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休眠会社のみなし解散|「まだ事業を廃止していない旨の届出」の書き方と役員変更登記

法務局から「通知書」が届いた会社は、令和8年12月15日(火)までに、通知書の下段にある「届出書」へ記入して管轄の登記所へ郵送か持参で届けるか、役員変更などの登記を申請する必要があります。どちらもしないと、12月16日付けで解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします(法務省「令和8年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」)。

ただし、届出は「今年の解散を避けるだけ」の手当てです。任期切れの役員を放置したままなら、翌年度もまた対象になります。本命は役員変更登記で、届出はそれが間に合わないときのつなぎと考えてください。

この記事で分かること

  • みなし解散の対象になる会社と、令和8年度の公告日・期限
  • 通知書の見方と「まだ事業を廃止していない旨の届出」の欄ごとの書き方
  • 提出方法(郵送・持参)と、通知書をなくしたときの書き方
  • 届出だけでは足りない理由と、役員変更登記・過料・登録免許税の目安
  • みなし解散されたあとの会社継続(3年以内)の流れ
  • AIで下書き・突合チェックを時短する手順と、AIに任せてはいけない部分

休眠会社のみなし解散とは|対象と令和8年度のスケジュール

みなし解散とは、長いあいだ登記がない会社を「もう事業をしていない」と扱い、法律上解散したものとみなす仕組みです。根拠は会社法第472条で、一般社団法人・一般財団法人は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の第149条・第203条に同じ定めがあります。法務省は平成26年度から毎年この整理作業を行っています(法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」)。

対象になる会社・法人

区分

対象の基準

根拠

株式会社(休眠会社)

最後の登記から12年を経過

会社法第472条

一般社団法人・一般財団法人(休眠一般法人。公益法人を含む)

最後の登記から5年を経過

一般法人法第149条・第203条

ここでいう「登記」は、役員変更や本店移転などの登記申請のことです。登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)を取っていても、登記をしたことにはならず対象から外れません。合同会社などの持分会社は、この整理作業の対象外です。

株式会社の取締役の任期は原則2年で、公開会社でない会社は定款で最長10年まで延ばせます(会社法第332条)。10年に延ばした会社が改選の登記を一度忘れると、ちょうど12年前後で対象に入ります。実務で通知書が届くのは、この「10年任期+改選登記の失念」の会社が多い印象です。

令和8年度の公告日と届出期限

項目

令和8年度(2026年)

法務大臣の官報公告・通知書の発送

令和8年10月15日(木)

届出・登記の期限

令和8年12月15日(火)

期限までに何もしなかった場合

12月16日(水)付けで解散したものとみなされ、職権で解散の登記

出典:法務省「令和8年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」

期限は「公告から2か月以内」と法律で決まっており、公告日は年度ごとに変わります。前年度の日付をうのみにせず、必ずその年の法務省の案内で確認してください。通知書の注意書きには「期限までに当庁に到着するように」とあるため、郵送なら到着日で考えます。

通知書が届かなくても解散になる

本店や商号の変更登記をしていない会社には、通知書が旧住所に送られて届かないことがあります。法務省は、通知書が届かなくても期限までに手続をしなければ解散したものとみなされると案内しています。心当たりがある会社は、登記事項証明書で「最後の登記の年月日」を確認しておくと安心です。

通知書の見方|上段は「お知らせ」、下段が「届出書」

法務省が公開している通知書の例(PDF)を見ると、1枚の紙が上下2つに分かれています。

  • 上段(通知書):最後の登記から12年(一般法人は5年)を経過していること、法務大臣の公告があったこと、公告の要旨が書かれています。
  • 下段(届出書):「当社(当法人)は、まだ事業を廃止していません。」という文と記入欄があります。「切り離さないでください」と書かれているので、上段ごと提出します。
  • 通知番号:上段と下段の両方に「通知第 号」があります。登記所はこの番号で照合するため、番号の入った通知書そのものを使うのが確実です。

注意書きには、記載内容が登記簿と一致しないと適式な届出として扱われないこと、届出は書面でしなければならないこと、昨年度に届出をしていても再度の手続がなければ解散とみなされることが書かれています。

「まだ事業を廃止していない旨の届出」の書き方|欄ごとの記入例

届出書に書く事項は会社法施行規則第139条で決まっています。書面で行い、(1)商号・本店・代表者の氏名と住所、(2)代理人による場合はその氏名と住所、(3)まだ事業を廃止していない旨、(4)届出の年月日、(5)登記所の表示、を記載します。通知書の下段はこの事項がそのまま欄になっています。

