法務×AI

社労士のChatGPTプロンプト集|労務・社会保険で使える実例10選【2026年】

この記事で分かること(結論ファースト)

「ChatGPTを社労士業務に使いたいが、何をどう打ち込めばいいか分からない」——本記事は、その悩みにコピペで答えるプロンプト集です。社会保険手続きの説明文から給与計算の検算、労務相談の下書き、就業規則チェック、顧問先への案内文まで、実務でそのまま使える型を業務別に約10例そろえました。

  • 社会保険・雇用保険の届出を顧問先にやさしく説明する文面プロンプト
  • 給与計算を「検算の観点出し」でダブルチェックするプロンプト
  • 残業・有休・ハラスメントなど労務相談の一次回答ドラフト
  • 就業規則・社内規程のチェック観点を洗い出すプロンプト
  • 法改正の周知メールなど顧問先向け案内文のプロンプト
  • うまくいかない例と、その直し方(社労士がやりがちな失敗)

読み終える頃には、自事務所の業務に合うプロンプトを選び、明日から試せる状態になります。

使う前の3つの前提(守秘義務・個人情報・人による検証)

社労士は顧問先の従業員情報という極めて機微なデータを扱います。ChatGPTを使う前に、次の3点を必ず前提にしてください。

  • 個人が特定できる情報を貼らない:氏名・マイナンバー・基礎年金番号・住所・給与額の実データはプロンプトに入れず、【従業員名】【対象月】のようなプレースホルダに置き換える。
  • データの取り扱いを確認する:OpenAIは、ChatGPTのビジネス向けプランやAPIについて、既定では入力・出力をモデルの学習に使わないとしています(Business data privacy, security, and compliance|OpenAI)。無料版など個人向け利用時の設定は各自で確認しましょう。
  • 出力は必ず人が検証する:AIは事実と異なる内容をもっともらしく生成します。届出名称・期限・金額は一次情報で裏を取り、最終判断は社労士が行う——これが崩れると資格を懸けた業務が成り立ちません。

社会保険・雇用保険の届出を「顧問先にやさしく説明する」プロンプト

実務で地味に時間を食うのが、手続きの背景を知らない顧問先担当者への説明です。ChatGPTは、正確な届出名称と期限さえこちらが与えれば、それを平易な文章に整えるのが得意です。ポイントは、様式名や期限をAIに推測させず、社労士が正しい情報を渡すこと

プロンプト1:入社時(資格取得)の手続き案内

従業員を採用したときの社会保険は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」、雇用保険は「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。社会保険は事実発生から5日以内、雇用保険は資格取得日の属する月の翌月10日までが目安です(日本年金機構)。この事実を渡したうえで説明文を作らせます。

あなたは社会保険手続きに詳しい社労士のアシスタントです。
下記の【確定情報】だけを根拠に、顧問先の総務担当者(初心者)向けに
入社手続きの案内文を作成してください。推測で期限や様式名を補わないこと。

【確定情報】
・社会保険:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 / 事実発生から5日以内
・雇用保険:雇用保険被保険者資格取得届 / 翌月10日まで
・回収書類:基礎年金番号通知書またはマイナンバー、扶養家族の情報

【条件】
・専門用語には一言の補足を添える
・箇条書きで手順→必要書類→期限の順
・800字以内、丁寧だが堅すぎない敬体

うまくいかない例→直し方:「入社手続きを説明して」とだけ打つと、AIが古い様式名や誤った期限を創作します。上記のように確定情報を先に固定し「推測で補うな」と明示すれば、AIは整形役に徹します。届出事務の全体像は社会保険の届出事務をAIで効率化するプロンプト集で深掘りしています。

プロンプト2:退職時(資格喪失)の手順チェックリスト

退職時は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者資格喪失届」が中心です。抜け漏れ防止のチェックリスト化に向いています。

