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株主総会議事録テンプレート|12月決算の定時総会・書面決議の記載例

株主総会議事録は、株主総会の議事について会社法318条1項が作成を義務づけている書類で、記載事項は会社法施行規則72条に決まっています。書く中身は「開催日時・場所」「議事の経過の要領と結果」「出席した役員の氏名」「議長の氏名」「議事録を作成した取締役の氏名」が柱で、作成後は株主総会の日から10年間、本店に備え置きます。

12月決算の会社では、年明けから3月にかけて定時株主総会の議事録を作る時期になります。この記事では、定時総会・臨時総会・書面決議(みなし決議)の3種類について、コピーしてそのまま使えるひな形を載せました。あわせて、役員変更などの登記に議事録を添付するときに一緒に求められる株主リスト・就任承諾書・印鑑証明書の考え方と、AIで下書きと記載事項チェックを行う手順もまとめています。顧問先の決算後の総会を手伝う司法書士・税理士、総務担当の方が、手元の決算書と株主名簿から議事録を仕上げられることを目指しています。

この記事で分かること

  • 株主総会議事録の作成義務・保存期間と、取締役会議事録との違い
  • 会社法施行規則72条が定める記載事項と、実務で書き足す項目
  • 12月決算の定時株主総会の時期・招集通知・議案ごとの決議要件
  • コピーして使えるひな形3種(定時総会/臨時総会/書面決議)
  • 登記に議事録を添付するときの株主リスト・就任承諾書・印鑑の扱い
  • 決算書や招集通知からAIで議事録を下書きし、記載事項を照合させる方法

株主総会議事録とは|作成義務・保存期間・ほかの書類との違い

株主総会議事録は、社内メモではなく会社法が作成と保存を求める法定の書類です。まず根拠条文と、混同しやすい書類との違いを押さえます。

会社法318条:作成義務と10年間の備置き

会社法318条は、株主総会の議事について法務省令(会社法施行規則72条)の定めに従って議事録を作成すること(1項)、株主総会の日から10年間その議事録を本店に備え置くこと(2項)、支店には議事録の写しを5年間備え置くこと(3項)を定めています。3項にはただし書があり、議事録を電磁的記録で作成し、支店で閲覧などの請求に応じられる措置をとっている場合は、支店への備置きは不要です。

株主と債権者は、会社の営業時間内いつでも議事録の閲覧・謄写を請求できます(318条4項)。「作ったけれどどこにあるか分からない」という状態は、この請求に応じられないという意味で実務上のリスクになります。議事録はPDFと原本の両方で、決算書類と同じフォルダに年度ごとに保存しておくと探しやすくなります。

取締役会議事録・株主名簿との違い(早見表)

株主総会議事録と取締役会議事録は、決める機関も根拠条文も違います。登記の添付書類で取り違えると補正の原因になるので、違いを表で確認してください。

比較項目

株主総会議事録

取締役会議事録

決める機関

株主総会(株主)

取締役会(取締役)

記載事項の根拠

会社法施行規則72条

会社法施行規則101条

署名・記名押印

会社法上の義務の定めはない(定款に定めがあれば従う)

出席した取締役・監査役の署名または記名押印が必要(会社法369条3項)

備置き

本店に10年間、支店に写しを5年間(318条)

本店に10年間(371条)

主な決議事項

計算書類の承認、役員の選任・解任、定款変更、剰余金の配当など

代表取締役の選定、重要な財産の処分、招集の決定など

取締役会議事録の書き方や議案別の記載例は、取締役会議事録のひな形と会社法上の記載要件で詳しく解説しています。また、議事録に書く「株主の数」「議決権の数」は株主名簿が元データになります。名簿が整っていない会社は、先に株主名簿テンプレートと記載事項で名簿を作っておくと、議事録と株主リストを同じ数字で作れます。