記入例(通知書の下段を使う場合)

欄

記入例

書き方のポイント

日付

令和8年11月10日

届出をする日(提出日)を書く

本店(※)

東京都千代田区○○一丁目2番3号

登記簿の表記どおり。「1-2-3」と略さない

商号(※)

株式会社○○商事

「(株)」と略さず、登記簿の表記どおり

代表者の資格(※)

代表取締役

登記簿上の肩書き。「社長」は不可

代表者の住所(※)

東京都○○区○○二丁目4番5号

登記簿に記録された住所。引っ越していても登記簿と合わせる(下記の注意参照)

代表者の氏名(※)

山田 太郎

登記簿上の代表者。旧字体も登記簿どおり

代理人の住所・氏名

(代理人が届け出る場合のみ)

司法書士などが代理する場合に記入し、委任状を添付

連絡先電話番号(※)

03-○○○○-○○○○

日中につながる番号

(※)の欄は必ず記載します。宛先の登記所名(○○法務局○○出張所など)はあらかじめ印字されているのが通常ですが、印字がなければ本店を管轄する登記所名を書き入れます。施行規則第139条の記載事項に押印は含まれていませんが、扱いに迷う点は管轄の法務局へ事前に確認すると確実です。

代表者の住所が変わっている・代表者が亡くなっているとき

届出書の記載は「登記簿と符合していること」が求められます。代表者が転居していても、住所変更の登記をしていないなら登記簿上の住所を書くことになります。一方で、実際の住所と違う状態は登記の放置そのものなので、あわせて代表者の住所変更登記も進めるべきです。

登記簿上の代表者が亡くなっている・すでに退任しているケースは、届出書で取り繕えません。後任の選任と役員変更登記を期限までに申請する方向で、早めに司法書士へ相談してください。

通知書をなくした・届かなかったときの届出書

通知書を使えない場合は、施行規則第139条の5項目を記載した書面を自分で作って提出できます(法務省の案内)。白紙のA4で次のような構成にすれば、記載事項の漏れを防げます。

届出書

 当社は、まだ事業を廃止していません。

令和8年【月】月【日】日

本店    【登記簿どおりの本店】
商号    【登記簿どおりの商号】
代表者   【代表取締役】【代表者の氏名】
代表者の住所【登記簿どおりの住所】
(代理人による場合)
代理人の住所【代理人の住所】
代理人の氏名【代理人の氏名】
連絡先電話番号【日中の電話番号】

【○○法務局○○出張所】 御中

通知番号が分からない手作りの届出書は照合に時間がかかることもあるため、期限まで余裕をもって出し、到着を確認できる方法で送るのが無難です。

提出方法と期限|郵送か持参、オンラインは不可

  • 提出先:本店を管轄する登記所(法務局・支局・出張所)。管轄は法務局「管轄のご案内」で確認できます。
  • 方法:郵送または窓口への持参。施行規則第139条で書面によることとされているため、オンラインでの届出はできません。
  • 期限:令和8年12月15日までに到着するように出します。郵送なら、到着が確認できる簡易書留やレターパックなどを選ぶと、あとで「届いていない」となる不安を減らせます。
  • 代理人:司法書士などが代理で届け出るときは、代理権限を証する書面(委任状)を添付します(施行規則第139条第3項)。委任状の書き方は委任状の書き方とAIでの作成手順で整理しています。

提出したら、控えとして通知書と届出書のコピーを残し、発送日・追跡番号を顧問先ファイルに記録しておきましょう。12月中旬以降に「届出したはずなのに解散登記がされた」と分かった場合、継続の手続が必要になり、費用も手間も大きく変わります。

届出だけでは終わらない|役員変更登記と過料

届出をしても翌年また対象になる

届出は「事業を続けている」と知らせるだけで、登記簿の「最後の登記の日」は変わりません。法務省も、届出をしただけで必要な登記をしなければ翌年度も整理作業の対象になると案内しています。通知書が届いた会社は、ほぼ確実に役員の任期が切れて改選の登記が漏れている状態なので、役員変更登記まで終えて初めて片付いたと言えます。

