社会保険の資格喪失届の書き方|喪失日は退職日の翌日・記入例と添付書類
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届(以下「資格喪失届」)は、従業員が退職・死亡したときなどに、事実発生から5日以内に事業主が日本年金機構へ出す届出です。いちばん大事なのは、⑤喪失年月日に退職日ではなく「退職日の翌日」を書くことです。3月31日に退職した人なら、喪失年月日は4月1日になります。
この記事では、日本年金機構の様式と記入例に沿って①〜⑧の欄ごとの書き方と、架空の数値での記入例をまとめました。喪失原因ごとの喪失日、月末退職と月の途中の退職で変わる保険料、マイナ保険証に移行した後の資格確認書の回収、70歳以上被用者不該当届との関係も整理しています。入社時の手続きは社会保険の資格取得届の書き方(4月入社の記入例・5日以内の期限と添付書類)で解説しています。
この記事で分かること
- 資格喪失届を出すケースと、提出期限「事実発生から5日以内」・提出先・提出方法
- 喪失年月日の決まり方(退職・死亡は翌日、75歳到達は誕生日の当日など喪失原因ごとの早見表)
- 月末退職と月の途中の退職で、最後に納める保険料の月がどう変わるか
- 添付書類と、2024年12月2日の健康保険証の発行終了後に回収するもの・しないもの
- ①〜⑧の欄ごとの書き方と、退職・死亡・70歳以上・定年再雇用の記入例(架空の数値)
- 差し戻しが多い3つの不備と、退職者リストからAIで下書きを作る方法
資格喪失届とは|退職・死亡から5日以内に年金機構へ出す届出
様式(コード2201)は、日本年金機構の「2-2:従業員が退職、死亡したとき」のページからPDF・エクセルと記入例をダウンロードできます。正式名称は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届/厚生年金保険 70歳以上被用者不該当届」で、1枚の様式で健康保険と厚生年金保険の資格喪失をまとめて届け出ます。1枚に4人まで書けます。
出すケース|退職・死亡・契約変更・75歳到達など
日本年金機構の「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」では、退職や死亡のほか、契約変更などで加入の基準を満たさなくなったときにも、この届出を出すとしています。様式の喪失原因の欄には、次の選択肢があります。
- 4.退職等(退職のほか、転勤や雇用契約の変更で加入要件を満たさなくなった場合)
- 5.死亡
- 7.75歳到達(健康保険のみ喪失)
- 9.障害認定(健康保険のみ喪失)
- 11.社会保障協定
- 12.特定減額特例対象者の任意喪失
短時間労働者として加入していたパートが、週20時間未満の契約に変わった場合のように、退職しなくても資格を失うことがあります。働き方の変更は見落とされやすいので、契約変更の書類が回ってきたら加入要件を確かめる習慣をつけておきます。
提出期限・提出先・提出方法
項目 | 内容 |
|---|---|
提出期限 | 事実発生から5日以内(特定減額特例対象者の任意喪失は申出書とあわせて速やかに) |
提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
提出方法 | 電子申請、郵送、窓口持参 |
健康保険組合の事業所 | 健康保険の手続きは組合の案内も確認する(特定減額特例対象者の任意喪失は、年金機構と組合へ同時に提出) |
退職日が決まった時点で必要な情報を集めておけば、5日以内の期限は無理なく守れます。退職届を受け取った日に手続きの段取りを始めるのが実務の基本です。会社側の受理の流れは退職届・退職願テンプレートと会社側の受理・手続きにまとめています。
「70歳到達届」「雇用保険の資格喪失届」とは別の届出
名前が似ている届出が2つあります。
- 70歳到達届:在職中の従業員が70歳になり、そのまま働き続けるときに出す届出です。厚生年金保険の資格だけを失い、健康保険は続きます。70歳到達日時点の報酬が直前の標準報酬月額と同額なら、年金機構が処理するので届出は要りません(日本年金機構「2-5:従業員が70歳になったとき」)。
- 雇用保険の資格喪失届:ハローワークに出す別の届出で、期限は被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内です。離職票が必要な場合は離職証明書を添えます。書き方は離職票の書き方(離職票-1・-2の記入例と離職理由)で詳しく解説しています。
資格喪失日は「退職日の翌日」|喪失原因ごとの早見表
資格喪失年月日は「被保険者でなくなる日」です。退職日そのものではありません。日本年金機構は、喪失原因ごとに次のように示しています。