株主総会議事録の記載事項|会社法施行規則72条

会社法施行規則72条2項は、議事録を書面または電磁的記録で作ると定め、3項で内容に含める事項を列挙しています。中小企業の総会で関係するのは、次の6項目です。

号

記載事項

書き方のポイント

1号

開催された日時・場所

Web会議や電話で出席した役員・株主がいる場合は、その出席の方法も書く

2号

議事の経過の要領とその結果

議案ごとに「付議→説明→採決→可決」の流れを要約する。全文の書き起こしは不要

3号

法令の規定により述べられた意見・発言の概要

監査役・会計参与の意見陳述など、条文に定められた発言があったときだけ書く

4号

出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名(名称)

欠席者は書かない。法人の会計参与は名称を書く

5号

議長が存するときは議長の氏名

定款に議長の定めがあれば、その条文どおりの人を書く

6号

議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

実際に作るのが事務所や総務でも、「職務を行った取締役」を書く

実務で書き足す項目(株主数・議決権数・定足数)

規則72条3項には「株主の数」や「議決権の数」は挙がっていません。それでも法務局が公開している議事録の記載例では、株主の総数、発行済株式の総数、議決権を行使できる株主の数とその議決権の数、出席株主数と出席株主の議決権の数を冒頭に書いています。決議が定足数を満たしていることを議事録の上で示すためで、登記に使う議事録ではこの形にそろえておくのが安全です。

数字は必ず株主名簿と、登記に添付する株主リストの「総議決権数」と一致させます。自己株式は議決権がないので、議決権の数からは除きます。

書かなくてよいこと

発言の逐語録、雑談、決議に関係しない質疑の細部は不要です。反対に、決議の結果(可決・否決)、賛成の程度(満場一致・賛成多数)、選任された役員の氏名は省略できません。役員選任の議案では、就任を承諾した旨まで書いておくと、後で説明する登記の場面で就任承諾書の代わりに使えます。

12月決算の定時株主総会|開催時期・招集通知・決議要件

議事録の中身は、総会をいつ・どの手続で開いたかで変わります。12月決算の会社を例に、前提となるルールを整理します。

開催時期は「事業年度の終了後一定の時期」

会社法296条1項は、定時株主総会を「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」とだけ定めていて、何か月以内という期限は書いていません。実際の時期を決めるのは、次の2つです。

  • 基準日の3か月ルール:定款で事業年度末日(12月31日)を議決権の基準日にしている場合、基準日株主が行使できる権利は基準日から3か月以内に行使するものに限られます(会社法124条2項)。このため、3月末までに総会を開く必要があります。
  • 法人税の申告期限:法人税の確定申告は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に「確定した決算に基づき」行います(法人税法74条1項)。申告期限の延長の特例(同法75条の2)を受けていない12月決算の会社は、2月末までの申告に間に合うよう総会で計算書類を承認しておく段取りになります。

税理士が顧問先の決算を組む場合は、申告書の作成日程と総会の日付を先に決めておくと、議事録の日付と申告書の決算確定日がずれません。

招集通知の期限と、全員同意による省略

招集通知の期限は会社法299条1項で、原則は総会の日の2週間前です。公開会社でない会社(株式の譲渡制限がある会社)は1週間前で、さらに取締役会を置いていない会社は定款でこれより短い期間を定められます。ただし書面や電磁的方法での議決権行使を認める場合は2週間前に戻ります。

株主全員の同意があれば、招集の手続を経ずに総会を開けます(会社法300条)。株主が家族だけの会社ではこの方法をとることが多く、その場合は議事録に「株主全員の同意により招集手続を省略した」旨を書いておくと、手続の経緯が後から分かります。ただし、書面や電磁的方法による議決権行使を定めた場合は省略できません(同条ただし書)。

定時総会でよくある議案と決議要件

議案

決議の種類

根拠

計算書類の承認

普通決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の過半数で可決。定款で別段の定めが可能)

会社法438条2項・309条1項

取締役・監査役の選任

定足数は定款でも3分の1未満に下げられない普通決議

会社法329条1項・341条

取締役の報酬額の決定

普通決議(定款に定めがない場合)

会社法361条1項

剰余金の配当(金銭配当)

普通決議

会社法454条1項

定款の変更(目的・商号・本店所在地の変更など)

