法務×AI

育児・介護休業法 改正の対応|社労士が顧問先案内・規程見直しをAIで【2026年】

本記事は2026年10月28日時点の情報です(2026年9月18日版から、10月1日施行分の結果と国の審議状況を反映して更新)。制度の適用可否・期限は必ず厚生労働省の最新資料でご確認ください。

「育児介護休業法の改正、2026年は何が変わるのか」。顧問先や社内からこう聞かれたとき、即答できるように要点を先にまとめます。結論として、2026年に施行された・施行される育児・介護休業法そのものの改正はありません。2026年にやるべきことは、2025年4月・10月に施行済みの改正が運用に乗っているかの点検と、同じ年に動いた隣接制度(女性活躍推進法・子ども・子育て支援金・カスハラ対策・社会保険の賃金要件撤廃など)への対応です。

この記事では、施行日ごとに「どの会社が」「何をすればよいか」をチェックリストにまとめたうえで、社労士が顧問先にどう案内し、案内文・対象者の洗い出し・規程見直しの下ごしらえをどこまでAIで効率化できるかを、人事担当者にも読める言葉で整理します。

結論:2026年の育児・介護休業法の改正で変わること・変わらないこと

結論(2026年10月28日時点)

  • 2026年施行の育児・介護休業法の新たな改正:なし。厚生労働省「法改正のポイント」が案内する施行日は2025年4月1日と2025年10月1日の2つだけです。
  • 2026年に実務対応が要る2025年施行分:①柔軟な働き方の措置の個別周知・意向確認(子が3歳になる前の1年間に毎回発生)②妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の意向聴取・配慮 ③介護の個別周知と40歳等での情報提供 ④300人超企業の男性育休取得状況の年1回公表
  • 2026年に動いた隣接制度:子ども・子育て支援金(4月分保険料〜)、女性活躍推進法の公表義務拡大(4月1日)、育児休業給付の手続き見直し(8月1日)、カスハラ・求職者等セクハラ対策の義務化(10月1日)、社会保険の賃金要件撤廃(10月1日)
  • 次の改正の動き:労働政策審議会で2026年9月から「仕事と育児の両立支援」の議論が始まっていますが、法案の内容・時期は未確定です。労働基準法の見直しも審議中で、法案は未提出です。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • 2026年に新たな施行がない根拠と、国の審議の現在地
  • 施行日×対象企業×やることの業務チェックリスト(人事担当者もそのまま使える形)
  • 2025年4月・10月施行の改正内容と、規程・労使協定の点検ポイント
  • 顧問先案内・対象者整理・規程見直しをAIで下書きするプロンプト

【2026年10月時点】2026年に育児・介護休業法の新たな改正はあるか

2026年10月28日時点で、育児・介護休業法そのものに2026年施行の改正項目はありません。厚生労働省「育児・介護休業法 法改正のポイント」でも、施行日として示されているのは2025年4月1日と2025年10月1日だけです。「2026年改正」とうたう解説の多くは、2025年施行分の説明か、隣接する別の法律の改正を指しています。

したがって2026年の実務は、①2025年改正が顧問先・自社で実際に運用されているかの点検と、②2026年に施行された隣接制度への対応の2本立てです。顧問先から「今年も育休の法改正があるんですよね?」と聞かれたときに、この切り分けを即答できるかどうかが信頼を左右します。

国の審議の現在地:「仕事と育児の両立支援」の議論が2026年9月に始まった

新しい改正がまったく動いていないわけではありません。労働政策審議会 雇用環境・均等分科会では、2026年9月1日(第91回)、10月2日(第92回)、10月26日(第93回)と続けて「仕事と育児の両立支援について」が議題になっています。第91回の資料では、産後パパ育休などを定めた令和3年改正法に「施行後5年(令和9年)を目途とした検討規定」が置かれていることが示されています。

