収支内訳書の書き方|白色申告の記入例と経費・青色決算書との違い【令和8年分】
収支内訳書は、白色申告の個人事業主が1年間の収入と経費の内訳をまとめ、確定申告書に添付して出す書類です。事業所得の人が使う「一般用」は2ページ構成で、1ページに売上・経費・専従者控除・所得金額を、2ページに売上先・仕入先の明細、減価償却費の計算、地代家賃などの内訳を書きます。青色申告決算書と違い、貸借対照表を作る欄はありません。
書き方のコツは、2ページの減価償却費と内訳を先に固めてから1ページに転記し、家族への給与は「給料賃金」ではなく「専従者控除」で処理することです。この記事では令和8年分(2026年分)を2027年3月15日(月)までに申告する前提で、欄ごとの書き方を作例の数字でたどります。
- 収支内訳書(一般用)を出す人と、青色申告決算書との違い
- 1ページ(収入・売上原価・経費・専従者控除)の欄別の書き方
- 2ページ(売上・仕入の明細、減価償却費の計算、地代家賃の内訳)の書き方
- 焼き菓子店の記入例、自宅兼事務所の家事按分、不動産所得用の記入例
- よくある誤り、提出前チェックリスト、AIで帳簿から下書きを作るときの線引きとプロンプト
執筆時点(2026年10月)では、国税庁の「令和8年分 収支内訳書(一般用)の書き方」はまだ公表されていません。この記事は国税庁「令和7年分 収支内訳書(一般用)の書き方」と収支内訳書(一般用)【令和5年分以降用】の様式をもとに欄名・欄番号を確認しています。令和8年分の書き方が公表されたら、欄番号に変更がないか見比べてください。
収支内訳書とは|白色申告の人が確定申告書に添付する書類
収支内訳書を出す人
所得税法第120条第6項は、不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき業務を行う人が青色申告書以外の確定申告書を出すときに、総収入金額と必要経費の内容を記載した書類の添付を求めています。この書類が収支内訳書です。対象は次のとおりです(国税庁 タックスアンサーNo.2080)。
- 白色申告で事業所得・不動産所得がある人
- 業務に係る雑所得がある人のうち、前々年分(令和8年分なら令和6年分)の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える人
雑所得で作るときは、1ページ上段の「営業等」ではなく「雑(業務)」に○を付けます。また、雑所得の計算では専従者控除を使えません。
種類は一般用・不動産所得用・農業所得用の3つ
小売・飲食・サービス・フリーランスなど、ほとんどの事業所得は「一般用」です。アパートや駐車場を貸している人は「不動産所得用」、農業を営む人は「農業所得用」を使います。事業所得と不動産所得の両方がある人は、一般用と不動産所得用を1枚ずつ作ります。この記事は一般用を中心に、不動産所得用は後半の1節で扱います。
青色申告決算書との違い
白色と青色では、書類の厚さより「家族への給与」と「控除・特例」の扱いが大きく違います。青色側の欄別の書き方は青色申告決算書(一般用)の書き方と記入例で解説しています。
項目 | 収支内訳書(白色・一般用) | 青色申告決算書(一般用) |
|---|---|---|
ページ数 | 2ページ | 4ページ |
貸借対照表 | なし | あり(65万円・55万円控除では必須) |
家族への給与 | 払った給与は経費にならず、専従者控除(配偶者86万円・その他の親族50万円が上限) | 届け出た範囲の専従者給与を経費にできる |
特別控除 | なし | 青色申告特別控除 |
30万円(2026年4月以後取得は40万円) | 使えない(10万円未満の即時経費と20万円未満の一括償却のみ) | 中小事業者の少額減価償却資産の特例を使える |
家事関連費 | 主たる部分が業務上必要で、明らかに区分できる部分 | 取引の記録等で業務上直接必要と明らかにされる部分も可 |