特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上)

会社法466条・309条2項11号

取締役会設置会社では、取締役会で承認された計算書類と事業報告を総会に提出し、計算書類は総会の承認を受け、事業報告は内容を報告します(会社法438条)。会計監査人設置会社で一定の要件を満たす場合は、計算書類も承認ではなく報告で足ります(同法439条)。中小企業の大半は承認決議が必要な側です。

また、取締役の任期は原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで、公開会社でない会社は定款で10年まで伸ばせます(会社法332条1項・2項)。定時総会の前に、登記事項証明書で役員の就任日を確認し、今回の総会で任期が満了する役員がいないかを見ておくと、改選議案の入れ忘れを防げます。

【ひな形1】定時株主総会議事録の記載例(取締役会設置会社・役員全員が重任)

12月決算の会社が、計算書類の承認と、任期満了に伴う取締役・監査役の改選を行う場合の例です。法務局の記載例の構成に沿い、会社名・人名は架空の例示です。【】の部分を差し替えて使ってください。

第【10】回定時株主総会議事録

令和【9】年【2】月【25】日午前【10】時【00】分から、当会社の本店において定時株主総会を開催した。

株主の総数                【5】名
発行済株式の総数             【1,000】株
議決権を行使することができる株主の数   【5】名
議決権を行使することができる株主の議決権の数【1,000】個
出席株主数(委任状による者を含む)    【4】名
出席株主の議決権の数           【900】個

出席取締役 【山田 太郎】(議長兼議事録作成者)
      【佐藤 花子】
      【鈴木 一郎】
出席監査役 【田中 次郎】

以上のとおり株主の出席があったので、定款の定めにより代表取締役【山田 太郎】は議長席につき、本定時総会は適法に成立したので開会する旨を宣し、直ちに議事に入った。

第1号議案 第【10】期(令和【8】年【1】月【1】日から令和【8】年【12】月【31】日まで)計算書類承認の件
議長は、当期の事業報告の内容を報告し、次いで下記の計算書類を提出してその承認を求めた。監査役【田中 次郎】は、これらの書類につき監査した結果、いずれも適正であることを認めた旨を報告した。議長がその承認を諮ったところ、満場異議なくこれを承認可決した。
 1 貸借対照表
 2 損益計算書
 3 株主資本等変動計算書
 4 個別注記表

第2号議案 取締役及び監査役の任期満了に伴う改選の件
議長は、取締役全員及び監査役が本定時総会の終結と同時に任期満了により退任することになるので、その改選の必要がある旨を述べ、下記の者を候補者として諮ったところ、満場異議なくこれに賛成したので、下記のとおり再選重任することに可決確定した。
 取締役 【山田 太郎】
 取締役 【佐藤 花子】
 取締役 【鈴木 一郎】
 監査役 【田中 次郎】
なお、被選任者は、いずれも席上その就任を承諾した。

議長は以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前【10】時【30】分閉会した。

上記の決議を明確にするため、この議事録を作り、議長、出席取締役及び出席監査役がこれに記名する。

令和【9】年【2】月【25】日
株式会社【サンプル商事】第【10】回定時株主総会
 代表取締役(議長)【山田 太郎】
 取締役      【佐藤 花子】
 取締役      【鈴木 一郎】
 監査役      【田中 次郎】

ひな形1を使うときの注意

  • 監査役の権限:監査役の監査の範囲を会計に限定している会社でも、計算書類についての監査結果の報告は書けます。業務監査権限の有無は登記事項にも関わるので、定款を確認してください。
  • 取締役会の議事録が別に要る:取締役会設置会社では、代表取締役は取締役会で選定します。役員全員が重任した場合も、総会後に取締役会を開いて代表取締役を選定し、その議事録を別に作ります。
  • 新任の役員がいる場合:「再選重任」を「就任」に変え、法務局の記載例の注記どおり、就任承諾書の代わりに議事録を使うなら被選任者の住所も書きます。
  • 剰余金の配当を行う場合:議案を1つ足し、配当財産の種類と帳簿価額の総額、株主への割当てに関する事項、効力発生日を書きます(会社法454条1項)。

