税務×AI

中小企業省力化投資補助金とは|一般型とカタログ型の違いと対象判定【2026年】

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が IoT・ロボット等の省力化設備を導入する費用の一部を国が補助する制度です。事業の実施主体は独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)で、製品カタログから選ぶ「カタログ注文型」と、現場に合わせて設備を組む「一般型」の2本立てになっています。顧問先から「うちも使えますか」と聞かれる場面が確実に増えている補助金です。

この記事では、税理士・会計事務所の方が顧問先にその場で答えられるよう、次の点を整理します。

  • カタログ注文型と一般型の違い(補助上限額・補助率・従業員数区分・賃上げ要件)を1枚の判定表で
  • 「うちは対象か」を上から順に答えるだけで判定できるチェックリスト
  • デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)や小規模事業者持続化補助金との使い分け早見表
  • 公募要領をAIに読ませて要件を抽出するプロンプトと、その「うまくいかない例→直し方」
  • 金額と期限だけは絶対にAIに答えさせてはいけない理由(2026年3月の制度改定が実例)

なお本記事の数値・日程は、すべて2026年9月5日時点で公式事務局サイトに掲載されていた内容です。この補助金は公募回ごとに要件が変わるため、実際の申請支援では必ず最新の公募要領で読み直してください。

中小企業省力化投資補助金とは|3行でわかる制度の要点

制度の目的と補助対象者

この補助金は、人手不足に悩む中小企業等が IoT・ロボット等の人手不足解消に効果があるデジタル技術等を活用した設備を導入する費用を補助し、付加価値額や生産性の向上、さらには賃上げにつなげることを目的としています。補助対象者は「中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人」です(中小企業省力化投資補助金 一般型とは)。

押さえておくべきは、これが「設備を買う補助金」ではなく「人手が減らせることを説明する補助金」だという点です。一般型の要件には「業務量が削減される割合を示す省力化効果が見込まれる事業計画を策定すること」「投資回収期間を根拠資料とともに提出すること」が明記されています。設備の見積書だけ持ってきた顧問先には、「その設備で誰の何時間が減るのか」を数字で語れるかの確認から入ります。

カタログ注文型と一般型という2本立て

同じ「省力化投資補助金」という名前でも、中身はほぼ別制度と考えたほうが正確です。

  • カタログ注文型:あらかじめ登録された製品カタログから選び、販売事業者と共同で申請する。随時受付。設備の自由度は低いが、申請の負担が軽い。
  • 一般型:個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築が対象。公募回ごとの締切があり、事業計画書の審査で採否が決まる。金額は大きいが手間も大きい。

相談を受けたら、最初に切り分けるのはこの2つです。型を決めずに進めると、集める資料も事業計画書の分量も締切の意味もすべて変わってしまいます。

2026年9月5日時点の公募状況

一般型は第8回公募が2026年8月18日に公募要領公開という形で始まっています。中小機構の告知では「2026年9月中旬申請受付開始、10月中旬申請締切予定」とされており、事務局のスケジュールページでも第8回は申請受付開始・締切・採択発表がいずれも「(予定)」表記です(中小機構「第8回 公募要領を公開しました」)。

つまり「公募要領は出ているが、申請ポータルはまだ開いていない」中間状態です。IDの取得には一定の期間を要すると事務局自身が注意喚起しているので、受付開始までにやるべきはGビズIDプライムアカウントの取得と事業計画の骨子づくりです。

一方カタログ注文型は随時受付で、採択・交付決定まで申請から概ね1〜2か月程度、補助事業期間は交付決定日から12か月以内です(カタログ注文型 スケジュール)。締切に追われないぶん、「いつでもできる」と言って着手しない顧問先が出やすいのが落とし穴です。

一般型とカタログ注文型の違い【判定表】

補助上限額と補助率の比較

まず金額です。以下はいずれも2026年9月5日時点で事務局サイトに掲載されている数値で、括弧内は賃上げ関連の要件を満たした場合に引き上げられる上限額です。

項目

カタログ注文型

一般型

補助対象

カタログに登録された製品等

個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築

従業員数区分

3区分(5名以下/6〜20名/21名以上)

5区分(5人以下/6〜20人/21〜50人/51〜100人/101人以上)