期限までに役員変更登記の申請が済めば、会社法第472条第1項ただし書きにより届出をしなくても解散とはみなされません。準備に時間がかかりそうなら、まず届出を出して解散を止め、そのうえで登記を進める二段構えが実務的です。

役員変更登記の流れ(概要)

任期が切れた役員は、後任が就任するまで役員としての権利義務を持ち続けます。そのため改選の登記では、何年も前の任期満了の日付で退任させ、今回の株主総会で選任する、という形で整理するのが一般的です。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 登記事項証明書と定款で、役員の就任日と任期(定款の任期規定)を確認する
  2. 任期満了日を確定する(どの事業年度の定時株主総会の終結時に満了したか)
  3. 株主総会で取締役・監査役を選任し、議事録を作る(取締役会設置会社なら取締役会で代表取締役を選定)
  4. 就任承諾書・印鑑証明書など必要書類をそろえ、登記を申請する

必要書類の詳細は役員変更登記の必要書類とAIでの準備に、議事録の作り方は株主総会議事録のテンプレートと書き方と取締役会議事録のテンプレートにまとめています。任期の数え方は会社ごとに定款が違うため、ここは司法書士が判断すべき部分です。

登録免許税と過料の目安

項目

金額

根拠

役員変更登記の登録免許税

1件3万円(資本金1億円以下の会社は1万円)

国税庁 No.7191/登録免許税法別表第一

登記を怠ったときの過料

100万円以下

会社法第976条第1号

届出そのものの手数料

法務省の案内に手数料の記載なし

—

変更の登記は、変更が生じてから2週間以内に本店所在地で行う義務があります(会社法第915条第1項)。通知書の注意書きのとおり、届出や登記がされると登記官は裁判所へ過料事件の通知を行うため、さかのぼって過料に処される可能性があります。金額は裁判所が個別に決めるもので、「いくらになる」と顧問先に断言するのは避けましょう。

みなし解散されたら|3年以内なら会社継続で回復できる

期限を過ぎて解散の登記がされても、すぐに会社が消えるわけではありません。会社法第473条により、解散したものとみなされた後3年以内に限り、株主総会の決議で会社を継続できます。この決議は特別決議(議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成。会社法第309条第2項第11号)が必要です。

会社継続の流れと費用

  1. 株主総会の特別決議で、会社の継続と新しい取締役等の選任を決議する
  2. 取締役会設置会社なら取締役会で代表取締役を選定する
  3. 決議から2週間以内に継続の登記を申請する(法務省の案内)

登記の種類

登録免許税

会社の継続の登記

1件3万円

役員変更の登記

1件3万円(資本金1億円以下は1万円)

清算人・代表清算人の登記

1件9,000円

出典:登録免許税法 別表第一

みなし解散で登記されるのは解散だけなので、継続の前提として清算人の登記をあわせて申請するかどうかが論点になります。また解散の登記により、取締役会設置会社である旨などの機関に関する登記が抹消されるため、機関設計の登記をやり直す必要も出ます。どの登記を何件申請するかは会社の状況で変わるので、ここは管轄法務局と司法書士の判断に委ねてください。届出なら費用は郵送料程度で済むのに対し、継続まで進むと登録免許税だけで数万円、さらに専門家報酬がかかります。期限前に動く価値は大きいと言えます。

なお、3年を過ぎると継続はできなくなります。一般社団法人・一般財団法人も、3年以内であれば社員総会・評議員会の特別決議で継続できます。

AIで時短する手順|下書きと突合チェックまで

この業務は、書く量は少ないのに「登記簿と1字でも違うと受け付けられない」という神経を使う作業です。AIは書式を一から考えるより、登記簿の内容と届出書の記入内容の突合や、顧問先へのお知らせ文・作業チェックリストの下書きで力を発揮します。

手順1:登記事項証明書から届出書の記入内容を作る

登記事項証明書の該当部分をテキストにして渡し、届出書の欄に合わせて書き出させます。

次の登記事項証明書の内容から、休眠会社の「まだ事業を廃止していない旨の届出書」に書く項目を、
登記簿の表記を一字も変えずに抜き出してください。
抜き出す項目:本店/商号/代表者の資格/代表者の住所/代表者の氏名
条件:
・番地の「丁目」「番」「号」、旧字体、全角半角は登記簿どおり
・登記簿に複数の代表者がいる場合は全員を列挙し、どれを使うか判断しない
・読み取れない文字は推測せず【要確認】と書く