喪失原因ごとの喪失年月日
喪失の原因 | 喪失年月日 |
|---|---|
退職等 | 退職日の翌日、転勤の当日、雇用契約変更の当日 |
死亡 | 死亡日の翌日 |
75歳到達(健康保険のみ) | 誕生日の当日 |
障害認定(健康保険のみ) | 認定日の当日 |
社会保障協定 | 協定発効の当日、相手国法令の適用となった日の翌日 |
特定減額特例対象者の任意喪失 | 年金機構が申し出を受理した日の翌日(喪失年月日の記入は省略) |
「翌日」になるのは退職と死亡、「当日」になるのは転勤・契約変更・75歳到達・障害認定です。同じ「4.退職等」の中でも、退職は翌日、転勤と契約変更は当日と分かれる点に注意します。
月末退職と月の途中の退職で保険料が1か月変わる
健康保険・厚生年金保険の保険料は月単位で、資格喪失日が属する月の前月分までかかります(日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」)。喪失日が退職日の翌日になるため、退職日が月末かどうかで結果が変わります。
退職日 | 資格喪失日 | 保険料がかかる最後の月 |
|---|---|---|
11月20日(月の途中) | 11月21日 | 10月分 |
11月30日(月末) | 12月1日 | 11月分 |
月末退職では、給与計算の締切日によっては、退職時の給与から前月分と当月分の2か月分の本人負担分を控除することになります(日本年金機構「退職した従業員の保険料の徴収」)。翌月払いの給与で前月分を控除している会社では、最後の給与で2か月分を引くのを忘れやすいので、給与計算の担当と退職日を共有しておきます。控除額の確かめ方は給与計算のチェックをAIで行う検算プロンプト集が参考になります。
入社した月に退職した場合(同月得喪)
資格を取得した月の月末までに資格を喪失した場合、その月の厚生年金保険料は納める必要があります。ただし、その月のうちに別の会社で厚生年金保険の資格を取得したり、国民年金(第2号被保険者を除く)の資格を取得したりした場合は、先に喪失した分の厚生年金保険料は不要になります。この場合は年金事務所から会社に還付のお知らせが届き、会社は還付後に本人負担分を元従業員へ返します。
退職月に賞与を支払うとき
退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象になりません。資格喪失日が属する月の賞与には保険料がかからないためです。月末退職なら退職月の賞与にも保険料がかかるので、賞与支払届の扱いもあわせて確認します。
添付書類|資格確認書の回収とマイナ保険証移行後の扱い
協会けんぽは交付済みの資格確認書等を添付、組合は特になし
添付書類は、加入している健康保険によって変わります。
区分 | 添付するもの |
|---|---|
組合管掌健康保険の被保険者 | 特になし(組合への返却方法は組合の案内に従う) |
協会けんぽの被保険者 | 資格確認書、高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証(本人分と被扶養者分。交付されている場合のみ) |
60歳以上で退職後1日の間もなく再雇用する場合 | 退職日が分かる就業規則・退職辞令の写しと、再雇用が分かる雇用契約書の写しの両方、または事業主の証明書(同日付の資格取得届も同時に提出) |
2024年12月2日以降、回収するもの・しないもの
2024年12月2日から従来の健康保険証は新しく発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移りました(厚生労働省「健康保険証の新規発行は12月1日まで」)。従来の健康保険証の有効期限は2025年12月1日で終わっています(厚生労働省「資格確認方法について」)。そのため、2026年の退職手続きで会社が回収する中心は「有効期限内の資格確認書」です。
本人が持っているもの | 協会けんぽの扱い |
|---|---|
有効期限内の資格確認書(本人・家族分) | 会社へ返却。会社は資格喪失届に添付して提出 |
従来の健康保険証 | 返却不要(本人が破棄) |
資格情報のお知らせ | 返却不要(本人が破棄) |
有効期限が切れた資格確認書 | 返却不要(本人が破棄) |
マイナンバーカード(マイナ保険証) | 本人のカードなので回収しない |
この区分は協会けんぽ石川支部の案内「健康保険証等の返却について(令和7年12月2日より)」によるものです。同じ案内では、資格確認書は有効期限内でも使えるのは退職日までで、退職日の翌日以降に誤って使うと、協会けんぽが負担した医療費(総医療費の7〜9割)を返すことになると注意しています。退職者には、退職日の翌日からは新しい保険の資格で受診するよう案内しておきます。
