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年末調整の社内FAQ|従業員の質問30問と回答例【令和8年分】

年末調整の社内FAQは、従業員から経理に毎年届く同じ質問に、先に答えを出しておくための資料です。令和8年分(2026年12月に行う年末調整)は、基礎控除が最高104万円に上がり、扶養に入れる家族の年収の目安も136万円に変わりました。「去年の数字」で答えると間違える年なので、回答文をあらかじめ令和8年分の金額でそろえておく価値がいつもより大きくなっています。

この記事では、よく来る質問30問の回答例を、国税庁の令和8年分の資料で確認したうえで、社内掲示やチャットにそのまま貼れる形で並べました。【 】を自社の締切や窓口に差し替えれば使えます。

  • 社内FAQを貼る前に決めておく3つのこと(締切・提出方法・問い合わせ窓口)
  • 提出・期限、令和8年分の変更点、扶養、保険料控除、住宅ローン・医療費、入社・退職・副業、マイナンバー・訂正の30問と回答例
  • チャットや掲示に貼るときの短縮版の作り方と、経理が答えてはいけない質問の線引き
  • 生成AIで自社向けFAQに整えるプロンプトと、うまくいかない例の直し方

この記事は「従業員からの質問への回答集」に絞っています。回収を始めるときの案内文・依頼文は年末調整の案内文テンプレート(顧問先・従業員向け依頼文例)に、申告書の欄ごとの書き方は年末調整の書き方【令和8年分】申告書の記入手順に、制度の変更点の詳しい整理は年末調整の変更点【令和8年分】基礎控除104万円・特定親族特別控除にまとめています。

年末調整の社内FAQを貼る前に決める3つのこと

FAQの回答は、制度の部分(国税庁が決めていること)と、社内ルールの部分(会社が決めること)に分かれます。制度の部分は下の回答例をそのまま使えますが、社内ルールの部分は会社ごとに違うため、貼る前に次の3つを決めて【 】を埋めてください。

決めること

FAQ内のプレースホルダ

決め方のポイント

社内の提出締切

【社内締切:11月◯日(◯)】

法令上の期限(その年最後の給与の支払を受ける日の前日)より前に、点検と差し戻しの時間を取った日付にする

提出方法

【提出方法:紙/給与システム/年調ソフト】

紙と電子が混在するなら、どちらで出してよいかを明記する

問い合わせ窓口

【窓口:経理部 ◯◯(内線◯◯/チャット◯◯)】

個人の事情に関わる質問は、チャットの全体スレッドではなく個別に受ける窓口にする

回答例の金額はすべて令和8年分です。FAQの冒頭に「この回答は令和8年分(2026年12月の年末調整)のものです」と一文入れておくと、翌年に古いFAQが使い回される事故も防げます。

回答例の根拠は国税庁の「令和8年分 各種控除について(給与所得者用)」「年末調整を受ける際の注意事項」などです。どちらも従業員向けの資料なので、FAQと一緒にリンクを貼っておくと親切です。

【提出・期限】よくある質問と回答例(Q1〜Q5)

Q1. 年末調整では何を出せばいいですか?

A. 今年は次の書類を【社内締切:11月◯日】までに提出してください。①令和8年分 扶養控除等(異動)申告書(今年の家族の状況に変更がある人のみ、修正して再提出)、②令和8年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(全員)、③令和8年分 保険料控除申告書(生命保険・地震保険・国民年金などを自分で払っている人)、④住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除の2年目以降の人)。あわせて、来年用の⑤令和9年分 扶養控除等(異動)申告書も提出してください。

Q2. 提出期限はいつですか?少し遅れても大丈夫ですか?

A. 社内の締切は【社内締切:11月◯日】です。法律上は「その年最後の給与の支払を受ける日の前日まで」に会社へ出すことになっていますが、会社で内容を確認し、計算する時間が必要なため、社内締切を設けています。遅れると12月の給与で精算できない場合がありますので、間に合わない書類がある人は早めに【窓口】へご相談ください。

Q3. 年末調整の書類を出さないとどうなりますか?

