源泉徴収 報酬の計算方法|10.21%と1万円控除・消費税の判定【2026年】
報酬・料金の源泉徴収は「いくら引くか」の3ステップで決まる
個人のデザイナーや税理士、講師に報酬を払うとき、支払額からいくら源泉徴収するかは3つのステップで決まります。①相手が個人か法人か、②所得税法204条1項の何号の報酬か、③請求書で消費税が区分されているか。この3つが決まれば、あとは税率を掛けるだけです。
基本の税率は10.21%です。1回の支払金額が100万円を超える部分だけ20.42%になります。10.21%は所得税10%に復興特別所得税(所得税額の2.1%)を上乗せした率で、20.42%も同じ考え方です。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 報酬・料金の源泉徴収税額の基本式と、100万円超のときの計算方法
- 所得税法204条1項の号ごとの区分・税率・控除額の一覧
- デザイン料・税理士報酬・司法書士報酬・講演料など、実際の金額を入れた計算例
- 消費税の扱いや1万円控除など、現場で事故が起きやすい5つの論点
- 納付期限と納期の特例が使える報酬・使えない報酬の切り分け
- AIに税額を検算させるための、そのまま貼って使えるプロンプト
なお、この記事が扱うのは「報酬・料金等」の源泉徴収です。従業員の給与から毎月引く源泉所得税や、その年末の精算は別の制度なので混同しないでください。給与側の実務は年末調整の書き方の記事で扱っています。
税額の基本式:10.21%、100万円を超える部分は20.42%
1回に支払う金額をAとすると、税額は次の式で求めます。1円未満の端数は切り捨てます。
- Aが100万円以下:A×10.21%
- Aが100万円超:(A−100万円)×20.42%+102,100円
後段の102,100円は、100万円×10.21%=102,100円という「最初の100万円ぶんの税額」です。式を丸暗記するより、100万円までは10.21%、そこから先だけ20.42%と理解しておくほうが間違えません。この100万円は年間の累計ではなく1回の支払ごとに判定します。
端数処理は必ず切り捨てです。たとえば原稿料55,000円なら55,000×10.21%=5,615.5円となり、実際に徴収するのは5,615円です。四捨五入して5,616円としてしまうと納付額がずれます。
支払う前に確認する3つ
1つ目は相手が個人か法人かです。報酬・料金の源泉徴収は原則として個人(居住者)への支払が対象で、内国法人への支払で対象になるのは馬主である法人に払う競馬の賞金だけです。屋号だけの請求書で個人か法人か判断できない団体は、法人であることが立証されない限り個人として扱います。
2つ目は所得税法204条1項の何号に当たるかです。同じ「士業への支払」でも、税理士は2号で控除なし、司法書士も2号ですが1回の支払につき1万円の控除があります。号が決まらないと控除額も納付書の種類も決まりません。
3つ目は請求書で消費税が区分されているかです。原則は消費税込みの金額が源泉徴収の対象ですが、請求書等で報酬の額と消費税等の額が明確に区分されていれば、報酬の額だけを対象にして差し支えありません。区分されているかどうかで税額が変わるので、請求書を見ずに計算しないでください。
所得税法204条1項の「号」別・報酬料金の区分と税率一覧
源泉徴収が必要な報酬・料金等は、所得税法204条1項で8つの号に分けて限定列挙されています。ここに載っていない支払は、どれだけ「報酬」という名前でも源泉徴収の対象になりません。号ごとの主な内容と税率・控除額は次のとおりです。
号 | 主な報酬・料金 | 税率 | 控除額など |
|---|---|---|---|
1号 | 原稿料、デザイン料、講演料、翻訳料、通訳料、著作権・工業所有権の使用料 | 10.21%(100万円超の部分は20.42%) | 控除なし |
2号 | 弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士などの報酬 | 10.21%(100万円超の部分は20.42%) | 司法書士・土地家屋調査士・海事代理士は1回1万円を控除 |
3号 | 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 | 10.21% | その月20万円を控除 |
4号 | プロ野球・プロサッカー・プロテニス等の選手、モデル、外交員などの報酬 | 10.21%(100万円超の部分は20.42%) | プロボクサーは1回5万円、外交員等はその月12万円を控除 |