補助上限額

200万円(300万円)/500万円(750万円)/1,000万円(1,500万円)

750万円(1,000万円)/1,500万円(2,000万円)/3,000万円(4,000万円)/5,000万円(6,500万円)/8,000万円(1億円)

補助率

1/2 以下

中小企業 1/2(特例で2/3)、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は 2/3

公募

随時受付

公募回ごと(2026年9月5日時点は第8回)

事業実施期間

交付決定日から12か月以内

交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)

申請の形

販売事業者との共同申請

自社で事業計画を策定して応募

金額の桁が違います。ただし一般型は個別現場に合わせた設備導入・システム構築が対象で、既製品をそのまま入れたいならカタログ注文型のほうが早いという判断になります。

賃上げ要件の違いが最大の分かれ目

最も誤解が生まれるのが賃上げ要件です。両者で「必須の基本要件」と「上限を引き上げるための条件」の位置づけが違います。

要件

カタログ注文型

一般型

労働生産性の向上目標

補助事業終了後3年間で毎年、年平均成長率3.0%以上(必須)

年平均成長率+4.0%以上(基本要件)

給与支給総額

6%以上増加(上限引上げの条件)

1人当たり年平均成長率+3.5%以上(基本要件)

事業場内最低賃金

3.0%以上増加(上限引上げの条件)

事業実施都道府県の最低賃金+30円以上(基本要件)

さらなる上乗せ

大幅賃上げ特例=給与支給総額 合計+6.0%以上かつ最低賃金+50円以上

未達のペナルティ

正当な理由なく未達なら補助額を減額

基本要件②③が未達なら達成率等に応じて返還(免除要件あり)

ここが税理士の腕の見せどころです。一般型は賃上げが「守れなければ返す」約束で、給与支給総額の年平均成長率+3.5%を3〜5年背負います。直近3期の人件費推移を持っている顧問税理士でなければ、この数字が現実的かは判断できません。設備の話の前に賃上げの体力を数字で確認する、これが最初の仕事です。

申請の進め方と、共同申請の有無

カタログ注文型は「カタログに登録された省力化製品を導入し、販売事業者と共同で取り組む事業」が対象です。顧問先が「製品は決めた」と言ってきたら、その製品と相手方の事業者がカタログに登録されているかを事務局サイトで確認する必要があります。

一般型は自社で事業計画を策定して応募します。補助対象経費は機械装置・システム構築費(必須)のほか、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費まで含まれます。

「うちは対象か」を上から順に判定するチェックリスト

ステップ1:入口の4問(ここでNoなら先に進まない)

面談で上から順に聞くだけで型の見当がつく質問です。

  1. 中小企業者・小規模事業者・特定事業者の一部・NPO法人・社会福祉法人のいずれかか/Noなら対象外
  2. 現在、人手不足の状態にあるか(カタログ注文型は応募・交付申請日時点で満たす必要がある明示要件)/Noならこの補助金ではない
  3. GビズIDプライムアカウントを持っているか/Noなら今日から取得手続きに入る
  4. 設備投資で「誰の・どの作業が・年間何時間減るか」を言えるか/Noなら、まず現場のヒアリングから

ステップ2:型を決める3問

  1. 導入したい製品がカタログに登録されているか/Yes かつ販売事業者が決まっている → カタログ注文型が最短
  2. 自社の現場に合わせた作り込み(システム構築・改造)が必要か/Yes → 一般型
  3. 必要な投資額が、自社の従業員数区分におけるカタログ注文型の上限(200万円/500万円/1,000万円)を超えるか/Yes → 一般型を検討

ステップ3:一般型に進む前の耐久テスト3問

  1. 労働生産性(付加価値額÷従業員数)を年平均+4.0%で伸ばす計画が描けるか/付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
  2. 1人当たり給与支給総額を年平均+3.5%で3〜5年続けられるか(未達なら返還の可能性)
  3. 事業場内最低賃金を、都道府県の最低賃金+30円以上の水準に保てるか

ステップ3で1つでも詰まったら、一般型は勧めるべきではありません。採択されることより採択後の約束を守れることのほうが重要だからです。ここで止められるのは、日々その会社の数字を見ている顧問税理士だけです。