家事関連費の違いは所得税法施行令第96条第1号・第2号、少額減価償却資産の特例の要件はタックスアンサーNo.2100 減価償却のあらましによります。青色へ切り替えるかを検討する段階なら、青色申告承認申請書の書き方と提出期限もあわせて確認してください。
書き始める前に|そろえる資料と記入の順番
そろえる資料
- 売上帳・仕入帳・経費帳(または会計ソフトの科目別集計)
- 年初と年末の棚卸表(作り方は棚卸表テンプレートと実地棚卸の手順)
- 固定資産の一覧(取得年月・取得価額・前年末の未償却残高・耐用年数)と前年の収支内訳書
- 従業員の源泉徴収簿(年末調整後の税額)、家族の従事月数のメモ
- 賃貸借契約書、借入金の返済予定表、税理士等への報酬の支払明細
- 家事按分の根拠(面積・使用時間などの記録)
2ページ→1ページの順で書く
1ページの⑬減価償却費は2ページの「減価償却費の計算」の計から、⑮地代家賃や⑯利子割引料は2ページの内訳と同じ金額になります。2ページを先に固めると、転記の食い違いが起きにくくなります。順番は「2ページの減価償却費と各内訳 → 1ページの収入・原価・経費 → ⑲〜㉑の計算 → 1ページ右側の給料賃金・専従者の欄」です。
白色でも帳簿は必要
白色申告でも、事業所得・不動産所得がある人には記帳と帳簿書類の保存の義務があります。記帳は日々の合計額をまとめて書くような簡易な方法でもかまいません(タックスアンサーNo.2080)。
保存が必要なもの | 保存期間 |
|---|---|
収入金額や必要経費を記載した帳簿 | 7年 |
それ以外の任意の帳簿 | 5年 |
決算に関して作成した | 5年 |
請求書・納品書・ | 5年 |
令和5年分の確定申告に対する修正申告等からは、税務調査で売上げの帳簿を保存していなかったことなどが分かった場合、過少申告加算税・無申告加算税の割合に5%または10%が加重されます。収支内訳書の数字は帳簿から説明できることが前提です。
1ページの書き方|欄別の記入ポイント
上段|住所・業種名・屋号と「営業等」の選択
住所・氏名・電話番号のほか、「業種名」には事業の内容を具体的に書きます(例:青果小売業、自動車板金塗装業)。期間は通常「1月1日至12月31日」、年の途中で開業した人は開業日からです。様式は機械で読み取るため、書面で出すなら黒のボールペンで書きます。
収入金額①〜④と売上原価⑤〜⑨
欄 | 書く内容と注意点 |
|---|---|
①売上(収入)金額 | 本年中の売上。掛け売りで未入金のものも本年に売り上げたものは含める |
②家事消費 | 商品を家事で使ったり贈与したりした分を通常の販売価額で。販売価額のおおむね70%と仕入金額のいずれか多い方で記帳していればその金額でよい |
③その他の収入 | 空箱の売却代、リベート、事業所得として課税される国・自治体の助成金など |
⑤期首・⑧期末 | 1月1日現在と12月31日現在の棚卸高。⑤は前年の⑧と一致するはず |
⑥仕入金額 | 本年中の仕入。未払いの掛け仕入も含める |
⑦小計・⑨差引原価・⑩差引金額 | ⑦=⑤+⑥、⑨=⑦−⑧、⑩=④−⑨ |
経費⑪〜㋹で迷いやすい科目
経費の各欄には、決算を締めた後の科目別の合計を書きます。国税庁の書き方に載っている具体例のうち、実務で迷いやすいものを抜き出しました。様式にない特殊な経費は、空欄の行に科目名を書き足して記入します。
欄 | 入れるもの | 入れないもの・注意点 |
|---|---|---|
⑪給料賃金 | 従業員の給料、賃金、退職金、現物給与 | 生計を一にする家族への給与は入れない(専従者控除で処理) |
⑫外注工賃 | 外部に注文した加工賃、建設業などの外注費 | — |
⑬減価償却費 | 2ページ「減価償却費の計算」の必要経費算入額の計 | 開業費などの繰延資産の償却費も2ページで計算する |
⑮地代家賃 | 店舗・倉庫などの家賃、敷地の地代 | 自宅兼用なら住宅部分は除く。生計を一にする親族への家賃は経費にならない |
