司法書士のChatGPTプロンプト集|登記・相続業務で使える実例10選【2026年】
「ChatGPTが業務効率化に使えると聞いたけれど、何をどう打ち込めばいいのか分からない」——そんな司法書士の先生・補助者の方に向けて、この記事ではそのままコピーして使える実務プロンプトを10本用意しました。プロンプトとは、AIへの「指示文」のことです。指示があいまいだとAIも当てずっぽうで答えますが、役割・前提・出力形式・禁止事項をきちんと書けば、下書きやたたき台づくりの手間を大きく減らせます。
この記事のプロンプトは、登記・相続・戸籍・議事録・定款・依頼者説明といった事務所の定型業務ごとに整理しています。コピーして【 】の部分を自分の案件に置き換えるだけで動く「資産」として、そのままお使いください。
この記事で分かること
- 司法書士業務でそのまま使えるChatGPTプロンプト10本(登記・相続・戸籍・議事録・定款・依頼者説明ほか)
- プロンプトの「使い方」と、うまくいかないときの直し方
- 守秘義務・情報漏洩・ハルシネーション(AIがもっともらしい嘘を作る現象)への具体的な注意点
- AIの出力を司法書士自身が最終検証するための考え方
前提として最初に。 生成AIの出力は「下書き・たたき台」であって完成品ではありません。条文番号・登記手続・期限・手数料などの制度事項は、AIが自信たっぷりに間違えることがあります(これをハルシネーションと呼びます)。本記事のプロンプトはいずれも作業の入口を速くするためのもので、最終的な正誤判断と責任は必ず司法書士本人が負う前提でご利用ください。
プロンプトを使う前に|守秘義務・情報漏洩・検証の3原則
便利なプロンプト集の前に、司法書士がAIを使ううえで外せない3つの原則を押さえます。ここを飛ばすと、効率化どころか事故になりかねません。
依頼者情報はそのまま貼らない(守秘義務・情報漏洩)
司法書士には守秘義務があり、依頼者から預かった情報の管理には細心の注意が必要です(司法書士法:e-Gov法令検索で条文をご確認ください)。一般的なチャット型AIに氏名・住所・不動産の所在・戸籍情報などをそのまま入力すると、入力データがサービス側でどう扱われるかは提供事業者の設定次第です。個人情報の取り扱いの基本的な考え方は個人情報保護委員会の情報も参照しつつ、次を徹底してください。
- 実名・実住所・地番などは【被相続人名】【所在地】のようなプレースホルダに置き換えて入力し、AIの下書きが返ってきてから自分の手元で実データに差し替える
- 入力履歴を学習に使わない設定や、業務利用に適したプラン・環境を選ぶ(設定は各サービスの最新仕様を確認)
- そもそも依頼者情報を外部に出さずに使える、業務特化の環境を検討する
非司法書士業務・AIの「代行」に注意
AIはあくまで先生の作業を補助する道具です。登記申請の代理や書類作成そのものは司法書士の専権に関わる領域であり、AIが生成した文面を無検証で提出することはできません。AIには「たたき台まで」を任せ、判断と作成の主体は必ず人が担います。
出力は必ず一次情報で検証する
制度の数値・条番号・期限・手数料は、AIの回答を鵜呑みにせず必ず一次情報で確認します。例えば相続登記の申請義務化については、不動産を相続で取得したことを知った日から一定期間内の申請が義務とされていますが、正確な期限や過料の要件は法務省「相続登記の申請義務化」で必ず原典を確認してください。登記の手続や様式は登記・供託オンライン申請システム、民法・会社法の条文はe-Gov法令検索(民法)が一次情報です。
相続業務で使えるプロンプト(4本)
相続は司法書士業務の中心であり、情報の整理量が多くAIの下書きが最も効く領域です。ここでは相続関係の整理から遺産分割協議書のたたき台まで4本を紹介します。
相続関係の下書き整理プロンプト
面談メモや聞き取り内容を放り込むと、相続人・続柄・法定相続分の観点を箇条書きに整理してくれます。
あなたは司法書士の補助者です。以下の聞き取りメモから、相続関係を整理してください。
# 前提
- 被相続人:【被相続人名】(死亡日:【死亡日】)
- 聞き取りメモ:
【面談で聞き取った家族関係のメモを貼り付け】
