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源泉徴収税額表の見方【令和8年分】月額表・甲欄乙欄の使い分けと税額の求め方

源泉徴収税額表(月額表)は、「社会保険料等を引いた後の給与の金額」の行と、「甲欄の扶養親族等の数」または「乙欄」の列が交わるところを読む表です。令和8年分の表は令和8年1月1日から12月31日までに支払う給与に使い、令和9年1月1日以後に支払う給与からは改正後の「令和9年分」の表に切り替わります。

この記事は、顧問先や自社で毎月の給与計算を担当する経理スタッフ向けに、表の読み方を計算例つきで整理したものです。

  • 令和8年分の月額表をどこで入手し、どの欄を見ればよいか
  • 甲欄・乙欄・丙欄の使い分けと、扶養親族等の数の数え方
  • 月額表・日額表・賞与の算出率の表の違い
  • 令和8年12月と令和9年1月の切替で間違えやすい点
  • AIに検算させるときの安全な任せ方

源泉徴収税額表(月額表)とは|令和8年分の入手先と全体像

源泉徴収税額表は、給与から天引きする所得税の額を、計算式を使わずに表から引けるようにしたものです。国税庁の「令和8年分 源泉徴収税額表」のページで、月額表(1〜7ページ)、日額表(8〜14ページ)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(15〜16ページ)がPDFとExcelで公開されています。給与ソフトの設定確認や検算にはExcel版が扱いやすいです。

表の税額には復興特別所得税(所得税の2.1%相当)が含まれています。表から引いた金額をそのまま天引きし、そのまま納付すればよく、復興特別所得税を別に足す必要はありません。

3つの表の違い

表

使う場面

欄

月額表

月ごと・半月ごと・10日ごと・月の整数倍の期間ごとに支払う給与

甲欄/乙欄

日額表

毎日・週ごと・日割で支払う給与、日雇賃金

甲欄/乙欄/丙欄

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

賞与(前月に給与の支払がない場合や、賞与が前月給与の10倍を超える場合は月額表を使う)

甲欄/乙欄

出典:国税庁 No.2511 税額表の種類と使い方。正社員の月給はほぼ月額表で、日額表は日給・週給の人や短期の日雇いに使う表です。

令和8年分の表は令和8年1月から変わっている

令和8年分の表は、令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等)を受けて令和8年1月から改正されたものです。たとえば甲欄で扶養親族等の数が0人の人に税額が生じ始めるラインは、令和7年分の表では「88,000円未満は0円」でしたが、令和8年分では「105,000円未満は0円」に上がっています(国税庁令和8年分 月額表)。古い年分の表を印刷したまま使い続けていないか、まず確認してください。

月額表の見方|税額は3ステップで決まる

月額表で税額を出す手順は、どの人でも同じ3ステップです。

  1. 表に当てはめる金額を出す:その月の課税対象の給与から、厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料などの社会保険料等を差し引く
  2. 欄を決める:扶養控除等申告書の提出があれば甲欄、なければ乙欄
  3. 交点を読む:金額が入る「以上〜未満」の行と、甲欄なら扶養親族等の数(0〜7人)の列が交わる金額が税額

ステップ1:表に当てはめるのは「社会保険料等控除後」の金額

総支給額をそのまま表に当てはめるのは、現場でいちばん多い間違いです。表の左端の見出しは「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」で、非課税の通勤手当も除いた後の金額を使います。住民税は控除しません。

ステップ3:「以上」は含み、「未満」は含まない

行の境目ちょうどの金額は、その金額が「以上」に書かれている行に入ります。257,000円なら「254,000円以上257,000円未満」ではなく、次の「257,000円以上」の行です。

計算例1:甲欄(扶養控除等申告書の提出あり)

課税支給額300,000円、社会保険料等44,000円、扶養親族等の数1人の場合です。

  • 表に当てはめる金額:300,000円−44,000円=256,000円
  • 該当行:「254,000円以上257,000円未満」
  • 甲欄・1人の列:4,710円(同じ行の0人は6,320円、2人は3,090円)

扶養親族等が1人増えるごとに、この行では1,600円前後ずつ税額が下がります。人数の数え違いがそのまま税額のずれになるので、ステップ2〜3より先に「人数が合っているか」を疑うのが検算のコツです。

甲欄・乙欄・丙欄の使い分け

どの欄を使うかは、本人の希望や雇用形態ではなく、「給与所得者の扶養控除等申告書」を自社に提出しているかどうかで決まります。パート・アルバイトでも、申告書を出していれば甲欄です(国税庁 No.2514)。

欄

対象

実務での典型例

甲欄

扶養控除等申告書を提出している人

正社員、メインの勤務先で働くパート

乙欄

その他の人(申告書の提出がない人)

副業・掛け持ちの2か所目、申告書の回収漏れ

丙欄(日額表のみ)