⑯利子割引料 | 事業用資金の借入金の利子、手形の割引料 | 返済額のうち元本部分は経費にならない |
㋑租税公課 | 事業税、固定資産税(事業用部分)、自動車税、印紙税、商工会などの会費 | 所得税・住民税・国民健康保険税・国民年金保険料・延滞税・罰金は経費にならない |
㋷修繕費 | 店舗・車・機械などの修理代 | 価値を高めたり使用期間を延ばしたりする支出は資本的支出として減価償却する |
㋦消耗品費 | 文房具、包装紙、ガソリン、10万円未満の什器備品など | 10万円以上の備品は2ページで減価償却する |
㋸福利厚生費 | 従業員の慰安・保健の費用、事業主負担の社会保険料 | 事業主本人の国民健康保険料は入れない |
⑰はその他の経費(㋑〜㋹)の小計、⑱経費計は⑪〜⑯と⑰の合計、⑲専従者控除前の所得金額は⑩−⑱です。所得税や国民健康保険料を経費に入れてしまう誤りは、白色の顧問先から届く帳簿で今も多い論点です。
専従者控除⑳と所得金額㉑
生計を一にする配偶者や15歳以上の親族が、その年に6か月を超える期間、事業に専ら従事していれば、1人につき次のいずれか少ない金額を⑳に書けます(タックスアンサーNo.2075)。
- 86万円(配偶者以外の親族は50万円)
- ⑲の金額 ÷(事業専従者の数+1)
白色の専従者控除は届出書が不要な代わりに、確定申告書に控除を受ける旨と金額を書く必要があります。実際に払った給与の額ではなく上の計算で決まる点、専従者になった家族は配偶者控除・扶養控除の対象にならない点も、顧問先への説明で外せません。㉑所得金額は⑲−⑳で、確定申告書第一表の事業(営業等)の所得金額欄へ転記します。青色の専従者給与との比較は青色事業専従者給与に関する届出書の書き方の「白色申告の事業専従者控除との違い」で整理しています。
1ページ右側|給料賃金・税理士等の報酬・事業専従者の欄
- 給料賃金の内訳:従業員ごとに氏名・年齢・従事月数・給料賃金と賞与・年末調整後の源泉徴収税額を書きます。計は⑪と一致させます。
- 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳:本年中に支払うことが確定した報酬と、未払分を含む源泉徴収税額を書きます。
- 事業専従者の氏名等:氏名・年齢・続柄・従事月数を書き、延べ従事月数を合計します。
2ページの書き方|明細と減価償却費の計算
売上(収入)金額の明細・仕入金額の明細
主な売上先・仕入先の名称、所在地、売上(仕入)金額を書き、それ以外は「上記以外の売上先の計」にまとめます。登録番号(インボイスの「T」から始まる番号)や法人番号を把握していれば記入でき、記入した相手は名称と所在地を省略できます。計の欄は1ページの①・⑥と一致させます。軽減税率の対象額の記入は省略してもかまいません。
減価償却費の計算|列ごとの意味
資産1つにつき1行で、左から順に計算します(2007年4月1日以後に取得した資産の場合)。
列 | 書く内容 |
|---|---|
㋑取得価額(償却保証額) | 取得価額。定率法の資産だけ括弧内に償却保証額 |
㋺償却の基礎になる金額 | 定額法は取得価額。定率法は前年末の未償却残高(本年取得なら取得価額) |
償却方法・耐用年数 | 届け出た方法。届出がなければ定額法。耐用年数は国税庁の耐用年数表で確認 |
㋩償却率又は改定償却率 | 耐用年数に応じた償却率。一括償却資産は「1/3」 |
㋥本年中の償却期間 | 月の途中で取得した場合はその月を1か月と数える(例:7月取得なら6/12) |
㋭本年分の普通償却費 | ㋺×㋩×㋥ |
㋣本年分の償却費合計 | ㋭+㋬(特別償却費) |
㋠事業専用割合 | 家事と兼用の車などは事業で使う割合 |
㋷本年分の必要経費算入額 | ㋣×㋠。この計を1ページ⑬へ転記する |
㋦未償却残高(期末残高) | 本年取得は㋑−㋣、前年以前取得は前年末の未償却残高−㋣ |
