育児・介護休業法 改正の対応|社労士が顧問先案内・規程見直しをAIで【2026年】
2025年(令和7年)に育児・介護休業法が2段階で改正・施行され、就業規則や育児介護休業規程の見直し、顧問先への案内が社労士の実務に一気に増えました。「何が義務で何が努力義務か」「どの顧問先が対応必須か」を整理し、案内文や規程改定のドラフトまで手を動かすと、想像以上に工数がかかります。
この記事では、2025年4月1日・10月1日に施行された改正内容を厚生労働省の一次資料に沿って正確に整理したうえで、社労士が顧問先にどう案内し、どこをAIで効率化できるかを実務目線でまとめます。読み終える頃には、顧問先ごとの対応要否を判断し、案内文・対象者の洗い出し・規程見直しの下ごしらえをAIで一気に進める段取りが描けるようになります。
この記事でわかること・育児・介護休業法 2025年改正の全体像
まず結論です。2025年の育児・介護休業法改正は、2025年4月1日と2025年10月1日の2段階で施行されました。育児期の柔軟な働き方の拡充、介護離職防止のための雇用環境整備・個別周知の義務化などが柱で、いずれもすでに施行済みの確定した内容です。公表義務の一部を除き、原則として全企業が対象になります。
- 2025年4月1日施行: 子の看護休暇の見直し、残業免除の対象拡大、育児テレワークの努力義務化、育児休業取得状況の公表義務の拡大、介護離職防止の各措置 など
- 2025年10月1日施行: 柔軟な働き方を実現するための措置(5つから2つ以上を選択)、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化
ここでいう「両立支援制度等」とは、介護休暇・所定外労働の制限・時間外労働の制限・深夜業の制限・所定労働時間の短縮など、仕事と介護(または育児)を両立するための制度の総称です。社労士としては、顧問先が「義務」と「努力義務」を取り違えて対応漏れを起こさないよう、施行日ごとに整理して案内するのが第一歩になります。
2025年4月1日施行の改正ポイント(社労士が顧問先に案内すべき項目)
4月施行分は項目数が多く、就業規則や育児介護休業規程の改定を伴うものが中心です。顧問先への案内では「規程改定が必要か」「対象となる従業員は誰か」をセットで伝えると、事務所への差し戻しが減ります。
子の看護休暇が「子の看護等休暇」に(対象拡大・事由追加・除外要件の変更)
名称が「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」へ変更され、対象となる子の範囲が「小学校就学の始期に達するまで」から「小学校3年生修了まで」に広がりました。取得事由も、従来の①病気・けが②予防接種・健康診断に加え、③感染症に伴う学級閉鎖等と④入園(入学)式・卒園式が追加されています。
あわせて、労使協定で除外できる労働者のうち「継続雇用期間6か月未満」の除外規定が廃止され、除外できるのは「週の所定労働日数が2日以下」の労働者のみになりました。取得可能日数(1年間に5日、子が2人以上の場合は10日)は変更ありません。就業規則の見直しが必要な改正であり、規程に旧名称・旧範囲が残っていないか点検が要ります。
所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
いわゆる残業免除を請求できる労働者の範囲が、「3歳未満の子を養育する労働者」から「小学校就学前の子を養育する労働者」に拡大されました。これも就業規則等の見直しが必要な義務規定です。対象年齢が延びた分、請求が想定される従業員が増える顧問先が出てきます。
短時間勤務の代替措置にテレワーク追加・育児テレワークの努力義務化
3歳未満の子を養育する労働者向けの短時間勤務制度について、業務の性質上その制度が困難な場合の代替措置にテレワークが追加されました(従来は①育児休業に準ずる措置②始業時刻の変更等の2つ)。さらに、3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講じることが、事業主の努力義務とされました。「義務」ではなく「努力義務」である点を、顧問先に正確に伝えることが重要です。
