労働者名簿テンプレート無料4種|様式第19号準拠・エクセル【2026年】
労働者名簿のテンプレートを4種類、Excel・Word・PDFの3形式で無料配布しています。会員登録は不要です。様式第19号に準拠した1人1枚の標準版、事業場の全従業員を1枚で見渡せる一覧表(A4横)、雇入れから退職までの異動・訂正を追える履歴管理版、有期契約の更新を記録できるパート・アルバイト用をそろえました。
書き方の結論は3つです。記載事項は法律で決まっていること(氏名・生年月日・履歴・性別・住所・従事する業務の種類・雇入れ・退職・死亡の9項目)、様式第19号でなくてもよいが項目を欠かせないこと、そして退職・解雇・死亡の日から3年間保存することです。出勤簿・賃金台帳と並ぶ、労務管理の土台になる帳簿です。
この記事で分かること
- 用途別に選べる労働者名簿テンプレート4種類(Excel・Word・PDF、登録不要)
- 厚生労働省の様式第19号(PDF・縦書き)とExcelテンプレートの関係
- 正社員・パート・退職者の記入例
- 法定の記載事項9項目と、欄ごとの書き方・根拠条文
- 作成が必要な人・不要な人(パート、日雇い、役員、派遣)
- 保存期間3年の起算日と、電子データで持つときの条件
- 賃金台帳・出勤簿との違い(法定三帳簿)と、ハローワーク・労基署で求められる場面
- 個人情報としての管理(安全管理措置・マイナンバーを混ぜない)
- AIで記載漏れをチェックするときのプロンプト例
労働者名簿テンプレート無料ダウンロード(4種類)
従業員が数名なら01の1人1枚が扱いやすく、10名を超えたら02の一覧表で管理し、退職者だけ03に移す運用が現実的です。Excel版は「記入例」シートで完成形を確認できます。
FREE TEMPLATE
労働者名簿テンプレート 4種類
- Excel・Word・PDF
- 登録不要・無料
- 商用利用OK
- 自社用にカスタマイズ可
労働基準法107条・同施行規則53条(様式第19号)の記載事項と、109条・附則143条の保存期間に対応
Excel版は「設定」タブ付き:会社名・住所・連絡先を1か所に入れるだけで労働者名簿に反映されます。色は「ページレイアウト>配色」、フォントは「ページレイアウト>フォント」から、自社用にまとめて変更できます。
書式を埋めるときの「これで合ってる?」に、根拠つきで答えます
士業AIは、経理・事務の毎日の調べ物を引き受けるAIです。専門知識がなくても、質問を入力するだけで使えます。
- Excelの関数や操作を聞く(例:「SUMIFSで複数条件の集計をしたい」)
- 送付メールや社内文書を作る・添削する
- 税務・会計・法務は専門AIに切り替え(有料プランのPlusモードで税理士試験 簿記論・公認会計士試験 財務会計論・司法試験 民法とも正答率100%)
ご利用条件:無料・商用利用可・改変可。テンプレート自体の再配布や販売はご遠慮ください。記載内容の最終確認はご自身または専門家にて行ってください。利用条件/ほかの書式テンプレート
用途 | おすすめのテンプレート | ポイント |
|---|---|---|
まず法定の形でそろえたい | 01 様式第19号に準拠 | 9項目を1人1枚に。履歴欄を広くとった標準版 |
全員分をまとめて管理したい | 02 一覧表(A4横) | 14名分。退職事由・解雇理由まで横一列で確認 |
異動・昇進や退職の経緯も残したい | 03 履歴管理つき | 時系列の履歴表+訂正の記録+保存の起算日欄 |
パート・アルバイトが多い | 04 パート・アルバイト用 | 有期契約の期間・時給・更新回数を記録 |
出勤簿・賃金台帳・雇用契約書など、ほかの書式は無料の書式テンプレート一覧にまとめています。雇入れのときに交付する書面は雇用契約書のひな形と労働条件通知書との違いで確認してください。
厚生労働省の様式第19号とExcelテンプレートの関係
「労働者名簿 テンプレート 厚生労働省」で探すと、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーにたどり着きます。2026年10月に確認した時点で、労働者名簿(様式第19号)はPDFだけの掲載で、Word版・Excel版は置かれていません(労働条件通知書など一部の様式にはWord版があります)。PDFは縦書きの1人1枚の書式で、印刷して手書きする前提の作りです。