A. 扶養控除等申告書を出していない人は、会社で年末調整ができません。毎月の給与からも「乙欄」という高めの税額で源泉徴収され、扶養控除などの控除を受けるには、ご自身で確定申告をすることになります(国税庁 A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告)。保険料控除申告書を出さなかった場合は、その控除が年末調整に反映されません。

Q4. 「令和8年分」と「令和9年分」の扶養控除等申告書が2枚あるのはなぜですか?

A. 令和8年分は、今年(2026年)の年末調整で使うものです。今年の途中で家族の状況が変わった人だけ、修正して出し直してください。令和9年分は、来年1月からの毎月の給与計算に使うもので、全員が提出します。年分を間違えると差し戻しになるので、用紙右上の「令和◯年分」を確認してから記入してください。

Q5. 去年と家族構成が同じなら、書かなくていいですか?

A. 基礎控除申告書(4つの申告書が1枚になった用紙)は、毎年の年末調整で提出が必要です。今年は控除額の金額表が変わっているので、去年の用紙を写さず、今年の用紙の表で計算してください。令和9年分の扶養控除等申告書は、前年から変更がない場合に「簡易な申告書」で出せる仕組みがありますが、使えるかどうかは会社の運用によります。当社では【簡易な申告書:使う/使わない】としています(国税庁 簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ)。

【令和8年分の変更点】よくある質問と回答例(Q6〜Q10)

今年いちばん多いのが改正についての質問です。数字は国税庁「昨年と比べて変わった点(令和8年分 年末調整のしかた)」で確認したものです。改正の背景まで知りたい人には、令和8年分の年末調整の変更点の解説を案内してください。

Q6. 基礎控除はいくらになりましたか?

A. 令和8年分の基礎控除は、ご自身の合計所得金額に応じて次のとおりです。489万円以下は104万円、489万円超655万円以下は67万円、655万円超2,350万円以下は62万円です(2,350万円超の区分は改正なし)。給与だけの人なら、年収665万5,556円以下がおおむね104万円の区分に当たります。基礎控除申告書の控除額は、必ず令和8年分の用紙の表で計算してください。

Q7. 毎月の給料から引かれる税金は、もう変わっていますか?

A. 変わっていません。今回の改正は令和8年12月1日施行で、11月までの毎月の源泉徴収は従来どおりです。12月の年末調整で、改正後の基礎控除などを使って1年分の税額を計算し直し、差額を精算します。控除が増える改正なので、還付(払いすぎた税金が戻る)になる人が多くなります。

Q8. 「年収の壁」は結局いくらになったのですか?

A. 所得税については、給与だけの人の場合、給与所得控除(最低74万円)と基礎控除(104万円)を足した178万円までは所得税がかからない計算です(社会保険料控除など他の控除は考えていません)。家族を扶養に入れる目安(給与だけの場合)は136万円以下です。なお、社会保険の扶養(いわゆる130万円の壁など)は税金とは別の制度なので、加入先の健康保険のルールで確認してください。社会保険側の整理は106万円の壁と130万円の壁の早見表にまとめています。

Q9. 去年の控えを見ながら書いてもいいですか?

A. 名前や住所を写すのは構いませんが、金額は写さないでください。基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、特定親族特別控除の金額の区分が、去年(令和7年分)から変わっています。国税庁の注意事項でも、基礎控除について「昨年分と金額が異なります」と注意書きがあります。

Q10. ひとり親控除も上がると聞きましたが、今年から変わりますか?

A. 今年の年末調整では変わりません。ひとり親控除の引上げ(35万円→38万円)は令和9年分以後の所得税に適用されるため、令和8年分は35万円のままです(国税庁 令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A)。

【扶養・配偶者・子ども】よくある質問と回答例(Q11〜Q16)

扶養の質問は個別の事情が絡むため、FAQでは判定の目安までを示し、最終判断は担当者が行う形にしておくのが安全です。

Q11. 妻(夫)のパート収入はいくらまでなら扶養に入れられますか?