【ひな形2】臨時株主総会議事録の記載例(取締役の選任・目的の変更)

臨時株主総会は、必要があればいつでも開けます(会社法296条2項)。取締役の辞任に伴う後任の選任と、定款の目的の変更を同じ総会で決議する例です。ここでは、株主全員の同意で招集手続を省略した場合の書き方にしています。

臨時株主総会議事録

令和【9】年【5】月【10】日午前【10】時【00】分から、当会社の本店において臨時株主総会を開催した。

株主の総数                【3】名
発行済株式の総数             【300】株
議決権を行使することができる株主の数   【3】名
議決権を行使することができる株主の議決権の数【300】個
出席株主数                【3】名
出席株主の議決権の数           【300】個

出席取締役 【山田 太郎】(議長兼議事録作成者)
      【佐藤 花子】

本総会は、株主全員の同意により、招集の手続を省略して開催した。
定款の定めにより代表取締役【山田 太郎】は議長席につき、本総会は適法に成立したので開会する旨を宣し、直ちに議事に入った。

第1号議案 取締役選任の件
議長は、取締役【鈴木 一郎】が令和【9】年【4】月【30】日をもって辞任したため、その後任として取締役を1名選任する必要がある旨を述べ、下記の者を候補者として諮ったところ、満場一致をもってこれを承認可決した。
 取締役 【東京都○○区○○町○丁目○番○号】【高橋 三郎】
なお、被選任者は、席上その就任を承諾した。

第2号議案 定款一部変更の件
議長は、事業の拡大に伴い、定款第【2】条(目的)を次のとおり変更したい旨を述べ、その理由を説明した。議長がその賛否を諮ったところ、満場一致をもってこれを承認可決した。
 (変更後)
 第【2】条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
  1 【○○の販売】
  2 【○○に関するコンサルティング業務】
  3 前各号に附帯関連する一切の事業

議長は以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前【10】時【20】分閉会した。

上記の決議を明確にするため、この議事録を作り、議長及び出席取締役がこれに記名する。

令和【9】年【5】月【10】日
株式会社【サンプル商事】臨時株主総会
 代表取締役(議長)【山田 太郎】
 取締役      【佐藤 花子】

ひな形2を使うときの注意

  • 定款変更は特別決議:満場一致でない場合は、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成があったことが分かるように、賛成の議決権数を書いておくと確実です。
  • 新任取締役の住所:議事録を就任承諾書として使う場合に備え、住所を入れています。本人確認証明書(住民票の写しなど)の添付が必要になる点は、後述の登記の節で説明します。
  • 定款の作り直し:目的の文言そのものの検討は、定款の記載事項とAIでの作成方法で整理しています。変更後は、現行定款に反映した版を作って議事録と一緒に保管してください。

【ひな形3】書面決議(みなし決議)の議事録|会社法319条

株主が少ない会社では、総会を実際に開かずに書面で済ませる方法がよく使われます。これが会社法319条の「株主総会の決議の省略」で、実務では書面決議・みなし決議と呼ばれます。

使える条件と効果

  • 条件:取締役または株主が総会の目的である事項について提案し、議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意すること(319条1項)。1人でも同意しなければ使えません。
  • 効果:提案を可決する株主総会の決議があったものとみなされます。定時総会の目的である事項の全部についてみなし決議が成立したときは、その時に定時総会が終結したものとみなされます(同条5項)。役員の任期が「定時総会の終結の時」までなので、任期満了の日付もこの日になります。
  • 報告事項:事業報告のように総会に報告する事項は、取締役が株主全員に通知し、報告不要に全員が同意すれば報告があったものとみなされます(会社法320条)。
  • 保存:株主の同意書は、みなし決議の日から10年間本店に備え置きます(319条2項)。

みなし決議でも議事録は作ります。会社法施行規則72条4項1号は、記載事項を「決議があったものとみなされた事項の内容」「その事項を提案した者の氏名又は名称」「決議があったものとみなされた日」「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」の4つと定めています。報告の省略をした場合は、同項2号により、報告があったものとみなされた事項の内容・日・作成した取締役の氏名を書きます。