パソコンで入力・更新したい場合は、様式第19号の項目をそのまま横書きにしたExcelを使うのが現実的です。このページのテンプレート01は、様式第19号の9項目を同じ名称で並べ、社員番号・ふりがな・作成日・最終訂正日の欄を足しています。
様式第19号は「最低限の項目」を示すもの
労働基準法施行規則59条の2は、労働者名簿や賃金台帳に用いる様式について「必要な事項の最少限度を記載すべきことを定めるもの」であり、横書・縦書その他異なる様式を用いることを妨げない、としています(e-Gov法令検索で条文を確認できます)。つまり次の2点に整理できます。
- 足すのは自由:社員番号、ふりがな、部署、緊急連絡先など、自社の管理に必要な欄を加えてよい
- 削るのは不可:労基法107条・施行規則53条の9項目(30人未満の事業の「従事する業務の種類」を除く)は欠かせない
書式 | 形式 | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
厚生労働省 様式第19号 | PDF(縦書き・手書き向け) | 従業員が少なく、紙で管理したい | 訂正のたびに書き直しや二重線が必要 |
テンプレート01(様式第19号準拠) | Excel・Word・PDF(横書き) | 1人1枚で、入力して更新したい | 「記入例」シートで完成形を確認できる |
テンプレート02(一覧表) | Excel・Word・PDF(A4横) | 10名以上を1枚で見渡したい | 履歴欄が狭いので、履歴は03で補う |
給与・労務システムの出力 | システムによる | 従業員マスタを一元管理している | 9項目がすべて出力されるかを一度確認する |
ハローワーク指定の様式はあるのか
「労働者名簿テンプレート ハローワーク」と検索されることがありますが、労働者名簿は労働基準法にもとづいて会社が備え付ける帳簿で、ハローワークに提出するための届出書式ではありません。関係があるのは、雇用保険の手続きで確認書類として持参を求められる場面です。厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き」でも書類名として「労働者名簿」が挙がっているだけで、書式の指定はありません。具体的な場面は後半のハローワーク・労働基準監督署で求められる場面で説明します。
労働者名簿とは|作成・保存の義務と記載事項
労働者名簿は、使用者が事業場ごとに、労働者ごとに作る帳簿です。労働基準法107条が「氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項」を記入することを義務づけ、残りの項目を労働基準法施行規則53条が定めています。あわせて9項目です。
記載事項 | 必須/任意 | 根拠 | 注意点 |
|---|---|---|---|
氏名 | 必須 | 労基法107条1項 | 戸籍の氏名で。旧姓併記は社内ルールで決める |
生年月日 | 必須 | 労基法107条1項 | 18歳未満は、年齢を証明する戸籍証明書の備付けも必要(同法57条1項) |
履歴 | 必須 | 労基法107条1項 | 範囲は法令に定めなし。入社前の学歴・職歴、入社後の異動・昇進を書くのが一般的 |
性別 | 必須 | 施行規則53条1項1号 | — |
住所 | 必須 | 施行規則53条1項2号 | 転居のつど更新(法107条2項) |
従事する業務の種類 | 必須(条件つき) | 施行規則53条1項3号・2項 | 常時30人未満の労働者を使用する事業では記入不要 |
雇入の年月日 | 必須 | 施行規則53条1項4号 | 試用期間の開始日=雇入れの日 |
退職の年月日およびその事由 | 必須 | 施行規則53条1項5号 | 解雇の場合はその理由を含める |
死亡の年月日およびその原因 | 必須 | 施行規則53条1項6号 | — |
様式は厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーで様式第19号が公開されています。ただし様式第19号は、必要な事項の最少限度を示すもので、横書き・縦書きなど異なる様式を使うことを妨げないと定められています(労働基準法施行規則59条の2)。労働局の案内でも、記載内容に漏れがなければ様式第19号以外の書式でもよいとされています(沖縄労働局「労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう」)。自社の管理項目を足した一覧表でも問題ありません。
誰の名簿を作るのか