注意したいのは、㋦未償却残高を㋷(経費にした額)ではなく㋣(償却費の全額)で減らす点です。事業専用割合が70%の車でも、帳簿上の残高は償却費の全額分だけ減ります。
10万円未満・20万円未満の資産と、白色では使えない特例
- 取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満の資産は、減価償却せず使った年に全額を経費にします(消耗品費など)。
- 10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産として3年間で3分の1ずつ経費にできます(㋩欄に「1/3」)。
- 30万円未満(2026年4月1日以後の取得は40万円未満)を一括で経費にする少額減価償却資産の特例は、一定の要件を満たす青色申告者だけの制度です。白色では使えません。
判定は消費税の経理方式に従い、免税事業者は税込金額で判定します(タックスアンサーNo.2100)。青色の特例の詳細は少額減価償却資産の特例の要件と改正点をご覧ください。
利子割引料・地代家賃の内訳と特殊事情
利子割引料の内訳は金融機関以外からの借入れだけを書き、本年中に支払うことが確定した利子を記入します。地代家賃の内訳は支払先ごとに書き、権利金や更新料は上段、賃借料は下段に分け、「権」「更」を○で囲みます。「本年中における特殊事情」には、休業・店舗移転・大口の臨時収入など、前年と数字が大きく変わった理由を簡潔に書いておくと、後から説明を求められたときに役立ちます。
記入例|焼き菓子店(作例)で1ページと2ページを埋める
前提(すべて架空の数値)
以下は説明用の作例です。個人で焼き菓子店を営む白色申告者で、店舗は賃借、パート1名、妻が1年を通じて店を手伝っています。消費税は免税事業者のため税込金額で記帳し、償却方法の届出はしていません(定額法)。計算はすべて検算済みです。
2ページ:減価償却費の計算
資産 | 計算 | ㋷必要経費算入額 | ㋦未償却残高 |
|---|---|---|---|
冷蔵ショーケース | 2024年4月取得・60万円・陳列ケース(冷蔵機付)6年・定額法0.167・12/12・専用100% | 100,200円 | 324,450円 |
軽自動車(配達用) | 2026年7月取得・140万円・4年・定額法0.250・6/12で175,000円・事業専用70% | 122,500円 | 1,225,000円 |
ノートパソコン | 2026年3月取得・18万円・一括償却資産1/3 | 60,000円 | 120,000円 |
計(1ページ⑬へ) | — | 282,700円 | — |
ショーケースの未償却残高は、2024年分(9/12で75,150円)と2025年分・2026年分(各100,200円)を取得価額から引いた額です。軽自動車は経費にしたのが122,500円でも、残高は償却費の全額175,000円で減らしています。
1ページ:収入から所得金額まで
欄 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
①売上(収入)金額 | 6,800,000円 | 売上帳の年計 |
②家事消費 | 60,000円 | 家族用に持ち帰った菓子 |
③その他の収入 | 40,000円 | 空き缶の売却代など |
④計 | 6,900,000円 | ①+②+③ |
⑤期首棚卸高・⑥仕入・ | 180,000円・2,300,000円・200,000円 | 棚卸表・仕入帳 |
⑨差引原価 | 2,280,000円 | ⑤+⑥−⑧ |
⑩差引金額 | 4,620,000円 | ④−⑨ |
⑪〜⑯ | 1,758,700円 | 給料賃金480,000+減価償却費282,700+地代家賃960,000+利子割引料36,000 |
⑰その他の経費の小計 | 1,042,000円 | 租税公課85,000、荷造運賃120,000、水道光熱費310,000、旅費交通費24,000、通信費66,000、広告宣伝費90,000、接待交際費30,000、損害保険料42,000、修繕費55,000、消耗品費180,000、福利厚生費12,000、雑費28,000 |