記載例(定時総会を書面決議で行う場合)

定時株主総会議事録

1 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
 第1号議案 第【10】期(令和【8】年【1】月【1】日から令和【8】年【12】月【31】日まで)計算書類承認の件
  貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表を承認する。
 第2号議案 取締役選任の件
  取締役として【山田 太郎】及び【佐藤 花子】を選任する(いずれも重任)。

2 株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
 第【10】期事業報告の内容

3 株主総会の決議があったものとみなされた事項の提案をした者
 代表取締役 【山田 太郎】

4 株主総会の決議があったものとみなされた日(報告があったものとみなされた日)
 令和【9】年【2】月【25】日

 令和【9】年【2】月【20】日、取締役【山田 太郎】が当会社の株主全員に対し、上記1の事項について提案を行い、及び上記2の事項を通知したところ、令和【9】年【2】月【25】日までに、当該提案について議決権を行使することができる株主全員から書面により同意の意思表示を、上記2の事項を株主総会に報告することを要しないことについて株主全員から書面により同意の意思表示を得たので、会社法第319条第1項及び第320条の規定に基づき、当該提案を可決する旨の株主総会の決議及び当該事項の株主総会への報告があったものとみなされた。
 なお、取締役【山田 太郎】及び【佐藤 花子】は、同日、その就任を承諾した。

5 議事録の作成に係る職務を行った取締役
 代表取締役 【山田 太郎】

上記のとおり、株主総会の決議及び報告があったものとみなされたので、これを証するため、この議事録を作成する。

令和【9】年【2】月【25】日
株式会社【サンプル商事】
 代表取締役 【山田 太郎】

株主から集める同意書は、次のような短い書面で足ります。

同意書

株式会社【サンプル商事】御中

私は、令和【9】年【2】月【20】日付で貴社取締役【山田 太郎】から提案のあった下記の事項について、同意します。また、下記の報告事項を株主総会に報告することを要しないことに同意します。

(提案事項)第1号議案 計算書類承認の件/第2号議案 取締役選任の件
(報告事項)第【10】期事業報告の内容

令和【9】年【2】月【 】日
株主 住所【       】
   氏名【       】

書面決議でつまずきやすい点

全員の同意が届いた日が「決議があったものとみなされた日」です。最後の同意書の日付と議事録の日付がずれていると、登記で日付の確認を求められる原因になります。株主が法人の場合は、その法人の代表者名で同意書を受け取ります。株主が1人の会社でも同じ方法が使え、提案から同意までを同じ日付で処理できます。

株主総会議事録を登記に使うとき|株主リスト・就任承諾書・印鑑

役員の重任・就任、定款の目的変更、本店移転など、登記事項を変える決議をしたときは、議事録を登記申請書に添付します。根拠は商業登記法46条2項で、みなし決議の場合は同条3項により、議事録に代えて「その場合に該当することを証する書面」を添付します。実務ではひな形3の議事録がこの書面にあたります。

株主リスト(商業登記規則61条3項)

株主総会の決議が必要な登記では、株主リストも添付します(商業登記規則61条3項)。載せる株主は、議決権の割合が高い順に、「10名」と「割合を順に足して3分の2に達するまでの人数」のうち少ないほうの人数です。記載するのは氏名又は名称、住所、株式数、議決権数、議決権数の割合です。法務省は、みなし決議(会社法319条1項)で総会決議を省略した場合にも株主リストが必要だと案内しています。

株主リストの作り方と、株主名簿から対象人数を判定する手順は株主名簿テンプレートの記事の「株主名簿から株主リストを作る」の節で説明しています。議事録の議決権の数と株主リストの総議決権数は必ず照合してください。

就任承諾書の援用と印鑑証明書

法務局の記載例では、被選任者が席上で就任を承諾し、その旨が議事録に書かれていれば、別に就任承諾書を添付する必要はないとしています(重任でない場合は被選任者の住所の記載も要する)。この場合、申請書に「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」と書きます。