正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員も対象です。除かれるのは「日日雇い入れられる者」だけです(労基法107条1項)。役員は労働者ではないため対象外ですが、使用人兼務役員のように労働者としての実態がある人は作成しておくのが安全です。派遣社員は、雇用主である派遣元が労働者名簿を作成します。派遣先は、派遣就業の実績を記録する派遣先管理台帳を別に作り、3年間保存します(労働者派遣法42条)。
本社・支店・工場のように事業場が複数ある場合は、事業場ごとに備え付ける必要があります。本社で一括してパソコンで作成・保存することは差し支えありませんが、閲覧や提出が必要になったときに事業場ごとにデータを取り出せるようにしておくことが求められます(長野労働局「労働条件ハンドブック」)。
保存期間は3年(起算日に注意)
労働者名簿は、賃金台帳や雇入れ・解雇に関する書類とともに保存義務があります。労基法109条の本則は5年ですが、附則143条の経過措置により当分の間は3年です。起算日はその労働者の死亡・退職・解雇の日です(施行規則56条1項1号)。賃金台帳のように「支払期日が遅ければ支払期日」という調整はありません。
例:2026年8月31日に自己都合退職した従業員の名簿は、2026年8月31日から3年間保存します。在職中の従業員の名簿には保存期限がなく、退職するまで更新し続けます。
109条に違反すると30万円以下の罰金の対象です(労基法120条1号)。保存期間の延長と起算日の明確化は、厚生労働省のリーフレット「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」にまとまっています。
欄ごとの書き方
履歴|どこまで書くか
履歴の範囲は法令に書かれていません。実務では「入社前の学歴・職歴」と「入社後の異動・昇進・雇用形態の変更」を時系列で書く形が多く、テンプレート03はこの形にしています。採用時の履歴書をそのまま貼るのではなく、名簿に転記して更新していくのがポイントです。異動や昇進のたびに追記すれば、退職時の証明書発行や助成金の申請でも使えます。
従事する業務の種類|30人未満は省略できる
常時30人未満の労働者を使用する事業では、この欄の記入は不要です(施行規則53条2項)。とはいえ配置転換の記録として有用なので、人数が増える見込みがあるなら最初から書いておくことをおすすめします。「営業」「経理」のように職種名で足ります。
退職の年月日および事由|解雇のときは理由まで
「自己都合退職」「契約期間満了」「定年退職」「会社都合退職」など、区分が分かる書き方にします。解雇のときは、その理由まで書くのが施行規則53条1項5号の求めるところです。就業規則のどの条文に当たるのかを添えると、後の紛争や離職票の作成で説明しやすくなります。離職理由の判断は離職票の書き方と離職理由の判断で詳しく扱っています。
パート・アルバイト|契約更新の記録もあわせて
有期契約は更新のたびに期間・勤務日数・時給が変わります。テンプレート04は契約更新の記録欄を設けており、通算契約期間が5年を超えると無期転換の申込権が発生する(労働契約法18条)タイミングを見落としにくくなります。労働条件の明示そのものは労働条件通知書の明示事項と記載例を参照してください。
労働者名簿の記入例(正社員・パート・退職者)
テンプレートの「記入例」シートと同じ内容を、欄ごとに表にしました。氏名・住所は架空のものです。
正社員の記入例
欄 | 記入例 | ポイント |
|---|---|---|
氏名(ふりがな) | 山田 太郎(やまだ たろう) | ふりがなは任意の追加欄 |
生年月日 | 1989年5月14日 | 和暦・西暦はどちらでもよいが社内で統一する |
性別 | 男 | 施行規則53条1項1号 |
住所 | 〒167-0051 東京都杉並区〇〇1-2-3 〇〇ハイツ201 | 建物名・部屋番号まで。転居したら訂正 |
従事する業務の種類 | 総務(労務管理・社会保険手続・庶務) | 常時30人未満の事業では省略可 |
雇入年月日 | 2016年4月1日 | 試用期間がある場合も、その開始日 |
退職年月日・事由 | (在職中は空欄) | 退職したら記入し、保存期限の管理を始める |
死亡年月日・原因 | (空欄) | — |
履歴 | 2012年3月 〇〇大学 経済学部 卒業/2012年4月 株式会社△△物産 入社(営業事務)/2016年3月 同社 退職/2016年4月 当社入社 総務部に配属/2021年4月 総務部 労務課 主任 | 入社前の学歴・職歴と、入社後の異動・昇進を時系列で |