⑱経費計 | 2,800,700円 | ⑪〜⑯+⑰ |
⑲専従者控除前の所得金額 | 1,819,300円 | ⑩−⑱ |
⑳専従者控除 | 860,000円 | 妻・12か月。1,819,300÷2=909,650円より86万円が少ない |
㉑所得金額 | 959,300円 | ⑲−⑳ |
妻に毎月給与を払っていても、その額は⑪に入れません。⑪の480,000円はパート従業員の分だけで、1ページ右側の給料賃金の内訳の計と一致させます。
家事按分の書き方|自宅兼事務所のフリーランス(作例)
家事関連費のうち必要経費にできるのは、主たる部分が業務の遂行上必要で、その部分を明らかに区分できる場合の、その部分だけです(所得税法施行令第96条第1号)。主たる部分かどうかは業務上必要な部分が50%を超えるかで判定しますが、50%以下でも必要な部分を明らかに区分できれば、その部分は経費に算入して差し支えないとされています(所得税基本通達45-1・45-2)。
作例として、自宅の一室を仕事場にしているWebデザイナー(白色申告)の按分を示します。
支出(年額) | 按分の基準 | 経費にする額と記入欄 |
|---|---|---|
家賃 1,440,000円 | 住居60㎡のうち仕事部屋12㎡(20%) | 288,000円 → ⑮地代家賃 |
電気代 144,000円 | 機器の使用時間の記録から30% | 43,200円 → ㋩水道光熱費 |
携帯電話 96,000円 | 通話・通信の明細で業務分を区分 | 明細で区分できた額 → ㋭通信費 |
按分の割合は、面積図や使用記録など後から見せられる根拠とセットで決めます。根拠が説明できない一律の割合は、税務調査で否認されやすい典型です。節税策としての按分の考え方は個人事業主の節税10選でも触れています。
不動産所得用の書き方|区分マンション1室を貸している例
不動産所得用も2ページ構成ですが、欄の番号と科目が一般用と違います(国税庁「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」)。1ページの右側に「不動産所得の収入の内訳」があり、物件ごとに貸家・貸地の別、用途、所在地、賃借人、契約期間、月額と年額、礼金・権利金・更新料、保証金・敷金を書きます。
作例として、会社員がRC造の区分マンション1室(建物の取得価額1,500万円)を月85,000円で貸し、本年に更新料85,000円を受け取ったケースです。
欄 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
①賃貸料 | 1,020,000円 | 85,000円×12か月 |
②礼金・権利金・更新料 | 85,000円 | 収入の内訳で「更」に○ |
⑤計 | 1,105,000円 | ①+④(②+③) |
⑦減価償却費 | 330,000円 | 住宅用RC造47年・定額法0.022 |
⑩借入金利子 | 180,000円 | 利子部分のみ(元本は除く) |
その他の経費 | 369,000円 | 租税公課95,000、損害保険料18,000、修繕費40,000、管理費等216,000(空欄に科目を追加) |
⑫経費計 | 879,000円 | ⑥〜⑩の計+⑪ |
⑬専従者控除前の所得金額 | 226,000円 | ⑭専従者控除は0円 |
不動産の貸付けが事業として行われていない場合、専従者控除は使えません。事業かどうかの区分はタックスアンサーNo.1373で確認します。所得金額が赤字で、経費に土地等を取得するための借入金の利子が含まれる場合は、その利子の額を1ページ最下段に書きます。その部分の損失は損益通算できません。
収支内訳書でよくある誤り7つ
- 家族への給与を⑪給料賃金に入れる:生計を一にする家族の分は経費にならず、⑳専従者控除で処理します。