ただし、これは審議会での議論が始まった段階です。2026年10月28日時点で、法案の要綱や改正内容・施行時期は示されていません。顧問先への案内では「国で次の見直しの議論が始まった。決まり次第お知らせする」程度にとどめ、検討中の論点を就業規則に先取りで書き込まないのが安全です。

2026年に施行された「隣接する」法改正カレンダー

育児・介護休業法の改正ではないものの、両立支援や給与計算・社会保険の手続きで2026年に動いた制度です。2026年10月1日施行分までがすでに施行済みになりました。顧問先への案内文では、育児・介護休業法の話と混ぜずに別項目として整理して伝えると誤解が起きません。

施行時期

制度

実務への影響

2026年4月分保険料〜

子ども・子育て支援金の拠出開始

被用者保険の令和8年度の一律支援金率は0.23%で、支援金額のおよそ半分を事業主が負担。4月分保険料を翌月徴収する運用なら5月支給給与から控除が始まっている。賞与にも同率がかかる

2026年4月1日

改正女性活躍推進法の施行

常時雇用する労働者101人以上の事業主に「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の情報公表が義務化(女性活躍推進法第20条)。301人以上は男女間賃金差異が従来から義務で、女性管理職比率が新たに必須項目に加わる

2026年8月1日

育児休業等給付の申請手続きの見直し

出生時育児休業給付金で申告する賃金の取扱い、出生後休業支援給付金の確認書類、育児時短就業給付の要件確認(シフト制等の週所定労働時間の計算方法など)が変更。手続き代行をしている事務所は様式・チェックリストの更新が必要

2026年10月1日(施行済み)

改正労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法(カスハラ・求職者等セクハラ対策)

カスタマーハラスメント対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が全事業主の義務に。方針の明確化・相談体制の整備・事後対応が必要で、就業規則や社内規程への反映が伴う

2026年10月1日(施行済み)

社会保険の短時間労働者の賃金要件(月額8.8万円以上)撤廃

週20時間以上などの要件を満たせば、賃金額にかかわらず健康保険・厚生年金の加入対象に。企業規模要件は2027年10月以降に段階的に縮小される予定。電子申請の資格取得届等の様式も変更されている

女性活躍推進法について、企業規模によって女性管理職比率の義務化時期がずれるという事実はありません。101人以上はいずれも令和8年4月1日で横並びです(改正法=令和7年法律第63号 附則第1条第2号)。ずれるのは初回の公表タイミングで、令和8年4月1日以後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表します(同法附則第6条)。3月決算の会社なら、2027年3月期の実績を2027年6月末ごろまでに公表する流れです。

労働基準法の見直しは労政審で審議中(法案は未提出)

労働時間規制や割増賃金をめぐる労働基準法の見直しは、2025年12月26日に厚生労働大臣が2026年通常国会への改正法案の提出を見送る方針を表明し、仕切り直しになりました。その後、労働政策審議会 労働条件分科会で2026年9月16日に「労働基準関係法制について」の議論が再開され、10月14日・10月23日にも審議が続いています。2026年10月28日時点で改正法案は国会に提出されておらず、改正内容も施行時期も確定していません。

詳しい経緯と、2026年に確定している法改正の切り分けは労働基準法改正2026は提出見送り|確定した法改正と企業の対応チェックリストで整理しています。顧問先向けの案内文では、確定した育児・介護休業法・女性活躍推進法と、未確定の労働基準法を同じ表に並べないのが鉄則です。

制度型のテーマは、AIに下書きさせると「検討中の内容を、すでに決まったかのように」書いてしまう事故が最も起きやすい領域でもあります。生成AIに案内文を書かせる場合は、後述するように施行日と数字を自分で与え、未確定事項は「〇年〇月時点で未確定」と書かせる指示を必ず入れてください。

業務チェックリスト:施行日×対象×やること(人事担当者・社労士向け)

顧問先の人事担当者にそのまま渡せるよう、2025年改正と2026年の隣接改正を「施行日・対象・やること」の3列で一覧にしました。「対象」が全企業のものは、従業員数にかかわらず対応が必要です。右端の列が空欄にならないよう、顧問先ごとに「済/未/該当なし」を記入して使ってください。

