税務×AI

源泉徴収票の書き方|欄別の記入例と令和8年分の変更点・交付期限

源泉徴収票は「もらう書類」として語られがちですが、会計事務所や顧問先の経理にとっては作って、配る書類です。しかも令和8年分(2026年分)から提出のしくみが変わり、令和9年1月1日以後は市区町村へ給与支払報告書を出せば税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされます。一方で、受給者への交付義務は全員分そのまま残ります

この記事は、年末調整から1月の交付までを回す側の目線で、変更点・欄ごとの記入ルール・交付期限・再発行・従業員への説明までをまとめたものです。

  • 令和8年分から何が変わり、事務所の手順のどこを直すべきか
  • 「税務署提出用」と「受給者交付用」で書き方が違う欄はどこか
  • 交付期限と、中途退職者・電子交付の扱い
  • 従業員に見方を聞かれたときの30秒の説明と、再発行の受け方
  • 交付前チェックリストと、AIに検算させるプロンプト

源泉徴収票は「交付する書類」|納付書・申告書との役割の違い

まず整理したいのが、年末調整期に机の上に並ぶ3種類の書類の役割です。似た名前なので、顧問先の担当者から質問を受けたときに一言で答えられると話が早く終わります。

書類

役割

相手

期限(令和8年分)

給与所得の源泉徴収票

1年間の支払額と源泉徴収税額を証明して渡す

受給者(全員)

令和9年2月1日まで

給与支払報告書

住民税の課税資料として報告する

市区町村

令和9年2月1日まで

所得税徴収高計算書(納付書)

源泉徴収した税額を納める

税務署(金融機関)

毎月10日/納期の特例

納める書類の書き方は源泉所得税の納付書の書き方と納期の特例で、年末調整の各申告書に何を書かせるかは年末調整の申告書の記入手順で扱っています。本記事はその後工程、確定した数字を様式に落として配るところを担当します。

交付義務の根拠は所得税法226条1項で、「各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない」と定められています(e-Gov法令検索・所得税法)。押さえるべきは、このうち「税務署長に提出」が令和9年1月から実質不要になるのに対し、「支払を受ける者に交付」は変わらないという非対称です。

令和8年分からの変更点|源泉徴収票のみなし提出の特例

市区町村へ出せば税務署へ出したものとみなされる

国税庁は「令和9年1月1日以後、市区町村に『給与支払報告書』又は『公的年金等支払報告書』を提出した場合には、税務署長に『給与所得の源泉徴収票』又は『公的年金等の源泉徴収票』を提出したものとみなされます」と明示しています。結果として、税務署提出用の源泉徴収票を作成・提出する必要がなくなります国税庁「源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ」)。

作成枚数も整理されました。特例を受ける場合は、受給者交付用1枚+市区町村提出用の給与支払報告書1枚の計2枚で足ります(令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引)。複写様式の在庫と印刷部数を見直すタイミングです。

提出範囲が給与支払報告書と同じ基準に統一された

令和8年分以後、税務署への提出範囲は給与支払報告書と同一になり、基準は「年の中途で退職した者に支払った給与等が30万円以下である場合を除く、すべての給与等」になりました。令和8年12月31日以前に提出すべきものは、従来どおり次の金額基準です(国税庁タックスアンサーNo.7411/令和8年4月1日現在法令等)。

区分

従来の提出範囲(令和8年12月31日以前)

年末調整をした法人の役員

支払金額150万円超

年末調整をした弁護士・司法書士・税理士等

支払金額250万円超

年末調整をした上記以外の者

支払金額500万円超

扶養控除等申告書を出した中途退職者

250万円超(役員は50万円超)

扶養控除等申告書を出していない者(乙欄・丙欄)

50万円超

顧問先から「うちは500万円超の人だけでいいんですよね」と聞かれたときに、その基準はもう古いと即答できるかどうかが、この年末の差になります。

eLTAXの「電子的提出の一元化機能」は令和8年9月で終了

段取りに直結する変更がもう一つあります。源泉徴収票と支払報告書を同時に作成・提出できたeLTAXの「電子的提出の一元化機能」は令和8年9月をもって終了します。この機能に依存していた事務所は、給与支払報告書をeLTAXから提出する手順へ組み替える必要があります。