パート・アルバイトの記入例
9項目は正社員と同じです。テンプレート04では、有期契約の期間と更新を1行ずつ記録する欄を足しています。
契約開始日 | 契約終了日 | 所定の勤務日数・時間 | 時給 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
2024/4/1 | 2025/3/31 | 週4日・1日5時間 | 1,200円 | 新規 |
2025/4/1 | 2026/3/31 | 週4日・1日5時間 | 1,250円 | 更新1回目(時給改定) |
2026/4/1 | 2027/3/31 | 週5日・シフト制 | 1,300円 | 更新2回目(勤務日数を変更) |
契約更新の記録は法定の記載事項ではありませんが、労働条件が変わった経緯と通算契約期間が名簿だけで追えるようになります。
退職・解雇・死亡のときの書き足し方
退職しても名簿は削除せず、退職欄を埋めてから保存に回します。事由は区分が分かる言葉で書き、解雇のときは理由まで残します。
ケース | 退職(死亡)年月日 | 事由・原因の記入例 |
|---|---|---|
自己都合退職 | 2026年8月31日 | 自己都合退職(2026年7月15日 退職届受理) |
有期契約の満了 | 2027年3月31日 | 契約期間満了(本人が更新を希望せず) |
定年退職 | 2026年9月30日 | 定年退職(就業規則第〇条) |
解雇 | 2026年9月30日 | 解雇。無断欠勤が続き、出勤の督促にも応じなかったため(就業規則第〇条第〇号に該当) |
死亡 | 2026年6月10日 | 業務外の疾病による死亡 |
保存の起算日は、この退職・解雇・死亡の日です。テンプレート03には保存の起算日を書く欄があります。退職届の受け取り方は退職届・退職願テンプレートと会社側の受理・手続きで扱っています。
よくある間違い・トラブル
よくある間違い | どうなるか | 直し方 |
|---|---|---|
履歴書のコピーで代用している | 履歴書には性別欄や業務の種類がないことがあり、記載事項を満たさない | 名簿に転記し、入社後の異動も追記する |
退職したら名簿を捨てている | 3年の保存義務違反(労基法109条) | 退職日から3年は「退職者」フォルダで保管し、期限を一覧で管理する |
解雇の事由を「一身上の都合」と書く | 実態と違う記録が残り、離職理由や紛争時に食い違う | 解雇と明記し、理由(就業規則の該当条項)まで書く |
住所変更を反映していない | 107条2項の訂正義務違反。社会保険の手続にも影響 | 変更届の受付と同時に名簿を更新し、訂正の記録を残す |
本社でまとめて1冊にしている | 事業場ごとの備付けにならない | 事業場ごとにデータを分けるか、事業場単位で出力できるようにする |
名簿にマイナンバーを書いている | 必要な範囲を超えた特定個人情報ファイルの作成・保管に当たりうる | マイナンバーは別ファイルで管理する |
マイナンバーは、個人番号関係事務を処理するために必要な範囲を超えて特定個人情報ファイルを作ってはならないとされ、収集・保管も制限されています(番号法20条・29条)。労働者名簿は日常的に閲覧する帳簿なので、マイナンバーは切り離して管理してください。
電子データで持つときの条件
紙でなくExcelやクラウドで管理してもかまいません。厚生労働省のQ&A「労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。」は、(1)法令で定められた要件を具備し画面表示・印字ができること、(2)労働基準監督官の臨検時などに直ちに必要事項が明らかにされ提出し得るシステムであること、(3)誤って消去されないこと、(4)長期にわたって保存できること、を挙げています。共有フォルダに置くなら、閲覧権限の設定とバックアップまでをセットで考えてください。
なお、労働者名簿・賃金台帳・年次有給休暇管理簿はあわせて調製できます(施行規則55条の2)。労務システムで1つの従業員マスタから出力する形でも問題ありません。
賃金台帳・出勤簿との違い|法定三帳簿
労働者名簿は、賃金台帳・出勤簿とあわせて「法定三帳簿」と呼ばれます。名簿は「誰を雇っているか」、賃金台帳は「いくら払ったか」、出勤簿は「何時間働いたか」の記録です。保存期間はどれも3年(本則5年)ですが、対象者と起算日が違います。