施行日

項目(対象)

やること

済/未

2025年4月1日

子の看護等休暇(全企業)

規程の名称・対象(小学校3年生修了まで)・取得事由4つを修正。労使協定から「継続雇用6か月未満」の除外を削除

 

2025年4月1日

残業免除の対象拡大(全企業)

所定外労働の制限の対象を「小学校就学前の子」に修正

 

2025年4月1日

育児・介護のテレワーク(全企業・努力義務)

導入するかを決め、導入する場合は規程に反映。義務ではないと案内

 

2025年4月1日

介護離職防止(全企業)

研修・相談窓口等のいずれかを整備。介護の申出者への個別周知・意向確認の様式を用意。40歳等での情報提供の対象者リストを作る

 

2025年4月1日

男性育休の取得状況公表(常時雇用300人超)

事業年度終了後おおむね3か月以内に、男性の育休等取得率をインターネット等で年1回公表

 

2025年4月1日

次世代法の行動計画(101人以上は義務)

次の行動計画の策定・変更時に、育休取得状況と労働時間の状況を把握・分析し数値目標を設定

 

2025年10月1日

柔軟な働き方の措置(全企業)

5つの措置から2つ以上を制度化。過半数組合等の意見聴取、就業規則変更届。労使協定(継続雇用1年未満等の除外)を確認

 

2025年10月1日

個別の周知・意向確認/意向聴取・配慮(全企業)

子の生年月日から周知時期を管理。妊娠・出産等の申出時と3歳前の2回の意向聴取を記録に残す

 

2026年4月分〜

子ども・子育て支援金(被用者保険の全事業所)

給与・賞与からの控除と給与明細の表示を確認。従業員への説明

 

2026年4月1日

女性活躍推進法の公表拡大(101人以上)

男女間賃金差異と女性管理職比率の算出方法を確認し、初回公表の時期を決める

 

2026年8月1日

育児休業等給付の手続き見直し(申請する事業所)

給付申請の様式・添付書類・社内チェックリストを更新

 

2026年10月1日

カスハラ・求職者等セクハラ対策(全事業主)

方針の明確化・周知、相談窓口、事後対応の手順を整備し、規程に反映

 

2026年10月1日

社会保険の賃金要件撤廃(短時間労働者がいる適用事業所)

週20時間以上の短時間労働者を洗い出し、資格取得届の要否を確認

 

一度直して終わりにしない:毎月・毎年まわす運用チェック

2025年改正のうち、個別周知・意向聴取・情報提供は対象者が出るたびに発生する義務です。規程を直しただけでは足りないため、人事の定例作業に組み込んでおくと漏れません。

  • 毎月:子の生年月日の一覧から、柔軟な働き方の措置の個別周知・意向確認の期間(子が1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に入った人を抽出する
  • 毎月:妊娠・出産等や介護の申出があった人について、個別周知・意向確認・意向聴取の実施日と内容を記録したか確認する
  • 毎年度:その年度に40歳になる従業員へ、介護休業制度等の情報提供を行う(40歳に達する日の属する年度中、または40歳に達した日の翌日から1年間のいずれか)
  • 毎年度:常時雇用する労働者数が300人・101人の境目を超えていないか確認し、公表義務の有無を見直す
  • 規程改定のたび:就業規則変更届と労働者代表の意見書(常時10人以上の事業場)、労使協定の再締結の要否を確認する

この種の一覧づくりや毎月の抽出作業は、Excelの関数とAIの組み合わせで大きく省力化できます。労務の帳票をまとめて整える手順は労務書式テンプレート無料まとめ10書式(法定三帳簿・Excel)も参考になります。

2025年4月1日施行の改正ポイント(社労士が顧問先に案内すべき項目)

4月施行分は項目数が多く、就業規則や育児介護休業規程の改定を伴うものが中心です。顧問先への案内では「規程改定が必要か」「対象となる従業員は誰か」をセットで伝えると、事務所への差し戻しが減ります。