デジタル化・AI導入補助金/持続化補助金との使い分け早見表

3制度の役割の違い

顧問先は「補助金」とひとまとめに聞いてきますが、切り分けるべきは「何を買いたいのか」です。

買いたいもの

向いている制度

ひとことで言うと

人手を置き換える設備・ロボット・省力化システム

中小企業省力化投資補助金

人が減らせることを説明する補助金

ソフトウェア・クラウドサービス・AIツールの導入

デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)

登録されたツールを入れる補助金

販路開拓・広告・店舗改装など小規模事業者の前向きな投資

小規模事業者持続化補助金

売上をつくる取り組みの補助金

相談が「会計ソフトを入れ替えたい」「AIツールを試したい」に寄っているなら、IT導入補助金2026の名称変更と対象・申請手順が本線です。小規模事業者なら小規模事業者持続化補助金 第20回の締切と様式4の書き方のほうが現実的なことも多くあります。

顧問先に聞かれたときの即答フレーズ

面談でそのまま使える言い方に落とすと、次のようになります。

「機械やロボットで人手そのものを減らすなら省力化投資補助金、ソフトやクラウドを入れるならデジタル化・AI導入補助金、売上をつくる取り組みなら持続化補助金です。まず、いま一番困っているのは人が足りないことですか、それとも売上ですか」

制度名から入らず「人手か、ソフトか、売上か」の3択に落とすと、5分の会話で行き先が決まります。省力化投資補助金なら、次は「カタログにある製品か、作り込みが必要か」の2択です。

併用と重複の注意

同一の経費に国の複数の補助金を重ねて受けることは原則できません。「設備の付随ソフトを別の補助金でも申請したい」といった相談は経費の切り分けの問題になるため、各補助金の公募要領と事務局に確認し、税理士の側で断定しないのが安全です。

また補助金は原則として後払いで、設備代金は一度全額を支払う必要があります。期末が近い顧問先なら決算対策チェックリスト(期末3ヶ月前から打てる手)と合わせ、投資時期と税務の影響を同時に検討すると話が早く進みます。

補助上限額は「下がる」こともある|2026年3月の制度改定が示すこと

カタログ注文型の上限は実際に引き下げられた

この記事で最も強調したいのがここです。カタログ注文型の補助上限額は、2026年3月19日の制度改定で引き下げられました。事務局サイトには改定前後の表が並記されています。

従業員数

2026年3月18日以前(改定前)

2026年3月19日以降(改定後)

5名以下

500万円(750万円)

200万円(300万円)

6〜20名

750万円(1,000万円)

500万円(750万円)

21名以上

1,000万円(1,500万円)

1,000万円(1,500万円)

改定前の条件が適用されるのは「2026年3月16日17:00までに提出され、不備なく受理された申請」に限られます。従業員5名以下では上限が500万円から200万円へ6割減です。賃上げ要件も、事業場内最低賃金の目標が「45円以上増加」から「3.0%以上増加」へと額から率に切り替わりました(カタログ注文型とは)。

だから、金額と期限をAIに答えさせてはいけない

この改定は、生成AIを補助金実務に使ううえでの決定的な注意点を示しています。AIの学習データは過去のある時点で止まっており、その時点を利用者に正確に告げてくれません。2026年3月より前の情報で学習したモデルに「カタログ型は従業員5名以下でいくらまで出ますか」と聞けば、堂々と「500万円」と答え得ます。数字の形をしているぶん、誤りに気づきにくいのが厄介です。

締切も同じです。第8回は2026年9月5日時点で受付開始も締切も「予定」表記のままなので、AIが具体的な日付を答えたなら、それは確定していない情報を推測で埋めた結果です。税法改正の調べ方をAIで最新化する手順で扱った「古い税率をそのまま返す」問題と構造は同じです。

実務ルールとしては、次の線引きが使えます。

  • AIに任せてよい:長文の公募要領から要件を拾って構造化する/事業計画の骨子を出す/自社の説明文の論理の穴を指摘させる/専門用語をかみ砕く
  • AIに任せてはいけない:補助上限額・補助率・締切日・公募回・様式番号などの「数字と日付」を、出典なしで答えさせること