労働者名簿 | 賃金台帳 | 出勤簿(タイムカード等) | |
|---|---|---|---|
根拠 | 労基法107条・施行規則53条 | 労基法108条・施行規則54条 | 労基法109条の「労働関係に関する重要な書類」として保存 |
対象者 | 日日雇い入れられる者を除く全員 | 日々雇い入れられる者を含む全員 | 全員 |
様式 | 様式第19号 | 様式第20号(日々雇い入れられる者は第21号) | 定めなし |
保存の起算日 | 死亡・退職・解雇の日 | 最後の記入をした日(賃金の支払期日が遅ければ支払期日) | 完結の日(賃金の支払期日が遅ければ支払期日) |
作り直す頻度 | 入社時に作り、変更があれば訂正 | 賃金を支払うたび | 毎日・毎月 |
起算日は施行規則56条で決まっており、厚生労働省のリーフレット「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」では、出勤簿・タイムカードは「その他の労働関係に関する重要な書類」の例に挙がっています。労働者名簿だけは在職中に期限が来ないため、退職者の分を別に管理するのがポイントです。
それぞれの書き方とテンプレートは、賃金台帳テンプレート(様式第20号対応)と記載事項、出勤簿テンプレート(残業・深夜の集計つき)で解説しています。労働者名簿・賃金台帳と兼ねて作れる年次有給休暇管理簿のテンプレートもあわせて使えます。
ハローワーク・労働基準監督署で求められる場面
労働者名簿は、ふだんは社内に備え付けておく帳簿です。役所に定期的に提出するものではありませんが、次の場面では提示や提出を求められます。
雇用保険の適用事業所を設置・廃止するとき(ハローワーク)
初めて労働者を雇い、雇用保険の「適用事業所設置届」を出すときは、適用事業に該当した日の翌日から10日以内に、管轄のハローワークへ提出します。厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き【第1編】適用事業所編(令和8年8月版)」は、持参するものとして労働保険の保険関係成立届の事業主控や登記事項証明書などと並べて、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)を挙げています。被保険者の資格取得届も設置届と同時に出します。
事業所を廃止するときの「適用事業所廃止届」でも、廃止の事実が確認できる書類の例として労働者名簿・出勤簿が挙がっています。持参書類の細目は窓口ごとに案内があるため、提出前に管轄のハローワークの案内で確認してください。
労働基準監督署の調査(臨検)のとき
労働基準監督官は、事業場に立ち入り、帳簿・書類の提出を求めることができます(労基法101条)。帳簿書類を提出しなかったり、虚偽の記載をした帳簿書類を出したりすると、30万円以下の罰金の対象です(同法120条4号)。名簿を作っていない・保存していない場合も、同条1号で罰則の対象になります。
調査の前に、最低限次の4点を確かめておくと慌てずに済みます。
- パート・アルバイトを含め、在籍者全員の名簿があるか
- 退職から3年以内の人の名簿が残っているか
- 退職事由が空欄でないか。解雇の場合に理由まで書いてあるか
- 名簿の氏名・雇入年月日が、賃金台帳・出勤簿と食い違っていないか
賃金台帳側で見られる点は賃金台帳テンプレートの記事の「労基署の調査で見られるポイント」にまとめています。
入社手続きの流れに組み込む
労働基準法は名簿の作成期限を日数では定めていませんが、雇用保険の手続きで確認書類になることを考えると、雇用契約書・社会保険の届出と同じタイミングで作るのが確実です。入社時の段取り全体は入社手続きチェックリスト|総務・経理がやることと必要書類で確認できます。
個人情報としての管理
労働者名簿は、住所・生年月日・履歴が並ぶ個人データの固まりです。個人情報保護法は、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じること(23条)、従業者を監督すること(24条)を求めています。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、講ずべき安全管理措置を「基本方針の策定」「取扱いに係る規律の整備」「組織的」「人的」「物理的」「技術的」「外的環境の把握」に分けて例示しており、中小規模事業者向けの簡易な手法も示しています。最低限、次の3つは決めておきたいところです。