回収できないときは「資格確認書回収不能届」
紛失などで資格確認書を回収できない場合は、「健康保険 資格確認書回収不能届」を添付します(日本年金機構「7-1:資格確認書の添付を必要とする届書提出時に添付ができないとき」)。回収待ちで届出全体を遅らせず、期限内に回収不能届をつけて出します。被保険者が亡くなった場合は、埋葬料等を申請する人が協会けんぽへの申請時に返納します。
【欄ごと】資格喪失届の書き方
ここからは、日本年金機構の記入例(PDF)に沿って、欄ごとの書き方を整理します。
提出者記入欄|事業所整理記号・事業所番号は必ず書く
提出日、事業所整理記号、事業所番号、事業所の所在地・名称、事業主の氏名、電話番号を書きます。記入例では、事業所整理記号と事業所番号に「必ず記入」と強調されています。社労士が提出を代行する場合は「社会保険労務士記載欄」に氏名等を書きます。
①被保険者整理番号・②氏名・③生年月日・④個人番号(基礎年金番号)
- ①被保険者整理番号:資格取得時に日本年金機構から払い出された番号を書きます。
- ②氏名:フリガナはカタカナで書きます。
- ③生年月日:元号(5.昭和・7.平成・9.令和)を○で囲み、年月日を書きます。
- ④個人番号(基礎年金番号):マイナンバー12桁、または基礎年金番号10桁を書きます。死亡による資格喪失の場合は、基礎年金番号を書きます。
⑤喪失年月日・⑥喪失(不該当)原因
⑤には、前の章の早見表に沿って「被保険者でなくなる日」を書きます。退職なら退職日の翌日です。
⑥は、該当する原因を○で囲みます。「4.退職等」「5.死亡」を選んだときは、かっこ内に退職日・死亡日の当日を書きます。つまり退職の場合、⑤には翌日、⑥には当日と、2つの日付を書き分けることになります。ここで両方に同じ日付を書いてしまうのが、年金機構が公表している不備事例の筆頭です。
⑦備考・資格確認書回収
備考は、該当する項目だけ○で囲みます。
- 1.二以上事業所勤務者の喪失:二以上事業所勤務者として届け出ている人が資格を喪失する場合
- 2.退職後の継続再雇用者の喪失:60歳以上で定年退職後すぐ再雇用し、同日付で資格取得届も出す場合
- 3.その他:上記以外で伝えたい事情を( )内に書く
「資格確認書回収」の欄には、添付する資格確認書の枚数を「添付」に、回収できなかった枚数を「返不能」に書きます。添付するのは交付されている場合だけなので、マイナ保険証だけを使っていて資格確認書が交付されていない人は、回収するものがありません。
⑧70歳不該当|70歳以上の人が退職・死亡したとき
70歳以上の従業員は厚生年金保険の被保険者ではありませんが、「70歳以上被用者」として在職老齢年金の対象になっています。この人が退職・死亡したときは、⑧の「70歳以上被用者不該当」にチェックを入れ、不該当年月日に退職日または死亡日の当日を書きます。⑤の喪失年月日(翌日)とは日付が1日ずれるので注意します。
退職・死亡・70歳以上・定年再雇用の記入例(架空の数値)
協会けんぽに加入している架空の会社「株式会社サンプル商事」で、2026年(令和8年)11月〜12月に資格喪失が発生したケースを例にします。氏名・番号・日付はすべて架空です。
例1:11月30日に月末退職した正社員(家族の資格確認書あり)
欄 | 記入内容 |
|---|---|
①被保険者整理番号 | 15 |
②氏名 | 見本 花子(ミホン ハナコ) |
③生年月日 | 7.平成 3年6月12日 |
④個人番号 | 本人確認済みのマイナンバー12桁 |
⑤喪失年月日 | 9.令和 8年12月1日 |
⑥喪失原因 | 4.退職等(令和8年11月30日退職等) |
⑦資格確認書回収 | 添付 1枚(被扶養者の子の資格確認書。本人はマイナ保険証のみ) |
月末退職なので、保険料は11月分までかかります。翌月払いの給与で前月分を控除している会社では、最後の給与で前月分と当月分の2か月分を控除するかどうかを、締切日と支払日から確かめます。
例2:11月20日に月の途中で退職したパート(短時間労働者)
- ⑤喪失年月日:9.令和 8年11月21日
- ⑥喪失原因:4.退職等(令和8年11月20日退職等)
- ⑦備考・資格確認書回収:記入なし(マイナ保険証のみで資格確認書の交付なし)
保険料は10月分までです。11月分の給与からは社会保険料を控除しません。
例3:12月15日に退職した72歳の嘱託社員(70歳以上被用者)
- ⑤喪失年月日:9.令和 8年12月16日(健康保険の資格喪失日)
- ⑥喪失原因:4.退職等(令和8年12月15日退職等)
- ⑧70歳不該当:「70歳以上被用者不該当」にチェック、不該当年月日 9.令和 8年12月15日
この人は70歳到達時に厚生年金保険の資格を失っており、健康保険だけ加入している状態です。⑤には健康保険の喪失日(翌日)、⑧には退職日(当日)を書きます。