- 専従者控除を実際の給与額で書く:上限86万円(配偶者以外50万円)と「⑲÷(専従者数+1)」の少ない方です。
- 所得税・住民税・国民健康保険料を租税公課に入れる:いずれも経費になりません。
- 20万円以上の備品を消耗品費で落とす:白色では少額減価償却資産の特例が使えないため、通常の減価償却が必要です。
- 借入金の返済額を全額経費にする:経費は利子部分だけです。
- 未償却残高を必要経費算入額で減らす:残高は㋣償却費合計で減らします。
- ⑤期首棚卸高が前年の⑧と合わない:前年の収支内訳書と照合すると見つかります。
提出前チェックリスト
- 年分(令和8年分)と期間、「営業等」「雑(業務)」の選択は正しいか
- 2ページの売上・仕入の計が1ページの①・⑥と一致しているか
- 減価償却費の㋷の計が⑬と、地代家賃の内訳が⑮と一致しているか
- 給料賃金の内訳の計が⑪と一致し、家族の分が入っていないか
- 専従者は15歳以上・6か月超の従事・配偶者控除や扶養控除と重複していないか
- 家事按分の割合に、面積や使用記録などの根拠があるか
- ㉑所得金額を確定申告書第一表へ、専従者の情報を第二表へ転記したか
- 帳簿と領収書を保存期間(帳簿7年・書類5年)どおり残しているか
国税庁の確定申告書等作成コーナーで作れば、収支内訳書と申告書の転記・計算は自動で行われます。申告全体の段取りは個人事業主の確定申告×AI活用術にまとめています。
AIで帳簿データから下書きを作るときの線引きとプロンプト
収支内訳書は、帳簿の科目別集計を決まった欄に並べ替える作業が大半です。この並べ替えと検算は生成AIが得意な一方、要件の当てはめや年分ごとの数字はAIに決めさせてはいけません。
AIに任せてよい作業 | 人が判断すること |
|---|---|
会計ソフトの科目集計を収支内訳書の欄番号に組み替える | 家事按分の割合と、その根拠 |
⑦⑨⑩⑰⑱⑲などの小計・差引の検算 | 専従者の要件(年齢・従事期間・生計一)の確認 |
固定資産一覧から減価償却費の計算表を作る | 耐用年数・償却方法、10万円・20万円の判定 |
1ページと2ページの一致チェック | 令和8年分の様式・上限額・期限の確認(国税庁で確認) |
プロンプト1:科目集計を欄番号に組み替える
あなたは個人事業主の確定申告を補助する事務スタッフです。
以下は【顧問先A(業種:【焼き菓子の製造小売】)】の令和8年分の科目別集計です。
国税庁の「収支内訳書(一般用)」1ページの欄番号(①〜⑱)に組み替えた表を作ってください。
ルール:
- 様式にない科目は「空欄に追加する科目」として別に挙げる
- 家族(【妻】)への給与は⑪に入れず「専従者控除で処理」と注記する
- 所得税・住民税・国民健康保険料が含まれていたら「経費にならない候補」として除外し理由を書く
- 金額は変えず、判断できない科目は「要確認」とする
科目別集計:(会計ソフトの集計表を貼る。氏名・口座番号は伏せる)
出力:| 欄番号 | 科目 | 金額 | 元の科目名 | 注記 |うまくいかない例と直し方:「収支内訳書を作って」とだけ頼むと、青色申告決算書の欄番号や専従者給与で組み立ててくることがあります。「白色・収支内訳書(一般用)」と様式名を明記し、家族への給与の扱いをルールに書くと防げます。
プロンプト2:固定資産一覧から減価償却費の計算表を作る
以下の固定資産一覧から、収支内訳書2ページ「減価償却費の計算」の形で表を作ってください。
耐用年数・償却方法・事業専用割合は一覧の値をそのまま使い、AIが変更しないでください。
償却期間は取得月を1か月として数え、未償却残高は「本年分の償却費合計」で減らしてください。
固定資産一覧:
| 名称 | 取得年月 | 取得価額 | 償却方法 | 耐用年数 | 償却率 | 前年末未償却残高 | 事業専用割合 |
(ここに貼る)
出力:| 名称 | ㋑ | ㋺ | ㋩ | ㋥ | ㋭ | ㋣ | ㋠ | ㋷ | ㋦ |