電子的提出義務の判定にも注意します。前々年(基準年)に税務署へ提出すべきであった源泉徴収票の枚数が30枚以上だった場合は、eLTAX又は光ディスク等での提出が必要で、みなし提出の特例により提出したとみなされたものもこの枚数に含めます。なお、eLTAXで給与支払報告書を提出すると、令和8年分以後は従業員の確定申告時のマイナポータル連携の対象になります。電子化を提案する材料に使えます。

年末調整そのものの回収・不備チェックを軽くする方法は年末調整の回収と不備チェックを効率化する手順にまとめています。本記事は、その工程が終わって数字が固まった前提の話です。

給与所得の源泉徴収票の書き方|欄ごとの記入ルール

まず押さえる4つの数字

上段に並ぶ4つの金額は、左から右へ引き算で繋がっています。この関係が分かっていれば、多くの検算は自力でできます。

  • 支払金額:その年に支払の確定した給与等の総額。作成日現在で未払のものがあれば、その未払額を内書きします。中途就職者について前職分を通算して年末調整した場合は、その前職給与も含めます。
  • 給与所得控除後の金額(調整控除後):「令和8年分年末調整のしかた」の給与所得控除後の給与等の金額の表で求めた金額。所得金額調整控除があるときは、その額を控除した後の金額を書きます。
  • 所得控除の額の合計額:社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除・基礎控除の合計。
  • 源泉徴収税額:年末調整をした場合は年末調整後の所得税及び復興特別所得税の合計額。未払給与があり源泉徴収していない税額があるときは、その未徴収税額を内書きします。

年末調整をしていない乙欄者などは、給与所得控除後の金額と所得控除の額の合計額が空欄になります。「2つ空欄なんですけど」と聞かれたら、年末調整をしていないから空欄で正しいと説明します。

配偶者・扶養親族・特定親族の欄|令和8年分の所得ライン

令和8年分では判定に使う合計所得金額のラインが動いています。手引の用語説明に沿うと次のとおりです。

用語

令和8年分の判定

源泉控除対象配偶者

受給者の合計所得金額900万円以下で、配偶者の合計所得の見積額95万円以下

同一生計配偶者

合計所得金額62万円以下(令和8年11月30日以前は58万円以下)

控除対象配偶者

同一生計配偶者のうち、受給者の合計所得金額が1,000万円以下

特定親族

19歳以上23歳未満で、合計所得金額62万円超(同上)123万円以下

源泉控除対象親族

控除対象扶養親族、又は合計所得の見積額100万円以下の特定親族

「特親」欄には特定親族の人数を、特定親族特別控除の額は専用欄に書きます。親族等の合計所得金額が62万円以下、又は123万円を超える場合は特定親族特別控除を受けられません。配偶者特別控除も、配偶者の合計所得金額が62万円以下又は133万円超なら適用外です。学生アルバイトの多い顧問先では、ここが年末に一番揺れます。

「16歳未満扶養親族の数」は扶養控除の対象外の人数を書く欄で、令和8年分の16歳未満とは平成23年1月2日以後に生まれた方を指します。

社会保険料等・生命保険料・住宅借入金等

金額そのものより、内書きと内訳欄の対応でミスが出ます。

  • 社会保険料等の金額:給与から控除した社会保険料+保険料控除申告書に基づく社会保険料+小規模企業共済等掛金の合計で、小規模企業共済等掛金は内書き。確定拠出年金の企業型・個人型の加入者掛金も含みます。
  • 生命保険料の金額の内訳:新旧の区分は契約日基準。平成24年1月1日以後の契約が「新」、平成23年12月31日以前が「旧」です。
  • 国民年金保険料等の金額:社会保険料控除を受けた国民年金保険料・国民年金基金の掛金。子の未納分を親が支払ったケースで漏れやすい欄です。
  • 住宅借入金等特別控除:控除しきれない額があるときは「住宅借入金等特別控除可能額」を記載。居住開始年月日は和暦で、適用数が3以上なら3回目以降は摘要欄に書きます。