例4:11月30日に定年退職し、12月1日に再雇用した61歳の社員
- ⑤喪失年月日:9.令和 8年12月1日
- ⑥喪失原因:4.退職等(令和8年11月30日退職等)
- ⑦備考:「2.退職後の継続再雇用者の喪失」に○
- 同時に出すもの:資格取得日を令和8年12月1日とする資格取得届(備考「4.退職後の継続再雇用者の取得」に○)と、退職日・再雇用日が分かる書類
同日付で喪失と取得を届け出る(同日得喪)ことで、再雇用後の給与に合った標準報酬月額に12月から切り替えられます。資格取得届側の書き方は、資格取得届の書き方の「定年退職し再雇用した60歳以上の社員」の記入例をあわせて見てください。
差し戻しを防ぐチェックと提出後の流れ
年金機構が公表している3つの不備
日本年金機構は資格喪失届の届出不備や誤りの多い事例として、次の3つを挙げています。不備があると、受け付けた届書が返され、出し直しになります。
よくある不備 | 防ぎ方 |
|---|---|
1. ⑤喪失年月日と⑥の退職日に同じ日付を書いている | ⑤は翌日、⑥は当日。退職日が10月31日なら⑤は11月1日 |
2. 70歳以上被用者の不該当年月日の記入漏れ | 70歳以上の退職者は⑧にチェックし、退職日(当日)を書く |
3. 60歳以上の継続再雇用の添付書類の不備 | ⑦備考の2に○をし、退職と再雇用の両方が分かる書類か事業主の証明を添付。資格取得届も同時に出す |
退職者が出たら、年齢(70歳以上か・60歳以上で再雇用か)と退職日を先に確認し、記入する欄を決めると迷いが減ります。
電子申請で出す場合
電子申請は、e-Govの画面に入力する方法と、日本年金機構の無料の届書作成プログラムで作ったデータを送る方法があります。日本年金機構のe-Gov入力例では、氏名は姓と名の間に全角スペースを1文字入れる、死亡の場合は基礎年金番号を入力する、特定減額特例対象者の任意喪失では喪失年月日の入力を省略する、といった注意点が示されています。
資本金1億円を超える法人などの電子申請義務の対象手続きは、健康保険・厚生年金保険では算定基礎届・月額変更届・賞与支払届で、資格喪失届は含まれていません。一方、雇用保険の資格喪失届は義務の対象です(厚生労働省「2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます。」)。
退職者への案内|次の健康保険と資格喪失の証明
退職者が次の会社にすぐ就職しない場合、退職後の健康保険は国民健康保険、家族の被扶養者、任意継続のいずれかになります。協会けんぽの任意継続は、資格喪失日の前日までに継続して2か月以上の被保険者期間があり、資格喪失日から20日以内に申出書を出すことが条件です(協会けんぽ「任意継続の加入条件について」)。
国民健康保険に入るために資格喪失日を証明する書類が必要になったときは、「資格取得・資格喪失等確認請求書」で年金機構に証明を求められます(日本年金機構「7-6:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき」)。退職者向けの案内文に、喪失日・任意継続の期限・資格確認書の返却をまとめて書いておくと、退職後の問い合わせが減ります。
退職時にあわせて行う手続き(雇用保険・税金)
社会保険の資格喪失届と同じタイミングで、次の手続きも動きます。それぞれ別の記事で欄ごとの書き方を解説しています。
手続き | 提出先・期限の目安 | 詳しい解説 |
|---|---|---|
雇用保険の資格喪失届・離職証明書 | ハローワーク。被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内 | |
住民税の給与所得者異動届出書 | 住民税を特別徴収している市区町村 | |
退職金を支払う場合の退職所得の申告書 | 退職金の支払を受ける時までに本人が会社へ提出 |
資格喪失届の作成でAIを使うところ・使わないところ
社会保険手続き全体でのAIの使い方は社会保険の手続きをAIで効率化する実務で整理しています。ここでは資格喪失届に絞って、退職者リストからの下書きと期限管理の2つを紹介します。
1. 退職者リストから喪失年月日・原因の下書きを作る
顧問先から届く退職者リスト(社員番号・退職日・年齢・再雇用の有無など)を貼り付け、欄ごとの記入内容の下書きを作らせます。氏名・マイナンバー・基礎年金番号はAIに入力せず、社員番号などの記号に置き換えて渡します。
以下は【顧問先名】の今月の退職者リストです(氏名・マイナンバー等は削除し、社員番号に置き換え済み)。
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届の記入に使うため、社員番号ごとに次の項目を表にしてください。