A. 配偶者の収入が給与だけの場合、令和8年分は年収136万円以下なら配偶者控除、136万円を超え207万円以下なら配偶者特別控除の対象です。どちらも、あなた自身の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件です。配偶者の年収は1月〜12月の見込み額で書いてください。社会保険の扶養は別の基準なので、Q8もあわせてご覧ください。

Q12. 大学生の子どものアルバイト代はいくらまで大丈夫ですか?

A. 子が19歳以上23歳未満(平成16年1月2日〜平成20年1月1日生まれ)で収入がアルバイト給与だけの場合、年収136万円以下なら扶養控除(特定扶養親族、控除額63万円)の対象です。136万円を超え197万円以下なら、扶養控除の代わりに「特定親族特別控除」(最高63万円で、収入が増えるほど段階的に減る)を受けられます。特定親族特別控除は、基礎控除申告書と同じ用紙の「特定親族特別控除申告書」の欄に書く必要があります。欄の書き方は特定親族特別控除申告書の書き方(19〜22歳の子の記入例)をご覧ください。

Q13. 去年は収入が多くて扶養から外れた家族がいます。今年はどうなりますか?

A. 扶養に入れる所得の基準が「58万円以下(給与だけなら123万円以下)」から「62万円以下(同136万円以下)」に上がったため、今年は扶養の対象になる場合があります。該当しそうな人は、令和8年分の扶養控除等申告書にその家族を追加し、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと書いて提出してください。判断に迷う場合は【窓口】へご相談ください。

Q14. 共働きです。子どもはどちらの扶養に入れればいいですか?

A. 同じ子どもを夫婦の両方で扶養控除や特定親族特別控除の対象にすることはできません。どちらか一方の勤務先にだけ申告してください。一般的には税率の高い(所得の高い)方で控除を受けると税額が下がる効果が大きくなりますが、ご家庭で決めていただいて構いません。配偶者の勤務先と二重に申告していないか、提出前に確認をお願いします。

Q15. 16歳未満の子どもも書く必要がありますか?

A. はい。16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象ではありませんが、住民税の計算に使うため、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」欄に記入してください。ここが空欄で差し戻しになるケースが毎年多くあります。

Q16. 離れて暮らす親を扶養に入れられますか?

A. 別居していても、常に生活費を仕送りしているなど「生計を一にしている」といえ、親の合計所得金額が62万円以下であれば、扶養控除の対象になります。年齢70歳以上(昭和32年1月1日以前生まれ)の親は老人扶養親族として控除額48万円、同居している場合は58万円です。親が年金を受け取っている場合は、年金の額から所得を計算する必要があるので、【窓口】へ年金額をお知らせください。

【保険料控除・証明書】よくある質問と回答例(Q17〜Q21)

保険料控除申告書は、証明書の添付漏れと「給与から引かれている保険料まで書いてしまう」誤りが多い書類です。

Q17. 生命保険料控除証明書をなくしました。どうすればいいですか?

A. 保険会社に再発行を依頼してください。多くの保険会社はWebや電話で受け付けています。締切に間に合わない場合は、申告書だけ先に出し、証明書は届き次第【窓口】へ提出してください。国税庁の「年末調整のしかた」では、一定の保険料について翌年1月末日までに証明書類を提出することを条件に年末調整をする扱いが示されていますが、期日までに出なかった場合はその保険料を除いて計算し直すことになります。

Q18. 国民年金やiDeCoの掛金も書けますか?

A. 書けます。ご自身で直接支払った国民年金保険料などは社会保険料控除の欄に、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は小規模企業共済等掛金控除の欄に記入します。国民年金保険料や国民年金基金の掛金を書く場合は、証明書類の添付が必要です。あなたと生計を一にする家族の国民年金保険料をあなたが支払った場合も、その支払った分を書くことができます。

Q19. 給料から引かれている健康保険料や厚生年金も書くのですか?