- 触れる人を決める:名簿を扱う担当者と責任者を明確にし、共有フォルダの権限を絞る(組織的・技術的安全管理措置)
- 持ち出しのルール:施錠できる場所での保管、データの暗号化、外部送付時の取扱い(物理的安全管理措置)
- いらなくなったら消す:利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努める(法22条)。ただし法令で保存期間が定められている間は保存が優先します
裏を返すと、退職から3年が過ぎた名簿を漫然と持ち続ける理由はありません。保存期限を過ぎたものはシュレッダー・データ削除まで手順を決めておきます。事務所側の情報管理の型はChatGPTの情報漏洩対策|顧問先情報を守る7手順もあわせてどうぞ。
AIで記載漏れをチェックする
労働者名簿は、項目の欠落と更新漏れがほぼすべての論点です。AIには「9項目がそろっているか」「退職者の保存期限はいつか」を機械的に見てもらうと速く済みます。以下はそのままコピーして使えるプロンプトです(個人情報を貼るときは、氏名・住所を伏せ字にするか、社内で許可されたAIを使ってください)。
次の労働者名簿の項目一覧が、労働基準法107条・施行規則53条の記載事項を満たしているか確認してください。
【当社の事業場の規模】常時〇人
【名簿の項目】氏名/生年月日/住所/入社日/部署
不足している項目と、当社の規模で省略できる項目を分けて挙げてください。うまくいかない例と直し方:「労働者名簿の項目を教えて」とだけ聞くと、一般論が返ってきて自社の名簿と突き合わせられません。自社の項目を貼り付けて「差分」を出させると、そのまま修正作業に移れます。
退職者の労働者名簿の保存期限を計算してください。
【退職日の一覧】2026/8/31 A、2026/3/31 B、2025/11/30 C
労働基準法109条・附則143条と施行規則56条1項1号にもとづき、起算日と保存期限(年月日)、
いま廃棄してよいかどうかを表にしてください。根拠条文も添えてください。次の退職事由の書き方を、労働基準法施行規則53条1項5号の求める記載になっているか確認し、
不足があれば修正案を3案出してください。
【現在の記載】一身上の都合により退職
【実際の経緯】無断欠勤が2か月続き、出勤の督促にも応じなかったため会社が解雇した汎用のAIでもここまでは進みます。条文の版が古かったり、経過措置(109条の「当分の間3年」など)を落としたりする点だけは人が押さえる必要があります。士業AIは労働基準法などの条文を参照しながら回答する設計なので、根拠条文つきで確認したいときに向いています。社労士事務所のスタッフや総務担当者の使い方は事務所スタッフ・労務担当者向けの士業AIで紹介しています。社会保険の届出まで含めた流れは社会保険の手続きをAIで効率化する実務で解説しています。
ほかの書式もまとめて探すなら、労務書式テンプレート無料10書式のまとめで用途ごとの選び方と合わせて確認できます。
労働者名簿のよくある質問
従業員が1人だけでも労働者名簿は必要ですか?
必要です。労基法107条には人数の下限がなく、労働者を1人でも雇えば作成します。人数で変わるのは、常時30人未満の事業で「従事する業務の種類」の欄を省略できる点だけです(施行規則53条2項)。
日雇い・単発で雇う人の名簿は要りますか?
「日日雇い入れられる者」は労働者名簿の対象から除かれています(労基法107条1項)。一方で賃金台帳は日々雇い入れられる者についても作る必要があり、1か月を超えて引き続き使用される人は様式第20号、それ以外は様式第21号で調製します(施行規則55条)。名簿は不要でも、賃金の記録は残すと覚えておくと混乱しません。
厚生労働省の様式第19号(縦書き)を使わないといけませんか?
使わなくてかまいません。様式は必要な事項の最少限度を示すもので、横書き・縦書きなど異なる様式を使ってよいとされています(施行規則59条の2)。9項目がそろっていれば、Excelの横書きの書式や労務システムの出力でも足ります。
紙で印刷して保管しないといけませんか?
Excelやクラウドなど、電子データで持つこともできます。厚生労働省のQ&Aが示す条件は、画面表示・印字ができること、調査のときにすぐ必要事項を示して提出できること、誤って消去されないこと、長期にわたって保存できることです(詳しくは電子データで持つときの条件)。
保存期間は5年と3年のどちらで考えればよいですか?