・⑤喪失年月日(退職は退職日の翌日、死亡は死亡日の翌日、転勤・契約変更は当日)
・⑥喪失原因の番号と、かっこ内に書く日付(退職日・死亡日の当日)
・⑦備考に○をつける番号(60歳以上の定年再雇用なら「2」)と、同時に資格取得届が必要かどうか
・⑧70歳以上被用者不該当のチェック要否(70歳以上なら不該当年月日=退職日)
・保険料がかかる最後の月(喪失日の属する月の前月)
判断に必要な情報が足りない項目は推測で埋めず「要確認」と書いてください。
【退職者リスト】
社員番号/退職日/退職時の年齢/退職理由(退職・死亡・契約変更など)/再雇用の有無/資格確認書の交付の有無
(ここに貼り付け)「喪失日」とだけ頼むと、退職日と同じ日付が返ってくることがあります。原因ごとのルールをプロンプトに書き、返ってきた表は担当者が退職届の日付と1件ずつ照らし合わせてから転記します。
2. 退職月の手続きを期限順に並べる
1人の退職で、社会保険・雇用保険・住民税・最終給与の控除と、期限の違う手続きが重なります。AIに退職日を渡して、期限順のToDoを作らせると漏れを防げます。
退職日が【退職日】の従業員について、事業主が行う手続きを期限の早い順に表にしてください。
対象:健康保険・厚生年金保険の資格喪失届、雇用保険の資格喪失届(離職票の要否を含む)、住民税の給与所得者異動届出書、最終給与での社会保険料控除、資格確認書の回収。
各行に「手続き名/提出先/期限の考え方/確認する資料」を書いてください。
期限の日付は計算例として示すだけにとどめ、「最終確認は日本年金機構・ハローワーク・市区町村の案内で行う」と注記してください。AIが出した日付は下書きとし、年金機構やハローワークの最新の案内で確かめてから事務所の期限管理表に登録します。
AIに任せてはいけないこと
- 個人番号・基礎年金番号の入力:学習に使われない設定かどうかにかかわらず、AIに入力しない運用が安全です。
- 喪失原因の判断:契約変更で加入要件を満たさなくなったのか、退職なのかは、雇用契約書と本人の働き方で人が判断します。
- 期限と制度の最終確認:資格確認書の扱いのように、制度は数年で変わります。一次情報で確認してから提出します。
退職・入社の手続きを毎月まとめて回す事務所スタッフ向けの活用法は、社労士・事務所スタッフ向けの士業AIのページにまとめています。
よくある質問
喪失年月日に退職日を書いてしまいました。どうなりますか?
退職日と喪失年月日が同じ日付になっている届書は、年金機構が不備事例として挙げている典型例で、返戻されて出し直しになる場合があります。⑤は退職日の翌日、⑥のかっこ内は退職日の当日です。提出前に2つの日付が1日ずれているかを必ず確認してください。
70歳以上の従業員が退職したら、資格喪失届とは別の届出が必要ですか?
別の届出は要りません。同じ様式の⑧「70歳以上被用者不該当」にチェックを入れ、不該当年月日に退職日を書けば、70歳以上被用者不該当届を兼ねます。在職中に70歳になって働き続ける場合は、資格喪失届ではなく70歳到達届の扱いになります。
まとめ|喪失日・保険料の月・資格確認書の3点を押さえる
健康保険・厚生年金保険の資格喪失届は、退職・死亡などから5日以内に日本年金機構へ出す届出です。書き方で差がつくのは、⑤喪失年月日(退職・死亡は翌日)と⑥の退職日(当日)の書き分け、70歳以上の人の⑧不該当年月日、定年再雇用の⑦備考と添付書類の3点です。月末退職かどうかで最後の保険料の月が変わるので、給与計算とも退職日を共有しておきます。
回収の中心は有効期限内の資格確認書です。下書きや期限の一覧づくりにはAIが役立ちますが、個人番号は入力せず、日付と制度は一次情報で確認してから提出してください。
参考文献
- 日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」
- 日本年金機構「2-2:従業員が退職、死亡したとき」(様式・記入例)
- 日本年金機構「被保険者資格喪失届/70歳以上被用者不該当届の届出不備や誤りの多い事例」
- 日本年金機構「【入力例】被保険者資格喪失届/70歳以上被用者不該当届」
- 日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」
- 日本年金機構「2-5:従業員が70歳になったとき」
- 日本年金機構「資格確認書等の返納手続き」
- 厚生労働省「資格確認方法について」
- 協会けんぽ石川支部「健康保険証等の返却について(令和7年12月2日より)」
- 厚生労働省「2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます。」(PDF)