A. 書かないでください。給与から差し引かれている社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険など)は会社が把握しているため、保険料控除申告書には記入しません。iDeCoの掛金も、給与天引きにしている場合は記入不要です。申告書に書くのは、あなたが直接支払ったものだけです。

Q20. 23歳未満の子どもがいると、生命保険料控除が増えると聞きました。

A. はい、令和8年分・令和9年分の特例です。年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生まれ)で合計所得金額62万円以下の扶養親族がいる場合、新契約(平成24年1月1日以後の契約)の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円になります。保険料控除申告書の「年齢23歳未満の扶養親族」欄に、該当する子を1人記入してください。生命保険料控除全体の上限(12万円)は変わりません。

Q21. 地震保険と火災保険は書けますか?

A. 地震保険料は地震保険料控除の対象で、控除の上限は5万円です。火災保険だけの部分は原則として対象外ですが、平成18年12月31日までに契約した一定の長期損害保険(旧長期損害保険料)は対象になる場合があります。保険会社から届く控除証明書に「地震保険料」「旧長期損害保険料」の区分が書かれているので、その区分どおりに記入してください。

【住宅ローン・医療費・ふるさと納税】よくある質問と回答例(Q22〜Q24)

会社の年末調整ではできない控除をFAQで明記しておくと、12月以降の問い合わせが減ります。

Q22. 住宅ローン控除は年末調整でできますか?

A. 控除を受ける最初の年は、ご自身で確定申告をする必要があります。2年目以降は、税務署から届いた「住宅借入金等特別控除申告書」を会社に出せば、年末調整で控除を受けられます(国税庁 タックスアンサー No.1211-1)。申告書の欄の書き方は住宅借入金等特別控除申告書の書き方(2年目以降の記入例)を参考にしてください。

Q23. 医療費控除やふるさと納税は年末調整でできますか?

A. できません。医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)は年末調整の対象外で、ご自身で確定申告をして受けます(国税庁 タックスアンサー No.1120 医療費控除)。ふるさと納税は「ワンストップ特例」で確定申告をしない方法もありますが、医療費控除などで確定申告をする場合は、ふるさと納税の分も確定申告書に含めて申告してください。医療費控除の明細書の書き方は医療費控除の明細書の書き方にまとめています。

Q24. 私は年末調整の対象ですか?

A. 1年を通じて勤務している人と、年の途中で入社して12月まで勤務している人が対象です。ただし、今年の給与の総額が2,000万円を超える人は年末調整の対象外で、ご自身で確定申告をします(国税庁 タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人)。また、2か所以上から給与を受けている人は、扶養控除等申告書を出した1か所でのみ年末調整を行います。

【入社・退職・副業】よくある質問と回答例(Q25〜Q27)

Q25. 今年の途中で入社しました。前の会社の源泉徴収票は必要ですか?

A. 必要です。今年、前の勤務先で扶養控除等申告書を出して給与を受けていた人は、その給与も合わせて当社で年末調整をします。前職の「給与所得の源泉徴収票」を【社内締切】までに提出してください。提出がないと当社では年末調整ができず、ご自身で確定申告をすることになります。なお、基礎控除や扶養控除は、途中入社でも月割りにならず全額が適用されます(国税庁 タックスアンサー No.2674 中途就職者の年末調整)。

Q26. 年内に退職する予定です。年末調整はしてもらえますか?

A. 年の途中で退職する人は、原則として年末調整の対象外です。例外は、12月分の給与を受け取った後に退職する人や、パートなどで退職し今年の給与総額が136万円以下で、年内に他から給与を受ける見込みがない人などです。対象外の場合は、退職時に交付する源泉徴収票を、再就職先に出すか、ご自身の確定申告で使ってください。また、最後の給与を11月30日以前に受け取る人の年末調整には、今年の改正後の控除は反映されません。

Q27. 副業をしています。年末調整で一緒に処理してもらえますか?

