので、
ご理解いただけますと幸いです。

据え置き交渉・解約懸念への備えと返信文例

案内を出せば、一定の割合で「値上げは難しい」「今のままにしてほしい」という反応が返ってきます。ここで感情的にならず、あらかじめ返信文を用意しておくと落ち着いて対応できます。

「据え置いてほしい」と言われたときの返信文例

全面的に断るのではなく、金額を据え置く代わりに対応範囲を調整するという着地点を示すのが実務的です。

ご返信ありがとうございます。ご事情、承知いたしました。

現在の月額を維持する形をご希望の場合は、
これまで随時お受けしていた【スポットのご相談・資料作成】を
別途料金でのご対応に整理させていただくことで、
基本の顧問報酬を据え置く案がございます。

どちらがご都合に合うか、一度ご相談させてください。
貴社のご負担が過度にならない形を一緒に考えさせていただきます。

解約をほのめかされたときの考え方と文例

解約の示唆があっても、まず慌てないことです。実務では、値上げ幅が相場から大きく外れていない限り、丁寧な説明で多くの顧問先は継続します。それでも他社へ移る意向が固い場合は、引き止めに固執せず、円満な引き継ぎに切り替えます。契約書の解約予告期間は事務所ごとに異なるため、必ず自事務所の契約条項を確認してから対応してください。

ご検討の結果、承知いたしました。
これまでご信頼いただきましたこと、心より御礼申し上げます。

引き継ぎにあたっては、必要な資料・データを
滞りなくお渡しできるよう準備いたします。
後任の税理士様が決まりましたら、
スムーズな移行のためにご連絡先を共有いただけますと幸いです。

またご縁がございましたら、いつでもご相談ください。

なお、新規に顧問契約を結ぶ際の料金提示や見積は、既存顧問先への改定案内とは考え方が異なります。新規受注向けの提案書づくりは顧問契約の提案書・見積をAIで作る方法で別途解説しています。

顧問料値上げの案内文をAIで作る手順とプロンプト集

ここまでのテンプレートは汎用的な雛形です。実際には顧問先ごとに事情が違うため、AIに顧問先の状況を伝えて個別の文面に仕上げるのが効率的です。汎用の生成AI(ChatGPTやClaudeなど)でも、次のプロンプトでかなり実用的な案内文が作れます。

基本プロンプト(案内文の骨子を作る)

あなたは税理士事務所の担当者です。以下の条件で、既存の顧問先に
顧問報酬の値上げを伝えるメール文面を作成してください。

# 前提
- 顧問先:【法人/個人事業主】、業種【 】
- 関係:【◯年間の付き合い・これまで値上げなし】
- 現行:月額【◯◯円】→ 改定後:月額【◯◯円】
- 改定日:【◯年◯月分】より
- 値上げ理由:人件費上昇、制度対応による業務量増

# 指示
- 「予告 → 理由 → 相手が取れる選択肢」の順で構成する
- 一方的な通告ではなく、相談の余地を残したトーンにする
- 感謝と誠実さが伝わる敬語で、ビジネスメールの体裁にする
- 300〜400字程度で簡潔に

士業AIのような税務特化のAIであれば、顧問先の状況や過去のやり取りを踏まえた案内文づくりがさらにスムーズです。実際の画面イメージは次のデモで確認できます。

国税庁等の公的情報を参照する税務特化AI のデモです。

トーン調整・据え置き交渉への返信プロンプト

できあがった文面が硬すぎる・冷たいと感じたら、トーンだけを直させます。

次の値上げ案内メールを、
「10年以上お付き合いのある顧問先向け」に、
より柔らかく感謝が伝わるトーンに書き換えてください。
金額・改定日・改定理由は変えないでください。

【ここに文面を貼り付け】

据え置きを求められたときの返信も、条件を渡せば選択肢つきで作れます。

顧問先から「値上げは難しいので据え置いてほしい」と返信がありました。
基本の顧問報酬を維持する代わりに、スポット相談を別料金に整理する案を
提示する、丁寧な返信メールを作成してください。相手を否定せず、
一緒に負担を調整する姿勢を示すトーンでお願いします。

うまくいかない例と直し方

AIに丸投げすると、次のような「使えない文面」が出がちです。事前に対策を知っておきましょう。

  • 大げさで謝りすぎる:「誠に申し訳ございません」を連発すると、値上げが「悪いこと」に見えてしまう。→ プロンプトに「過度に謝罪せず、品質維持のための改定として前向きに伝える」と指定する。
  • 金額や改定日を勝手に創作する:AIは空欄を埋めようと数字を推測することがある。→ 金額・日付は必ず自分で最終確認し、プレースホルダのまま出力させて後から差し込む。
  • 理由が抽象的で説得力がない:「諸般の事情により」だけでは伝わらない。→ 人件費・制度対応・業務量増など、具体的な理由を前提に含めて渡す。

汎用AIでもここまでできますが、顧問先データの扱いや税務の文脈まで踏まえた対応を任せたいなら、税務特化のAIが安心です。士業AIの税務AIは、国税庁など公的情報を参照しながら、顧問先対応の文面づくりから論点整理まで下書きを支援します。

顧問先とのメール全般をもっと効率化したい場合は、顧問先メール全般をAIで時短する方法もあわせてご覧ください。案内文だけでなく、日々の連絡や依頼メールのテンプレートづくりに応用できます。

よくある質問(FAQ)

顧問料の値上げはいつ伝えるのが良いですか?

契約更新月・年度替わり・決算期の切り替わりなど、顧問先も料金を見直しやすい区切りに合わせるのが自然です。改定日の少なくとも2〜3か月前には通知し、社内の予算調整の時間を確保してもらいましょう。

案内はメールと書面のどちらが良いですか?

日常のやり取りがメール中心なら、まずはメールで案内し記録を残すのが手軽です。相手先で取締役会や経理部門の回覧が必要な場合や、正式な通知として重みを持たせたい場合は書面(郵送・PDF)が向きます。どちらでも、金額・改定日・対象業務を明記して記録に残すことが重要です。

全顧問先を一律に上げるべきですか、個別に決めるべきですか?

両方の方法があります。事務手続きは一律が楽ですが、契約時期や業務量に差が大きい場合は、顧問先ごとに改定幅を変えるほうが納得を得やすいことがあります。長く据え置いてきた先や、無償対応が増えている先を優先して見直すのが現実的です。

値上げで解約されないか不安です。

改定幅が極端でなく、理由を丁寧に説明していれば、多くの顧問先は継続します。据え置きを求められた場合に備えて「金額維持+対応範囲の調整」という代替案を用意しておくと、いきなり解約という結末を避けやすくなります。

まとめ|値上げの案内文は「準備」で9割決まる

顧問料の値上げは、切り出し方さえ間違えなければ、多くの顧問先が理解してくれるものです。大切なのは、予告 → 理由 → 選択肢の順で、余裕を持ったタイミングに、記録が残る形で伝えること。本記事のメール版・書面版・据え置き交渉版のテンプレートを土台に、自事務所の事情に合わせて調整してください。

個別の事情に合わせた文面づくりや、据え置き交渉への返信は、AIに下書きさせれば数分で叩き台ができます。まずは無料で、税務特化のAIがどこまで顧問先対応を助けてくれるかを試してみてください。

参考文献

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