摘要欄に何を書くか|漏れやすい10パターン

  1. 控除対象扶養親族等・16歳未満の扶養親族が5人以上のときの、5人目以降の氏名(括弧書きの番号を付す)
  2. 16歳未満の扶養親族は氏名の後に「(年少)」
  3. 同一生計配偶者(控除対象配偶者を除く)が障害者・特別障害者・同居特別障害者のとき、氏名と「(同配)」
  4. 所得金額調整控除で、同一生計配偶者が特別障害者なら「氏名(同配)」、扶養親族が特別障害者又は23歳未満なら「氏名(調整)」
  5. 23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例を適用したとき「租税特別措置法第41条の15の5第1項適用」
  6. 3以上の住宅借入金等特別控除がある場合の3回目以降の内容
  7. 前職分を通算して年末調整した場合の、前職の所在地・名称、退職年月日、支払金額・徴収税額・社会保険料の額
  8. 賃金の支払の確保等に関する法律第7条により未払給与の弁済を受けた退職勤労者の、その旨と金額
  9. 同一年中に同一事業者で中途就職と中途退職の両方に当たる場合の「中途就」
  10. 租税条約により源泉所得税等の免除を受ける場合の免税対象額と該当条項

控除対象扶養親族等のマイナンバーは摘要欄ではなく備考欄に書きます。摘要欄に「(1)氏名(年少)」「(2)氏名」と書いたなら、備考欄は「(1)012345678901」のように番号で対応させます。

税務署提出用と受給者交付用で書き方が違う欄

ここが最頻出のミスです。同じ様式なのに、提出用は数字、交付用は「○」という書き分けがあります。

税務署提出用

受給者交付用・給与支払報告書

控除対象配偶者の有無等(有・従有・老人)

該当は「1」、非該当は「2」

該当欄に「○」

未成年者・障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生など

該当は「1」、非該当は「2」

該当欄に「○」

中途就・退職

「就職」「退職」欄に1/2と年月日

該当欄に「○」と年月日

個人番号・法人番号

受給者・支払者とも記載する

記載しない

無効区分

新規・追加・訂正は「0」、無効は「1」

この欄はない

とくにマイナンバーは、受給者に交付する源泉徴収票には記載しません。給与ソフトの出力設定を触ったことがある事務所ほど事故になりやすいところです。市区町村へ出す給与支払報告書には16歳未満の扶養親族のマイナンバーも記載する点も、あわせて確認しておきます。「未成年者」欄でいう未成年者は、令和8年分では平成21年1月3日以後に生まれた方です。

いつ配るか|交付期限・中途退職者・電子交付

交付は「全員分」、期限は令和9年2月1日

国税庁は、提出範囲にかかわらず、またみなし提出の特例で給与支払報告書を提出した場合であっても、すべての受給者に対し翌年1月31日まで(年の中途で退職した方は退職の日以後1か月以内)に交付しなければならないとしています。令和8年分は1月31日が日曜のため、手引は期限を令和9年2月1日と示しています。「すべての受給者」には、国内に住所又は1年以上居所を有する居住者である外国人従業員も含まれます。

中途退職者は退職後1か月以内|年末にまとめない

年の途中で辞めた人の源泉徴収票を年末にまとめて出す運用の顧問先は少なくありませんが、法定の期限は退職の日以後1か月以内です。転職先の年末調整に間に合わず、本人が確定申告に回らざるを得なくなる原因にもなります。退職手続きのチェックリストに源泉徴収票の発行が入っているか、今のうちに確認しておくと効きます。

なお、退職金を支払った場合は給与所得の源泉徴収票とは別に「退職所得の源泉徴収票」の作成・交付が必要で、令和8年1月1日以後に支払うべき退職手当等からは税務署への提出範囲が役員以外にも広がっています。税額の出し方は退職金の税金の計算方法|控除額・源泉徴収・住民税の早見表で整理しています。

電子交付は「事前の承諾」が要る

書面に代えて電磁的方法で提供(電子交付)することもできますが、あらかじめ受給者の承諾を得るなど一定の要件が必要で、電子交付した場合でも受給者から請求があれば書面で交付しなければなりません。承諾の取り方、回答がない場合の「みなし承諾」の通知方法、書面出力の要件などは国税庁の電子交付に係るQ&Aに問答形式で整理されています。給与明細の電子化を進めたい顧問先には、この資料をそのまま案内すると話が早く進みます。