5号 | 映画・演劇その他の芸能、ラジオ・テレビ放送の出演・演出・企画の報酬、芸能人の役務提供事業の報酬 | 10.21%(100万円超の部分は20.42%) | 控除なし |
6号 | ホステス、バンケットホステス、コンパニオン等の報酬 | 10.21% | 1日5,000円×計算期間の日数を控除 |
7号 | 役務の提供を約することにより一時に支払う契約金 | 10.21%(100万円超の部分は20.42%) | 控除なし |
8号 | 事業の広告宣伝のための賞金 | 10.21% | 1回50万円を控除 |
8号 | 馬主が受ける競馬の賞金 | 10.21% | (賞金額×20%+60万円)を控除 |
1号:原稿料・デザイン料・講演料・翻訳料・著作権使用料など
会計事務所の顧問先で一番よく出てくるのが1号です。ライターへの原稿料、フリーランスのデザイナーへのロゴ制作費、外部講師への講演料、翻訳・通訳の料金、写真の使用料などが該当します。控除額はないので、支払金額にそのまま10.21%を掛けます。
1号には細かい例外があります。懸賞に応募してきた作品の入選者に払う賞金等は、同じ人への1回の支払が5万円以下なら源泉徴収しなくて差し支えありません。また、試験問題の出題料や答案の採点料は原稿料に含まれない扱いです。
2号:弁護士・税理士・社労士など/司法書士・土地家屋調査士は1万円控除
2号は士業への報酬です。弁護士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士などは控除がなく、支払金額に10.21%を掛けます。一方、司法書士・土地家屋調査士・海事代理士だけは1回の支払につき1万円を控除してから10.21%を掛けます。この違いが実務で最も多い間違いです。
また、弁護士や司法書士に払う金銭のうち、登録免許税や手数料等に充てるものとして支払われたことが明らかなものは源泉徴収の対象外です。請求書で報酬と実費が分けて書かれているかを必ず確認します。
3〜8号:診療報酬・プロスポーツ/モデル・外交員・芸能・ホステス等・契約金・広告宣伝の賞金
3号の診療報酬は社会保険診療報酬支払基金が支払うもので、その月20万円を控除します。4号はプロ野球選手やモデル、外交員などで、プロボクサーは1回5万円、外交員等はその月12万円の控除があります。
5号は映画・演劇などの芸能やラジオ・テレビ放送の出演・演出・企画の報酬で、控除はありません。6号のホステス等は1日5,000円に計算期間の日数を掛けた金額を控除します。7号の契約金は控除なし、8号の賞金は、事業の広告宣伝のための賞金が1回50万円の控除、馬主の競馬賞金が賞金額の20%に60万円を加えた額の控除です。8号だけは法人の馬主も対象になります。
ケース別・源泉徴収税額の計算例
実際の数字で確認します。いずれも1円未満切り捨てです。
ケース | 支払の内容 | 計算 | 源泉徴収税額 |
|---|---|---|---|
デザイン料(消費税の区分あり) | 税抜300,000円+消費税30,000円 | 300,000×10.21% | 30,630円 |
デザイン料(区分なし) | 税込330,000円とだけ記載 | 330,000×10.21% | 33,693円 |
原稿料(区分なし) | 税込55,000円 | 55,000×10.21%=5,615.5 | 5,615円 |
原稿料(区分あり) | 税抜50,000円+消費税5,000円 | 50,000×10.21% | 5,105円 |
税理士報酬 | 70,000円 | 70,000×10.21% | 7,147円 |
司法書士報酬 | 50,000円 | (50,000−10,000)×10.21% | 4,084円 |
司法書士報酬+登録免許税 | 報酬50,000円+登録免許税60,000円 | (50,000−10,000)×10.21% | 4,084円 |
講演料(100万円超) | 1,500,000円 | (1,500,000−1,000,000)×20.42%+102,100 | 204,200円 |
講演料(100万円超) | 1,200,000円 | 200,000×20.42%=40,840、+102,100 | 142,940円 |
広告宣伝のための賞金 | 800,000円 | (800,000−500,000)×10.21% | 30,630円 |
外交員報酬(給与の支払なし) | その月300,000円 | (300,000−120,000)×10.21% | 18,378円 |