# 出力形式
1. 推定される相続人の一覧(続柄・氏名プレースホルダ・生存/死亡)
2. 代襲相続・数次相続の可能性がある箇所
3. 確認が必要な戸籍・追加でヒアリングすべき事項
4. 現時点で不明・断定できない点
# 禁止事項
- 法定相続分の断定的な数値計算はせず「要確認」と明示する
- メモにない事実を推測で補わない使い方:面談直後の頭の整理に。出力の「確認が必要な戸籍」リストが、そのまま次の作業指示になります。
うまくいかない例→直し方:いきなり相続分を数字で断定してくる場合は、禁止事項に「相続分は計算せず、根拠条文の確認を促すにとどめる」と明記し直します。
注意:実名・生年月日は入れずプレースホルダで。整った図面が必要なときの進め方は相続関係説明図をAIで作成する手順を参照してください。
戸籍の記載事項の読み取り補助プロンプト
読みにくい戸籍の記載から、相続に関係する事実を拾い出す作業の補助に使えます。
あなたは戸籍実務に詳しい司法書士の補助者です。
以下の戸籍の記載事項テキストから、相続に関係する事実を抽出してください。
# 入力(氏名・本籍はプレースホルダに置換済み)
【戸籍の記載事項をテキスト化して貼り付け】
# 出力形式(表)
| 事項 | 記載内容 | 相続上の意味 | 追加取得すべき戸籍 |
# 禁止事項
- 記載にない身分事項を推測しない
- 判読不能な箇所は「判読不能・原本要確認」と書く使い方:転籍・改製が絡む古い戸籍の「次に取るべき戸籍」の見当付けに便利です。
うまくいかない例→直し方:手書き戸籍の画像を直接読ませると誤読が増えます。人が判読したテキストを入力し、判読不能箇所は空欄のまま渡すのが安全です。
注意:戸籍は最も機微な個人情報です。実本籍・実名は入力せず、あくまで「読み取りの観点」を得る用途にとどめ、最終判断は原本で行ってください。
相続登記申請書の骨子ドラフトプロンプト
あなたは司法書士です。相続を原因とする所有権移転登記の申請書の「骨子」を作成してください。
# 前提
- 被相続人:【被相続人名】
- 相続人(登記名義人となる者):【相続人名】
- 不動産:【所在・地番・家屋番号はプレースホルダ】
- 登記の原因:相続(原因日付:【死亡日】)
# 出力形式
1. 申請書に記載すべき項目の一覧(登記の目的・原因・相続人・添付情報・課税価格・登録免許税の考え方など)
2. 各項目で「案件ごとに確認・計算が必要」な箇所を明示
3. 添付書面のチェックリスト
# 禁止事項
- 登録免許税の税額や税率を断定しない(計算の考え方の提示にとどめる)
- 管轄・様式は最新の公式情報での確認を促す一文を必ず入れる使い方:記載項目の抜け漏れ防止のチェックリストとして使うと効果的です。
うまくいかない例→直し方:税額をそれらしく書いてきたら、その数字は使わず必ず自分で計算します。様式・管轄は登記・供託オンライン申請システムで確認を。
注意:より詳しい進め方は相続登記の申請書をAIで作成する記事、登記業務全般のAI活用は司法書士の登記業務にAIを使う記事で解説しています。
遺産分割協議書のたたき台プロンプト
あなたは司法書士です。遺産分割協議書の「たたき台」を作成してください。
# 前提
- 被相続人:【被相続人名】(死亡日:【死亡日】)
- 相続人:【相続人名を列挙】
- 分割の合意内容:【誰が何を取得するかのメモ】
# 出力形式
- 遺産分割協議書の文案(不動産・預貯金・その他財産・後日判明財産の条項を含む)
- 各条項の下に「この案件で確認・修正すべき点」を注記
# 禁止事項
- 合意内容にない財産の分け方を勝手に創作しない
- 押印・印鑑証明・登記添付要件は最新実務での確認を促す使い方:ゼロから書くより、たたき台を直す方が速い典型例です。「後日判明した財産の帰属」条項の入れ忘れ防止にも役立ちます。
うまくいかない例→直し方:条項が一般的すぎるときは、合意メモをより具体的に(不動産の特定、代償金の有無など)与えると精度が上がります。
注意:文案は必ず先生が検証してください。書き方の勘所は遺産分割協議書の書き方とAI活用の記事にまとめています。
登記・法人業務で使えるプロンプト(3本)