子の看護休暇が「子の看護等休暇」に(対象拡大・事由追加・除外要件の変更)

名称が「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」へ変更され、対象となる子の範囲が「小学校就学の始期に達するまで」から「小学校3年生修了まで」に広がりました。取得事由も、従来の①病気・けが②予防接種・健康診断に加え、③感染症に伴う学級閉鎖等と④入園(入学)式・卒園式が追加されています。

あわせて、労使協定で除外できる労働者のうち「継続雇用期間6か月未満」の除外規定が廃止され、除外できるのは「週の所定労働日数が2日以下」の労働者のみになりました。取得可能日数(1年間に5日、子が2人以上の場合は10日)は変更ありません。就業規則の見直しが必要な改正であり、規程に旧名称・旧範囲が残っていないか点検が要ります。

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

いわゆる残業免除を請求できる労働者の範囲が、「3歳未満の子を養育する労働者」から「小学校就学前の子を養育する労働者」に拡大されました。これも就業規則等の見直しが必要な義務規定です。対象年齢が延びた分、請求が想定される従業員が増える顧問先が出てきます。

短時間勤務の代替措置にテレワーク追加・育児テレワークの努力義務化

3歳未満の子を養育する労働者向けの短時間勤務制度について、業務の性質上その制度が困難な場合の代替措置にテレワークが追加されました(従来は①育児休業に準ずる措置②始業時刻の変更等の2つ)。さらに、3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講じることが、事業主の努力義務とされました。「義務」ではなく「努力義務」である点を、顧問先に正確に伝えることが重要です。

育児休業取得状況の公表義務が「300人超」に拡大

男性の育児休業等の取得状況を年1回公表する義務の対象が、従業員数1,000人超の企業から300人超の企業へ拡大されました。公表内容は男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」で、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど一般の方が閲覧できる方法で公表します。顧問先の従業員規模を確認し、新たに公表義務が生じる先を早めに洗い出す必要があります。

介護離職防止のための雇用環境整備・個別周知・情報提供

介護関連では、①研修の実施②相談窓口の設置③事例の収集・提供④利用促進の方針周知のいずれかの措置を講じる雇用環境整備が義務となりました(複数実施が望ましいとされています)。また、介護に直面した旨を申し出た労働者への個別の周知・意向確認、さらに40歳等の早い段階での情報提供も義務化されました。介護休暇についても、継続雇用期間6か月未満の除外規定が廃止されています。介護のためのテレワークは努力義務です。

2025年4月施行分の改正前後まとめ

項目

改正前

改正後(2025年4月〜)

区分

子の看護(等)休暇の対象

小学校就学始期まで

小学校3年生修了まで/事由に学級閉鎖・入園式等を追加

義務

残業免除の対象

3歳未満の子

小学校就学前の子

義務

育児のためのテレワーク

規定なし

3歳未満の子で選択できるよう措置

努力義務

育休取得状況の公表

従業員1,000人超

従業員300人超

義務

介護の雇用環境整備・個別周知

規定なし

研修・相談窓口等の整備、個別周知・意向確認

義務

2025年10月1日施行の改正ポイント(柔軟な働き方と意向聴取)

10月施行分は、育児期の働き方の選択肢を広げる内容で、就業規則の見直しと運用の設計が必要です。4月分より制度設計の自由度が高く、顧問先ごとの実情に合わせた助言が効く領域です。

柔軟な働き方を実現するための措置(5つから2つ以上を選択)

事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、次の5つの選択肢から2つ以上を選んで制度化する義務を負います。労働者はそのうち1つを選んで利用できます。措置を選ぶ際は、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。

選択して講ずべき措置

内容の目安

① 始業時刻等の変更

フレックスタイム制、時差出勤(1日の所定労働時間は変えない)

② テレワーク等

月に10日以上利用できるもの(原則時間単位で取得可)