育児休業取得状況の公表義務が「300人超」に拡大
男性の育児休業等の取得状況を年1回公表する義務の対象が、従業員数1,000人超の企業から300人超の企業へ拡大されました。公表内容は男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」で、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど一般の方が閲覧できる方法で公表します。顧問先の従業員規模を確認し、新たに公表義務が生じる先を早めに洗い出す必要があります。
介護離職防止のための雇用環境整備・個別周知・情報提供
介護関連では、①研修の実施②相談窓口の設置③事例の収集・提供④利用促進の方針周知のいずれかの措置を講じる雇用環境整備が義務となりました(複数実施が望ましいとされています)。また、介護に直面した旨を申し出た労働者への個別の周知・意向確認、さらに40歳等の早い段階での情報提供も義務化されました。介護休暇についても、継続雇用期間6か月未満の除外規定が廃止されています。介護のためのテレワークは努力義務です。
2025年4月施行分の改正前後まとめ
項目 | 改正前 | 改正後(2025年4月〜) | 区分 |
|---|---|---|---|
子の看護(等)休暇の対象 | 小学校就学始期まで | 小学校3年生修了まで/事由に学級閉鎖・入園式等を追加 | 義務 |
残業免除の対象 | 3歳未満の子 | 小学校就学前の子 | 義務 |
育児のためのテレワーク | 規定なし | 3歳未満の子で選択できるよう措置 | 努力義務 |
育休取得状況の公表 | 従業員1,000人超 | 従業員300人超 | 義務 |
介護の雇用環境整備・個別周知 | 規定なし | 研修・相談窓口等の整備、個別周知・意向確認 | 義務 |
2025年10月1日施行の改正ポイント(柔軟な働き方と意向聴取)
10月施行分は、育児期の働き方の選択肢を広げる内容で、就業規則の見直しと運用の設計が必要です。4月分より制度設計の自由度が高く、顧問先ごとの実情に合わせた助言が効く領域です。
柔軟な働き方を実現するための措置(5つから2つ以上を選択)
事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、次の5つの選択肢から2つ以上を選んで制度化する義務を負います。労働者はそのうち1つを選んで利用できます。措置を選ぶ際は、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
選択して講ずべき措置 | 内容の目安 |
|---|---|
① 始業時刻等の変更 | フレックスタイム制、時差出勤(1日の所定労働時間は変えない) |
② テレワーク等 | 月に10日以上利用できるもの(原則時間単位で取得可) |
③ 保育施設の設置運営等 | 保育施設の設置運営、ベビーシッターの手配・費用負担など |
④ 養育両立支援休暇の付与 | 年に10日以上取得できる休暇(原則時間単位で取得可) |
⑤ 短時間勤務制度 | 1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの |
あわせて、子が3歳になるまでの適切な時期(子の3歳の誕生日の1か月前までの1年間)に、選択した制度についての個別周知と意向確認を行う義務があります。
仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
事業主は、労働者本人または配偶者の妊娠・出産等の申出時と、子が3歳になる前の適切な時期に、①勤務時間帯②勤務地③両立支援制度等の利用期間④業務量や労働条件の見直しといった両立に関する事項について、労働者の意向を個別に聴取し、その意向に自社の状況に応じて配慮する義務を負います。面談・書面交付・FAX・電子メール等のいずれかの方法で行い、面談はオンラインでも可能です。