商業登記や不動産登記に付随する文書作成も、型が決まっている分AIのたたき台が効きます。
登記原因証明情報の文案プロンプト
あなたは司法書士です。登記原因証明情報の文案のたたき台を作成してください。
# 前提
- 登記の目的:【例:所有権移転】
- 登記の原因と日付:【例:売買・令和◯年◯月◯日】
- 当事者:【権利者・義務者はプレースホルダ】
- 不動産の表示:【所在等はプレースホルダ】
# 出力形式
- 登記原因証明情報の文案(登記の原因となる事実・法律行為を時系列で記載)
- 「案件ごとに事実確認が必要」な箇所を明示
# 禁止事項
- 存在しない事実関係を補わない
- 様式・記載要件は公式情報での確認を促す一文を入れる使い方:事実関係の時系列を文章化する下書きに。骨組みを得てから事実を精査します。
うまくいかない例→直し方:抽象的な文章になるときは、登記原因となった事実(契約日・引渡し・代金など)を具体的に入力します。
注意:登記原因証明情報は事実そのものが命です。AIが事実を「創作」していないか一字一句検証してください。
株主総会・取締役会議事録のドラフトプロンプト
あなたは商業登記に詳しい司法書士です。『【会社名】』の取締役会議事録のたたき台を作成してください。
# 前提
- 会議体:取締役会(開催日:【開催日】)
- 決議事項:【例:代表取締役の選定 など】
- 出席者:【取締役・監査役の人数や氏名プレースホルダ】
# 出力形式
- 議事録の文案(開催日時・場所・出席者・議案・決議の結果・議事の経過の要領・署名欄)
- 各欄で「案件ごとに埋める/確認する」箇所を明示
# 禁止事項
- 定足数・決議要件の数値を断定せず、会社法と定款での確認を促す
- 実際に行われていない議事を創作しない使い方:定型の議事録は、たたき台を出してから事実を差し込むと最速です。決議要件は会社法(e-Gov法令検索)と当該会社の定款で必ず確認します。
うまくいかない例→直し方:決議要件を断定してきたら、その部分は使わず条文と定款で裏取りします。
注意:ひな形と各議案の書き方は取締役会議事録のひな形記事を参照してください。
定款の条項たたき台プロンプト
あなたは商業登記に詳しい司法書士です。『【会社名】』(【株式会社/合同会社等】)の定款の特定条項のたたき台を作成してください。
# 前提
- 対象条項:【例:目的・株式の譲渡制限・機関設計 など】
- 会社の希望:【依頼者の要望メモ】
# 出力形式
- 条項の文案(複数案があれば併記)
- 各案の留意点と、会社法上「確認が必要」な箇所
# 禁止事項
- 会社法の強行規定に反する条項を提案しない
- 条文番号や要件を断定せず、会社法での確認を促す使い方:目的欄の表現の選択肢出しや、機関設計の条項の下書きに向いています。
うまくいかない例→直し方:汎用的すぎる条項になるときは、事業内容・株主構成・希望する機関設計を具体的に伝えます。
注意:定款作成のAI活用は定款をAIで作成する記事で詳しく解説しています。強行規定との適合は必ず先生が確認を。
依頼者・顧問先対応で使えるプロンプト(3本)
専門知識そのものより「伝え方」で差が出るのが依頼者対応です。ここはAIが特に得意な領域で、機微情報を入れずに使いやすいのも利点です。
顧問先・依頼者向け説明メール文案プロンプト
あなたは司法書士事務所の担当者です。依頼者向けの説明メールの文案を作成してください。
# 前提
- 宛先:【依頼者の属性(例:高齢の相続人・法人担当者 など)】
- 伝える内容:【例:相続登記に必要な書類の案内 など】
- トーン:丁寧・簡潔・専門用語は避ける
# 出力形式
- 件名案(3つ)
- 本文(結論→必要な対応→期限や次のステップの順)
# 禁止事項
- 断定できない見込み(費用・期間)を確定的に書かない
- 事務所が確認していない事実を書かない使い方:「書類のお願いメール」など反復業務の時短に。件名案が複数出るので選ぶだけです。
うまくいかない例→直し方:硬すぎ/砕けすぎのときは「宛先の属性」と「トーン」を具体化します。
注意:費用・期間の見込みをAIに書かせない。数字は事務所の確定情報のみ入れます。
必要書類チェックリスト作成プロンプト