日雇賃金

雇用契約が2か月以内と決まっている日給・時給のアルバイト

乙欄は税額が高い。回収漏れがそのまま天引き過多になる

扶養控除等申告書は1人1か所にしか出せないため、2か所以上で働く人の「従たる給与」は乙欄で計算します(国税庁 No.2520)。計算例1と同じ256,000円の行でも、乙欄は37,600円と甲欄の数倍です。従たる給与は原則として年末調整の対象にならないため、本人の確定申告で精算することになります。

入社時に申告書の回収が遅れ、本来甲欄の人を乙欄で計算してしまうケースは珍しくありません。入社手続のチェックリストに「扶養控除等申告書の回収」を必ず入れてください。

計算例2:乙欄で105,000円未満の場合

2か所目の勤務先で、社会保険料等の控除なし・月80,000円の給与を支払う場合です。月額表の「105,000円未満」の行の乙欄は、税額ではなく「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額の3.063%に相当する金額」と書かれています。

  • 80,000円×3.063%=2,450.4円 → 1円未満切捨てで2,450円
  • 同じ80,000円でも、甲欄(申告書の提出あり)なら0円

丙欄は「2か月以内」の契約に限られる

丙欄は、あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内と決まっている日給・時給の人などに使います。契約が延長されて2か月を超えた場合は、その超えた日から丙欄は使えません(国税庁 No.2514)。短期のつもりで丙欄にしたまま更新を重ねている人がいないか、契約更新のタイミングで見直します。

扶養親族等の数の数え方

甲欄の「扶養親族等の数」は、源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計に、障害者などの加算を足した人数です。所得税の「扶養控除の人数」とは数え方が違う点に注意してください(国税庁「給与所得の源泉徴収税額の求め方」)。

区分

人数への算入

令和8年分の主な要件(所得の見積額)

源泉控除対象配偶者

1人と数える

本人の所得が900万円以下、配偶者の所得が95万円以下

控除対象扶養親族

1人と数える

年齢16歳以上で、所得が58万円以下

特定親族(19歳以上23歳未満)

所得100万円以下なら1人と数える

所得が58万円超123万円以下の親族のうち100万円以下の人

16歳未満の扶養親族

数えない

ただし障害者に該当すれば1人加算

本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生

該当ごとに1人加算

—

同一生計配偶者・扶養親族が障害者/同居特別障害者

該当ごとに1人加算

—

現場で多い数え間違い

  • 16歳未満の子を数えてしまう:年齢16歳未満の扶養親族は、障害者に該当しない限り人数に含めません
  • 配偶者の所得ラインを取り違える:源泉徴収の段階では「95万円以下」の源泉控除対象配偶者で判定します。年末調整の配偶者控除のラインとは別物です
  • 障害者の加算を忘れる:配偶者や子が障害者なら、本人の人数とは別に1人加算します

扶養親族等の数が7人を超える場合は、7人の欄の税額から、1人超えるごとに1,610円を差し引きます。

賞与・日額表との違い

賞与は「率」を引く表

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表は、税額ではなく賞与に掛ける率を引く表です。行を決めるのは賞与の額ではなく、前月の給与(社会保険料等控除後)の金額です(国税庁 No.2523)。

計算例3:前月の給与(社会保険料等控除後)256,000円、扶養親族等の数1人、賞与500,000円・賞与からの社会保険料等75,000円の場合です。

  • 甲欄・1人の列で、256千円が入る「250千円以上289千円未満」の行 → 率は4.084%
  • (500,000円−75,000円)×4.084%=17,357円

前月に給与の支払がない場合や、賞与が前月給与の10倍を超える場合は、賞与を6(計算期間が6か月超なら12)で割って月額表に当てはめる別の計算になります。役員の事前確定届出給与などで起きやすいので、該当月は手計算で確認してください。

日額表は「1日あたり」で引く

日額表も見方は月額表と同じで、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」の行と欄の交点を読みます。日額表の甲欄・乙欄の税額は1日あたりの額なので、月給の人の税額を日額表から引くことはありません。週給の人の当てはめ方など細かな使い方は、国税庁の税額表に付いている注記で確認してください。

令和8年12月と令和9年1月の切替で注意すること

令和8年度税制改正で基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円から74万円)、扶養親族等の所得要件の改正が行われました。源泉徴収の実務では、適用時期が項目ごとにずれる点がつまずきどころです(国税庁令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A)。

時期

使う表・扱い

令和8年11月30日までに支払う給与

令和8年分の表。扶養親族等の数に、改正で新たに対象になった親族は含めない

令和8年12月1日〜12月31日に支払う給与

令和8年分の表のまま。扶養親族等の所得要件は改正後(扶養親族は合計所得62万円以下など)で判定

令和8年12月の年末調整

改正後の基礎控除・給与所得控除で年税額を計算し、毎月の源泉徴収額と精算

令和9年1月1日以後に支払うべき給与

令和9年分の表に切替

12月分の給与を1月に払う会社は要注意

令和9年分の表は「令和9年1月1日以後に支払うべき給与」に適用されます。勤務した月ではなく支払日で区切られるため、締め日と支払日がずれる会社では、12月勤務分でも1月支給なら令和9年分の表になります。給与ソフトの年分切替日が支払日基準になっているか、12月中に確認しておくと安心です。