言い換えればAIは「読む」担当、公式サイトは「決める」担当です。この役割分担を顧問先にも伝えておくと、社長がAIに聞いた数字を鵜呑みにして動く事故を防げます。

公式の最新情報にたどり着く経路を先に固定する

実務上の注意をもう一つ。公募要領や各種手引きのPDFは中小企業庁のサーバーに置かれており、環境によってはブラウザやツールから直接開けないことがあります。PDFのURLを控えるのではなく、事務局サイトの資料ダウンロードページを起点にする運用が確実です。

案件のたびにこの3つを開き直す。手間に見えますが、上限額が6割減った実例がある以上、最も安いリスクヘッジです。

公募要領をAIに読ませる実務プロンプト4選

ここからは実務でそのまま使えるプロンプトです。いずれも最新の公募要領を手元でダウンロードし、その本文をAIに添付・貼り付けたうえで使うことが前提です。要領を渡さずに聞けば、AIは記憶で答えてしまいます。

プロンプト1:要件を「顧問先に見せる表」に変換する

あなたは補助金申請を支援する税理士のアシスタントです。
添付した「中小企業省力化投資補助金 一般型 第◯回 公募要領」だけを根拠に、
以下の項目を表に整理してください。

対象:【顧問先名】(従業員【 】名/業種【 】)
項目: 補助対象者の要件/補助上限額(従業員数区分別)/補助率/基本要件/
      賃上げに関する要件/事業実施期間/補助対象経費/申請に必要な書類

制約:
- 各行に「公募要領の該当ページ・項番」を必ず添えること
- 公募要領に書かれていない項目は「要領に記載なし」と書き、推測で埋めないこと
- 数値は要領の表記のまま転記すること(丸めない・言い換えない)

うまくいかない例 → 直し方:要領を添付せず「要件を教えて」と聞くと、古い回の数値や別の補助金の要件が混ざった、もっともらしい表が返ります。「添付した要領だけを根拠に」と範囲を縛り、ページ・項番の明示を義務づけること。出典が書けない行は、AIが要領から拾えていない行です。

プロンプト2:自社が対象かどうかの「論点」を洗い出させる

添付の公募要領をもとに、下記の企業が
中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象になるか判定するために
確認すべき論点を、確認の順番どおりにリスト化してください。

企業情報:
- 業種:【 】/従業員数:【 】名/直近期の売上高:【 】/営業利益:【 】
- 導入したい設備:【 】
- 期待する効果:【 】の作業が年間【 】時間削減

出力:
1. 論点(要領のどの要件に対応するか)
2. 確認方法(どの資料を見れば判断できるか)
3. 判定できない場合に事務局へ問い合わせるべき質問文

「判定結果」は書かないでください。判断は人間が行います。

うまくいかない例 → 直し方:「この会社は対象ですか?」と聞くと、AIは高確率で「対象になる可能性が高いです」と答え、根拠のない安心だけが残ります。結論を出させず、論点と確認方法だけを出させる形にすると、そのまま面談のチェックリストになります。

プロンプト3:事業計画の骨子を出させる(清書はさせない)

【顧問先名】の省力化投資に関する事業計画書の「骨子」を作ってください。
文章の清書はせず、見出しと、各見出しで書くべき事実・数字の項目名だけを出してください。

前提:
- 現状の課題:【 】(例: 検品工程が手作業で1日3人×4時間)
- 導入設備:【 】
- 期待効果:【 】
- 添付の公募要領に記載された審査項目を必ず網羅すること

各見出しの末尾に「この節で示すべき根拠資料」を1行で添えてください。

うまくいかない例 → 直し方:いきなり「事業計画書を書いて」と頼むと、業界用語で埋まった立派な文章が出ます。ただし中身は自社の実態と無関係で、後から数字を入れ直すほうが時間がかかります。骨子と根拠資料までで止め、本文は現場の言葉で人間が書くのが最も速い。書き方そのものは補助金の事業計画書をAIで下書きする手順で詳しく扱っています。