顧問先【顧問先名】の従業員が【退職日】に退職します。
社会保険(健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届)と
雇用保険(雇用保険被保険者資格喪失届)の提出に向けて、
担当者が漏れなく動けるチェックリストを作ってください。
・回収物(保険証等)、離職票の要否確認、社内周知の各項目を分ける
・期限は「一般的な目安」として書き、断定しない
・最終確認は社労士が行う前提の一文を末尾に入れる

直し方の勘所:AIに「離職票は必ず発行」など断定させないため、「要否を確認する項目として書け」と指示します。制度は例外が多く、断定はトラブルの元です。

給与計算を「検算の観点」でダブルチェックするプロンプト

ここは最も注意が必要な領域です。ChatGPTに社会保険料や税額そのものを計算させてはいけません。料率は年度で変わり、AIは古い値を平然と使うためです。使うのは「検算すべき観点を出させる」用途に限定します。

プロンプト3:給与計算の検算チェックリスト生成

給与計算のセルフチェックに使うため、
「確認すべき観点」だけを列挙してください。具体的な金額や料率は書かないこと。

【対象】月給者【対象月】の給与計算
【観点を出してほしい項目】
・健康保険料/厚生年金保険料:標準報酬月額の等級、対象者の年齢(介護保険該当)
・雇用保険料:対象賃金の範囲
・所得税:扶養親族等の数、社会保険料控除後の課税対象
・勤怠:残業時間の割増率区分、欠勤控除の計算基礎
それぞれ「何と突き合わせて確認するか」をセットで示す

うまくいかない例→直し方:「この人の保険料を計算して」と頼むと、それらしい数字を出しますがほぼ検証不能な創作です。計算はソフトや料額表に任せ、AIには「見落としがちな観点の洗い出し」だけをさせる——この線引きが安全に使うコツです。検算プロンプトの型は給与計算をAIで検算するプロンプト集にまとめています。

労務相談の「一次回答ドラフト」を作るプロンプト

顧問先からの相談は、論点整理と回答の骨子づくりにAIが役立ちます。ただし最終判断は必ず社労士が行う前提で、あくまで下書きに使います。

プロンプト4:残業・有休など労務相談の回答骨子

あなたは社労士の下書き担当です。以下の相談に対する回答の「骨子」を作ってください。
最終的な法的判断は社労士が行うため、断定は避け、確認すべき論点を明示すること。

【相談内容】【相談内容を要約して貼付・個人情報は入れない】
【出力】
1. この相談で整理すべき論点(3〜5個)
2. 一般論としての考え方(「〜の場合が多い」等の保守表現)
3. 事実確認が必要な項目(就業規則の定め、労使協定の有無 等)
4. 顧問先への返信ドラフト(敬体・400字程度)

プロンプト5:ハラスメント相談の一次対応整理

ハラスメントの相談を受けた顧問先の初動対応について、
「やるべきこと/避けるべきこと」を整理してください。
・相談者のプライバシー保護、事実確認の進め方、記録の残し方を含める
・具体的事案の断定的な結論は出さず、社内規程と専門家確認を促す構成にする
・個人が特定される情報は一切入れていない前提で作成

直し方の勘所:相談文をそのまま貼ると個人情報が混ざります。要約し匿名化してから渡すのが鉄則。回答下書きの精度を上げる型は労務相談の回答下書きをAIで作るプロンプト集で解説しています。

就業規則・社内規程の「チェック観点」を出すプロンプト

規程の作成そのものより、既存規程のレビュー観点出しにAIは強みを発揮します。条文を貼る際は顧問先が特定される固有名詞を外しましょう。

プロンプト6:就業規則レビューの観点洗い出し

次の就業規則の条文について、社労士がレビューする際の「確認観点」を挙げてください。
条文の正誤を断定するのではなく、確認すべきポイントと関連論点を示すこと。

【条文】【固有名詞を外した条文を貼付】
【観点の例】法令との整合、労使協定の要否、他条文との矛盾、
運用実態とのズレ、周知方法、不利益変更の論点

プロンプト7:規程間の矛盾チェック

就業規則本則と、以下の個別規程(賃金規程・育児介護休業規程 等)の間で
矛盾しそうな箇所を洗い出す観点を、チェックリスト形式で出してください。
断定はせず「確認すべき箇所」として提示すること。