令和9年分の表はすでに公開されている

国税庁は「令和9年分 源泉徴収税額表」を公開済みです。計算例1と同じ「254,000円以上257,000円未満・甲欄1人」の税額は、令和8年分の4,710円に対し令和9年分は4,530円です。また令和9年分以後は防衛特別所得税(所得税の1%)が創設され、復興特別所得税は1.1%に下がりますが、合計2.1%は変わらないため、表を使った計算手順は同じです(国税庁令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし)。

表から引いた税額は、翌月10日(納期の特例なら半年ごと)に所得税徴収高計算書で納めます。納付書の欄の埋め方は源泉所得税の納付書の書き方と納期の特例、年末の精算は年末調整の申告書の記入手順で扱っています。

源泉徴収税額をAIで検算するときの線引き

給与ソフトが計算してくれる時代でも、人数の登録ミスや甲乙の設定違いはソフトでは気づけません。生成AIは、控除後の金額の計算・行の特定・前月との差の説明のような整合チェックが得意です。一方、税額表の数字そのものをAIの記憶に答えさせると、古い年分や別の欄の数字を返すことがあります。表の値は国税庁のPDFかExcelで人が引き、AIには突き合わせだけを任せるのが安全です。

あなたは給与計算の検算担当です。以下のデータについて、
私が令和8年分の源泉徴収税額表(月額表)から引いた税額が妥当か確認してください。

【前提】
- 支払日:【2026年10月25日】
- 税額表:令和8年分 月額表
- 税額表の数値は記憶で断定せず、確認すべき行として示すこと

【データ(社員番号,課税支給額,社会保険料等,甲乙,扶養親族等の数,私が引いた税額)】
【001,300000,44000,甲,1,4710】
【002,80000,0,乙,0,2450】

【やってほしいこと】
1. 各行の社会保険料等控除後の金額と、該当する「以上〜未満」の行を示す
2. 甲乙・扶養親族等の数の設定で、確認すべき点があれば指摘する
3. 支払日から見て、令和8年分と令和9年分のどちらの表を使うべきか確認する

うまくいかない例は「この人の源泉徴収税額を教えて」とだけ聞くことです。年分・甲乙・人数が抜けると、AIはもっともらしい数字を作ります。直し方は、上のように支払日と表の年分を必ず書き、最終的な税額は表で人が確かめると決めておくことです。給与計算全体の検算プロンプトは給与計算のチェックをAIで行うプロンプト集、明細の作り方は給与明細テンプレートと書き方にまとめています。

士業AIは、国税庁などの公的情報を参照しながら回答する業務特化型のAIです。経理担当者向けの使い方は経理スタッフ向けのページ、顧問先の給与を預かる会計事務所向けは税務AIのページで紹介しています。

国税庁等の公的情報を参照する税務特化AI のデモです。

源泉徴収税額表についてよくある質問

税額表のPDFはどこでダウンロードできますか

国税庁の「令和8年分 源泉徴収税額表」のページで、一括版と表ごとのPDF・Excelが公開されています。令和9年1月以後に支払う給与には「令和9年分」のページの表を使います。

通勤手当は表に当てはめる金額に含めますか

非課税限度額以内の通勤手当は含めません。限度額を超える部分は課税対象なので、その部分は含めます。

報酬・料金の源泉徴収にも税額表を使いますか

使いません。税理士や講師への報酬は、税額表ではなく原則10.21%の税率で計算します。詳しくは報酬の源泉徴収の計算方法をご覧ください。退職金も別の速算表を使います(退職金の税金の計算方法)。

甲欄と乙欄を間違えて天引きしたらどうなりますか

気づいた時点で正しい欄で計算し直し、差額を本人と精算します。乙欄で計算すべき人を甲欄にしていた場合は徴収不足になるため、追加の納付が必要です。納付が遅れると不納付加算税や延滞税の対象になることがあるので、判断に迷うときは顧問税理士に確認してください。

まとめ

  • 月額表は「社会保険料等控除後の金額」の行と、甲欄の扶養親族等の数または乙欄の列の交点を読む
  • 甲欄・乙欄は扶養控除等申告書の提出の有無で決まる。丙欄は2か月以内の契約の日雇賃金だけ
  • 扶養親族等の数は16歳未満を数えず、障害者等は加算する
  • 賞与は前月給与で率を引く。前月に給与がない・10倍超のときは月額表で計算する
  • 令和9年1月1日以後に支払う給与は令和9年分の表。12月分を1月に払う会社は切替日に注意

参考文献

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