従業員に「見方」を聞かれたときの説明

交付した直後の1〜2週間は、顧問先経由で見方の質問が来ます。実務でいちばん多い3つに、そのまま使える返し方を用意しておきます。

30秒で説明する|4つの数字の関係

「支払金額が年収です。そこから給与所得控除を引いたのが給与所得控除後の金額。さらに社会保険料や生命保険料、扶養などの所得控除を引いた残りに税率をかけて計算した1年分の所得税が、源泉徴収税額です。毎月引かれていた金額との差は12月の給与で精算済みです」。この4文でほとんどの質問は収まります。「還付が少ない」と言われたら、控除の額ではなく源泉徴収税額と毎月の控除額の差で説明します。

「再発行してほしい」と言われたとき

再発行に法令上の回数制限はなく、支払者は交付義務を負う立場なので原則として応じます。実務では次を確認すると手戻りがありません。

  • どの年分か(住宅ローン審査や扶養認定は前年分、確定申告は対象年分)
  • 用途(原本の提出が必要か、写しで足りるか)
  • 退職者かどうか(在職時の住所と現住所が違うと郵送先を誤りやすい)
  • マイナンバーが載っていないか(交付用には記載しない。提出用データをそのまま印刷しない)

すでに解散した会社など支払者に再発行を求められない場合は、税務署への源泉徴収票不交付の届出手続という経路があると案内できます。顧問先の従業員から相談されたときの逃げ道として覚えておくと役に立ちます。

「転職先に出すのはどれ?」

転職先の年末調整で必要なのは、その年に前職から交付された給与所得の源泉徴収票で、前年分ではありません。前職分を通算して年末調整した場合、新しい勤務先が発行する源泉徴収票の摘要欄に前職の名称・退職年月日・支払金額・徴収税額・社会保険料の額が記載されるので、合算されているかは摘要欄を見れば分かります。

交付前チェックリストとAI検算プロンプト

交付前チェックリスト12項目

  1. 受給者交付用にマイナンバー・法人番号が印字されていないか
  2. 「有・従有・老人」「未成年者〜勤労学生」欄が、交付用は「○」表記になっているか
  3. 支払金額に未払額があるとき、内書きしているか
  4. 給与所得控除後の金額に所得金額調整控除を反映しているか
  5. 所得控除の額の合計額に特定親族特別控除を含めているか
  6. 社会保険料等の金額のうち、小規模企業共済等掛金を内書きしているか
  7. 特定親族・特定扶養親族の判定を、令和8年分の年齢と所得ラインで見直したか
  8. 16歳未満の扶養親族が専用欄に入り、扶養控除に混入していないか
  9. 控除対象扶養親族等が5人以上のとき、摘要欄の氏名と備考欄のマイナンバーが番号で対応しているか
  10. 前職通算がある場合、摘要欄に前職情報4点(所在地・名称/退職年月日/支払金額・徴収税額/社会保険料)を書いたか
  11. 中途退職者に、退職後1か月以内で交付済みか
  12. 電子交付する人について、事前承諾が取れているか

そのまま使えるAI検算プロンプト3本

源泉徴収票のチェックは「金額の整合」と「欄の使い分け」に分かれます。前者は表計算、後者は目視になりがちですが、AIに投げると読み合わせの時間を圧縮できます。変数は【】で示しています。

あなたは会計事務所のベテラン担当者です。次の給与所得の源泉徴収票(令和8年分・受給者交付用)の
記載内容について、金額の整合性を検算してください。

【支払金額】=
【給与所得控除後の金額(調整控除後)】=
【所得控除の額の合計額】=
【源泉徴収税額】=
【社会保険料等の金額】=(うち小規模企業共済等掛金 内書き = )
【生命保険料の控除額】=
【地震保険料の控除額】=
【配偶者(特別)控除の額】=
【特定親族特別控除の額】=

確認してほしいこと:
1. 所得控除の額の合計額が、上記の個別控除額の積み上げと矛盾していないか
2. 給与所得控除後の金額が、支払金額に対して不自然に大きい/小さくないか
3. 源泉徴収税額が、課税所得(給与所得控除後の金額-所得控除の額の合計額)から見て桁違いでないか
4. 内書きが必要な項目が、内書きではなく合計に紛れていないか