顧問先に改正をどう案内するか(社労士の実務フロー)
改正内容そのものより、顧問先が「うちは何をすればいいのか」に落とし込めるかが社労士の腕の見せどころです。実務では、次の順で進めると抜け漏れが減ります。
- 対象顧問先の切り分け: 従業員300人超(公表義務の新規対象)かどうか、育児・介護対象の従業員がいるかを整理する。
- 規程改定の要否判定: 子の看護等休暇・残業免除の対象拡大・柔軟な働き方の措置など、就業規則や育児介護休業規程の改定が必要な項目を洗い出す。
- 案内文の作成: 顧問先の担当者が社内展開しやすいよう、施行日・対応事項・期限をまとめた案内文を用意する。
- 運用設計の助言: 柔軟な働き方の5つの選択肢のうちどれを選ぶか、意向聴取の様式をどう整えるかを、顧問先の実情に合わせて提案する。
この一連の作業は、顧問先の数が多いほど「同じ説明を少しずつ書き換えて何十通も作る」負担が重くのしかかります。ここがまさにAIの出番です。
育児・介護休業法の改正対応をAIで効率化する3つの場面
生成AIは、制度の最終判断を代わりに下す道具ではありませんが、「案内文の下書き」「対象者の洗い出しの整理」「規程改定のたたき台」といった下ごしらえを一気に速くしてくれます。実務では、AIに8割の形を作らせて、社労士が要件適合と表現を仕上げる分担が現実的です。
私たちが提供する士業AIは、法務・労務の実務文書に強い日本語特化のAIチャットサービスで、こうした案内文・規程ドラフト・対象者整理の下書きに活用できます。まずは汎用AIでどこまでできるかをイメージすると、導入判断がしやすくなります。
場面1: 顧問先向けの改正案内文をドラフトする
施行日・対応事項・期限を渡し、顧問先の担当者が社内に展開しやすいトーンで案内文を書かせます。
あなたは社労士事務所の担当者です。以下の条件で、顧問先の人事担当者向けの
「育児・介護休業法 改正対応のお願い」案内文を作成してください。
# 顧問先の状況
- 会社名:【顧問先名】
- 従業員数:【人数】
- 育児対象の従業員:【有無・人数】
# 盛り込む内容
- 2025年4月/10月施行の主な改正点(義務・努力義務を区別)
- 就業規則・育児介護休業規程の改定が必要な項目
- 貴所(当事務所)に依頼できること/回答期限【日付】
# 条件
- A4一枚に収まる分量、丁寧だが平易な表現
- 制度の断定は避け、詳細は当事務所で確認する旨を添えるうまくいかない例と直し方: 施行日や対象年齢を指定せずに投げると、AIが古い制度や一般論で埋めてしまいます。改正内容は本記事の一次資料に基づいて数字と施行日を明記して渡し、出てきた案内文の制度部分は必ず社労士が突き合わせて確認してください。
場面2: 対象者・要対応事項をシミュレーションする
顧問先の従業員構成を入力し、誰にどの制度が関係するか、どの規程改定が必要かを整理させます。
次の従業員リストについて、2025年改正の育児・介護休業法で
「対応が必要になり得る項目」を従業員ごとに整理してください。
# 前提(改正後の要件)
- 子の看護等休暇:小学校3年生修了までの子を養育
- 残業免除の請求:小学校就学前の子を養育
- 柔軟な働き方の措置:3歳〜小学校就学前の子を養育
# 従業員リスト(氏名は伏せ、子の年齢と勤務形態のみ)
- A:子5歳・フルタイム
- B:子1歳・時短勤務
- C:要介護の親あり・フルタイム
# 出力
- 従業員 / 関係し得る制度 / 事業主側で確認・整備すべき事項 の表うまくいかない例と直し方: 個人が特定できる情報をそのまま貼るのは守秘義務の観点で避けます。氏名や生年月日は伏せ、判断に必要な属性(子の年齢・勤務形態)だけを渡すのが原則です。AIの出力はあくまで「確認すべき候補リスト」であり、最終的な対象判定は要件と実態を照合して社労士が行います。
場面3: 育児介護休業規程の見直しドラフトを作る
現行規程の該当条文を渡し、改正に合わせた改定案と変更点の一覧を出させます。就業規則の作成・チェックにAIをどう組み込むかは、就業規則・社内規程のドラフトとチェックをAIで行う実務手順でも詳しく解説しています。