ドラフト作成とチェックの両面での使い方は就業規則・社内規程をAIでドラフト/チェックするプロンプト集にまとめています。

顧問先への「案内文・周知メール」を作るプロンプト

法改正の周知や年度更新の案内など、定型だが数が多い文書はAIの得意分野です。制度の中身は社労士が確定し、AIは文章化に徹させます

プロンプト8:法改正の周知メール

顧問先【顧問先名】の総務担当者向けに、下記の【周知したい内容】を伝える
案内メールを作成してください。内容はこちらが確定済みなので、
勝手に制度の詳細や施行日を追加・変更しないこと。

【周知したい内容】【社労士が確定した改正の要点を貼付】
【条件】件名+本文、500字程度、次のアクション(提出物・期限)を明確に、丁寧な敬体

プロンプト9:問い合わせへの定型返信のトーン統一

顧問先からよくある問い合わせへの返信文を、事務所の標準トーンに揃えて作成してください。
・過度にへりくだらず、専門家として簡潔に
・断定できない事項は「確認のうえご連絡します」と添える
【問い合わせ】【匿名化した問い合わせ内容を貼付】

プロンプト10:助成金の一次案内文

顧問先に対し、活用を検討できそうな助成金の「概要と次のステップ」を伝える
案内文の骨子を作ってください。要件や金額は断定せず、
「詳細は要件確認のうえご案内します」と明記すること。
【伝えたい助成金の方向性】【社労士が想定する助成金の趣旨を貼付】

助成金は要件・金額の断定が最も危険な領域です。AIには趣旨の説明と次アクションの整理までを任せ、要件確認は必ず一次情報で行いましょう。詳しくは助成金申請をAIで効率化するプロンプト集を参照してください。

プロンプトがうまくいかない社労士がやりがちな3つの失敗

現場で「AIが使えない」と感じる原因は、たいてい制度ではなく使い方にあります。

  • 指示が曖昧:「就業規則を見て」では観点が広すぎます。役割・対象・出力形式・字数を指定すると精度が跳ね上がります。実務では「あなたは〜の担当です」と役割を固定するだけで結果が安定します。
  • 個人情報をそのまま貼る:氏名や給与実額を入れるのは守秘義務の観点で避けるべきです。プレースホルダ化と匿名化を習慣にしましょう。
  • 出力を検証せず使う:届出名称・期限・料率・助成金要件は、AIが最も間違えやすい箇所です。現場で多いのは「もっともらしい古い情報」をそのまま顧問先に流してしまう事故。一次情報での裏取りは省略できません

この3つを避けるだけで、同じChatGPTでも成果物の質が大きく変わります。

汎用ChatGPTでここまで。専門特化ならもっと楽になる

ここまで見てきた通り、汎用のChatGPTでも「型」を用意すれば社労士業務はかなり効率化できます。一方で、毎回プレースホルダを埋め、役割設定を書き、出力を検証する——このお膳立ての手間は残ります。届出名称や様式を取り違えないための前提づくりを、毎回自分で組み立てるのは負担です。

そこを省きたい方向けに、士業の業務を前提に設計されたAIという選択肢があります。汎用AIを否定するものではなく、「型」を毎回書く手間そのものを減らす発想です。

汎用なんでもAI/メール返信AIで日常業務を効率化するデモです。

まとめ:まず1つ、自分の業務に近いプロンプトから試す

社労士のChatGPT活用は、正確な制度情報を社労士が与え、AIには整形と観点出しをさせ、最後は人が検証する——この役割分担に尽きます。本記事の10例から、まずは自分の業務に一番近いものを1つコピペして、プレースホルダを自事務所仕様に書き換えてみてください。うまくいかなければ、役割・対象・出力形式・字数を足す。それだけで多くのケースは改善します。

労務相談や問い合わせ対応のテンプレは労務問い合わせの回答テンプレート集もあわせてどうぞ。

参考文献(一次情報)

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