③ 保育施設の設置運営等

保育施設の設置運営、ベビーシッターの手配・費用負担など

④ 養育両立支援休暇の付与

年に10日以上取得できる休暇(原則時間単位で取得可)

⑤ 短時間勤務制度

1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの

あわせて、子が3歳になるまでの適切な時期(子の3歳の誕生日の1か月前までの1年間)に、選択した制度についての個別周知と意向確認を行う義務があります。

仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

事業主は、労働者本人または配偶者の妊娠・出産等の申出時と、子が3歳になる前の適切な時期に、①勤務時間帯②勤務地③両立支援制度等の利用期間④業務量や労働条件の見直しといった両立に関する事項について、労働者の意向を個別に聴取し、その意向に自社の状況に応じて配慮する義務を負います。面談・書面交付・FAX・電子メール等のいずれかの方法で行い、面談はオンラインでも可能です。

2026年に効いてくる実務 ─ 2025年10月施行分の運用チェックポイント

2025年10月施行分は、規程を直して終わりではなく対象者が発生するたびに手続きが走り続けるタイプの義務です。施行から1年が経った2026年秋は、規程は直したが運用が回っていない、という顧問先が表面化してくる時期にあたります。以下の4点を年次の点検項目に組み込んでおくと、労働局の是正指導や従業員とのトラブルを未然に防げます。

個別周知・意向確認を「いつ・誰に」行うか

柔軟な働き方を実現するための措置に関する個別周知・意向確認は、対象労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に行う必要があります。厚生労働省の解説では、具体的な期間は子が1歳11か月に達する日の翌々日から、2歳11か月に達する日の翌日までと示されています。

実務で漏れが起きやすいのは、この期間が1年間という幅を持っている点です。「そのうちやる」と後回しにすると、対象者が3歳を迎えて期限切れになります。顧問先には、育児休業からの復帰者リストとは別に子の生年月日から自動で通知時期を割り出す一覧を作ってもらい、月次の労務チェックに組み込むよう助言するのが有効です。妊娠・出産等の申出時に行う意向聴取と、3歳前に行う意向聴取は別のタイミングであることも、あわせて念押ししておきます。

意向聴取・配慮は「記録の残し方」まで設計する

意向聴取は、面談・書面交付・FAX・電子メール等のいずれかの方法で行い、面談はオンラインでも可能です。ここで抜けがちなのが実施した記録です。義務として求められるのは聴取と配慮ですが、実施したことを後から確認できなければ、労使間で「聞かれていない」という争いになったときに立証手段がありません。

実務では、聴取した事項(勤務時間帯・勤務地・両立支援制度等の利用期間・業務量や労働条件の見直し)と、それに対して会社がどう検討・配慮したかを1枚のシートに残す運用が扱いやすい形です。顧問先から個別事案の相談を受けた際の回答づくりを効率化する手順は、労務相談の回答をAIで下書きする社労士の実務でも整理しています。

就業規則と労使協定を分けて点検する

2025年改正では、労使協定で除外できる労働者の範囲が制度ごとに異なる点が混乱のもとになっています。規程本体だけを直して労使協定を放置している顧問先が実際に見受けられるため、次の表で突き合わせておくと確実です。

制度

労使協定で除外できる労働者

子の看護等休暇

週の所定労働日数が2日以下の労働者のみ(継続雇用6か月未満の除外規定は廃止)

介護休暇

週の所定労働日数が2日以下の労働者のみ(継続雇用6か月未満の除外規定は廃止)

柔軟な働き方を実現するための措置

継続雇用期間1年未満の労働者/週の所定労働日数が2日以下の労働者

あわせて、柔軟な働き方の措置を選ぶ際には過半数組合等からの意見聴取が必要である点、常時10人以上を使用する事業場では規程改定にあたって就業規則変更届と労働者代表の意見書が必要である点も、改定作業のチェックリストに入れておきます。