この表で見ておきたいのは3か所です。1つ目はデザイン料の30,630円と33,693円。中身は同じ請求なのに、消費税が区分されているかどうかだけで3,063円変わります。2つ目は司法書士のケースで、報酬と登録免許税の合計110,000円をもとに(110,000−10,000)×10.21%と計算すると10,210円になりますが、これは誤りです。正しくは報酬50,000円から1万円を引いた40,000円が対象で4,084円になります。
3つ目は講演料の1,500,000円です。全額に20.42%を掛けると306,300円になってしまいますが、正しくは100万円を超えた500,000円だけが20.42%で、そこに102,100円を足した204,200円です。
事故が起きやすい5つの論点
消費税込みで計算するか税抜きか
原則は消費税込みの金額が源泉徴収の対象です。ただし請求書等で報酬・料金の額と消費税等の額が明確に区分されている場合は、報酬・料金の額のみを対象として差し支えありません。インボイス制度が始まった後もこの取扱いは変わっていません。
現場で多いのは、請求書ごとに区分の有無がばらばらなのに、支払側が「うちは全部税抜きで計算」と決め打ちしてしまうパターンです。区分がない請求書を税抜き相当で計算すると徴収不足になります。判断の起点は支払側の社内ルールではなく、届いた請求書の書き方です。
司法書士の1万円控除を士業全部に使ってしまう
1回1万円の控除があるのは司法書士・土地家屋調査士・海事代理士だけです。税理士・弁護士・公認会計士・社会保険労務士には控除がありません。会計ソフトの支払先マスタで「士業」とひとくくりに設定していると、この誤りが毎月自動的に発生します。
逆に、司法書士に控除を使い忘れると1,021円ぶん多く徴収してしまいます。
相手が法人なら原則不要(個人か法人かの確認)
報酬・料金の源泉徴収は個人への支払が対象です。相手が内国法人の場合、対象になるのは馬主である法人に支払う競馬の賞金だけなので、通常の外注費では源泉徴収しません。「〇〇デザイン事務所」のような屋号だけでは判断できないため、請求書の名義・登録番号・契約書で法人かどうかを確かめます。
個人か法人かが明らかでない団体は、法人であることを立証しない限り個人として扱うのが原則です。
源泉徴収義務者に当たらないケース
報酬・料金等の支払者が個人であって、その個人が給与等の支払者でないとき、または常時2人以下の家事使用人にのみ給与を払っているときは、ホステス等に支払う場合を除き源泉徴収をする必要がありません。従業員を雇っていない個人事業主がライターに原稿料を払う場合などが該当します。
注意したいのは逆側です。青色事業専従者給与を含めて給与の支払がある個人事業主は、その給与について計算した税額がゼロであっても、報酬・料金については源泉徴収が必要です。「給与の源泉税が発生していないから報酬も不要」という理解は誤りです。
登録免許税・実費・支払者が直接払う交通費の扱い
謝礼・研究費・取材費・車代などの名目で払っていても、実態が報酬・料金等であれば源泉徴収の対象です。金銭ではなく物品や経済的利益で支払う場合も含まれます。
一方で、支払者が直接交通機関やホテル等へ支払う、通常必要な範囲の交通費・宿泊費は報酬に含めなくて差し支えありません。講師の新幹線代を主催者が手配して直接払うなら対象外、講師に現金で渡して精算するなら報酬に含める、という分かれ方です。司法書士等に払う登録免許税・手数料も、それに充てるものとして支払われたことが明らかなら対象外です。
納付期限と納期の特例|特例が使えるのは2号報酬だけ
原則は支払った月の翌月10日
源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。基準は請求書の日付でも計上日でもなく、実際に支払った日です。10日が土日祝なら翌開庁日が期限です。
納期の特例の対象は給与・退職手当と「2号」報酬に限られる
給与の支給人員が常時10人未満の事業所は、申請すれば納期の特例を受けられます。ただし特例の対象は給与・退職手当と、税理士・弁護士・司法書士など所得税法204条1項2号の報酬から源泉徴収した分だけです。特例が適用される場合、1月〜6月分は7月10日、7月〜12月分は翌年1月20日が期限になります。
ここを取り違えると納付遅延になります。国税庁のタックスアンサーNo.2795は、原稿料や講演料について納期の特例の対象とはならないと明記しています。つまり原稿料・デザイン料・講演料は、特例の承認を受けている事業所でも翌月10日までに毎月納付が必要です。