あなたは司法書士の補助者です。案件の必要書類チェックリストを作成してください。
# 前提
- 案件の種類:【例:相続登記 / 会社設立 など】
- 分かっている事情:【例:相続人が複数・遺言なし など】
# 出力形式(表)
| 書類名 | 取得先 | 誰が用意 | 備考・確認事項 |
# 禁止事項
- 案件で不要な書類まで並べない
- 必須/任意の断定は避け「要確認」を付す使い方:依頼者に渡す「ご準備のお願い」の下地に。備考欄がヒアリング項目になります。
うまくいかない例→直し方:過不足が出るときは案件の事情(遺言の有無・不動産の数など)を詳しく与えます。
注意:必要書類は管轄や事案で変わります。最終リストは先生が確定してください。
専門用語をやさしく言い換える依頼者説明プロンプト
あなたは説明が上手な司法書士です。次の専門用語・文章を、依頼者が理解できるやさしい言葉に言い換えてください。
# 入力
【言い換えたい専門用語や説明文を貼り付け】
# 出力形式
- やさしい言い換え(中学生でも分かる表現)
- 一言のたとえ(あれば)
- 誤解を招かないための補足
# 禁止事項
- 正確さを損なう単純化をしない
- 意味を変える言い換えをしない使い方:「代襲相続」「登記識別情報」などを面談前にやさしい言葉へ。説明の質が安定します。
うまくいかない例→直し方:簡単にしすぎて不正確になったら「正確さ優先で」と条件を足します。
注意:やさしくしても意味が変わっていないか、専門家として最終チェックを。
汎用AIの限界と、士業特化AIという選択肢
ここまでのプロンプトで、汎用のChatGPTでも下書き作成はかなり速くなります。一方で、実務で使い込むほど次のような「壁」に気づくはずです。
- 依頼者情報をプレースホルダに置き換える手間が毎回発生する
- 制度の最新情報や条文にAIが追随できず、検証コストが下がりきらない
- プロンプトを毎回貼り直す・事務所内で共有しづらい
汎用AIで「ここまでできる」と分かったら、次は士業の業務に特化した環境で、これらの手間そのものを減らす段階です。士業AI(法務AI)は、司法書士をはじめとする士業の実務を前提に設計されたサービスで、依頼者情報の取り扱いに配慮しながら、登記・相続・法人業務の下書き作成を支援します。汎用AIで感触をつかんだうえで、日々の定型業務に本格導入する選択肢としてご検討ください。
司法書士・弁護士のためのAI活用の全体像は士業のためのAI活用ガイドにまとめています。あわせてご覧ください。行政のデジタル化の動向はデジタル庁、登記実務の一次情報は法務省 民事局でご確認いただけます。
よくある質問
司法書士がChatGPTに依頼者の個人情報を入力しても大丈夫ですか?
実名・住所・地番・戸籍情報などをそのまま入力するのは避けてください。守秘義務と情報漏洩の観点から、本記事のプロンプトのように【 】のプレースホルダで入力し、AIの下書きが返ってから手元で実データに差し替える運用を推奨します。入力データの取り扱い設定は各サービスの最新仕様を、個人情報の考え方は個人情報保護委員会を確認してください。
ChatGPTの出力をそのまま登記申請書や協議書に使えますか?
使えません。あくまで「たたき台・下書き」であり、条文・様式・期限・手数料などをAIが誤ることがあります(ハルシネーション)。最終的な作成と正誤判断は司法書士本人が行い、制度事項は法務省やe-Gov法令検索などの一次情報で必ず検証してください。
プロンプトがうまく動かないときはどこを直せばよいですか?
多くは「前提情報の不足」か「禁止事項の不足」です。案件の具体的な事情を足す、断定してほしくない事項を禁止事項に明記する、の2点でほとんど改善します。それでも精度が上がらない業務は、士業特化のAI環境の利用が近道です。
相続登記の申請期限は何年以内ですか?
相続登記の申請は義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から一定期間内の申請が求められます。具体的な期限・過去分の扱い・過料の要件は制度の細部が重要なため、必ず法務省「相続登記の申請義務化」の原典でご確認ください。