最後に㋷の合計(1ページ⑬に転記する額)を示し、計算式を1行ずつ書いてください。うまくいかない例と直し方:耐用年数をAIに推定させると、似た資産の年数を自信ありげに当てはめます。耐用年数は国税庁の耐用年数表で人が確定させてから渡すのが安全です。
プロンプト3:提出前の整合チェック
以下の収支内訳書(一般用)の下書きについて、次の点を確認してください。
1. ⑦=⑤+⑥、⑨=⑦−⑧、⑩=④−⑨、⑱=⑪〜⑯+⑰、⑲=⑩−⑱、㉑=⑲−⑳ が成り立つか
2. 2ページの売上・仕入の計が①・⑥と、減価償却費の計が⑬と一致するか
3. ⑳専従者控除が「上限額」と「⑲÷(専従者数+1)」の少ない方になっているか
上限額は【配偶者86万円・その他の親族50万円】として計算し、成り立たない箇所だけを一覧にしてください。
下書き:(欄番号と金額を貼る)うまくいかない例と直し方:上限額をAIの知識に任せると、古い年分の数字や青色の扱いが混ざることがあります。上限額はプロンプト内で指定し、その値自体は国税庁の最新の書き方で確かめる運用にします。
汎用の生成AIでも上の作業はこなせますが、国税庁の手引きやタックスアンサーを根拠に確認まで進めたい場合は、税務の一次情報を検索して答える士業AIの税理士向けAIが向いています。顧問先の帳簿を預かる事務所スタッフの使い方は事務所スタッフ向けのご案内で紹介しています。経理全般のプロンプトは経理のChatGPTプロンプト50選にまとめています。
収支内訳書の書き方でよくある質問
開業1年目で期首の棚卸高がない場合はどう書きますか?
⑤期首商品棚卸高は0円(空欄)とし、期間の欄に開業日を書きます。開業日や提出書類の確認は開業届の書き方と記入例を参照してください。
売上が少なくても収支内訳書は必要ですか?
事業所得や不動産所得があり確定申告書を出すなら、白色申告では添付が必要です(所得税法第120条第6項)。業務に係る雑所得は、前々年の収入金額が1,000万円を超える場合に限られます。
e-Taxなら収支内訳書は別に出さなくてよいですか?
確定申告書等作成コーナーで入力すると、収支内訳書のデータも作られ、申告書と一緒に送信されます。別途紙で出す必要はありませんが、作成した内容と帳簿の保存は必要です。
まとめ|2ページから書き、家族の給与は専従者控除で処理する
収支内訳書(一般用)は、2ページで減価償却費と内訳を固め、1ページへ転記する順番で書くと食い違いが減ります。白色では家族への給与は経費にならず専従者控除で処理すること、少額減価償却資産の特例は使えないこと、家事按分は根拠と一緒に決めることの3点が、青色との一番の違いです。令和8年分の書き方が公表されたら、欄番号と上限額を最新版で確かめてから仕上げてください。
参考文献
- 国税庁「令和7年分 収支内訳書(一般用)の書き方」
- 国税庁「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」
- 国税庁「収支内訳書(一般用)【令和5年分以降用】」
- 国税庁「令和7年分の確定申告書等の様式・手引き等」
- 国税庁 タックスアンサーNo.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
- 国税庁 タックスアンサーNo.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
- 国税庁 タックスアンサーNo.2210 必要経費の知識
- 国税庁 タックスアンサーNo.2100 減価償却のあらまし
- 国税庁 タックスアンサーNo.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
- 国税庁 所得税基本通達45-1・45-2(家事関連費)
- e-Gov法令検索 所得税法施行令(第96条 家事関連費)
- e-Gov法令検索 所得税法(第120条 確定所得申告)