支払の種類 | 納期の特例 | 納付期限 |
|---|---|---|
給与・賞与・退職手当 | 対象 | 1〜6月分は7月10日/7〜12月分は翌年1月20日 |
税理士・弁護士・司法書士等の報酬(2号) | 対象 | 同上 |
原稿料・デザイン料・講演料(1号) | 対象外 | 支払った月の翌月10日 |
外交員・モデル等の報酬(4号) | 対象外 | 支払った月の翌月10日 |
事業の広告宣伝のための賞金(8号) | 対象外 | 支払った月の翌月10日 |
納付書は2種類。2026年9月下旬から様式が変わる
納付書も号によって分かれます。204条1項2号の報酬・料金は「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」で、給与と同じ用紙にまとめて記載します。それ以外の報酬・料金等は「報酬・料金等の所得税徴収高計算書(納付書)」を使います。税理士報酬と原稿料を同じ用紙に書いてしまうのは典型的な誤りです。
様式そのものも変わります。令和8年(2026年)9月下旬以降に税務署の窓口で配付される所得税徴収高計算書について、A4三つ折りサイズ程度の複写式からA4サイズの単票式への変更等が予定されています。現行の複写式は令和10年9月頃まで使用できる予定とされています。
なお、本記事は「支払うときにいくら源泉徴収するか(税額計算)」を扱い、源泉所得税の納付書の書き方の記事は「徴収した税額を納付書という様式のどの欄に書くか」を扱います。計算が終わって納付の段になったら、そちらを参照してください。
AIに源泉徴収税額を検算させるプロンプト(コピペ可)
源泉徴収の計算は、条件さえ整理できれば機械的です。AIは条件の整理や計算の抜けの指摘が得意なので、検算役として使わせると効きます。以下はそのまま貼って使えるプロンプトです。【】の部分だけ自分の数字に置き換えてください。
先に注意点です。AIは復興特別所得税を忘れて10%で答える、1円未満を四捨五入する、司法書士以外にも1万円控除を当てはめる、といった誤りを起こします。だからこそプロンプトの中でルールを明示し、最終判断は必ず人が国税庁の一次情報で確認するという前提で使ってください。AIの回答をそのまま納付額にしないことが唯一の安全策です。プロンプトの書き方そのものを増やしたい方は税理士のChatGPTプロンプト集も参考になります。
プロンプト1:税額の検算
あなたは日本の源泉徴収実務に詳しい経理担当者です。以下の条件で源泉徴収税額を計算し、私の計算結果と一致するか検算してください。
【支払先名】:
【支払先の区分】:個人/法人
【報酬の種類】:(例:デザイン料、税理士報酬、講演料)
【請求書の記載】:(例:税抜300,000円+消費税30,000円/税込330,000円のみ)
【私が計算した税額】:
計算ルール:
- 税率は10.21%(所得税10%+復興特別所得税)。1回の支払額のうち100万円を超える部分は20.42%
- 100万円超の場合の式は (支払額−1,000,000)×20.42% + 102,100
- 1円未満は切り捨て
- 消費税は原則込みで計算。請求書で報酬額と消費税額が明確に区分されている場合のみ報酬額だけを対象にしてよい
- 司法書士・土地家屋調査士・海事代理士のみ1回1万円を控除。税理士・弁護士等に控除はない
出力:①計算過程を1行ずつ ②最終税額 ③私の計算との差額 ④差額が出た原因 ⑤確認すべき国税庁タックスアンサーの番号プロンプト2:所得税法204条1項の号の判定
次の支払が、日本の所得税法204条1項の報酬・料金等に当たるか判定してください。
【支払先の職業・肩書】:
【支払の名目】:(例:謝礼、車代、コンサルティング料)
【業務の実態】:(何をしてもらった対価か、3行で)
【支払先は個人か法人か】:
判定してほしいこと:
1. 源泉徴収の対象か(対象外なら、なぜ204条1項のどの号にも当たらないのか)
2. 対象なら何号か
3. その号の税率と控除額
4. 名目ではなく実態で判断した根拠
5. この判定を確認できる国税庁タックスアンサーの番号
判断できない情報が不足している場合は、推測せず「確認が必要な項目」として列挙してください。プロンプト3:消費税の区分の判定
以下の請求書の記載内容から、源泉徴収の対象金額が「税込」「税抜」のどちらになるか判定してください。
【請求書の記載をそのまま貼り付け】:
判定ルール:
- 原則は消費税等を含めた金額が源泉徴収の対象