印鑑については、取締役会を置かない会社が株主総会で代表取締役を定めた場合、議長と出席した取締役が議事録に押した印鑑について市町村長の印鑑証明書を添付します(商業登記規則61条6項1号)。ただし、その印鑑が変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑と同じときは不要です(同項ただし書)。また、取締役・監査役が新たに就任する(再任を除く)登記では、住民票の写しなどの本人確認証明書が必要です(同条7項)。どの議事録に誰の実印が要るかは会社の機関設計で変わるので、議事録の記名欄を作る前に確認しておくと押し直しを防げます。

登記の期限は2週間

登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店所在地で変更の登記をします(会社法915条1項)。定時総会で役員が重任した場合も、総会の終結時が変更日になり、そこから2週間が期限です。重任・辞任など役員変更の申請書の書き方は、役員変更登記の必要書類と書き方でパターン別にまとめています。

株主総会議事録で記載ミスが起きやすい5つのポイント

議事録の誤りは、登記の補正や、後から決議の有効性を確認するときの手戻りにつながります。チェックの際は次の5点を重点的に見てください。

  1. 議決権の数が名簿・株主リストと合わない:自己株式を含めたまま計算している例が多い誤りです。
  2. 日付の不整合:総会の日、議事録の作成日、取締役会の日、就任承諾の日、書面決議の同意日がばらばらになっていないか。
  3. 役員の氏名・資格の誤記:登記事項証明書の表記(旧字体を含む)と一字ずつ照合します。
  4. 決議要件の取り違え:定款変更を普通決議の書き方で処理していないか。賛成の程度が要件を満たしているか。
  5. 期の表示と計算書類の名称:「第○期」と事業年度の期間、承認した計算書類の名称が決算書と一致しているか。

AIで株主総会議事録の下書きを作る手順|招集通知・決算書から

株主総会議事録は毎年ほぼ同じ骨格で、差し替える情報(日付・株主数・議決権数・役員・議案)がはっきりしているため、AIに下書きを任せやすい書類です。司法書士事務所でのAIの使いどころ全体は司法書士の登記業務へのAIの組み込み方で紹介しているので、ここでは議事録に絞った手順を示します。

手順1:材料をそろえる

AIに渡す材料は、招集通知(または株主全員の同意書)、決算書の表紙と計算書類の名称、株主名簿(株主数・議決権数)、登記事項証明書の役員欄、定款の議長と任期の条文です。顧問先の個人名や住所を入れる場合は、入力内容を学習に使わない設定のサービスを選ぶか、氏名をイニシャルに置き換えてから渡し、最後に人の手で戻します。

手順2:下書きを作らせるプロンプト

あなたは司法書士事務所の書類作成担当です。
以下の情報から、株式会社の【定時】株主総会議事録の下書きを作ってください。

【会社名】株式会社サンプル商事
【機関設計】取締役会設置会社・監査役設置会社(監査の範囲は会計に限定)
【開催日時・場所】令和9年2月25日 午前10時00分〜10時30分・本店
【株主の状況】株主数5名、発行済株式1,000株、議決権1,000個、出席4名・900個
【出席役員】取締役:山田太郎(議長・議事録作成者)、佐藤花子、鈴木一郎/監査役:田中次郎
【議案】①第10期計算書類の承認 ②取締役3名・監査役1名の任期満了に伴う改選(全員重任)
【報告事項】第10期事業報告

条件:
・会社法施行規則72条3項の記載事項(日時・場所、議事の経過の要領と結果、出席役員の氏名、議長の氏名、議事録作成取締役の氏名)をすべて含める
・被選任者が席上で就任を承諾した旨を入れる
・情報が足りない項目は推測で埋めず【要確認】と書く
・最後に、記載事項ごとに本文のどこに書いたかを表で示す