次世代法(101人以上)の行動計画・数値目標も同じ時期に点検する

育児・介護休業法と同じ2024年5月の改正で、次世代育成支援対策推進法(次世代法)も見直されました。2025年4月1日から、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、行動計画の策定・変更にあたって育児休業等の取得状況・労働時間の状況を把握・分析し、これらに係る数値目標を設定することが義務となっています。次世代法の有効期限も2035年3月31日まで延長され、くるみん等の認定基準も2025年4月1日から変更されています。

行動計画は計画期間が数年単位のため、2026年は前の計画が満了して新しい計画を策定・変更する顧問先が出てくるタイミングです。改正後の要件を満たさない行動計画をそのまま届け出てしまわないよう、育児・介護休業法の規程点検とセットで確認するのが実務的です。

顧問先に改正をどう案内するか(社労士の実務フロー)

改正内容そのものより、顧問先が「うちは何をすればいいのか」に落とし込めるかが社労士の腕の見せどころです。実務では、次の順で進めると抜け漏れが減ります。

  1. 対象顧問先の切り分け: 常時雇用300人超(男性育休の公表義務)・101人以上(女性活躍推進法の公表、次世代法の数値目標)に当たるか、育児・介護対象の従業員がいるかを整理する。
  2. 規程改定の要否判定: 子の看護等休暇・残業免除の対象拡大・柔軟な働き方の措置など、就業規則や育児介護休業規程の改定が必要な項目を洗い出す。
  3. 案内文の作成: 上の業務チェックリストを顧問先ごとに埋め、「済/未」と期限を添えた案内文を用意する。
  4. 運用設計の助言: 柔軟な働き方の5つの選択肢のうちどれを選ぶか、意向聴取の様式をどう整えるかを、顧問先の実情に合わせて提案する。

この一連の作業は、顧問先の数が多いほど「同じ説明を少しずつ書き換えて何十通も作る」負担が重くのしかかります。ここがまさにAIの出番です。

育児・介護休業法の改正対応をAIで効率化する3つの場面

生成AIは、制度の最終判断を代わりに下す道具ではありませんが、「案内文の下書き」「対象者の洗い出しの整理」「規程改定のたたき台」といった下ごしらえを一気に速くしてくれます。実務では、AIに8割の形を作らせて、社労士が要件適合と表現を仕上げる分担が現実的です。

私たちが提供する士業AIは、法務・労務の実務文書に強い日本語特化のAIチャットサービスで、こうした案内文・規程ドラフト・対象者整理の下書きに活用できます。事務所スタッフや顧問先の人事担当者がどう使えるかは士業事務所スタッフ・人事労務担当者向けの士業AI紹介ページにまとめています。まずは汎用AIでどこまでできるかをイメージすると、導入判断がしやすくなります。

汎用なんでもAI/メール返信AIで日常業務を効率化するデモです。

場面1: 顧問先向けの改正案内文をドラフトする

施行日・対応事項・期限を渡し、顧問先の担当者が社内に展開しやすいトーンで案内文を書かせます。労務・社会保険の他の場面で使えるプロンプトは、社労士のChatGPTプロンプト集(労務・社会保険の実例10選)にまとめています。

あなたは社労士事務所の担当者です。以下の条件で、顧問先の人事担当者向けの
「育児・介護休業法 改正対応のお願い」案内文を作成してください。

# 顧問先の状況
- 会社名:【顧問先名】
- 従業員数:【人数】
- 育児対象の従業員:【有無・人数】

# 盛り込む内容
- 2026年に育児・介護休業法の新たな施行はないこと(【確認日】時点)
- 2025年4月/10月施行分のうち、運用の点検が必要な項目(義務・努力義務を区別)
- 2026年に施行された隣接制度(別項目として記載):【施行日と制度名を列挙】
- 当事務所に依頼できること/回答期限【日付】

# 条件
- A4一枚に収まる分量、丁寧だが平易な表現
- 私が渡した施行日・数字以外は書かない。検討中の事項は「【確認日】時点で未確定」と書く
- 制度の断定は避け、詳細は当事務所で確認する旨を添える

うまくいかない例と直し方: 施行日や対象年齢を指定せずに投げると、AIが古い制度や一般論で埋めてしまいます。改正内容は本記事の一次資料に基づいて数字と施行日を明記して渡し、出てきた案内文の制度部分は必ず社労士が突き合わせて確認してください。