出力は「疑わしい項目 / 理由 / 私が原資料で確認すべき箇所」の3列の表にしてください。
断定できない項目は「要確認」と明記し、推測で数値を作らないでください。
次の従業員の状況から、令和8年分の給与所得の源泉徴収票で「どの欄に何人・いくらを書くか」を
整理してください。判定に迷う点は質問してください。

【従業員】年齢= / 合計所得金額=
【配偶者】年齢= / 合計所得金額(見積)=
【子1】年齢= / 合計所得金額= / 同居・別居=
【子2】年齢= / 合計所得金額= / 同居・別居=
【その他の親族】続柄= / 年齢= / 合計所得金額= / 同居・別居= / 国内居住=

出力形式:
- 源泉控除対象配偶者 / 同一生計配偶者 / 控除対象配偶者 のどれに当たるか
- 控除対象扶養親族等の数(特定・老人・その他・特親)の各欄に入る人数
- 16歳未満扶養親族の数 / 非居住者である親族の数
- 摘要欄に記載が必要な事項
- それぞれの根拠となる判定基準(合計所得金額のライン・年齢)

判定基準の数値は私が国税庁の手引で照合します。数値には必ず「要照合」と付記してください。
顧問先の従業員向けに、源泉徴収票の見方を説明する案内文を作ってください。

【会社名】= 【交付方法】=(書面 / 電子交付) 【交付日】= 【問い合わせ先】=

条件:
- A4半ページ、専門用語は使わず、税額の計算式は書かない
- 「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の4つが
  どうつながっているかを、引き算の順序で3文以内に説明する
- 「還付額が少ない理由」「再発行の依頼方法」「転職先に出す年分」の3点をQ&Aで入れる
- 個別の税務相談には答えられない旨を最後に一文添える

うまくいかない例と、その直し方

例1:「この源泉徴収票、間違ってない?」と画像だけ貼って聞く。→ 欄名と金額をテキストで書き出し、何を検算してほしいかを番号で指定します。AIは様式のレイアウトを読むのが苦手な一方、数字の整合と条件分岐の網羅は得意です。読み取りは人、突き合わせはAIと割り切ると精度が上がります。

例2:「令和8年分の扶養の所得基準を教えて」と聞いて、返ってきた数字をそのまま使う。→ 金額のライン・期限・様式は必ず国税庁の原典で照合する前提でプロンプトを書きます。令和8年分は同一生計配偶者の所得ラインが年内に動く(11月30日以前は58万円以下、以後は62万円以下)ような改正が入っており、学習時点の古い数値が返るリスクがとくに高い年分です。

AIに任せてよい範囲と、任せてはいけない範囲

源泉徴収票まわりでAIが効くのは、チェックリスト化・整合性の検算・説明文の下書き・判定の場合分けの洗い出しです。逆に、金額基準や期限といった一次情報の確定、個別の税務判断、顧問先への最終回答は人が行う領域です。

士業AIの税務AIは、国税庁などの公的情報を参照しながら回答する設計なので、「この記載でいいか」を確認する用途に向いています。法定調書や年末調整のように毎年の改正で数値が動く分野ほど、参照先が示される環境で使う意味があります。

国税庁等の公的情報を参照する税務特化AI のデモです。

税理士・会計事務所向けの機能や使いどころは税務AIのページにまとめています。給与以外の報酬を支払ったときの源泉徴収は報酬の源泉徴収の計算方法で扱っているので、法定調書の準備とあわせて確認してください。

まとめ|今年の年末調整前にやっておくこと

  • 令和9年1月以後は、給与支払報告書を市区町村へ出せば税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされる。作るのは受給者交付用1枚+給与支払報告書1枚
  • 提出範囲は「中途退職者への30万円以下を除く全員」に統一。150万円・250万円・500万円の基準は令和8年12月31日以前のもの
  • 交付義務は全員分・変わらない。期限は令和9年2月1日、中途退職者は退職後1か月以内
  • eLTAXの電子的提出の一元化機能は令和8年9月で終了。提出手順の組み替えが必要
  • 受給者交付用にマイナンバーは記載しない。「1/2」ではなく「○」で書く欄がある
  • 令和8年分は合計所得金額のラインが動いている。AIの回答は必ず国税庁の手引で照合する

10月に案内、11月に回収、12月に精算、1月に交付と提出、という流れが一気に来ます。手順書とチェックリストを直すなら、動き出す前の今が唯一の余白です。

参考文献

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