ポイントは「足りない情報は推測で埋めず【要確認】と書く」の一文です。これがないと、AIは閉会時刻や監査役の報告内容をもっともらしく補ってしまいます。

手順3:記載事項と数字をAIに照合させる

下書きができたら、別の指示で照合だけを頼みます。作った本人(人でもAIでも)が自分の文書を見直すより、観点を決めて突き合わせるほうが漏れに気づきやすくなります。

次の株主総会議事録を、下の観点で点検してください。修正案は出さず、問題点だけを表にしてください。

観点:
1 会社法施行規則72条3項の各号の事項が漏れなく書かれているか(書面決議の場合は72条4項1号・2号)
2 株主数・議決権数が【株主名簿の数字】と一致しているか。自己株式を除いているか
3 議案ごとの決議要件(普通決議・特別決議)と、本文の賛成の程度が合っているか
4 日付(総会日・作成日・就任承諾日・同意書の日付)に矛盾がないか
5 役員の氏名・資格が【登記事項証明書の記載】と一致しているか

【議事録本文】
(ここに貼り付け)

うまくいかない例と直し方

うまくいかない例

直し方

「株主総会議事録を作って」だけで頼み、取締役会非設置会社なのに取締役会の承認を経た書き方になる

プロンプトの冒頭に機関設計(取締役会・監査役の有無)を必ず書く

条文番号を書かせたら、存在しない号や古い条番号が出てくる

条文番号はAIに書かせず、e-Gov法令検索で確認した番号を人が入れる。AIには「条文番号を新たに書き足さない」と指示する

議決権の数が出席株主の持株数と合わない

株主名簿の表をそのまま貼り、「議決権数は表の合計から計算する」と指示する

汎用のAIでも下書きと照合はできますが、条文の確認を毎回自分で行う必要があります。士業AIの法務AIは、e-Gov法令データなどの公的情報を参照しながら答える設計なので、「規則72条の記載事項と照合して」といった頼み方がそのまま通ります。司法書士・弁護士向けの使い方は法務AIの紹介ページ、顧問先の決算と総会を一緒に見る税理士向けの使い方は税理士向けのページで紹介しています。

株主総会議事録のよくある質問

株主が1人(一人会社)でも議事録は必要ですか

必要です。会社法318条は株主の人数で作成義務を分けていません。株主が1人なら、その株主の同意書による書面決議(ひな形3)で処理すると、総会の開催と議事録作成の手間を小さくできます。

株主総会議事録に押印は必要ですか

会社法には、株主総会議事録への署名や記名押印を求める規定はありません。ただし定款で議長や出席取締役の記名押印を定めている会社はそれに従います。また登記で印鑑証明書の添付が必要な場面(株主総会で代表取締役を定めた場合など)は、議事録に実印での押印が要ります。

議事録は電子データで作ってよいですか

会社法施行規則72条2項により、書面または電磁的記録で作成できます。電磁的記録で作り、支店で閲覧などに応じられる措置をとれば、支店に写しを置く必要もなくなります(会社法318条3項ただし書)。電子データの議事録を登記の添付書面にする場合の扱いは、申請前に法務局の案内で確認してください。

定時総会を開き忘れたまま翌年になってしまいました

会社法296条1項は定時総会の招集を義務づけているので、気づいた時点で開催し、議事録を作ります。役員の任期が満了している場合は、任期満了日と改選の日付の扱いが登記に関わるため、司法書士に相談してから議事録を作るのが安全です。

まとめ|ひな形で骨格を固め、数字と日付は名簿と登記簿で確認する

株主総会議事録は、会社法318条と会社法施行規則72条で作り方が決まっている書類です。12月決算の定時総会なら、法人税の申告期限と基準日の3か月から総会の日付を決め、計算書類の承認と任期満了の役員改選を議案にするのが基本の形になります。株主が少ない会社は、319条の書面決議と320条の報告の省略を組み合わせると、総会を開かずに定時総会を終えられます。

この記事のひな形をコピーして社名・人名・数字を差し替え、最後に株主名簿・株主リスト・登記事項証明書と照合すれば、登記にもそのまま使える議事録になります。下書きと照合はAIに任せやすい作業です。士業AIは無料で試せるので、今期の定時総会の議事録づくりから使ってみてください。

参考文献

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