場面2: 対象者・要対応事項をシミュレーションする

顧問先の従業員構成を入力し、誰にどの制度が関係するか、どの規程改定が必要かを整理させます。

次の従業員リストについて、2025年改正の育児・介護休業法で
「対応が必要になり得る項目」を従業員ごとに整理してください。

# 前提(改正後の要件)
- 子の看護等休暇:小学校3年生修了までの子を養育
- 残業免除の請求:小学校就学前の子を養育
- 柔軟な働き方の措置:3歳〜小学校就学前の子を養育

# 従業員リスト(氏名は伏せ、子の年齢と勤務形態のみ)
- A:子5歳・フルタイム
- B:子1歳・時短勤務
- C:要介護の親あり・フルタイム

# 出力
- 従業員 / 関係し得る制度 / 事業主側で確認・整備すべき事項 の表

うまくいかない例と直し方: 個人が特定できる情報をそのまま貼るのは守秘義務の観点で避けます。氏名や生年月日は伏せ、判断に必要な属性(子の年齢・勤務形態)だけを渡すのが原則です。AIの出力はあくまで「確認すべき候補リスト」であり、最終的な対象判定は要件と実態を照合して社労士が行います。

場面3: 育児介護休業規程の見直しドラフトを作る

現行規程の該当条文を渡し、改正に合わせた改定案と変更点の一覧を出させます。就業規則の作成・チェックにAIをどう組み込むかは、就業規則・社内規程のドラフトとチェックをAIで行う実務手順でも詳しく解説しています。

以下は現行の育児介護休業規程の一部です。2025年改正に対応するための
改定案(新旧対照)と、変更理由を作成してください。

# 現行条文(抜粋)
【該当条文を貼り付け】

# 反映する改正点
- 子の看護休暇→子の看護等休暇(小学校3年生修了まで/事由追加)
- 残業免除の対象を小学校就学前まで拡大
- 柔軟な働き方の措置(5つから2つ以上を選択)

# 出力
- 新旧対照表(現行 / 改定案 / 変更理由)
- 過半数組合等への意見聴取が必要な箇所の注記

うまくいかない例と直し方: AIは条番号や様式番号を実在しない形で作文することがあります。生成された条文はテンプレートとして扱い、条番号・引用・要件は必ず一次資料と現行規程に照らして社労士が確定させてください。汎用AIでここまで下書きが作れますが、法令引用の正確性や事務所独自のフォーマットまで詰めるなら、労務文書に特化したAIのほうが手戻りが減ります。

社労士が特に注意すべき落とし穴

改正対応でつまずきやすいポイントを、実務でよくある順にまとめます。

  • 義務と努力義務の混同: 育児・介護のテレワークは「努力義務」です。義務と誤って案内すると顧問先に過剰な負担を求めることになります。
  • 就業規則の届出・意見聴取の失念: 規程を改定したら、常時10人以上を使用する事業場では就業規則の変更届と労働者代表の意見書が必要です。柔軟な働き方の措置を選ぶ際は過半数組合等からの意見聴取も求められます。
  • 公表義務の対象確認漏れ: 常時雇用300人超の顧問先は男性育休取得率等の公表が、101人以上の顧問先は2026年4月から男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が必要です。規模がボーダーラインの先は年度ごとに確認しましょう。
  • 審議中の論点の先取り: 労政審で議論が始まった育児の両立支援や労働基準法の見直しを、確定前に規程へ書き込むと、改正内容が変わったときに二度手間になります。
  • 助成金との連動: 両立支援に取り組む事業主向けに両立支援等助成金のコース別支給額・要件・申請期限があります(年度ごとに要件・内容が見直される点に注意)。要件確認や申請書ドラフトの効率化は助成金申請をAIで効率化する社労士の実務も参考になります。
  • AI出力の鵜呑み: AIは便利ですが、制度の最終判断は人が行うのが大前提です。守秘義務にも配慮し、個人が特定される情報は入力しない運用を徹底してください。届出事務そのものの効率化は社会保険の手続きをAIで効率化する実務で扱っています。

よくある質問

2026年に育児・介護休業法の新たな改正はありますか?