A. 年末調整をするのは、扶養控除等申告書を出している1か所の勤務先(当社)の給与だけです。副業先の給与や、副業の事業・雑所得は当社の年末調整には含まれません。副業先の給与の収入金額と、給与以外の所得(副業の事業・雑所得など)の合計が20万円を超える場合などは、ご自身で確定申告が必要です(国税庁 タックスアンサー No.1900)。なお、基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」には、副業分の所得も合計して書いてください。

【マイナンバー・電子提出・訂正】よくある質問と回答例(Q28〜Q30)

Q28. マイナンバーは毎年書かないといけませんか?

A. 扶養控除等申告書には、本人と扶養する家族のマイナンバーの記載が原則として必要です。ただし、会社が一定の帳簿でマイナンバーを管理している場合は、記載を省略できます。当社の扱いは【マイナンバー:記載する/前年から変更がなければ省略】です。住宅借入金等特別控除申告書には、マイナンバーを書く必要はありません。保険料控除申告書も原則は不要ですが、令和8年分からは23歳未満の扶養親族がいて生命保険料控除の上乗せを受ける場合に、その家族のマイナンバーを書く欄(☆欄)が加わっています(書き方は保険料控除申告書の書き方を参照。国税庁 源泉所得税関係に関するFAQ(マイナンバー))。マイナンバーをチャットやメールで送らないでください。

Q29. スマホやパソコンで提出できますか?

A. 【提出方法】で受け付けています。国税庁は無料の「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」をパソコン版とスマホアプリで提供しており、保険会社などから受け取った控除証明書の電子データを取り込んだり、マイナポータルと連携して証明書データを自動で取得したりできます(国税庁 年末調整手続の電子化に向けた取組について)。電子での提出は会社側の対応が必要なため、使えるかどうかは上の【提出方法】に従ってください。

Q30. 提出した後に、間違いや扶養の変更に気づきました。

A. すぐに【窓口】へ連絡してください。年末調整の後でも、12月31日までの扶養親族の変更、保険料控除の申告漏れ、住宅借入金等特別控除申告書の提出などは、源泉徴収票を交付する翌年1月末日までなら会社で年末調整をやり直せます(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた 6 年末調整後の再調整」)。それを過ぎた場合は、ご自身の確定申告で精算します。会社側の手順は年末調整のやり直し|1月31日までの再調整と源泉徴収票の再発行手順にまとめています。

チャット・掲示に貼るときの短縮版と運用のコツ

30問すべてを1回で流すと読まれません。実務では、時期と媒体に合わせて小分けにするのが効きます。

時期

貼る質問

媒体

回収開始時(10月下旬〜11月上旬)

Q1・Q2・Q4・Q6・Q9・Q29

全社メール・社内ポータル

回収期間中

Q11〜Q21(扶養・保険料)

社内チャットの固定メッセージ・休憩室の掲示

締切直前

Q2・Q3・Q15・Q17

未提出者への個別リマインド

12月〜1月

Q22〜Q24・Q30

源泉徴収票の配布時の添え書き

チャットに貼る短縮版の例

チャットでは1問を3行程度に縮めます。たとえばQ12なら次のとおりです。

【年末調整Q&A】大学生の子のバイト代はいくらまで?(令和8年分)
・19〜22歳の子でバイト給与だけなら、136万円以下は扶養控除(特定扶養)
・136万円超197万円以下は「特定親族特別控除申告書」の欄に記入
・夫婦どちらか一方だけで申告。迷ったら【窓口】へ個別にご相談ください

経理が答えてはいけない質問の線引き

FAQで答えてよいのは「会社の年末調整で何を出すか」までです。次のような質問は、FAQの対象外であることを明記し、個別対応または税務署・税理士への相談に回してください。

  • 確定申告の具体的な書き方や、副業・不動産などの所得計算(本人の確定申告の範囲)
  • 「どちらの扶養に入れると得か」の個別試算(家族全体の所得が絡むため)
  • 社会保険の扶養に入れるかどうか(加入先の健康保険の判断)
  • 離婚・死別・別居など、家族の事情に踏み込む判定(寡婦・ひとり親など)

税理士事務所が顧問先にFAQを配る場合は、「回答できない質問は顧問先の経理経由で事務所へ」という経路まで書いておきます。回収・催促・不備チェックの流れそのものを組み直したい場合は、年末調整の効率化(回収・不備チェック・電子化)も参考にしてください。