労基法109条の本則は5年ですが、附則143条で「当分の間」3年と読み替えられているため、現時点の義務は死亡・退職・解雇の日から3年です。経過措置は今後の改正で変わる可能性があるので、保存期限を一覧で管理し、改正時に期限をまとめて延ばせるようにしておくと安心です。
役員や派遣社員の名簿も作りますか?
役員は労働者ではないため原則として対象外です。ただし使用人兼務役員のように労働者としての実態がある人は作っておくのが安全です。派遣社員は雇用主である派遣元が作成し、派遣先は派遣先管理台帳を別に作ります(誰の名簿を作るのか)。
まとめ
- 労働者名簿の記載事項は9項目。厚生労働省の様式第19号はPDF(縦書き)だけだが、項目がそろっていればExcelの横書きでもよい(施行規則59条の2)
- パート・アルバイトも対象。除かれるのは日日雇い入れられる者だけ(労基法107条1項)
- 従事する業務の種類は、常時30人未満の事業では省略できる(施行規則53条2項)
- 解雇のときは事由に加えて理由まで書く。変更があれば遅滞なく訂正する
- 保存は死亡・退職・解雇の日から3年間(本則は5年)。期限を過ぎたものは個人情報として適切に廃棄する
- 雇用保険の適用事業所設置届では、賃金台帳・出勤簿とあわせて確認書類になる。入社手続きと同時に作っておく
本記事は2026年10月時点の法令・公的資料にもとづいています。保存期間の経過措置は今後の法改正で変わる可能性があります。解雇理由の記載や無期転換など個別の事情は、労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
参考文献
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第57条・第101条・第107条・第109条・第120条・附則第143条)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(第53条・第55条・第55条の2・第56条・第59条の2)
- 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」
- 厚生労働省「労働者名簿(様式第19号)」
- 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き【第1編】適用事業所編(令和8年8月版)」
- 厚生労働省「労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。」
- 厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」(リーフレット)
- 長野労働局「労働条件ハンドブック」(労働者名簿・賃金台帳)
- 沖縄労働局「労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう」
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第22条〜第24条)
- e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第42条)
- e-Gov法令検索「労働契約法」(第18条)
- e-Gov法令検索「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(第20条・第29条)
よくある質問
労働基準法109条の本則は5年ですが、附則143条の経過措置により当分の間は3年です。起算日はその労働者の死亡・退職・解雇の日です(施行規則56条1項1号)。2026年8月31日に退職した人の名簿なら、2026年8月31日から3年間保存します。在職中の名簿には期限がなく、退職まで更新し続けます。
様式第19号は厚生労働省が公開していますが、労働局の案内では記載内容に漏れがなければ様式第19号以外の書式でもよいとされています。氏名・生年月日・履歴・性別・住所・従事する業務の種類・雇入の年月日・退職の年月日と事由(解雇はその理由を含む)・死亡の年月日と原因の9項目がそろっていれば、自社の一覧表やExcelでも構いません。
必要です。労働基準法107条1項が対象から除いているのは「日日雇い入れられる者」だけで、パート・アルバイト・契約社員は正社員と同じく作成します。有期契約の場合は、契約期間と更新の記録を残しておくと、通算5年を超えたときの無期転換(労働契約法18条)の確認にも使えます。
常時30人未満の労働者を使用する事業では記入を省略できます(労働基準法施行規則53条2項)。30人以上の事業場では必須です。省略できる規模でも、配置転換の記録として役立つため、人数が増える見込みがあるなら「営業」「経理」のような職種名で書いておくことをおすすめします。
可能です。厚生労働省のQ&Aは、法令で定められた要件を満たして画面表示・印字ができること、労働基準監督官の臨検時などに直ちに必要事項を明らかにして提出できるシステムであること、誤って消去されないこと、長期にわたって保存できることを条件に挙げています。本社で一括管理する場合も、事業場ごとにデータを取り出せるようにしておきます。
解雇の場合は、退職の年月日と事由に加えてその理由まで記載します(労働基準法施行規則53条1項5号)。「一身上の都合」とだけ書くと実態と食い違い、離職票の離職理由や紛争時の説明と矛盾します。就業規則のどの条項に当たるのかまで添えておくと安全です。