プロンプト4:賃上げ計画と決算数値の整合をチェックさせる

以下の数値の整合性を検証し、矛盾・計算誤り・説明不足を指摘してください。
あなたは審査員の立場で、厳しく突っ込んでください。

- 直近3期の給与支給総額:【 】/【 】/【 】
- 直近3期の従業員数:【 】/【 】/【 】
- 計画期間中の給与支給総額の計画値(年次):【 】
- 計画期間中の付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の計画値:【 】
- 事業場内最低賃金の現状と計画値:【 】
- 都道府県:【 】

観点:
1. 給与支給総額の年平均成長率は要件の水準を満たすか(計算過程も示す)
2. 付加価値額の伸びと人件費の伸びに整合しない点はないか
3. 未達となった場合に返還リスクが生じる箇所はどこか
4. この計画の弱点を3つ、審査員の言葉で指摘してください

うまくいかない例 → 直し方:「この計画は問題ありませんか」と聞くとAIは褒めて終わります。「審査員の立場で厳しく」「弱点を3つ」と役割と個数を指定すると使える指摘が出ます。ただし年平均成長率の計算は必ず表計算ソフトで検算し、要件の水準もAIの記憶ではなく公募要領の記載で確認してください。

こうしたプロンプト運用を事務所全体に定着させる進め方は会計事務所のChatGPT活用事例と導入ステップにまとめています。個人の工夫で終わらせず、事務所の標準手順にするまでが本番です。

税理士・会計事務所の実務ポイントとまとめ

「申請できるか」より「続けられるか」を見る

補助金支援は書類を作る仕事だと思われがちですが、一般型は採択後に3〜5年の事業計画期間があり、賃上げと労働生産性の目標を毎年報告し、未達なら返還が生じ得ます。顧問先の数字を継続的に見ている税理士だけが「この約束を守り切れるか」を判断できます。

面談の冒頭で次の3点を確認するだけで、後戻りが大きく減ります。

  1. 直近3期の給与支給総額と従業員数の推移(給与の増加ペースが要件に届くか)
  2. 設備投資後の資金繰り(後払いのため、支払いから入金までの期間を耐えられるか)
  3. 効果報告を誰が担当するか(採択後に報告体制がなく形骸化する事例が多い)

AIに任せる範囲と、任せない範囲を決めておく

生成AIは長文の公募要領を読み解き、論点を洗い出し、計画の弱点を突く用途では確実に時間を短縮します。一方、金額・期限・様式番号といった「変わる情報」は公式サイトで人が確認する以外にありません。事務所として「AIは読む担当、公式は決める担当」を明文化し、確認した日付を作業記録に残すと、担当者が変わっても品質が落ちません。

士業AI という選択肢

汎用のAIチャットでもここまでは十分できます。そのうえで顧問先の情報を扱う前提で「入力した情報がどう扱われるか」「税務・会計の文脈を理解した応答が返るか」を重視するなら、業務特化型のサービスを検討する段階です。

士業AI は、税理士・会計士・司法書士・弁護士の実務を前提に設計した業務特化型のAIチャットサービスです。税務AI は申告書チェックや税法調査の補助に、業務効率化AI は長文資料の要約や顧問先向け文書の作成に使えます。補助金実務では、公募要領の読み込みと論点整理、顧問先への説明文の作成が対象工程です。税理士向けの士業AI(税務AI)の詳細で想定する使い方を確認できます。

国税庁等の公的情報を参照する税務特化AI のデモです。

2026年9月時点で押さえるべき3点

  1. 型を先に決める。カタログに載っている製品を買うならカタログ注文型(随時受付・上限200万〜1,000万円)、現場に合わせた作り込みが必要なら一般型(公募回制・上限750万〜8,000万円)。ここを決めずに動くと、集める資料も締切の意味も変わってしまいます。
  2. 賃上げの体力を先に確認する。一般型は給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上などが基本要件で、未達なら返還の可能性があります。採択されることより、5年守れることのほうが重要です。
  3. 金額と期限はAIに答えさせない。カタログ注文型の上限は2026年3月19日の改定で、従業員5名以下が500万円から200万円へ引き下げられました。古い情報で学習したAIは、この改定を知らないまま自信ありげに答えます。数字と日付は必ず最新の公募要領で確認してください。

繰り返しになりますが、本記事の数値・日程は2026年9月5日時点の公式事務局サイトの掲載内容です。申請支援に入る際は、その時点の公募要領を必ず開き直してください。

参考文献

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