生成AIで自社向けFAQに整える手順とプロンプト例

上の30問は汎用の回答例です。自社の就業形態(パート比率が高い、副業OKなど)に合わせて質問を取捨選択し、言い回しを整える作業は、生成AIが得意とするところです。

手順は3ステップです。①この記事の回答例と、国税庁の「各種控除について」「年末調整を受ける際の注意事項」の本文をAIに渡す、②自社の条件を伝えて書き直させる、③金額・期限・制度の説明が元の資料と一致しているかを人が照合する。AIに金額を思い出させず、渡した資料の範囲だけで書かせるのが最大のコツです。

プロンプト1:自社の条件に合わせてFAQを書き直す

あなたは【会社名】の経理担当です。
以下は令和8年分(2026年12月実施)の年末調整の社内FAQの下書きと、国税庁の資料の本文です。

【FAQの下書きを貼り付け】
【国税庁「令和8年分 各種控除について(給与所得者用)」の本文を貼り付け】

次の条件で、従業員向けに読みやすく書き直してください。
- 当社の条件:【例:従業員50名・パート比率4割・副業可・提出は給与システム】
- 社内締切:【11月◯日】/問い合わせ窓口:【経理部 ◯◯】
- 当社に関係の薄い質問は削除し、関係の深い質問を優先して並べる
- 金額・年齢・期限は、貼り付けた資料に書かれているものだけを使う
- 資料にない内容は書かず、「担当者に確認」とする
- 1問の回答は200字以内、です・ます調

うまくいかない例:「年末調整のFAQを30問作って」とだけ頼むと、基礎控除48万円や扶養の上限103万円など、数年前の金額で回答を作ることがあります。直し方:令和8年分であることを明記し、国税庁の資料の本文を貼ったうえで「資料に書かれている金額だけを使う」と指示します。

プロンプト2:届いた質問から回答文の下書きを作る

従業員から次の質問がチャットで届きました。
【質問文を貼り付け(氏名・マイナンバー・家族の氏名は削除済み)】

以下の社内FAQだけを根拠に、200字程度の返信の下書きを作ってください。
【社内FAQを貼り付け】
- FAQで答えられない内容なら、その旨と「個別に確認します」とだけ書く
- 最後に「回答の根拠にしたFAQの番号」を付ける

うまくいかない例:家族の氏名・年収・マイナンバーをそのまま貼って判定させるケースです。個人情報を外部のAIサービスに入力すること自体が社内規程に反する場合があります。直し方:氏名やマイナンバーは削除し、「子・20歳・バイト年収150万円」のような匿名の条件にしてから使います。AIに入れてよい情報の線引きはChatGPTの情報漏洩対策|士業事務所が顧問先情報を守る7手順で整理しています。

汎用の生成AIでも、資料を貼れば言い回しの調整は十分にできます。士業AIは、国税庁などの公的情報を参照しながら日本語の業務文書を下書きできる設計なので、資料を探して貼る手間を減らしたい経理担当者に向いています。経理・総務スタッフの使い方は経理・事務所スタッフ向けの士業AI、顧問先へFAQを配る税理士事務所の使い方は税理士向けの士業AIで紹介しています。

まとめ

年末調整の社内FAQは、毎年同じ質問に何度も答える手間を減らすための資料です。令和8年分は、基礎控除104万円(合計所得金額489万円以下)、扶養に入れる目安136万円以下、大学生の子の特定親族特別控除197万円以下、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の上限6万円と、従業員が気にする数字が軒並み変わっています。回答の金額を令和8年分にそろえ、社内締切・提出方法・窓口の【 】を埋めれば、すぐに使い始められます。

貼るときは時期ごとに小分けにし、個別の判定や確定申告の相談はFAQの対象外と明記しておくと、経理の負担が軽くなります。自社向けの調整は生成AIに任せて構いませんが、金額と期限は国税庁の資料と人が照合する、という分担は崩さないでください。

参考文献

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