以下は現行の育児介護休業規程の一部です。2025年改正に対応するための
改定案(新旧対照)と、変更理由を作成してください。
# 現行条文(抜粋)
【該当条文を貼り付け】
# 反映する改正点
- 子の看護休暇→子の看護等休暇(小学校3年生修了まで/事由追加)
- 残業免除の対象を小学校就学前まで拡大
- 柔軟な働き方の措置(5つから2つ以上を選択)
# 出力
- 新旧対照表(現行 / 改定案 / 変更理由)
- 過半数組合等への意見聴取が必要な箇所の注記うまくいかない例と直し方: AIは条番号や様式番号を実在しない形で作文することがあります。生成された条文はテンプレートとして扱い、条番号・引用・要件は必ず一次資料と現行規程に照らして社労士が確定させてください。汎用AIでここまで下書きが作れますが、法令引用の正確性や事務所独自のフォーマットまで詰めるなら、労務文書に特化したAIのほうが手戻りが減ります。
社労士が特に注意すべき落とし穴
改正対応でつまずきやすいポイントを、実務でよくある順にまとめます。
- 義務と努力義務の混同: 育児・介護のテレワークは「努力義務」です。義務と誤って案内すると顧問先に過剰な負担を求めることになります。
- 就業規則の届出・意見聴取の失念: 規程を改定したら、常時10人以上を使用する事業場では就業規則の変更届と労働者代表の意見書が必要です。柔軟な働き方の措置を選ぶ際は過半数組合等からの意見聴取も求められます。
- 公表義務の対象確認漏れ: 従業員300人超の顧問先は男性育休取得率等の公表が必要です。規模がボーダーラインの先は年度ごとに確認しましょう。
- 助成金との連動: 両立支援に取り組む事業主向けに両立支援等助成金があります(年度ごとに要件・内容が見直される点に注意)。要件確認や申請書ドラフトの効率化は助成金申請をAIで効率化する社労士の実務も参考になります。
- AI出力の鵜呑み: AIは便利ですが、制度の最終判断は人が行うのが大前提です。守秘義務にも配慮し、個人が特定される情報は入力しない運用を徹底してください。届出事務そのものの効率化は社会保険の手続きをAIで効率化する実務で扱っています。
よくある質問
2025年改正はすべての会社が対象ですか?
子の看護等休暇や残業免除の対象拡大、柔軟な働き方の措置、介護離職防止の各措置などは、原則として全企業が対象です。一方、男性育休取得状況の公表義務は従業員300人超の企業のみが対象です。
育児と介護のテレワーク導入は義務ですか?
いいえ、育児のためのテレワーク(3歳未満の子)と介護のためのテレワークは、いずれも「努力義務」です。就業規則の見直しが望ましい項目ですが、法的な措置義務ではありません。
柔軟な働き方の措置は何をいくつ選べばよいですか?
始業時刻等の変更、テレワーク等(月10日以上)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇(年10日以上)、短時間勤務制度の5つから2つ以上を事業主が選んで制度化し、労働者はそのうち1つを選んで利用します。選ぶ際は過半数組合等からの意見聴取が必要です。
顧問先への案内文や規程改定はどこまでAIに任せられますか?
案内文の下書き、対象者の洗い出しの整理、規程改定のたたき台づくりまでは大幅に効率化できます。ただし、要件適合の判断・条番号や引用の正確性・最終的な文言確定は社労士が担うのが前提です。個人が特定される情報は入力しない運用を徹底してください。
まとめ・改正対応の下ごしらえをAIで速くする
2025年の育児・介護休業法改正は、4月・10月の2段階ですでに施行済みです。社労士に求められるのは、顧問先ごとに「義務・努力義務の切り分け」「規程改定の要否」「対象者の把握」を整理し、案内文と規程改定案まで手を動かすことです。この下ごしらえをAIに任せれば、同じ説明を何十通も書き換える負担が大きく減り、社労士は要件適合と提案の質に時間を使えます。
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