- 請求書等で報酬・料金の額と消費税等の額が明確に区分されている場合に限り、報酬・料金の額のみを対象にできる
- インボイス制度開始後もこの取扱いは変更されていない
出力:①区分ありなし ②源泉徴収の対象金額 ③税額(10.21%、1円未満切捨て) ④区分ありとなしで税額がいくら変わるか ⑤請求元に確認したほうがよい点プロンプト4:月次の一括チェック
次の支払一覧について、源泉徴収の要否と税額を1件ずつ確認し、誤りの疑いがある行だけを抜き出してください。
【支払一覧】:以下の列で貼り付けます
支払日/支払先/個人or法人/報酬の種類/請求書の税区分/支払総額/控除した源泉税額
チェック項目:
1. 個人への支払なのに源泉徴収していない行
2. 法人への支払なのに源泉徴収している行(馬主の競馬賞金を除く)
3. 司法書士等以外に1万円控除を適用している行
4. 司法書士等なのに1万円控除を適用していない行
5. 100万円超なのに全額10.21%で計算している行
6. 1円未満を切り捨てていない行
7. 登録免許税・実費が対象金額に混ざっている疑いのある行
出力は表形式で「行番号/疑いの内容/正しい税額/差額」。問題のない行は出力しないでください。判断に迷う行は「要確認」として理由を書いてください。プロンプト5:支払調書の下ごしらえ
次の年間支払データを、報酬・料金等の支払調書を作る前提で整理してください。
【対象期間】:
【支払データ】:支払日/支払先/マイナンバー有無/住所の有無/報酬の種類/支払金額/源泉徴収税額
やってほしいこと:
1. 支払先ごとに年間の支払金額と源泉徴収税額を集計する
2. 集計後の税額と、各支払の税額の合計が一致するか検算する
3. 支払先ごとに「細目」に書くべき報酬の種類を整理する
4. 住所・マイナンバー等が未取得の支払先を一覧にする
5. 源泉徴収税額がゼロの支払先があれば、その理由の候補を挙げる
税額の再計算はせず、データの集計と不足情報の洗い出しに徹してください。提出要否の最終判断は行わないでください。うまくいかない例 → 直し方
例1:AIが「10%で15万円です」と答える。復興特別所得税が抜けています。プロンプトに「税率は10.21%(所得税10%+復興特別所得税2.1%相当)」と数字で書き、「10%では計算しないこと」と明示してください。税率を言葉ではなく数値で固定するだけで、この誤りはほぼ消えます。
例2:税理士報酬なのに1万円を引いてしまう。「士業は1万円控除」と一般化されています。「1万円控除は司法書士・土地家屋調査士・海事代理士のみ。税理士・弁護士・公認会計士・社会保険労務士には控除なし」と対象を列挙し、出力に「控除を適用したかどうかとその理由」を必ず書かせてください。
例3:端数が四捨五入される。「1円未満は切り捨て」とだけ書くと守られないことがあります。「5,615.5円なら5,615円と答える」のように具体例を1つ添えると安定します。それでもずれる場合は、計算式だけAIに出させて、最終的な数値は表計算ソフトのROUNDDOWN関数で確定させるのが確実です。
士業AIでは、こうした日々の判断や下ごしらえを業務の流れの中で扱えるようにしています。報酬の号の判定や税額の検算のようにルールが決まっている作業は、AIに下書きさせて人が確認する形にすると時間が縮みます。税理士・会計事務所向けの税務AIの使い方は、実際の画面で確認するのが早いです。
参考文献
- No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
- No.2793 報酬・料金等の源泉徴収義務者|国税庁
- No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき|国税庁
- No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金|国税庁
- No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金|国税庁
- No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁
- 令和8年版 源泉徴収のあらまし 第5 報酬・料金等の源泉徴収事務(PDF)|国税庁
根拠法令:所得税法204条・205条、所得税法施行令320条〜322条、所得税基本通達204-1〜34、復興財確法28条ほか。実際の処理にあたっては、上記の一次情報で最新の内容をご確認ください。