2026年10月28日時点では、育児・介護休業法そのものに2026年施行の新たな改正項目はありません。改正は2025年4月1日と2025年10月1日の2段階ですべて施行済みです。ただし2026年は、子ども・子育て支援金の拠出開始(4月分保険料〜)、女性活躍推進法の情報公表義務の拡大(4月1日)、育児休業等給付の申請手続きの見直し(8月1日)、カスハラ対策の義務化と社会保険の賃金要件撤廃(いずれも10月1日)など隣接する制度が動いたため、顧問先への案内では区別して伝えてください。

2027年以降に育児・介護休業法が改正される予定はありますか?

2026年9月から労働政策審議会の雇用環境・均等分科会で「仕事と育児の両立支援」の議論が始まっています。ただし、2026年10月28日時点で法案の内容や施行時期は示されていません。決まった段階で厚生労働省の発表を確認し、規程への反映はそれからで間に合います。

2026年に労働基準法の改正はありますか?

2026年通常国会への提出は見送られ、2026年9月から労働政策審議会で審議が再開されています。2026年10月28日時点でも改正法案は国会に提出されておらず、内容も施行時期も未確定です。確定した制度と検討中の制度を混ぜて案内すると顧問先が過剰に身構えるため、案内文では明確に分けて記載してください。

2025年改正はすべての会社が対象ですか?

子の看護等休暇や残業免除の対象拡大、柔軟な働き方の措置、介護離職防止の各措置などは、原則として全企業が対象です。一方、男性育休取得状況の公表義務は常時雇用する労働者が300人を超える企業のみが対象です。

育児と介護のテレワーク導入は義務ですか?

いいえ、育児のためのテレワーク(3歳未満の子)と介護のためのテレワークは、いずれも「努力義務」です。就業規則の見直しが望ましい項目ですが、法的な措置義務ではありません。

柔軟な働き方の措置は何をいくつ選べばよいですか?

始業時刻等の変更、テレワーク等(月10日以上)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇(年10日以上)、短時間勤務制度の5つから2つ以上を事業主が選んで制度化し、労働者はそのうち1つを選んで利用します。選ぶ際は過半数組合等からの意見聴取が必要です。

顧問先への案内文や規程改定はどこまでAIに任せられますか?

案内文の下書き、対象者の洗い出しの整理、規程改定のたたき台づくりまでは大幅に効率化できます。ただし、要件適合の判断・条番号や引用の正確性・最終的な文言確定は社労士が担うのが前提です。個人が特定される情報は入力しない運用を徹底してください。

まとめ・改正対応の下ごしらえをAIで速くする

2025年の育児・介護休業法改正は4月・10月の2段階ですでに施行済みで、2026年10月28日時点で法本体に2026年施行の改正はありません。2026年に問われるのは、個別周知・意向聴取のように対象者が出るたびに発生する義務が運用に乗っているかの点検と、女性活躍推進法・子ども・子育て支援金・カスハラ対策・賃金要件撤廃といった隣接改正への対応です。次の見直しは労政審で議論が始まった段階なので、確定を待ってから動けば十分です。

顧問先ごとに業務チェックリストを埋め、案内文と規程改定案まで手を動かす作業は、AIに下ごしらえを任せると同じ説明を何十通も書き換える負担が大きく減ります。社労士は要件適合の確認と提案の質に時間を使えます。士業AIは、法務・労務の実務文書に強い日本語特化のAIチャットで、クレジットカード不要・メール登録だけで数分で使い始められます。改正対応の案内文や規程ドラフトの下書きから、まず試してみてください。

参考文献

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