【登記事項証明書の該当部分を貼り付け】

うまくいかない例と直し方:「届出書を作って」とだけ頼むと、住所を「1-2-3」に整えたり「(株)」に略したりと、読みやすく直してしまうことがあります。「一字も変えずに」「推測せず【要確認】」と条件を明示すると防げます。

手順2:記入済みの届出書と登記簿を突合する

Aは登記事項証明書、Bは記入済みの届出書です。
本店・商号・代表者の資格・代表者の住所・代表者の氏名について、
AとBが一字一句一致しているかを表で比較し、違う箇所を指摘してください。
一致・不一致の判断だけを行い、どちらが正しいかは判断しないでください。

A:【登記事項証明書の内容】
B:【届出書の記入内容】

手順3:役員の任期の洗い出し(下調べ)

次の登記記録と定款の任期規定をもとに、各役員の就任日・任期・任期満了の見込み日を表にしてください。
事業年度の末日は【○月○日】、定時株主総会は【事業年度末日から○か月以内】に開催する定めです。
計算の根拠も各行に書き、判断に迷う点は【要確認】として列挙してください。

【役員欄の登記記録】
【定款の任期規定】

任期計算は、AIの答えをそのまま申請に使ってはいけない典型です。定款変更で任期が延びた時期、補欠選任、定時株主総会を開いていなかった年の扱いなど、判断が分かれる論点が多いからです。AIには「論点の洗い出し」までを任せ、確定は司法書士が条文と定款で行う、と役割を分けるのが安全です。

手順4:顧問先へのお知らせ文の下書き

顧問先の経理担当者向けに、法務局から休眠会社の通知書が届いた件の連絡文を作ってください。
伝えること:
・期限は【令和8年12月15日(法務局に到着)】
・期限までに何もしないと解散したものとみなされること
・今回は【届出のみ/役員変更登記まで】を進めたいこと
・用意してほしいもの:【通知書の原本、定款、株主名簿、代表者の印鑑証明書など】
文体は丁寧に、300字程度。専門用語には一言説明を添えてください。

AIに任せてはいけない部分

  • 期限・公告日:年度ごとに変わります。AIは前年の日付を答えることがあるため、必ず法務省の当年度の案内で確認します。
  • 任期満了日と登記の組み立て:定款と登記記録を前提にした法的判断で、司法書士の確認が欠かせません。
  • 過料の見込み額:裁判所が決めるもので、AIにも人にも予測できません。
  • 個人情報の扱い:代表者の住所・氏名を入力するため、入力したデータが学習に使われない設定やサービスを選びます。

条文を根拠に確認しながら下書きを進めたい場合は、e-Gov法令データ等の公的情報を参照する司法書士AI(法務AI)が、条文リサーチと書類ドラフトの前段作業を支えます。汎用AIで下書きの形を作り、根拠の確認は条文を引ける法務特化AIで行う、という使い分けが現実的です。

よくある質問

昨年も届出をしました。今年も出す必要がありますか?

必要です。通知書の注意書きにも、昨年度に届出をしていても、必要な登記申請か再度の届出をしなければ解散したものとみなされると書かれています。毎年届出を続けるより、役員変更登記を済ませて対象から外れるほうが確実です。

届出の代わりに役員変更登記だけでもよいですか?

期限(令和8年12月15日)までに登記の申請がされれば、解散とはみなされません(会社法第472条第1項ただし書き)。ただし書類の準備が間に合わない可能性があるなら、先に届出を出しておくと安心です。

本当に事業をやめている会社はどうすればよいですか?

何もしなければ解散したものとみなされますが、それで会社が消滅するわけではなく清算の手続が残ります。財産や債務が残っているかで進め方が変わるため、清算の要否は司法書士・税理士に相談してください。

まとめ

  • 令和8年度は10月15日に公告、12月15日(到着)までに届出か登記をしないと12月16日付けでみなし解散
  • 届出は通知書の下段を使い、登記簿どおりに記入して郵送か持参。オンラインは不可
  • 届出だけでは翌年も対象。役員変更登記まで済ませるのが本来の対応
  • 登記を怠っていた分は100万円以下の過料の可能性がある
  • みなし解散後も3年以内なら株主総会の特別決議で会社を継続できるが、費用と手間は増える
  • AIは登記簿との突合や連絡文の下書きに使い、期限・任期の判断は一次情報と司法書士の確認で

参考文献

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